幻想郷に広がる大空   作:味噌漬け

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お久しぶりです。仕事が関係で心を病んでしまい、筆をストップさせてしまいました。
大変申し訳ございません。また来月も何とか投稿できるよう頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします。


第十六弾 人外たちの寺子屋タイム

 

 それからというもの、授業は寺子屋の休憩室で行われることになった。

 昼過ぎに寺子屋に人外が集まるのはどうかとは思うが、普段から子供が大騒ぎする寺子屋であり、さらに教室がその一角である休憩室な以上、騒音云々でバレることはないだろう。むしろ、下手に外に出して監視下から外す方が慧音からしたら怖い。

 それはそれとして、授業というのは建前であり、その実態はチルノたちと綱吉の顔合わせ(レクリエーション)会である。

 綱吉としてはあの新聞から現実逃避したい気分であったし、慧音もチルノたちが所謂普通の人間と関わり合う良い機会になると思い、綱吉の授業の参加を認め、急遽この会を開くことになったのだ。

 

「へぇ…。二人は“妖精”って種族なんだ」

 

 綱吉はもの珍しそうに二人を見る。

 慧音からその存在は聞いてはいたが、実際に出会ったのは初めてだ。

 元の世界でも“家庭教師の精”などというものはいたが、あれは所詮ワイヤーで吊したパチモンである。

 本物の妖精と出会えて、綱吉はちょっぴり感動していた。

 

「はい。私たち以外にもいますけどね。あ、後、私のことは気軽に“大ちゃん”って呼んでください」

 

「うん、よろしくね大ちゃん」

 

 綱吉にそう呼ばれると、大妖精は嬉しそうに笑顔を見せる。

 すると、次はチルノの方が綱吉に向け、その口を開いた。

 

「あたいはチルノだぞ!お前、慧音の部下なんだよな?」

 

「え?……そうだね。慧音先生にはお世話になってるよ」

 

 事実、アルバイトのようなものだし間違っていない。

 チルノの言葉に綱吉は頷いた。

 すると、チルノは調子に乗るように、ふんすっ!と息を鳴らし胸を張る。

 

「ってことはお前は慧音より弱いってことだよな。なら、あたいの方がお前よりも~っと強いってことだな!」

 

「ちょ!チルノちゃん、先生相手に!!」

 

 自慢げに言うチルノを大妖精は止めようとする。後ろから慧音が目を光らせているため、なおさらチルノがやらかさないか心配なのだ。

 しかし、当の綱吉は全く気にしていないようで優し気な笑みを浮かべる。

 

「あはは。そうだね。チルノちゃんは強いの?」

 

「そうだぞ!あたいは幻想郷(ゲンソウキョ―)最強(サイキョ―)なんだ!!」

 

「へぇ…凄い。…………かっこいいなぁ」

 

 綱吉の口から漏れ出す称賛。

 胸を張り、一ミリも己の強さを疑わないその姿勢。チルノのそれは自己過信とも言えるが、“自信”というものが他の人間と比べ欠けている綱吉にはその無邪気かつ自信満々な姿が少し眩しく見えたのだ。

 「そーだろ!」と鼻を伸ばすチルノを微笑ましく見ていると、綱吉の服が引っ張られる。

 

「……?」

 

 綱吉が不思議に思いながら顔を向けると、そこにはじー…っと綱吉を見るルーミアがいた。

 グイグイと引っ張るルーミアに綱吉は戸惑いながら「な、なに…?」と尋ねる。

 

「お腹空いたのだー」

 

「えぇ……」

 

 綱吉が困った表情を浮かべると、ルーミアは綱吉の指に視線を向ける。

 

「その指かじっていいか―?」

 

「駄目だよっ!!?」

 

 流石に指をモシャモシャと食べられる趣味も某あんパンのような自己犠牲精神も持ち合わせていない。

 即座に断られたからか、ルーミアは「むー」と唸る。表情が殆ど変わらないから、不機嫌なのかよくわからないが。

 それでも強請るルーミアに綱吉も耐えられなくなったようで。

 

「あーもう……。あ!そういえば確かあれがあったはず…」

 

 「ちょっと待ってて」と綱吉が言うと、彼は押し入れの前まで歩きだす。

 世話焼き癖が染み付いてしまった綱吉にとって、真正面からのおねだりにはどうしても弱いのだ。

 彼は襖を開け、ゴソゴソと中を漁り始める。

 見守っている慧音を含めた他の皆が不思議そうに綱吉を見ていると、彼は何やら包みで包まれた紫色の球体を持って来る。

 

「はい。これ」

 

「んー?」

 

 綱吉は包みから出したものを、そっ…とルーミアの口に含ませる。

 すると、ルーミアの口のなかには芳醇な葡萄の香りと、優しい甘さが広がった。

 そう、綱吉が食べさせたのは葡萄のキャンディである。ランボを宥める用にと常に持ち合わせているのだ。

 

「流石に指は無理だけど、このくらいならあげれるから……」

 

「………」

 

 ルーミアは何も言わず、ころころと飴を嘗め続けている。

 彼女がなにを考えているかはわからないが、不味いなら一瞬で噛み砕いた上で綱吉に襲いかかると思うのでお気に召したということだろう。

 綱吉は心中でほっ…と安堵の息を吐いた。

 

「それなんだ?あたいにも寄越せー!!」

 

「あ、チルノちゃん!」

 

 大妖精が止める間もなく、綱吉に飛び掛かるチルノ。

 大妖精の顔が青く染まるが、その綱吉は難なくチルノを受け止め、そっと地面に降ろした。

 

「はいはい。みんなの分もあるからね」

 

「おー!!」

 

「え、私にもですか?」

 

「うん。もちろんだよ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 チルノに飴を食べさせると、綱吉は大妖精にも飴玉を配る。

 そして、次に慧音のもとへと向かった。

 

「慧音先生もどうぞ」

 

「む?良いのかい?」

 

「みんなで食べたほうが美味しいですからね」

 

「……なら頂くよ。ありがとう」

 

 綱吉がそう言うならば慧音も断る理由はない。

 慧音が礼を述べながら飴を受け取ると……またもやチルノが綱吉に向かって来た。

 

「ツナ!もっとさっきのくれ!!」

 

「ち、チルノちゃん……」

 

 ねだるチルノと止めようとする大妖精に綱吉は苦笑いしていた。

 傍で見ていた慧音はそんな綱吉の顔を見て口を出す。

 

「こら、チルノ我慢しなさい。綱吉先生が困っているだろう」

 

「そうだよチルノちゃん」

 

 大妖精も同意するようにチルノを宥めようとするが、チルノは「嫌だい!」と駄々こねるばかりであった。

 慧音が仕方ないと言わんばかりに立ち上がろうとすると、綱吉は大丈夫と慧音に向け首を振る。

 

「ごめんね…この飴もあんまり余ってなくてさ。また今度ね」

 

「今、ちょーだいよ!それに今度って何時(いつ)さ?」

 

 まだ我が儘に振る舞うチルノに慧音はため息を吐き、大妖精はハラハラと二人を見ていた。

 だが、綱吉は全く気にする様子もなく、「あ、それじゃあ…」と閃いたように提案する。

 

「次の授業かな。チルノちゃんがその時、寺子屋にいたらあげるよ。俺、今は外には出れないからさ」

 

 それが人里の外なのか、それとも寺子屋の外なのかは綱吉のみぞ知る。

 

「えー。ホント?」

 

 チルノが疑うように綱吉を見ると、彼は優しい表情を浮かべながらチルノの頭の上に手のひらを乗せる。

 そして彼は彼女の頭を絹に触れるが如く撫で始めた。

 

「うん…。ほんとだよ。チルノちゃんが慧音先生のお話をちゃんと聞いてたらね」

 

「そ…そう…なら良いよ」

 

 綱吉の話を聞いているのかいないのか、綱吉に頭を撫でられているチルノの顔は気持ちがいいのか、その頬が緩んでいた。

 

「(す、凄いな綱吉くん……)」

 

「(あのチルノちゃんをこんなにしちゃうなんて……)」

 

 本人は気にしていないがチルノはあまりにも快活すぎるがゆえに、まともに付き合ってくれる友人はあまりいない。特に人間はそうだ。知り合いの人間たちもチルノをまともに相手する者は少ないのだ。

 勿論、大妖精を始めとした友人もいるにはいるが、ここまでチルノを手懐けることができる者はそうそういない。

 あまりの綱吉の保護者っぷりに驚く二人を他所に、寺子屋の平和な時間は過ぎていったのだった。

 

 

 




おはこんばんちわです。味噌漬けです。
先月は投稿できず、申し訳ありません。心を病み、無気力な毎日を送っていました。ほんと怖いですね。メンタル管理はしっかりしましょう。時にはしっかり休みましょう。リアルで死ぬ気はガチで死にます。心が。

《沢田綱吉》
 年齢…16歳
 能力…全てを見透かす程度の能力?
 属性…大空
 
 今日は妖怪妖精たちとの戯れ会。
彼らの精神年齢がランボ達と近いためか、割と心が癒されている。

《上白沢慧音》
 年齢不詳 
 種族…半人半獣
 能力…歴史を食べる(隠す)程度の能力(人間時)
 属性…霧

 最初、綱吉をこの妖怪寺子屋に巻き込んだ際は罪悪感を抱いたものだが、むしろ癒されている綱吉を見て、これで良かったのかな?と思った。それはそれとして、改めて綱吉の保護者ぶりに尊敬の念を抱く。

《チルノ》
 年齢不詳
 種族…妖精
 能力…冷気を操る程度の能力
 属性…雨

本日、すっかり絆された⑨の子。
綱吉のなでなでは気持ちよかったです。

《大妖精》
 年齢不詳
 種族…妖精
 能力…不明
 属性…晴

 チルノの保護者兼親友。普段、チルノに振り回されているためか、一瞬でチルノの心を掴んだ綱吉に尊敬の念を抱く。

《ルーミア》
 年齢不詳
 種族…宵闇妖怪
 能力…闇を操る程度の能力
 属性…霧

 綱吉のトラウマな雑食ガール。
この子の妙な隠れ強キャラぶりに未だに作者は扱いに悩んでいる。
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