私の使い魔は最後の人類   作:[ysk]a

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本来であれば、一日の仕事全てを一節とするところだったのですが、長くなった(色んな意味で)ので、分けて投稿することに。
 遅筆でもうしわけありません……。


【土塊の大怪盗】の章 上
一節


 

 

 

 

 今世に詠われる、一人の怪盗がいる。

 闇夜に乗じて悪事を成し、さりとて晴天に翻るを臆すること無し。

 東に宝石あらば屋敷を砕き、西に宝冠あらば影の如く頂く。

 北も南もなんのその。

 堅牢盤石な警備を食い破り、宝の代わりに土塊を土産とするその者を、人々はこう呼び習わす。

 

 

―――大怪盗"土塊のフーケ"と。

 

 

 耳触りの良いその称号は、今や王都トリスタニアのみならず、ハルケギニア全土に轟渡っている。

 こと、日々貴族達から辛酸を舐め続けさせられ、代わり映えのしない貧相な日々を送る平民からすれば、その存在はある種の英雄に等しい。

 

 何故か?

 

 決まっている。

 殺されそうなほど鬱屈で退屈な日常を彩ってくれるからだ。

 ましてや、その被害があの鼻持ちならない"貴族ばかり"とくれば、殊更であろう。

 無論、命知らずの愚か者でなければそのようなこと、貴族の目の前で口にはすまい。

 だが、一度夜の帳が下り、酒屋の灯りが煌々と輝き、貴族のいない酒場で下品な笑い声に陽気な口が開けば、そんなことはお構いなしだ。

 

 

 

「土塊に乾杯! 悪党貴族に天誅あれ!」

 

 

 

 誰もが叫ぶ。彼もが喜ぶ。

 無味無臭で退屈な日々にまぶされる一摘みのスパイスは、それだけで黄金に等しい価値がある。

 それは、言うなれば平民では手が出ない香辛料が、突然天から降り注ぐようなものだ。

 そんな平民達にとっての英雄も、狙われる貴族達からすれば不倶戴天の敵であり、いまや王都中にお触れが出まわるほどの目の敵ぶりである。

 実際のところ、狙われているのが貴族だけというのは誤報で、かなりの規模の商人も狙われており、王都のみならず、国内の流通や治安に深刻な影響が現れ始めたため、政府の重い腰が上がったのが真相なのだが、平民達にとっては"んな細けぇこたぁいいんだよ!"というわけだ。

 ようは、ムカつく貴族が痛い目を見て、自分達にはなんにも害がない。これを楽しまずしてどうするか。そういう話なのだ。

 そして今日もまた、そんな大怪盗の活躍で、トリスタニアのとある酒場は盛り上がっていた。

 

 

 

「いっやぁ~、またやってくれたな、"土塊"は!」

「あぁあぁ! まったく他人の不幸で飯がうめぇとはこのことだな!」 

「お、なんだなんだ、またやらかしたのか"土塊"のやつ」

「なんだよおめぇ、知らねぇのか。昨日の夜、マイヤー子爵の屋敷からグリーンウッド夫人のスティップリング・ゴブレットが盗まれたんだよ」

「?? なんだそりゃ。なんでマイヤー子爵の家に、グリーンウッド夫人がいるんだ?」

「ばぁか。グリーンウッド夫人本人じゃねぇ。つーか、おまえ、マジでグリーンウッド夫人知らねぇのか」

「てめぇバカにしてんだろ。それぐらい知ってらぁ。女だてらに芸術家気取ってた大昔の貴族じゃ――――って、あれ? なんでそれが昨日まで生きてるんだ?」

「……こいつやっぱりバカだぜ」

「本人じゃねぇっつってんだろぉが。盗まれたのはゴブレット。その大昔の貴族が作った、時価ン十万エキューもするすげぇガラスのゴブレットだよ」

「ほぇ~。たかだかガラスのゴブレットが? んなにすんのか。」

「ただのゴブレットじゃねぇ。ガラスに絵を彫って、魔法もかけた逸品らしくてな。なんでも光に透かすと彫られた天使の絵が踊りだすんだと」

「そいつはすげぇ。で、今度はそれが盗まれた、と」

「おうよ。マイヤー子爵の屋敷をお得意のゴーレムで叩き潰して、正面からかっぱらってった、って話だ」

「獲物までぶっ壊れること考えねぇのかよ」

「ガラスのゴブレットだぜ? 当然、厳重に保管してたんだろうよ」

「なぁるほどな。それで、あらかた"掃除"してから悠々と持ち帰った、と」

「大枚はたいて手に入れたのに、屋敷までぶっ壊されて大損こいた子爵は泣きっ面だったとさ」

「あっはっは!! ざまぁねぇや!!」

「"土塊"の仕事に乾杯!」

 

 

 

 盛大な笑いが爆発し、続いて木製のジョッキをぶつけあう音が軽快に鳴り響く。

 ローブの奥に隠した素顔は誰も知らず、その由来すらも知られていない素性不明の大悪党は、しかし、国中に手配書が回された貴族の敵だ。

 人々が飲んで騒ぐ酒の肴にするには、それだけで十分であった。

 

 不満とは、毒だ。

 

 傷口がなくとも体に積もりゆき、最後には内から腐らせて死に至らしめる病となる。

 人々―――こと平民達にとって、その毒を抜く存在と成る"何か"とは、すなわち"薬"を意味し、果ては"英雄"となるのだ。

 それはある種の偶像であり、また、平民達の心の奥底にくすぶる不満を都合よくぶちまけてくれる、民衆の代弁者とも言い換えることができる。

 故に、誰もがその身の内の毒を吐き出す機会を得て、思っただろう。

 

――――この祭りに乗り遅れるのは勿体無い、と。

 

 退屈極まりない毎日や、苦渋を舐めさせられる貴族との区別、決して超えられない"階級"という壁の内側に積もりに積もった鬱憤と、まるで"誰かが背中を押した"かのような愚かな群集心理に突き動かされ、人々はただ"土塊"へと興味を集めてしまう。今まさに、すぐ隣りの国で、ハルケギニア全土を揺るがす陰謀が蠢いていることなど、誰一人として知る由もなく。

 

 人々は、警戒すべきであったのだ。

 

 何時だって、何処だって。

 "風あるところに、嵐有り"であるのだから。 

 

 酒場の外で、煌々と輝く双子の月が見下ろす中、一陣の風が街を通り抜けていく。

 春へと移りゆく肌寒い風は、その腕に一枚の羊皮紙の切れ端を抱いて遊んでいた。

 ひらひらと宙を泳ぐそれが、束の間大地へと降り立ち、双月にその面を晒す。

 そこに描かれた絵は、昏く暗く、闇のようなフードの奥底で、惡魔が微笑むような禍々しい笑みを浮かべた大怪盗。

 まるで双月を嗤うように、その絵は遥か天としばし向き合い、そしてまた、風に乗って去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルイズ・フランソワーズが使い魔の少女――――ステラの朝は早い。

 

 まず日の出前に目を覚まし、同じベッドで眠る――召喚されたその日に、同衾は許可されている――幼い容姿の主の寝顔をしばし眺める。

 むにゃむにゃと言葉にならない寝言を紡ぐ少女をひとしきり鑑賞し、時折その餅――研究所のアーカイブの情報を参考に作ったことがある――のような頬を突っついたり、おもむろに脇をくすぐってみたり、挙句の果てにはぺろりと耳をなめたり甘噛したり頬と頬を合わせてこすりつけてみたりくんかくんか匂いを嗅いでみたりと……とにかくまぁ、主/ルイズが起きない程度にひとしきり"スキンシップ"を行い、その反応を楽しむ。後半はとある島国のサブカルチャーの悪影響が如実に現れていたが。

 そして、少しずつ東の空が明るくなりだした頃、ステラはベッドから静かに抜け出し、上下ともに黒いホットパンツにタンクトップ――というより、ビキニ水着と形容したほうが近い――を脱ぎ捨て、ルイズから支給されたお仕着せに着替える。

 これは、学院で働く侍女たちの服をベースにして、ステラがそのままでは動きにくいという理由/言い訳のもとに好き勝手に改造したものだ。

 

 下は、くるぶしまで届いていたロングスカートを太ももの半ばまで切り捨てられたミニスカートへ。なお、切断部はその跡を隠す意図も含めてレースを使って彩りを加え。

 上はそれほど大きな変更点こそ無いものの、使用人を表す胸元のブローチは、かつてステラが所属していた人類最後の"部隊"のエンブレムに代わっている。

 それによって、ステラが学院の使用人ではなく、あくまで"ルイズの使い魔"であるという立場を明確に示し、学院内での使用人との混同を避ける助けにもなっていた。

 

 とはいえこの時代において、ステラの召喚当初の格好はあまりにも異質であったことは言うまでもなく、ましてやその当人の美的センスたるや、ここトリステインのみならず、ハルケギニア全土においても異質極まりないものであることはいうまでもない。

 そんなステラが施したお仕着せの魔改造は、そのあまりにも大胆な露出の仕方に、ステラの侍女姿が公開された当初、実にセンセーショナルな衝撃を学院へと叩き込むという珍事を引き起こした。

 曰く女性陣からの"はしたない"との声が多数上る一方、年頃のとある方面への関心が強い小僧共からは大絶賛され、終いには校長の鶴の一声により"アリ"とお墨付きを貰ったため、騒ぎはその日のうちに沈静化したのだが。

 ともあれ、妥協策として、ミニスカートによる太ももより下のあられもない露出をストッキングで覆う結果に落ち着いたわけであるが、しかしそれが却って"そこはかとないエロス"を醸し出しているともっぱら上方に評価されてしまっているのは、女性陣には理解できない現象だっただろう。

 奇しくもその姿は、ステラの世界においてはるか昔、とある島国で一時期及び特定の趣味を持つ層の間でやたらと流行っていたという使用人モドキの格好であったのだが、無論、誰一人としてその事実を知るものはいない。

 

 そんな奇異独特な風貌となったステラは、最後に使用人の象徴とも言えるヘッドドレスを被り、クローゼットの前に無造作に置かれた籠を抱え上げる。

 中には、前日までの――主にルイズの――洗濯物が無造作に投げ込まれており、これを洗うのが、ステラのその日の最初の仕事であった。

 

 

 最初、ルイズに「使い魔としての仕事の一つが洗濯よ」と言われた際、ステラは戸惑った。

 "洗濯"という行為がどんなものであり、またどういう意義をもっているのか、くらいは知識としてはある。

 やらなければ不衛生な状態を引き起こし、最悪様々な病気を誘発する。それを防ぎ、なおかつ"身だしなみを整える"という主目的のために行う、人類の代表的な生産的活動行為。

 おおまかに、原始的な手洗いと、機械式の洗濯あり、どちらも方法は知っているし、後者に至っては、材料さえあればこの場で拵えることもできる。

 だが、ステラが疑問に思ったのは、そもそも何処で洗えばいいのか、ということだった。

 洗濯方法の知識はあるものの、では具体的にそれを"どんな場所"で行えばいいのかわからなかったのだ。この辺りに、ステラの知識の偏りが見て取れる。

 もともと、ステラの暮らしていた"研究所"では手洗いなどする必要は皆無だったし――言うまでもなく、それ専用の施設があったからだ――、そもそもこんな場所/学院で洗濯をする際のノウハウなんぞ知っているわけがない。

 その辺りの事をご主人様の少女に尋ねたところでわかるはずもなく、最初の日はやや途方に暮れながら、最悪フェンリル――この世界に召喚された際に乗っていたトライクである――に乗って川を探しに行かなければならないかもしれない、と壮大かつ無駄極まりない決意をしかけたものだ。

 

 

 

「あら、おはよう、ステラ」

「うん、おはよう、シエスタ」

 

 

 

 そんな困惑と不安に翻弄されていたステラに助け舟を出してくれたのは、今しがた挨拶を交わした少女―――シエスタだった。

 学院所属の使用人を示すブローチと、この学院が支給するお仕着せを纏った、純朴な少女である。

 纏う雰囲気は温和そのもので、体型をあまり強調しない服のため分かり難いが、おそらく学院内でもトップレベルのスタイルの持ち主。

 特にステラとその主が持たない胸囲と、そこから腰と臀部にかけてのラインは艷麗とすら言える。

 顔にややそばかすを残してはいるが、それとて成長するに連れて消える程度のものだ。顔の作りは疑いようもなく、ステラの知る基準からしてみても、十分に美人と呼べる範疇に在る。

 また、その使用人としてのスキルも高いものがあり、この学院に奉公に来て数年、ある種の古参扱いもされているというのだから、右も左もわからずオロオロしていたステラを助けてくれたのは、実に運が良かったと言える。

 "故郷"では、合わせて十二人と一人という非常に少ない人間としか触れ合ったことがないステラにとって、困っていたところで手を差し伸べてくれただけでなく、その後も色々と面倒を見てくれたこのシエスタという少女は、十代半ばの少女であるという事実を差し引いても、ステラにとって初めて遭遇する"ティーンエイジャー"というものであり、ある種の憧れと尊敬を抱くに足る存在であった。 

 有り体に言えば、ルイズとは全く違うベクトルの"触れ合い"にひどく感動させられたのだ。

 少なくとも、初対面とは思えないほどにステラが懐いてしまうほどには。

 

 

 

「ねぇ、シエスタ」

「なぁに、ステラ」

「今日の朝食は?」

 

 

 

 ステラのこの問は、無論、朝食の献立のことだ。

 先日、そうとは知らず「まだ食べてないわ」といった返事をしたところ、小首を傾げられてしまったのは記憶に新しい。あの時は顔が熱くなるほど恥ずかしい思いをしたシエスタは、しっかりと学習したのだ。

 

 

 

「もう、ステラったら。まだ日も登り切っていないのよ?」

「……」

 

 

 

 からかうシエスタの言葉に、頬をふくらませてそっぽを向く少女。その姿が微笑ましくて、シエスタは笑みをこぼした。

 

 

 

「今朝は少し冷えるから、昨日と同じ白パンにフォンデュ、それにステラが話してたドレッシングを使ったサラダを作るみたい。来る途中、食堂の方からチーズの香りがしたもの」

「量が不安」

「大丈夫よ。サラダって言っても、たくさん種類があるもの」

「そう……マルトーのご飯は美味しいから、楽しみ」

「昨日みたいに食べ過ぎちゃダメよ?」

「あれでも6分目だよ?」

「……ステラ、食べ過ぎは本当に良くないと思うの」

「まだまだ余裕」

 

 

 

 鼻息を荒くして、勇ましくも自信満々に言ってのけるステラ。

 シエスタは昨日のステラの健啖ぶりを思い出し、悩ましげにため息を吐いた。

 

 

 

「……そんなに食べても太らないなんて、羨ましいわ」

「そう? 私は、シエスタみたいな肉付きの方が、好かれると思う」

「に、にくっ……もうっ、ステラ!」

「?? なんで怒るの?」

 

 

 

 顔を真っ赤にして怒るシエスタの様子に、ステラは本気で首を傾げる。

 短い付き合いではあるが、ステラがそういう"天然気質"であることを身をもって知っているシエスタは、その生来のお節介ぶりを存分に発揮し、洗濯をする間ずっと、ステラに"女性のタブーその他一般常識"について懇々と説教するのであった。

 

 

 

 

 

 

 さて、ステラ達が洗濯を終える頃になれば日がいい具合に登り、俄に学院のあちこちが騒がしくなる。

 朝早くから魔法の特訓に勤しむ生徒もいれば、殊勝にも図書館に赴く生徒もいる。あるいは、朝食までの僅かな時間を使って使い魔と交流を深めたりと、様々だ。

 そんな学院の目覚めの中、ステラはシエスタ達学院付きの使用人らと共同で大量の洗濯を行った後、乾いた洗濯物を入れた籠を持って、ルイズの眠る女子寮へと引き返す。

 無論、寝坊助な主を叩き起こすためだ。これが、ステラの一日の内、二番目の仕事となる。

 部屋に戻るなり、ステラは籠をクローゼットの近くに置いて、わざと大きめな足音を立てて窓辺に寄る。

 そして思いっきりカーテンをどけて窓を開け放つと、途端に吹き込む風に目を細めた。

 季節は春真っ盛り。

 吹き込む風は清涼極まりなく、吸い込むと芳醇な自然の香りが鼻腔一杯に広がる。

 気持ちのいい朝だ。

 雑多で豊富で、生命の力に満ち溢れた素晴らしい朝だ。ステラは心からそう思う。

 同時に、こんな朝なら、布団に包まってゴロゴロするのも悪くない。そして、そのまま気が済むまで微睡みに身を委ねて、波の上で揺蕩うような一日を過ごすのも良い。

 だが、生憎そうするにはちょっとばかり無理な事情があった。

 なにせ彼女/ステラの主は、かなりの寝坊助だ。今起こさないと、朝食が終わるギリギリまでベッドでアルマジロとなっていることだろうし、何よりステラが楽しみにしている朝食にありつけない。 

 

 

 

「ルイズ、朝だよ。起きて」

「むにぅ……」

 

 

 

 ステラはベッドに上がり、ゆさゆさと、だらしなく口を半開きにして眠る主の肩を揺さぶった。

 だが、日差しが眩しいのだろう。窓から顔を背けるように寝返りを打ち、更には布団を頭まですっぽりとかぶってしまうピンク色の小動物。

 さて、ここでステラは二つの選択肢を思い浮かべる。

 一つ、このまま寝かせないためにも、強制手段の執行―――すなわち、掛け布団を剥ぎ取りベッドから落とす。

 一つ、今朝の"スキンシップ"で思い出した、とあるサブカルにあった"由緒正しき起こし方"の実践。

 思考すること三秒。

 前者の場合のデメリット/飯抜きの可能性と被害の大きさを鑑み、即座に後者を選択。ステラの行動は早い。

 

 再び寝返りをうつ主を尻目に、ステラは窓から躊躇なく飛び降りた。

 落下しながら寮棟の壁を蹴り、掴めそうな場所に手をかけ、速度を殺しながら華麗に着地。

 そして、体勢を起こしながら踏み出した足が大地をえぐり、その一点を中心とした盛大な地割れが周囲を舐める。

 途端、爆発のような音と噴煙が後方に向かって吐出され、ステラは弓から放たれた矢のごとく走りだした。

 文字通り風のような早さで駆け抜ける黒と茶色の疾風に、すれ違う学生達が何事かとぎょっと目を丸くするが、無論、ステラは気にも留めない。

 目指すは本塔の食堂―――――の厨房。

 滑りこむように到着したステラの姿を見て、もはや描写するのも煩わしいほどに典型的な反応で驚く厨房のコック達。

 だが、その中で一人だけ、巌のような顔を顰めて、やってきた少女を睨めつける男がいた。

 

 

 

「やいやい、我らの黒姫。なんだ朝から騒々しい。悪いが、今は相手できるほど暇じゃねぇぞ!」

 

 

 

 ぐつぐつ煮立つ鍋をかき回しながら、そうステラに怒鳴りつける男。

 彼こそが、このトリステイン魔法学院の厨房を取り仕切る職人、マルトーであった。

 男らしさにあふれた巌のような顔つきに、丸太のように太い腕。

 まるでゴーレムがそのまま人間にでもなったかのようながっしりした体格に、腹の底まで響く低い声。

 だが、意外にも細やかな気配りと部下思いである彼のような男を、いわゆる"親方"と呼ぶのだろうとステラは思う。

 なにより、これまで食べたこともないような美味しい食事を、その逞しい腕でいくつもいくつもつくり上げるその腕前は、ステラからすれば立派な魔法使いだ。

 その事を言ったら、ますます美味しい食事をくれたので、ステラの中で彼に対する好感度はルイズの次に位置しているといえば、どれだけ懐いているかわかるだろう。

 

 

 

「おはよう、マルトー、みんな。唐突だけど、おたまと鍋を貸してくれる?」

「いきなりなんだ、全く。おい、黒姫に使ってない奴貸してやりな」

「へい!」

 

 

 

 およそ貴族達に料理を提供する立場の者とは思えない粗野な遣り取りであるが、もともと、マルトーは貴族嫌いを公言して憚らない男だ。

 出会った時から「魔法如きで威張り腐るのが気に入らねぇ」と貴族をこき下ろし、それどころか「奴らに俺以上にうまい飯が作れるなら頭を下げてやるがな」と豪語するほどの貴族嫌いである。

 それが何故、よりにもよって貴族ばかりがいるこの魔法学院で料理の腕前を振るっているのかは謎であるが、それでも己の職/食に誇りを持って仕事をしているのだから、誰も文句は言えないのだろう。

 腕前は述べるまでもなく、これまでステラが食べてきたどんなものも、全部が全部食べ物と称することすらおこがましく思え、もはや彼の料理なしに生きるのは壮絶な拷問とすら言っていい。

 大胆かつ繊細、剛毅にして繊細。まるで炎と氷のように真逆のものを極限のバランスの中に落としこむ様は、ステラに思わず「魔法みたい」と言わしめた。

 それが、マルトーが一発でステラを気に入る殺し文句となり、こうして突然現れては無茶苦茶な頼み事をされても返事一つで応えてあげる状況につながっている。

 

 

 

「そんなもん、なんに使うつもりだ我らの黒姫よ」

「ルイズを起こすの。これが由緒ある起こし方なんだって」

「……まぁいい。後できっちり返しに来るんだぞ。あと、壊すなよ!」

「うん。ご飯、楽しみにしてるね」

「おう、たんまり用意しておいてやる!」

 

 

 

 腕を組んで漢臭い笑みを浮かべるマルトーに軽く頭をさげ、ステラは元来た道を引き返す。

 生まれる疾風の余波に飛ばされぬようコック帽を抑えながら、ステラの残したセリフに嬉しさを堪え切れない様子で、マルトーは口元を緩ませるのだった。

 

 

 再び、寮棟の壁を駆け上るという非常識な方法でルイズの部屋へと戻ってきたステラは、案の定布団にくるまってスヤスヤと睡眠という惡魔に囚われたままである主の姿を見て、改めて覚悟を決める。

 "やり過ぎて"借りてきたものを壊さないように最新の注意をはらい、鍋とお玉を頭上に掲げる。

 そして、一息を吸い込むと。

 

 眠れるグリフォンですら慌てふためいて飛び起きるような、とんでもない騒音が部屋を満たした。

 

 これまで聞いたこともない、その金属と金属の大合唱に、さしものルイズとて安穏と朝の惰眠に浸り続けることはできなかったらしい。

 くるまっていた布団を蹴っ飛ばし、寝間着が捲れる事にも気づかず飛び起きると、近くにあった枕を抱き寄せてキョロキョロと忙しなく首を巡らせる。

 半分眠気眼だが、しっかりと状況は認識できているらしい。ようやく騒音の現況である己の使い魔の姿を見ると、一瞬だけギョッと目を見開く。

 ステラもまた、ルイズと目が合ったことを合図に、盛大にかき鳴らしていた鍋とおたまを下ろした。そして、狙いすましたかのように小首を傾げて一言。

 

 

 

「おはよう、ルイズ」

「…………えぇ、素敵な朝ね、このアホ使い魔!!」

 

 

 

 しばしの沈黙を経て、脳が状況を正確に把握したのだろう。見開いた目がすぅっと細められ、そしてヒクヒクと口角を痙攣させながら、ルイズは素敵なオーケストラを披露してくれた使い魔にたっぷりのリップサービス/嫌味を載せて返す。

 しかし、その婉曲的な主張を、コミュニケーションにおける経験値が圧倒的に不足しているステラが汲み取れるはずもなく、むしろルイズから褒められた&朝のお仕事を果たせたのダブルコンボで内心満足感でいっぱいである。

 得意満面とばかりに、その普段の無表情さを忘れさせるほどにんまりと笑みを浮かべる使い魔に、ルイズは二の句が継げなかったのは言うまでもない。

 

 

 

「ルイズ、着替えは昨日と同じのでいい?」

「えーもーすきにしてちょーだい」

「下着も? ……でも、こんなにスケスケなの、ルイズには似合わないよ?」

「うぁらっしゃぁ!!?」

 

 

 

 淑女にあるまじき声が漏れた気がするが、気のせいである。

 電光石火の早さでベッドから飛び降り、使い魔の手から"何か"を奪い去った気がしたが、それも気のせいである。

 ふーっ、ふーっと鼻息を荒くし、顔を熟れに熟れた林檎のように真っ赤にしながら布団を引っ被る主の姿にも動じないステラは、ある意味従者の鏡といえるだろう。

 まぁ、それとてピントのズレた感性によるものであり、従者の理想とされる心境からは程遠いものであるのだが。

 ともあれ、"アレ"はダメだ、と判断できるくらいの理解力は持っている。ステラはこんもりと妖怪じみた何かとなった主を尻目に、今度はなるべく"おとなしめ"の下着を探した。

 

 

 

 

 

 

 一騒動あったが、残念ながらステラの召喚からこっち、ルイズの朝は毎日このように慌ただしい。

 ステラとしては不本意な結果になってしまっているが、どうにもまだ"ルイズとの間にある価値観の齟齬について、まだ摺合せできていないのでは"とあらぬ誤解をしている辺り、平和な朝の訪れはまだまだ先と言えた。

 ともあれ、それでもきっちりと仕事をこなすあたりがステラの気質の現れだろう。

 ルイズに言われた通りのことをこなし――程度や手段がアレではあったが――て、毎日"使い魔/従者"としての役目は全うしているのだ。

 故に、ルイズもあまり大きな態度で非難することはできずにいた。それが日々、小さな発散不可能のストレスと成って、夜の大爆破へとつながっているのは自覚している。

 まだまだ、一人前のメイジには程遠い己の姿に、ルイズは毎朝大きな溜め息を吐くのだった。

 

 さて、もはや恒例とかした朝の出来事を経て、主が糊の効いた真っ白なブラウスに、ステラのソレに負けず劣らずの挑戦的なミニスカート、貴族の証であるマントと学院生を表すブローチという標準的なトリステイン魔法学院生の格好になれば、その日におけるステラの朝の仕事は終わったと言ってもイイ。

 この後、食堂へと向かい朝食。そして、それからが"昼"の仕事だ。

 

 陽光が廊下を満たし、やわらかな暖かみが徐々に朝の静謐な空気を塗り替える。

 そんな人の匂い溢れる空間を歩くだけで、ステラはその慎ましい胸のうちに言葉にしがたい何かが満たされるのを感じる。

 ソレがいったい何なのかは未だに分からないが、だがそれは心地良いものだった。あるいはコレが、平穏というものなのかもしれない。

 そんな思考を走らせる使い魔を忌々しげに睨め上げるのは、言うまでもなく主のルイズである。

 此処数日、この使い魔のせいで気の休まる隙がないルイズにとって、こうして脳天気に日々を謳歌している使い魔は、その、なんというか腹立たしくもあった。

 

 私がこんなに苦労してるのに、こいつときたら……!

 

 それがただの八つ当たりであることは理解しているし、口にもするつもりはないが、それにしたって少しくらいはこの不幸を分けあってもいい気がする。だって使い魔だし。使い魔は主と一心同体っていうじゃないの。

 ふと、ルイズは先日の一見を思い出し、そのことについて注意してなかったことも含め、ここでしっかりと言い含めておくことにする。

 

 

 

「ステラ、今日もミスタ・マルトーに食事をもらうだろうけど、こないだみたいなみっともない真似は絶対にしないこと!」

「ご飯は残したらダメだよ?」

「食べ切れるだけ食べてるから私はいいの!」

「でも、マルトーはせっかくご飯を作ってもみんな残すって怒ってた」

「そういう輩との違いもしっかり考えなさい。それよりも、アンタよアンタ!」

「私? しっかり食べてる。マルトーも喜んでた」

「そうじゃなくて――――だいたいね、アンタは遠慮なさすぎ! いくら学院長が許可したからって、モノには限度ってものがあるのよ。使用人達の食事まで食べ尽くしかけたって聞いて、私卒倒しそうに成ったんだから!」

「でも、マルトーは全部食べていいって言ってたよ?」

「それでも皆の分まで食べちゃダメ!」

「……ダメ?」

「だ・め・で・すッ! 当たり前でしょ! アンタが食べたいように、周りの皆も食べたいかもしれないって考えないの?」

「……そっか。うん、そうだね」

「それが気遣いだし、その程度の気遣いもできない人間はただの礼儀知らずだわ。アンタはこの私、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔なんだから、ソレに相応しい礼儀と気品を身につけてもらわなきゃ困るの。今後気をつけなさいよね」

「気をつけてるんだけど……難しいね、人間の文化って」

「……どこの山奥からやってきたのよホントにっ」

「研究所/ラボは地下だから、山奥じゃないよ?」

「バカにしてんのアンタ!?」

 

 

 

 ……と、まぁ、そのような他愛のないことを考えて歩く主従二人であったが、どちらも自分達を客観的に見た場合の事は何も考えていなかった。

 ルイズは、黙ってさえいればまさに妖精の姫と称してもなんら大袈裟ではないほどに可愛らしく、また美しい。

 緩やかなウェーブを描くストロベリーブロンドに、ステラの無駄に高度な知識と無駄に洗練された技術によって此処数日磨きに磨きぬかれたキューティクルは、わずかに射し入る陽光を浴びて天使の輪を描き出す。

 鋭い眦とツンとした鼻、意志の強さを感じさせる鳶色の瞳に引き結ばれた淡く桃色に彩られた小振りな唇と、その幼い容姿の魅力を十二分に引き出す様は、本人がいくら望んでいなかろうと可愛らしいお姫様といった風情を醸し出してた。

 対するステラは、お世辞にもコケティッシュとは言い難いが、それでもどこか息を呑むような涼やかな雰囲気を持つ美少女といえる。

 どこか眠たそうな無表情に、スラリと伸びた手足。佇まいはどこか茫洋としているのに、しかしどこにも"隙"というものがない。その姿は、言うなれば無垢な水晶のようであった。

 迂闊に触れれば壊れてしまうのでは、と思わせる儚さの中に得も言われぬ魅力を孕んでいて、さらには時折見せる無邪気さ、あるいは無垢さが、人の奥底に眠る庇護欲を逆なでするのだ。

 揃って部屋を出て、食堂へと続く廊下を、他愛のないボールのぶつけあいを交わしながら歩くルイズとステラは、それぞれ"動"と"静"という対照的な美を持った、お似合いの主従といえた。 

 黙っていれば、二人共溜息が漏れるような佳人なのだ。

 それは、道行く生徒達――の中でも男子生徒の連中が、たとえ相手が学院一の問題児であろうと一度は視線を奪われるほど。そして、少なからずの生徒が、それでもとルイズに羨望の思いを抱いているのもまた事実で、二人が廊下を歩くだけで、あちこちから衆目を集めてしまうのは当然といえよう。

 確かに、ルイズは学院においても屈指の問題児だ。

 "魔法の成功確率ゼロの落ちこぼれ"が代表的な称号であるが、しかし裏を返せば、ソレ以外においては他の陰口が出ないほど優秀である事を意味する。

 翻してしまえば、"結婚相手"として鑑みれば、ルイズは相当な狙い目といえるのだ。

 なにせ家格は最高峰の一家、であるが魔法の才がない故にその"価値"はかなり低く、それでいて基礎的なスペックは非常に高い。

 無論、魔法の才能がゼロであることや性格、体格などマイナスとなりうる要素もあるが、それとて個人の趣味嗜好の範疇だ。

 故に、ルイズの性格を知らない連中や、知った上で惹かれている物好きなどの視線は、悪意ある連中とともに常日頃から在るのである。多くが逆玉的な下心を土台としたものであるが。

 そんなルイズの傍に、春の恒例行事以降、主人に負けず劣らずの美貌を備えた少女が付き従うようになれば、否応にも注目度は高まるのもまた道理。

 ただ、そんな話題の渦中にある主従二人は、揃いも揃って噂話に疎く、また、他人の視線というものに無頓着であった。

 ルイズは言うまでもなくその唯我独尊な性格からであるし、ステラの場合は単純に気が付けないだけである。

 特にステラは、なにせ数えるのが馬鹿らしくなるほど長い間、コミュニケーションレスだったのだ。そもそもが、人間が普段どういったコミュニケーションを取るのかさえ理解しきれていないのに、況や噂話をや、である。

 ここまでくればお分かりだろう。

 この二人、とんでもなく近寄りがたいのである。

 触れれば否応もなくそのピンク頭の問題児に爆殺されそうな――――それは言い過ぎにしても、とにかく何か近寄るのを躊躇わせる雰囲気が二人の周囲にはあり、ソレがあたかも防波堤のように機能しているためだった。

 そういうわけで、周囲からの好奇な視線に晒されながらも誰も近寄らない、まさに傍から見れば腫れ物扱いである二人に近付く人間は、誰一人として例外なく勇者とされる。

 そしてふたりの朝には、決まって一人―――あるいは二人の勇者が現れるのだった。

 

 

 

「あらぁ、イイ朝ね、ヴァリエール?」

「……ええ、そうね。いまついさっきまでは、だけど」

 

 

 

 声に惹かれてステラが顔を上げれば、その視界を紅蓮一色が染め上げた。

 そうと形容する他ない、見事な赤髪を翻らせてルイズの前に立ちふさがる人影が一人。

 立ち止まるその反動で二つの豊満極まりない、いっそ暴力的とすら言える果実がたぷんと幻聴さえ伴って揺れ、隣の芝生効果に加えて互いの家柄関係も加味して、ルイズの思考を憤怒に染めかける。

 褐色のスラリと伸びた肢体は肉感に溢れ、まるで殿方の視線こそが栄養と言わんばかりに、惜しげも無くその素肌を晒している。

 だが、そのアピールはどれも下品スレスレで、決定的な一線を超えないもどかしさを以って、この学院の男という男の血潮滾らせる。そう、誰一人として例外なく。それが、彼女の自慢の一つでもあった。無論、トリステイン貴族の少女達に大きな反感を買っているが、知ったことではない。

 たしか、名はキュルケ。

 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。

 ルイズ曰く、"淫靡が布を纏って歩くような存在"という、ステラに大きなカルチャーショックを与えた人物。

 何故か、毎朝ルイズの前に立ち塞がり、軽口を交わしながら食堂へ向かう不思議な間柄の女性。

 それが、ステラの持つキュルケという人物像だった。

 どうやらこの日も、例に漏れず日課をこなしにきたらしい。

 そして、ステラがこれが"友達"というのだろうか、と変な方向に思索を飛ばしている間にも、二人の"恒例行事"は続いていた。

 

 

 

「なによ、素っ気ないわねぇ。こんなにイイ朝なんだからもっと爽やかにいかなきゃ」

「うっさいわね。用がないならどいてツェルプストー。その無駄な脂肪の塊みたいに邪魔なのよ」

「フフン。持たざるものの僻みはみっともなくてよ、ヴァリエール。そんなことだから、ウチのご先祖様にことごとく恋人を捕られるのよ」

「はぁ!? 淫売の恥知らずの家が偉そうにッ! 横恋慕なんて卑しい真似を堂々とやるだけでなく、次から次へと取っ替え引っ替え異性に尻を振るような尻軽一族が随分と上から目線で言ってくれるじゃない!」

「あら、殿方なら好色は立派な甲斐性だし、女性ならそれだけ魅力的であることの証左でしてよ? どこぞのどなたみたいに、尻を振っても振り向いてくれないヒステリック一族には理解できないでしょうけれどぉ?」

「ぬぁんですってぇ?!」

 

 

 

 勇者、ツェルプストーと呼ばれた赤毛の美女は、その豊満な胸を魅せつけるようにして、実に楽しそうにルイズを煽る。ルイズは、意図も容易くその煽りに乗せられて、既にその顔は恥辱と憤怒で目の前の怨敵の髪と同じくらい真っ赤に染まっていた。

 彼女、キュルケはルイズの級友であり、故あって古くからルイズの実家と対立しているツェルプストー家の娘だ。

 元はゲルマニア出身であり、現在は留学という形でこのトリステイン魔法学院に在籍している。

 当初は二人の関係を知る貴族達からすわ戦争かと心配されたものだが、さすがに二人の実家共々そこまで阿呆ではない。冷戦状態に等しい小康を保ちつつ、しかしながらこの学院という小さな戦場においては、幾度と無く矛を交える――ルイズから見て――不倶戴天の怨敵。

 そんな二人が、なぜこうも毎朝飽きもせず舌戦を交わすのかといえば――――何の事はない。同じく食堂に向かう道すがら、たまたま合流してしまうだけのこと。

 まぁソレ以外にも、キュルケ自身がルイズをからかうのを楽しんでいるという面も大きいのだが。

 ともあれ、こうなると長いのは、ステラも此処に来てから短い期間であるが、経験上よく理解している。

 なので、手短に「ルイズ、私先に行くね」と伝言を残し、激しい舌戦を繰り広げる主従を残し、一人足早にその場を去るのだった。

 

 

 

 

 


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