ようやくクソ忙しい週間が終わった…。これで、少しは執筆に力入れれるなぁ。今、trpgのシナリオも書いてるし、どっちから先に書くか…。
「ふわぁ…………」
鳥たちがチュンチュンと鳴く早朝。
「(あー眠い………)」
幻想郷に来てから二週間近く経った今、あの悪夢の影響か、ここ最近の綱吉はあまり眠れていなかった。
油断すると寝落ちしそうになるくらいの眠気である。
「(そういえば昨日慧音さんから大事なこと言われたような…。駄目だ……頭が重い…)」
瞼は重く、頭は霞がかっており綱吉の頭が上手く働かない。
その足取りもおぼつかずフラフラとしていた。
「(……とりあえず教室に行かないと)」
休むにしろ、仕事するにしても慧音のいる教室には行かなくてはならない。
今、いるかはわからないが、休憩室にいたら間違いなく寝落ちして遅刻するだろう。
綱吉は眉間を軽く押さえながら、教室へと向かうと明かりがついているのが見えた。
「慧音さん、もういるんだ……」
そんなことを呟きながら綱吉は戸に手を伸ばす。
「おはy――――ん?」
戸を開き、いつも通り挨拶しようとする綱吉であったが、綱吉が開ける前にその戸はガラリと音を立てた。
「(あれ…?子供たちが来るには早いよな……?)」
不思議に思いながら下の方を見ると、そこには。
「にぱー」
そのあどけなさが残りつつも空虚な笑みは見覚えがある。しかも最近に。
「(えっと……確かこの子は……)」
思い出そうとすると、綱吉の脳裏にはかつて見た赤い血が垂れる幼女が浮かぶ。
「え?嘘。まさかそんな……いやいや、それだけは絶対にあっちゃいけないって――――」
あまりの眠気故に起きた白昼夢なのかと思い、その重たい瞼を擦るも全く意味がない。目の前には変わらず笑みを浮かべる幼女が。
「たべちゃうぞー」
幼女が腕を大きく広げ、自分の犬歯を見せつけるかのように大きく口を開く。
そのポーズはまさに前に綱吉を追いかけてきた妖怪がしたものと同じようで……彼は確信に至った。至ってしまった。
「んぎゃーっ!!で、出たぁぁぁぁぁッッ!!!」
教室内に轟く綱吉の悲鳴。
何故、寺子屋にいるのか。というか、そもそも人里にいて良いのか。このことを慧音は知っているのか。
色んな疑問が、初めて幻想郷に来た時の逃避行のトラウマと共に綱吉の脳内に駆け巡る。
それは今の綱吉にはあまりにも負担が大きかったようで、彼はあふぅ――と断末魔と共に倒れこんでしまった。
「つ、綱y――んっ!?」
「に――げん?あ―!こいt――――」
「―――んなこt――る場――じゃな――よ!チル――――」
「(慧音さ…ん…?後、誰――)」
倒れこむ綱吉の耳に薄っすらと入る慧音の声。
他にも別の子供のような声が複数聞こえたような気がしたが、綱吉の意識はそこで暗闇に包まれた。
◇◇◇
『――ろ。―――ナ』
「(うーん…なんだよ。もう少し寝かせてよ……)」
頭の中に響く声に、綱吉は不機嫌そうに返す。
『――きろ。――ツナ』
「(あと、五分~)」
綱吉は吞気に言う。
その時、ぼんやりと脳裏にボルサリーノを被った子供が映っていた。
どんどんとその曖昧な輪郭が顕になり、最終的に
そして彼は握っている黒い物体…
『起きろっつってんだろダメツナ。
「わぁぁぁっっ!!起きる!起きるから撃たないでリボr――――あれ?」
両手を上げ命乞いするように跳び起きる綱吉。
その直後、周りの変化に戸惑ったのか、キョロキョロと周りを見渡していた。
すると、年齢がランボかイーピンくらいだろうか。綱吉の目に二人の少女たちが映る。
「お!起きたな人間!!」
「え、えーと…」
少女の髪はクールさを印象付ける青色ながら、その性格は相反するような快活さを感じさせる。
というか、彼女の周りが微妙に冷えるのは気のせいだろうか。
「その…大丈夫ですか?」
「う、うん……だ…大丈夫」
もう一人は穏やかなグリーンカラーの似合う、おとなしめな女の子だった。
緑髪の少女の安心したように息を吐く様子に、綱吉はこの子は良い子なんだろうなと思った。
そして、青髪の少女が訝しむように両腕を組む。
「ほんとに元気なのか?怪しいなー」
うんうんと唸っている青髪の少女。
すると、「よしっ!!」と何か閃いたのか、その手を天井へと向け、そして――――
「わー!駄目駄目!!それやっちゃったら、ここにいるのバレちゃうよチルノちゃんっ!慧音先生に怒られる!!」
何故か緑髪の少女が全力で止めにかかっていた。
しかもチルノと呼ばれた女の子は慧音から怒られると言われるレベルのことをするつもりであったらしい。
しかし、緑髪の少女の制止はチルノの何かを煽ったようで…。
「ふふんっ!何言ってんの
「いや、そもそもここ寺子屋の中だからっ!!滅茶苦茶になっちゃうしダメ!!」
「(…………なんていうか、
この二人のじゃれ合い?を当の綱吉はほのぼのと見ていた。
元気いっぱいに振る舞う片方を行儀の良いもう片方が止めようとする。まさに凸凹コンビ。
彼女たちの関係性が綱吉にはまるでランボとイーピンのように見えたのだ。
「ほほう…一体、誰の説教が怖くないのかな?」
「「あっ」」
襖が開く音と共に大人の女性の声が。
綱吉たちの目にはニコニコとあまり見ない笑みを浮かべる慧音がいた。
二人は気づいたが、チルノはまだ気が付いていない。
「誰って勿論!あの口うるさい髪長石頭きょーしに決まってるじゃん!あんな硬いだけが取り柄の石頭なんてアタイがバッキバキに叩き割ってーー――」
意気込むように、思い切り両腕を振り上げるチルノ。
だが、慧音の顔が視界に入った瞬間、ピシリと固まってしまう。
無理もない。今の慧音の絶対零度の視線は氷であろうと、さらに凍てつかせるほどの威圧感を放っているのだから。
「石頭云々は一先ず後に置いておこう……。だがな、私は言ったはずだぞ?
「ひ、ひえ……慧音先生ごめんなさい…」
大ちゃんと呼ばれた女の子は、その慧音の威圧に気圧され、涙目ながら謝罪する。
一方で先ほどまで勇ましい姿を見せていたチルノはというと…
「ふ…ふふんっ!そんな顔したって全然、怖くなんていないんだからなッッ!アタイたちを他所にこの部屋でコソコソしてる方が悪い!!」
「(開き直ったー!!)」
今の慧音を相手に開き直る、その肝っ玉の大きさに綱吉は一周回って、もはや尊敬の念すら抱いた。
しかしその態度が慧音の神経を逆撫でしたのか、彼女は音無くチルノたちのもとへと近づいてくる。
距離が少しずつ近づくたびに顔を青くする緑髪の少女に、綱吉は流石に不憫に思ったようで…。
「け…慧音さん、俺は大丈夫ですよ!特に変なことされてませんし。二人とも俺の心配をしてくれてただけですから!!」
「………はぁ」
両手を振って二人を庇う綱吉に慧音は額を手で押さえ、ため息を吐いた。
「……それで、体調はどうだい?」
「え、は…はい。大丈夫です。むしろ良くなったっていうか――――」
気絶したとはいえ、結果的に睡眠をとれたからか綱吉の眠気も粗方消えていた。
そして、そこで綱吉はようやく自分が気絶する前のことを思い出す。
「そうだ!あの子っ!!教室であの女の子の顔が……!」
「あぁ……」
綱吉の言う「あの女の子」とはルーミアのことである。
慧音も察して答えようとすると、彼女の脇から小さい影がのぞき込む。
「にぱー!」
自分を襲い掛かってきた可憐ながらも無機質な笑みに綱吉の顔は真っ青に染まる。
「んなッ!やっぱりいたーッ!!」
一々リアクションが激しい綱吉にチルノたちは「こいつ面白っ!」とクスクス笑っている。
そんな綱吉に近づこうとするルーミアを慧音はその首根っこを掴んで止めた。
「これ以上、綱吉くんで遊ぶのは止めなさい」
慧音がそう注意すると、それを聞き入れたのか否かルーミアは何も言わずその場に座った。
そして呑気にあくびをするルーミアに慧音は再びため息を吐くと、綱吉の方に視線を向ける。
「これは一応、前に君に説明したのだが……」
そして慧音の説明が始まる。
慧音曰く、これは“人間”の味方を増やす試みらしく、あまり力のない妖怪や妖精といった人外たちに授業をしているのだそうだ。
相手が妖怪や妖精たちとはいえ、学ぼうとする意志があるのにも関わらず拒否するのは教師としての沽券にかかわる。そのため慧音が面倒を見切れる極少数の小さな人外たちに人間の文化や知識を教えているのだ。
ここで綱吉は思い出す。そういえば、慧音が一部の人外相手にも時折授業をしていると言っていたことを。
「(そ、そういえば、そんなこと言ってた。うわぁ…俺、そんな大事なこと忘れていたの……)」
綱吉が眠気もあったとはいえ、思い出せなかった自分のダメツナぶりに落ち込んでいる中、慧音は話を続ける。
「とはいえ、綱吉くんがいることだし今日は中止にしようと考えていたんだがね」
そのため、今日の朝は中止にする旨をチルノたちに言いに行ったのだが、大ちゃん――大妖精のそのしょんぼりした残念そうな顔や、そんな彼女を元気付けようとしたチルノの駄々に押し切られたらしい。
ちなみに今回は綱吉がいることも考えて、人里の外で青空教室をする予定で、道具だけを取りに教室へ戻ったタイミングに運悪く綱吉が教室の中に入ったのだそうだ。
チルノたちを連れてきたのは、あのまま放っておくと何しでかすかわからないかららしい。それなら慧音の監視下に置いておいた方が良いと判断したのだとか。ルーミアも寺子屋の授業の常連だが、今回に限って言えばいつの間にか着いて来ていたそうだ。
「すまなかった…。もっと詳細を伝えておくべきだった」
「え、いやいや!慧音さんは俺に気を遣ってくれてたんでしょう?」
流石に「前にお前を殺そうとしたやつがここに授業受けにくるからね♪」とか言われたら、大抵の人間ならフリーズするだろう。言いにくいのも分かる。言いそうな知り合いなら何人か居るが。
綱吉は慧音が自分に余計な心労を掛けたくないのだろうと推測していた。
「それと……後、一つ謝らなければならないことがな……。先程、新聞の号外が配られたらしくて――――」
「新聞……?なんのことですか?いや…まぁ心当たりはありますけど……」
「実物を見た方が早いか……。この新聞なんだが……」
どうも慧音の歯切れが悪い。
すると、今まで大妖精に抑えられていたからか幾分大人しかったチルノが動き出す。
「これだよ!これ!!これってアンタのことでしょ?」
「あっ…コラ!チルノ!!」
チルノが慧音が持っている新聞をひったくると、綱吉に一面を見せる。
すると、そこには
「んな!な、なんで俺がこんな大きく載せられてんのっ!!?しかもこの内容っ!!」
綱吉は新聞を食い入るように読みながら叫ぶ。
綱吉が読んだ見出しには『寺子屋に現れた新星。その正体はドジっ子教師!?』と書いてあった。
内容はというと、寺子屋に新任教師が雇われたことだけではない。綱吉の数々のドジまでもが誇張して書かれていた。最後の部分で『この教師は面倒見がよく、子供たちから慕われている』と〆られており、一応フォローになることも書いてはあったが、綱吉のドジっぷりがこの人里に広まった今、それでフォローになってるつもりなのかと綱吉は嘆いた。
「私も最初読んだ時は唖然としたよ…。射命丸め…」
慧音が眉間に皺を寄せながら呟く。
まぁ、射命丸の新聞の実態をある程度知っている慧音からしたら、今回の表現はまだ優しい方なのだが。
「こんなことばら撒かれたら俺、外に出れないじゃんっ!!どうしよーーーーー!!!」
こんなことが人里中に知れ渡っていたら、いやでも覚えられるだろう。
目立つのが嫌いで且つ、人里が拠点の綱吉にとっては死活問題だ。寺子屋にも大迷惑である。
綱吉のそんないろんな意味を込めた悲鳴は休憩室の中に大きく響き渡った。
ご愛読ありがとうございます。
クリスマスに偶々取れた休日を楽しんでる作者です。恐らくこれが投稿されてるころ、私はケーキを焼いてるでしょう。
この小説が少しでも皆様のクリスマスの思い出に残れば嬉しいです。
《沢田綱吉》
年齢…16歳
能力…全てを見透かす程度の能力?
属性…大空
色々不憫な目に遭ってる可哀想な子。
とはいえ、流石は大空。順応適正が高いためか、ルーミアたちのことは割とすぐに受け入れてしまっている。それはそれとして、今日の晩御飯は鳥肉にすることにした。
《上白沢慧音》
年齢不詳
種族…半人半獣
能力…歴史を食べる(隠す)程度の能力(人間時)
属性…霧
綱吉以外にも多方面に気を遣わなければならない大変な人。
うっかり目を離した隙に綱吉を気絶させてしまい猛反省。起きた綱吉にガチ謝罪しました。
それと、あの新聞についてはかなり怒っており、次に射命丸にあったら頭突きをかますと心に誓っている。
ちなみに本日の晩御飯は綱吉お手製の鳥の唐揚げ。個人的に慧音には料理下手であって欲しい笑
《チルノ》
年齢不詳
種族…妖精
能力…冷気を操る程度の能力
属性…雨
アホの子にして最強の妖精さん。作者の好きなキャラの一人。元気なアホの子って良いよね。
今日の晩御飯は寺子屋にて振舞われた唐揚げである。ちなみにどんな鳥かは不明。
《大妖精》
年齢不詳
種族…妖精
能力…不明
属性…晴
いまだに本名が不明なミステリアス&優等生ガール。チルノのストッパー役ではあるが、減速させたことはあっても制御が出来たことはない。
綱吉のことは優しい人間として好印象だが、唐揚げを揚げている時に見せたどんよりとした目を見た際は見てみぬフリをした。
《ルーミア》
年齢不詳
種族…宵闇妖怪
能力…闇を操る程度の能力
属性…霧
再登場を果たした雑食ガール。
完全に綱吉のことはおもちゃ扱いをしている一方で、綱吉がくれた飴の味は忘れられない。
それはそれとして、今日の唐揚げは大変美味しゅうございました。
《射命丸文》
年齢不詳
種族…鴉天狗
能力…風を操る程度の能力
属性…雲
今回、綱吉の胃に大ダメージを負わせた主犯。
本人からしたら、これでも結構マイルドに書いたつもりらしい。まぁ、被害者からしたら知ったことではないが。
ちなみに今日の晩御飯は人里で食べるつもりだったが、人里に出戻ろうとした瞬間、全身から鳥肌立つレベルの悪寒を感じ、撤退した。