AngelBeats~いつかまた逢う日まで~   作:keyは最高

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ヘブンバーンズレッドがエンジェルビーツとコラボしたので初めて、始めたらエンジェルビーツが好きだったころを思い出し、衝動的に書きました


ようこそ、死んだ世界戦線へ

「ごふっ!がっ……!」

 

道路に横たわり、口から血を溢れさせる。

 

(くそ……こんなところで……)

 

視界がぼやけていく。

 

(あぁ……俺もここまでか)

 

薄れゆく意識の中、人々の騒がしい声が聞こえる。

 

少年は、それを聞きながら、1つの事を思い出す。

 

高校に上がる前。

 

遠くに引っ越した、最初の友達。

 

その友達と交わした約束。

 

(結局……約束守れなかったか………)

 

意識はそこで途切れた。

 

こうして、譲原霞は、その一生の幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

次の瞬間、霞は目を覚ました。

 

「……あれ?」

 

ベンチで横になって寝ていたらしく、空を見上げる。

 

青い空が広がり、雲が流れて、太陽が輝いている。

 

「えっと……」

 

状況がよくわからず、体を起こす。

 

周りを見ると、そこは学校だった。

 

だが、彼の通う高校ではない。

 

「ここは………どこだ?」

 

立ち上がり、辺りを見る。

 

「どういうことだ?俺は死んだんじゃないのか?」

 

頭をかき、混乱する。

 

確かに、霞はトラックに轢かれた。

 

だが、今こうして生きている。

 

ならば、なぜここにいるのか。

 

訳も分からぬまま、霞は起き上がり、ベンチに座る。

 

「俺は死んだ……それは確かだ………」

 

記憶を探るように呟き、頭を抱える。

 

「信号無視で突っ込んでくるトラック………轢かれた時の衝撃……口の中に広がる血の味……全身を襲う痛み………全部覚えてる………夢として片付けるには、あまりにも鮮明だ…………」

 

そして、霞は自分の手を見た。

 

「これは一体どうなってんだ……」

 

意味不明な現象に、困惑することしかできない。

 

「それにしても……ここって本当にどこなんだ?俺の通ってた高校じゃないのは確かだ。制服がブレザーじゃないし」

 

今、霞が来ているのは詰襟の様な制服で、自分の高校のものではない。

 

そんなことを考えていると、何者かが霞に近づいた。

 

人の気配に気づき、霞はそちらを向く。

 

そこには、白髪のロングヘアーで小柄の幼い顔立ちをした金色の目をした少女が立っていた。

 

「えっと……どうも、初めまして」

 

霞は、少女にそう挨拶した。

 

少女は何か言いたそうにするも、何も言わずに黙っている。

 

しばらく沈黙が続き、耐え切れなくなった霞が言う。

 

「俺に何か用ですか?」

 

すると、少女は小さな声で言った。

 

「もうすぐ、授業が始まるわ」

 

そう言い、少女は霞の手を取る。

 

「あ!ちょっと待ってくれ!俺、この学校の生徒じゃなくて!」

 

霞は慌てて言うが、少女はそのまま歩き出す。

 

「あの!聞いてます!?」

 

少女は何も答えず、そのまま進んでいく。

 

手を引かれたまま、1つの教室に着き、2人は教室に入った。

 

すると、教師が霞と少女を見る。

 

「あ、すみません!自分は怪しい者では!」

 

霞は、教師に謝罪し、事情を説明しようとした。

 

しかし、それを遮るようにして、教師が口を開く。

 

「譲原、また遅刻か?成績が良いとは言え、生活態度が悪いと、進級できないぞ?」

 

「へ?」

 

突然の言葉に、霞は唖然とする。

 

(何を言ってるんだ?)

 

「立華も、わざわざ譲原を連れて来てくれてすまんな。席に着いてくれ」

 

「はい」

 

立華と呼ばれた少女は、霞の手を離し、自身の席に座る。

 

「譲原、お前も席に座れ。授業を始めるぞ」

 

呆気に取られていた霞だったが、一ヶ所だけ空いてる席があり、そこが霞の席らしく、とりあえず席に着いた。

 

「よし、今日は……」

 

教師が教科書を開き、授業が始まった。

 

霞は、状況が飲み込めないまま、その授業を受けた。

 

「それでは、今日はここまで。日直、号令」

 

「起立!礼!」

 

『ありがとうございました!』

 

授業が終わり、休み時間に入ると、霞の前の席に居た男子生徒が振り返る。

 

「譲原、お前にしては珍しいじゃん。山本先生はうるさいから、あの人の授業だけはちゃんと出てるのに」

 

馴れ馴れしく話しかけてくる男子生徒に、霞は戸惑う。

 

「ちょっと待ってくれ……お前、誰だ?」

 

 

「何言ってるんだよ?村田だよ、村田。友人の顔と名前を忘れる奴がいるか?」

 

「えっと……そうだな……うっかりしてたよ…………」

 

戸惑いながらも、霞はそう返事をする。

 

(なんなんだこいつは?まるで友人みたいに話しかけて来るし、教師も俺が前からこの学校の生徒みたいな反応するし………)

 

霞は混乱していた。

 

男子生徒はそんなことも知らずに、霞に一方的に話し続ける。

 

「悪い、ちょっと気分良くないから、飲み物買ってくる」

 

そう言い残し、霞は教室から出た。

 

廊下を進みながら、考える。

 

自分が死んだことは間違いない。

 

だが、なぜか生きている。

 

さらに、見知らぬはずのクラスメイトが、自分の事を知っているような言動をしている。

 

「これは……夢なのか?」

 

霞は呟く。

 

「いや、死んだのは間違いないんだ。死んでも見る夢ってなんだよ………」

 

自分に突っ込みを入れ、溜息をつく。

 

そうしてる内に、自販機の前に着き、飲み物を購入しようと、ポケットに手を入れる。

 

「って、財布持ってなかったか」

 

財布がないことに気づき、霞は頭をかく。

 

「どうするか……」

 

そう呟いた時だった。

 

「どうしたの?」

 

背後から声を掛けられ、振り向く。

 

そこには、霞を教室に連れて行った少女が居た。

 

「えっと……立華、だっけ?」

 

「奏、立華奏」

 

「ああ、そうか。俺は、譲原霞だ」

 

自己紹介をし、霞は奏を見る。

 

「それで、どうしたの?」

 

「いや、飲み物が欲しかったんだけど財布を持ってないことに気付いてさ」

 

「そう」

 

奏はそう言うと、ポケットから小銭を取り出した。

 

「はい」

 

そして、霞に渡した。

 

「え?いや、そんな悪いって」

 

「いい。困った時はお互い様」

 

「そうかもしれないけど……俺たち初対面だぞ?そんな奴に、金を渡すなんて不用心過ぎないか?」

 

霞はそう言うが、奏は首を横に振る。

 

「大丈夫。あなたからは悪意を感じないもの」

 

そう言い、奏は自分の分のお茶を買った。

 

「そっか……なら、ありがたく貰っとく」

 

霞はそう言い、受け取ったお金でコーヒーを買う。

 

「じゃあね、霞君」

 

奏はそう言い残し、去っていく。

 

「ああ、ありがとうな」

 

去っていく小さな背中にそう言い、霞はコーヒーを飲む。

 

そこで、ふと気が付いた。

 

「アイツ………俺とは初対面だって認識してなかったか?」

 

霞は、思わず口に出す。

 

教師や男子生徒は、前から霞が学園に在籍してる生徒と認識していた。

 

だからこそ、霞が知らないと言った時、男子生徒は怪訝そうな顔をした。

 

だが、奏は霞が初対面だっと言った時、それを否定しなかった。

 

「もしかして、何か知ってるのか?」

 

そう思った霞は、一気にコーヒーを飲み干して、奏の後を追い掛けようとした。

 

その時だった。

 

「おい」

 

背後から、男の声がし、振り返る。

 

その瞬間、霞は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「野田君、これはどういうこと?」

 

「ゆりっぺが、この男を連れて来いと言ったから連れて来た!」

 

「誰が殺して連れて来いって言った!馬鹿が!」

 

霞が意識を取り戻して最初に見たのは、ハルバートを担いだ男子が、1人の女子に頭を叩かれて怒られている光景だった。

 

「てか、ゆりっぺ。この男、本当に新入りなのか?」

 

すると、青髪の男がそうゆりっぺと呼ばれた少女に尋ねる。

 

「ええ、NPCとは違う行動に、戸惑い方から見て、間違いなく新人よ。今、戦線は人手不足なんだから人が欲しい。その為に、新しくこの世界に来た新人は、是が非でも捕まえる。だからこそ、第一印象はよくしないといけないのに………殺して連れて来るとか、本当にアホか!」

 

そう言い、もう一度ハルバートを持った男子、野田を叩く。

 

「ねぇ、その新人さんだけど……もう目、覚ましてるよ」

 

すると、特徴がなさそうな男子がそう言って、霞を指さす。

 

「あら、目が覚めたのね」

 

そう言い、霞に近づくと、少女はこう言った。

 

「ようこそ、死んだ戦線へ」

 

「死んだ世界戦線?」

 

「そうよ」

 

霞の問いに、少女は答える。

 

「戦線ってなんだよ?何かと戦ってるのか?」

 

「ええ、私たちは神と戦ってるの」

 

「神?」

 

突拍子もないことを言われ、霞は困惑する。

 

「そうよ。私達が生きてる時、死は皆等しく平等に訪れたわ。私達の活動は理不尽な死を与えた”神”の正体を解明し、報いを与え、この世界を乗っ取ることよ」

 

「乗っ取る?」

 

「そう。この世界なら生き続けられる。神に抗えられるのよ」

 

そう言い、少女は笑う。

 

「どうかしら?戦線に入隊してくれない?」

 

「いや、ちょっと待ってくれ。いきなりそんなこと言われても……」

 

 

「混乱するのも無理はないけど、順応性を高めなさい。そして、あるがままを受け止めるの」

 

「はぁ……」

 

少女の言葉に、霞は困惑しながらも、そう返事をした。

 

「まあ、すぐに決めろとは言わないわ。まずは、あなたの事を教えてくれる?」

 

「俺の事?」

 

「そう、名前は?」

 

「譲原霞……」

 

「譲原君ね。私は、仲村ゆり。この戦線のリーダーよ」

 

「俺らは親しみを込めて、ゆりっぺの愛称で呼んでるぜ」

 

少女改めゆりの自己紹介に、青い髪の男子が言う。

 

「ちょっと日向君!その愛称広めるの止めなさいって!」

 

「まぁまぁ、いいじゃねぇか。あ、俺は日向な。戦線に入るにしろ入らないにしろ、よろしくな」

 

そう言い、日向は霞に握手を求める。

 

「あ、ああ、よろしく」

 

霞はそう言って、差し出された手を握り返した。

 

「見た目通りのちゃらんぽらんだけど、やるときは偶にやるわよ」

 

すると、ゆりが日向の事をそう評価した。

 

「って、フォローになってねぇよ!普通に貶してんじゃねえか!」

 

日向はそう突っ込む。

 

「折角だし、このまま他のメンバーも紹介するわね。

 

そんな日向を無視し、ゆりは部屋に居る戦線メンバーを紹介する。

 

「彼は大山君、特徴が無いのが特徴よ」

 

「よろしく!」

 

そう言って、目立つ特徴のない普通の男子が、霞にと握手をする。

 

「彼は松下君。柔道五段だから、皆は敬意をこめて松下五段って呼んでるわ」

 

「よろしくな」

 

細目の図体の大きい男子も、霞と握手をする。

 

「Come on!Llet's Dance!」

 

すると、やたらとテンションの高い男子が話しかけて来る。

 

「いや、踊らないけど」

 

「彼はTKよ」

 

「それ、本名か?」

 

「さぁ?でも、本人がそう呼べって」

 

「そんなメンバーで大丈夫なのか?」

 

「で、ガラが悪いのは藤巻君」

 

次に紹介されたのは、長ドスを持ったガラの悪い男子。

 

「よろしくな、小僧」

 

「で、彼は高松君。知的に見えるけど、実はバカよ」

 

「よろしくお願いします」

 

バカと紹介された男子、高松は眼鏡を押し上げて言う。

 

「で、彼女は岩沢さん。陽動部隊のリーダーよ」

 

「よろしく」

 

「で、貴方を殺してここまで連れて来たのは、野田君よ」

 

「ふん、あの程度で死ぬとは軟弱な奴だな」

 

「いや、ハルバートで背中を一突きされたら、誰だって死ぬだろ」

 

「俺はそんな死に方してたのか………」

 

この世界での最初の死因に、霞は溜息をつく。

 

「で、部屋の隅にいるのが椎名さんよ」

 

「あさはかなり」

 

「何が?」

 

突然、「あさはかなり」とか言い出したことに、霞は尋ね返す。

 

「今いるのはこれだけだけど、戦線メンバーは校内に何十人といるわ」

 

「結構、大所帯なんだな」

 

「ええ、でもまだまだ人では足りていない状況なの。だからこそ、貴方の様な人を戦線は欲しいの」

 

そう言い、ゆりは手を差し出す。

 

「私たちと一緒に、戦ってくれないかしら?」

 

(戦う……か)

 

その言葉を聞き、霞は自分の死んだ時を思い出す。

 

そして思う。

 

確かに理不尽だった。

 

あんなことで自分が死ぬなんて納得できなかった。

 

だからこそ、霞はその手を取った。

 

「ああ、分かった。正直、俺も理不尽だと思ってた。入隊させてもらうよ」

 

「本当!?助かるわ!!」

 

ゆりは嬉しそうに霞の手を握る。

 

「これからよろしく頼むわ!」

 

そう言い、ゆりは微笑む。

 

「ああ、こちらこそ」

 

霞はそう答えた。

 

「それじゃあ、改めて………ようこそ、死んだ世界戦線へ」

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