私の使い魔は最後の人類   作:[ysk]a

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*【ゼロの使い魔×B★RS The GAME】のクロスです。

・ネタ投稿&息抜きなので、例のごとく超不定期です。
・原作一巻分はやります。その後は……
・ゲーム、「ブラック★ロックシューター TheGAME」より、一週目エンド後のステラ(孤独エンド。白熊が走ってるのをステラが独りで見つめているエンド)をルイズが召喚。
 ⇒ステラ以外の人類が絶滅し、長い年月、星の再生と人類の復活を試みていた、という設定です。
・ゼロ魔のキャラ、設定には、筆者独自の解釈を加えている場合があります。
・なお、上記のいずれかの項目のうち一つでも無理だ、と思われた&感じられた場合、即座にブラウザバックされることを、読者皆様方の精神上の安定及び健康のためにも強く推奨いたします。
・また、原作における描写と、ネット上で検索した限りのゼロ魔設定情報によって地理情報等を構成しています。おかしい箇所が多々あるとは思いますが、脳内補正をどうか……どうか……!
・少しでも興味を持ってくれた方が、ゲーム板BRSに興味を持ってくれますように頑張ります。クソゲーって言わないで!!
・最後に――――


 故ヤマグチノボル先生に、その早すぎる逝去を悼むと共に、ゼロの使い魔という素晴らしい作品を世に生んでくださった事を讃えると共に、心より感謝致します。




 かつて、戦争があった。

 とある星において、最も繁栄していた種族"人類"と、強大無比な力を持った"異星人"との戦いである。

 戦いは異星人による虐殺とも言うべきワンサイドゲームに終わるかに思えたが、人類の"最後の希望"――――あるいは、希望が残した"最後の人類"である少女の手により、戦争は終焉を迎える。

 戦争で荒れ果てた星は、さらに砕けた衛星の影響も加わった天変地異により、砂塵と瓦礫の灰色と慈悲なく吹き荒れる滅びの風に覆われた。

 勝者は誰であったのか。そもそも、あの戦いにどんな意味があったのか。それは、生き残った只一人の人類である少女にもわからない。

 だから、その答えを探すために少女は独り、再びこの星に命を芽生えさせようとした。

 少女の身は異星人の技術と、彼女自身の手により歳をとることがなくなっていた。

 それは不老ではあるが、不死ではない。

 "捕食/ネブレイド"と呼ばれる異星人由来の特性により、その命の火は焼べる薪の数だけ続いていく。

 故に、少女は焼べる薪が絶えれば死ぬ。

 ほとんど死の星となりかけていたとはいえ、少女独りが生きゆくには十二分にすぎる命が周囲に満ち溢れていたことは果たして、幸運だったのか。

 狩りをして、その日の糧を得る。

 シンプル極まりないその生活は古代における狩猟民族のソレに近いものであったが、焼べる薪の数だけ歳月を生きる少女にとって、狩りとは孤独な日々における数少ない生の充足を感じられる一時でもあった。

 志半ばに身が朽ち果てる心配はなく、またかつて数十億といた人類が築き上げた物資/知識を世界各地から集め、工房を構えて研究を繰り返す。

 万全の態勢を整え、少女は孤独な復興の道を歩み出していた。

 

 そして、久しくない時が流れ、その目的の半分/世界の再生は成し得たと言えるだろう。

 だが、終ぞその究極は成し遂げられなかった。

 数えることすら愚かしい程の長い時間。来る日も来る日も研究室で理論を構築し、実験を行い、結果を検証し、反省を繰り返す日々。

 そうして、ついに灰色の星がかつての青を取り戻す頃。

 荒れ果てた大地を緑が覆い、吹き荒れていた砂塵の風は花の蜜の香りを含む甘やかで柔らかい風となった。

 そこに至るまでどれほどの時を経たのか、少女にもわからない。

 だがどれほどの心血と歳月を注ごうとも、神と呼ばれる存在が己の姿を模して創り上げた存在を生み出すことは、できなかったのだ。

 

 

 

――――――貴様には無理だ。

 

 

 

 まるで、そうとでも嘲笑われているかのようであり、しかし自身の身の上を思い出して、彼女は自嘲する。

 確かに、とんだ思い上がりであったのかもしれない。

 模造品から創られた"劣化品/デッドコピー"でありながら、その"生みの親/オリジナル"を生み出そうなどと。

 それでも彼女は挑戦し続けたのだ。

 孤独に。静かに。縋るような思いで。

 純粋無垢なその思いが、砂塵と死で覆われていた星に緑と青の溢れる世界を実現するまで。

 

 外へ出る。

 

 彼女の目の前に広がる世界には、かつて死の惑星であった面影は、今やどこにもない。

 もしかしたら初恋と呼ぶべき情を抱いた相手と、その仲間達から送られたトライク(忘れることなく、彼女は修理とメンテナンスを欠かさずにいた)に跨り、彼女は目的もなく走り出す。

 

 星に刻まれた傷跡を完全に覆い隠すように繁殖した緑の世界と、命の香り溢れる青の星。

 大地に花が咲き、野を獣が駆け、空を鳥が舞い、海と川を魚が泳ぐ。

 いつしかたどり着いた崖の上、バイクに跨ったまま無限に広がるかのような大海を少女は見下ろす。

 記憶の片隅に転がる、神が作ったとされる世界に最も近い光景が、そこには再現されていた。

 だが、そこにあって欲しい存在は……彼女が最も望んだ命は、どこにもない。

 

 

 

「――――ごめんなさい」

 

 

 

 彼女は謝るほかない。そうする以外に、どうすればいいのかわからないのだ。

 約束したはずだった。己の心に住まう彼ら彼女らに。

 それなのに、力及ばずこの体たらく。誓いも果たせず、これ以上の孤独に悲鳴を上げ、終にはその命を燃やす薪すらも最後の一欠片となりつつある。

 このまま"捕食/ネブレイド"をせずに生きれば、おそらく少女はそう遠くない未来、その火を絶やしてしまうことだろう。それでいいと、思ってしまったのだ。

 

 

 

――――――よく頑張ったよ、お嬢さん。

 

 

 

 振り返る。

 風に乗って聞こえてきたその幻聴。

 もはや忘れかけていたその声音。

 どこか恥ずかしさを含み、それでいて心の根からじんわりと暖かくなる、彼の声。

 頬を、熱い何かが滴り落ちる。

 風が吹いてその濡れた頬を撫で、冷たく凍えそうであった彼女の心を温めた。

 そして、再び風が吹いたとき。

 終に、その世界から"人類"は途絶えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





漫画版のステラやシズとカーリーも大好きですが、クールなステラが思い入れが深いのでゲーム板がベース。
でもちょくちょく漫画版の設定も輸入。

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