くっそ仕事忙しいなり。それはそれとして、東方シンセカイ買ったので、休日使ってとりあえず進めます。東方の勉強も兼ねて。
霧雨道具店や鈴奈庵といった人里の各店を回ると、時間もいつの間にか午後を過ぎていた。
「ほんと…ご迷惑をおかけしてすみません」
「いや…もう大丈夫だからな。鈴奈庵の店主もちゃんと話を聞いてくれたから……。もう謝らなくてもいい」
項垂れている綱吉に慧音が優しく慰める。
鈴奈庵でやらかした後、小鈴と綱吉は説教を受けたが、慧音が途中で仲裁したことで何とか平和的に解決した。
「でも……俺、やっぱりそんなに幼く見えます?」
項垂れた綱吉がちらりと慧音を見ながら言う。
相当、気にしているのだろう。対する慧音は声を詰まらせながらも返答した。
「え、ええっと…そうだな…。そんなことないと思うがーー」
「…………」
言えない。慧音も綱吉と小鈴が同い年くらいだと思っていたことなど。
しどろもどろになる慧音に綱吉の眼圧が益々強くなる。
耐えられなくなった慧音は、視線を逸らし話題を変えた。
「そ、それで実際に見て回ってみて、この人里はどうだったかい?
慧音の言葉に綱吉は視線を前へと向ける。
小鳥が囀り、日の光が人の営みを照らす。
大人達は談笑し、子供たちはこの明るい空の下でキャッキャと追いかけっこをしていた。
そんな景色を前に綱吉は顔を綻ばせる。
「平和ですね」
爆発で建物が吹き飛ばない。
爆発音と悲鳴が聞こえることがない。
マフィアやヤクザが屯っていない。
最恐風紀委員長が
何よりも“命を狙われない”。
まさに平和。まさに平穏。
一昔前の様式ではあるが、まさに“普通の生活”と呼ぶに相応しい光景である。
本来ならば綱吉が何よりも求めるものであり、実際、彼もこの幸せを噛み締めているのだが(現在進行形でトラブルに巻き込まれていることからは目を逸らす)……。
「(どうせなら、みんなと一緒に来たかったなぁ……)」
それでも綱吉はどこか物足りなかったのも事実だ。
脳裏には友人たちの姿が思い浮かぶも、その後彼は頭を振った。
「(……って!ダメだ…。これ以上、みんなを俺の問題に巻き込むわけにはいかない)」
幻想郷に迷い込んだのはあくまでも綱吉だ。
危険な妖怪が蔓延るこの土地に万が一でも、
それだけは避けなくてはならない。なんとしても、彼らをこれ以上トラブルに巻き込んではいけない。
「綱吉くん大丈夫かい?」
「……!あ、すみません。少しぼーっとしてました。……大丈夫ですよ。大丈夫」
「…………本当かい?」
すぐ側には心配そうに綱吉を見る慧音の姿。その視線に綱吉は、うっ……と喉を詰まらせ、何とか話題を逸らそうと口を開いた。
「そ、そういえば慧音さん。後はどうします?買い物は終わりましたし」
誤魔化すように言うと、慧音はしばらく綱吉を見つめる。心境を打ち明ける気はないことを察したからか、仕方ないと言わんばかりにため息を吐いた。
「……そうだな。少し歩き疲れただろうし、ここは――――」
「あややややや……これはこれは人里の守護者殿ではありませんか」
「……!この声は」
突然、慧音にかけられた声。
目の前にはキャスケット帽にジャケットスタイルといった、この人里では中々見ない西洋の格好をした女性が。
慧音は「面倒くさい奴に捕まった…」と少々嫌な顔をしていた。隔てりなく人と接する慧音には珍しい表情だ。
「おや……そちらの方は初めましてですね。私は『清く正しく』がモットーの“社会派”ルポライターあやと申します。お見知り置きを」
「は、はぁ。……あれ?」
あやと名乗る女性はニコニコと美しい
彼女が一歩、近づこうとした瞬間…………綱吉は何やら彼女に違和感を抱いた。
「(この人……いや、ひ…人じゃない?)」
突然、働いた超直感に戸惑う綱吉。
この…あやと名乗る女性が何か隠しているのはわかったが、別に悪感情を持っているわけではなさそうなのが、綱吉の困惑を加速させる。
あやも綱吉の顔色の変化に気がついたのか、様子を伺うように声をかけた。
「どうしました?」
「え……!いや、えっと……」
どう対応すれば良いのかわからないのか、綱吉の口調がしどろもどろになる。
そんな綱吉に見かねたのか、慧音は仕方ないと言わんばかりに前に出た。
「それで射m――あや、今日は何の用だ?」
前に立つ慧音をあやは興味深く思ったのか、再び取り繕ったような笑みを浮かべながら口を開く。
「
その手にはメモ帳。首にかけられたカメラのレンズが輝く。
美しい笑みを見せてはいるが、その目はまさに好奇心のまま獲物を喰らい尽くそうとする猛禽類だ。
「残念だが、話せることは無いぞ」
「そんな警戒しなくても良いじゃ無いですか〜」
「はぁ…。お前の取材に巻き込まれる身にもなってみろ……」
露骨に嫌そうな顔をする慧音と、からかうように笑うあや。
険悪そうに見えるが、その実、気兼ねのないやり取りに綱吉はついていけない。
慧音はそんな綱吉の顔をチラリと見ると、この話を終わらせるようとする。
「とにかく…今、お前に話すことはないよ。すまないが後j――――」
「慧音先生と綱吉せんせいみ〜っけっ!!」
「「っ!!?」」
話を打ち切ろうとした瞬間、慧音と綱吉を呼ぶ寺子屋の子供達の声。彼らは「こんなところでどーしたの?」と嬉しそうにキャッキャッと騒いでいる。
「(んなっ!?こ、このタイミングで!!?)」
「(な、何という間の悪さ……)」
綱吉と慧音はこのタイミングの悪さに唖然とし、そしてあやはというと――――
「へぇ……。綱吉
「「……!!」」
さらにニッコリと愛想笑いを深めながら綱吉たちを見る。
あやのネットリとした口調に綱吉達は寒気すら感じた。
「お話…聞かせてもらいますよ」
これはもう逃げられないと悟ったのか、二人は子供達の頭を撫でながらため息を吐いた。
◇◇◇
その後、綱吉達は立ち話もなんだということで、近くにある茶屋に入った。
この茶屋は幻想郷でも屈指の味だと、仙人もお気に入りと噂された“通”の間では有名な店なのだ。“通”故にあまり客足は入ってないが。
「さて、それでは取材を始めましょうか」
「あや。頼むから下手に有る事無い事、誇張するようなことは書かないでくれよ。彼は悪目立ちするのが嫌みたいだからな」
「酷いですよ。それじゃあ、まるで私が出鱈目ばかり書いているようじゃないですか」
「事実だろう……」
呆れたような慧音の言葉に綱吉は首を傾げる。
「どういうことですか?」と綱吉が聞くと、慧音は目頭を押さえながら答える。
「あー彼女が発行する新聞は些か……誇張が激しくてな…。一の事実が十にも二十にも膨れ上がったりしているんだ」
「(それはもはや妄想と言って良いレベルでは?)」
ちゃんと1の事実を元にしているから、出鱈目であっても嘘ではないのがタチ悪いらしい。
あやは心外だと目を細めた。
「失礼ですね。私はただ万人に楽しんでもらえるように書いているだけです。それに、人里用の新聞は読みやすいようにしていますよ」
口ではそう言うものの、本人は気にしていないのか、それとも言われ慣れているのかニヤけたままだ。
「せっかくですし…お近づきの印にどうぞ。私の新聞が侮辱されたままなのは嫌ですからね」
彼女はそう言うと、肩掛けバッグから一部の新聞を取り出す。
丁寧に畳まれたそれを綱吉へと手渡した。
「えっ?あ、ど…どうも……」
パラリと中身を軽く見ると、基本的に幻想郷各地で起きた出来事について掲載されているようだ。
中には人里で起きた事も載っている。
「(うわぁ……確かにこれは…)」
綱吉の超直感故か、当時について知らないはずなのに誇張表現はおろか、かなり出鱈目なことを書いているのがわかる。わかってしまう。そう……
「どうですか?どうですか?」
ニヤニヤしながら、感想を待つあや。
慧音は不安そうな顔つきで綱吉を見ている。
綱吉は一通り読むと、新聞を丁寧に折りたたむ。何を言うべきか迷っているのか苦笑いしながら言葉を絞る。
「え、ええっと……正直、面白かったです。情報の正確さとかは別にして」
「ほう……」
新聞読んだ上で“面白い”と言ってくれた以上、情報の正確さ云々はひとまず目を瞑っておくとして、あやは次の綱吉の感想を待つ。
「だからって捏造とかはダメだと思いますけど。なんといいますか……。言葉選びに一切妥協がないっていうか……。この新聞一枚一枚…いや、一文一文に“読んで欲しい”って想いがこもっているっていうか……」
「…………」
つらつらと述べられる綱吉の感想。
その顔は朗らかで優しい表情に変わり、正直に語っていることが何となくあやには分かった。
いまや、あやも慧音も思わず聞き入ってしまっている。
「本当にあやさんはこの仕事が好きなんだなと。自分の誇りなんだなってわk――――」
途中で自分が何を言っているのかに気がついたのか、綱吉はあたふたと顔を赤くした。
「……って!俺、何偉そうな言ってるんですかね!?素人な癖にこんな踏み込んだことを言って……」
顔を茹で蛸のように真っ赤にし、言葉を並べる姿に慧音は苦笑し、あやは唖然としていた。
「わ、忘れてください!!」
「…………っ!!」
恥ずかしそうに手で顔を覆う綱吉。
その姿はまさに小動物。
もはや、あやの綱吉を見る目線は取材対象を見るものではない。たまたま、仕事中に愛くるしい子猫を見つけた時のような衝動が湧き起こる。
「慧音さん」
「なんだ?」
あやの瞳は真っ直ぐと慧音を見抜く。
先程までの丁寧さとは違う、ある種の厳かな雰囲気まで漂わせながら口を開いた。
「この子、
綱吉がその言葉を理解するまで0.2秒。
家庭教師なら不合格にするレベルの反応の遅さであった。それはつまり、それほどまでの大きい衝撃だったということだが。
「んなっ!!?真面目な顔して何言ってるのー!!?」
唐突の誘拐宣言に綱吉は飛び上がるように驚きの声を上げる。
対する慧音はというと、鷹の如く鋭い視線をあやに向けつつ返答した。
「させると思うか?」
「でしょうね…なら、力尽くにでも……」
あやは立ち上がる。
何やら紫色のオーラを放っているような気がする。
「この人里で好き勝手はさせないぞ」
慧音も立ち上がる。
こちらは藍色だ。
「(え……?なに?なんでこんな事態に!!?)」
何やら一触即発の空気に綱吉は大きく混乱する。
しかし、迷う時間もない。何とかこの場を治めなければならないと、大慌てで行動に移した。
「ちょ…ちょっと二人とも落ち着いて!ここ団子屋ですよ!!?」
そして綱吉はあやの方を向いた。
「あやさんも冗談はそこまでにして、取材に戻りましょう!寺子屋の子供達に迷惑にならないようにするなら、出来る限り答えますからっ!!」
綱吉の必死の仲裁で二人も落ち着いたのか、ひとまず椅子に座る。
慧音は眉間に皺を寄せ、あやは「もちろん冗談ですよ〜」と再び取り繕ったような笑みを浮かべた。
慧音は思う。絶対に本気だったと。
綱吉はこの一連の流れにどこか既視感を抱きながらも、のしかかった疲れに辟易していた。
お久しぶりです。味噌漬けです。仕事忙しすぎて、全く進捗ないけど、投稿したくなってしました笑 チマチマ書いては推敲しての繰り返し…いつになったら二章を書き終えるのか…。一応、日常編は書き終えているから、筆の進み次第ですぐに次回は投稿出来そう。
というわけで、お馴染みのキャラ紹介です。
【キャラ紹介コーナー】
《沢田綱吉》
年齢…16歳
能力…全てを見透かす程度の能力?
属性…大空
もはやショタ扱いが恒例になってきた高校生。
幻想郷の平和な光景に心が癒されるが、その平穏も長くは続かない。並盛でもそうだが、自分はこんな星の元に生まれたのか…と若干辟易している。
東方キャラの殆どが女性陣ためか、作者の意図しないうちに女性に囲まれている状態に。でも、だれも男としては見てないのでハーレムではないから大丈夫。
《上白沢慧音》
年齢不詳
種族…半人半獣
能力…歴史を食べる(隠す)程度の能力(人間時)
属性…霧
色々思い悩んでいそうな綱吉のために、今日は買い物も兼ねて人里の案内をしている。普段は人里の守護者だが、今だけは綱吉の保護者。助けられた恩あってか、割と過保護気味である。
《文》
年齢…不明
種族…不明
能力…不明
属性…不明
自称“敏腕社会派ルポライター。何を考えているのか分からない得体の知れなさはもちろん、特ダネの気配を感じては烏の如く啄むことから、一部の者からは厄介者扱いされている節がある。しかし、礼儀よく且つ筋自体は通す義理堅さも兼ね備えているため、邪険にはしにくいある意味敵には回したくない存在。今回は綱吉の小動物っぷりにその身に流れる血が騒いじゃったようである。……その正体は一体なんなのか(棒読み)