幻想郷に広がる大空   作:味噌漬け

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二話目。
東方は解釈違いもあって投稿が怖い笑


第ニ弾 教師との出会い

「ひ、ひぇぇぇぇっっ!!た……助けてぇぇぇぇ!!!」

 

「あはは〜!待つのだ〜!」

 

 走る走る走る走る。

 逃げる逃げる逃げる逃げる。

 森の中では幼女に追いかけ回される男子高校生という奇妙な出来事が起きていた。

 

「俺なんか食べても美味しくないよー!ダメツナの肉なんて食べても身体に悪いだけだよー!!ポイズンクッキングほどじゃないと信じたいけどーっ!!」

 

 悲しい自虐をしながら全力でダッシュする綱吉。最初は幼女くらい簡単に振り切れるかと思っていたのだったが…。

 

「な、なんで女の子が飛んでるの!?エスパーか何かー!!?」

 

 そう、なんと幼女は空を飛んでいた。翼を生やしたわけでもなく、ジェット噴射のように飛んでいるわけではない。まるで、空中浮遊したかのように自在に飛んでいた。

 そんな幼女を見て、綱吉の脳裏に浮かぶのはとある暗殺部隊に所属するエスパーであった。

 しかし、あんなのがそう簡単にいてたまるかと綱吉は頭をブンブンと振った。

 今はとにかく逃げることだ。空飛ぶ幼女なんて見たことも聞いたこともないが(例外を除く)、そこは様々な危機を乗り越えてきた沢田綱吉。そういうもんなのだ……とすぐに受け入れたのだ。諦めたともいうが。

 

「逃げるなー」

 

「逃げるに決まってるだろぉぉ!!」

 

「そーなのかー」

 

「そーだよぉぉぉっ!!」

 

 空を飛ぶスプラッタな文字通りの雑食主義の幼女など普通は逃げる。

 絶対に逃げる。

 こんな状況で逃げないのは、とある界隈の一部の性癖持ちくらいだろう。

 

「むー仕方ないなー」

 

「……へ?」

 

 飛びながら、うんうんと頷く幼女。

 そして、両手を広げると幼女を中心に()()()()()()()()

 

「んな!?なにあれぇぇ!!?」

 

 草も樹も全部飲み込むか如く闇が広がっていく。

 それを見て、綱吉の顔はさらに青に蒼くなる。それと同時に綱吉の脚も車輪のようにぶんぶん回るに回った。

 

「た、たたた…………助けてぇぇぇぇぇっっ!!?」

 

 綱吉の悲鳴が森を轟かせ、鳥のさえずりさえもかき消していく。

 ますます闇が広がり、ついに綱吉の足に触れようとした瞬間――

 

「何をやっている!!」

 

「へ?」

 

 女性の声のようなものが聞こえる。

 その後、女性が何か宣言したような気がしたが、必死な綱吉にはよく聞き取れない。

 すると、すぐ後に綱吉の顔の脇を()()()()()()()()が掠めた。

 

「ぐーわー」

 

 響く衝撃音。なんとも気の抜けた断末魔と暗闇と共に吹っ飛んでいく幼女。

 

「あ…あなたは…………?」

 

「悲鳴を聞きつけて駆けつけてみれば……」

 

 綱吉の目の前には特徴的な帽子と青い服。そして白い髪の美女がいた。

 木漏れ日が彼女の美しさを一層際立てている。

 

「大丈夫かい?君、怪我はないか?」

 

「は、はい!助かりましたぁ」

 

 命を助けられた安心感からか、綱吉は力が抜けるかのように膝を崩した。

 ずっと走っていたからか、息を切らしている。そんな彼に女性はフッ……と微笑むとすぐに切り替えるかのように真面目な顔つきとなった。

 

「安心しているところすまないが、早く安全なところへ行かなくてはならない。立てるかい?」

 

「は……はい!!」

 

 女性から差し出された手に綱吉は少しばかり頬を染める。

 そして、気恥ずかしくなりながらも手を取ると二人で走り始めた。

 

「あ、そういえば、さっきの金髪の女の子は……」

 

 助けられたことで余裕が出てきたからか、綱吉は思い出したかのように女性に質問をした。

 

「金髪の女の子?………さっきのはルーミアだったか……」

 

 女性は心当たりがあるのか、眉間に手のひらを当てる。

 

「(ルーミア?外国の人?)」

 

 唐突に外人の名前で困惑する綱吉であったが、その後の女性の言葉にその困惑が吹き飛ばされることになる。

 

()()である以上、あの弾幕くらいなら耐えられるだろうが……遠くに()()()()()()からな。人里に戻るくらいの時間は稼げるはずだ」

 

「は……?」

 

 とんでもない言葉の連続に脳の処理が追いつかない綱吉。

 ようやく噛み砕けるまで数秒。その次に出たのは言葉ではなく、悲鳴にも似た叫びであった。

 

 

 

「んなぁぁぁぁっっ!!!?」

 

 

 

 女性の言葉は綱吉の人生においてトップクラスの衝撃であったという。

 

「吹っ飛ばした?それって大丈夫なの!?妖怪ってなに!!?実在するの!!!?………というか、あの子人間ですらないのー!!!!?」

 

 マフィアだなんだと色々な経験をしてきた綱吉であったが、流石のツッコミ量と精神的ショックにより、先程の全力ダッシュよりも息絶え絶えとなってしまった。

 

「ハァハァハァ……」

 

「走っている中、よくそこまで大声が続くな……」

 

 綱吉のツッコミに感嘆すら抱く女性。そして、その後眉間に皺を寄せ思案し始めた。

 

「……妖怪を知らない。そしてその服…」

 

「え?どうしたんですか?俺の服が何か……?」

 

 綱吉は問うものの、女性は考えるのをやめたのか顎から手を離した。

 

「いや、その話は後だ。今は人里に戻らないとな……」

 

「人里……?」

 

 話を聞く限り、人が住む場所なのだろうが、今の時代、里と呼ばれるほどなのだから、綱吉達が向かう場所は相当な田舎か村かなのだろう。

 綱吉は呑気にそんなことを考えていた。

 

「着けばわかるさ。ほら見えてきたぞ」

 

 女性は微笑みながら言うと、その目で先を指し示す。

 綱吉がその視線に釣られ前を見ると、そこにはまるで時代劇のセットに出てくるような、それでいて頑丈に出来ている弊があった。

 

◇◇◇

 

 綱吉が人里に入って最初に思ったことは、“まるでタイムスリップしたかのようだった”という。

 しかも、かつて経験した未来へのタイムスリップではない。どこもかしこも、まるで江戸時代後期のような和式の木造建築物ばかり、表に出ている住民は麻で作られたような着物を身につけている。

 10年はおろか、100年いや、200年も前の日本に来たような…そんな不思議な里であった。

 そして、彼は最初に人里の建物の中でも一層大きい長屋にへと案内されたのだった。

 

「疲れただろう?お茶を淹れてくるから、そこで楽にしてなさい」

 

「あ!いえ、おかまいなく……」

 

 綱吉は手を振るが、女性は遠慮なんてしなくて良いと部屋から出ていった。

 それを見送った綱吉はヘナヘナと腰を落ち着かせる。

 

「(あー疲れたぁ……。それにしても綺麗な女性(ひと)だったなぁ……。)」

 

 自分を助けてくれた女性。

 その美しさと強さは思春期な男子高校生である綱吉には惹かれるものがあった。

 

「(いやいや!俺は京子ちゃん一筋だから!!)」

 

 首をぶんぶん振って自分の煩悩を消し飛ばそうとする綱吉。

 ただ、その一方で慧音に対する違和感が心の中で燻っていた。

 

「(人……。うーん…人だよなぁ…?なんかモヤモヤするけど…。まぁ悪い感じはしないし大丈夫かな)」

 

 慧音がただの人間ではないのではないのではないか。

 まぁ妖怪なんているのだ。少しばかり、人間にも特殊性があってもおかしくはないだろう。なにより対応がまさに信用できる大人である。

 そんな風に思考に耽っていると、それは次第に先程までの逃走劇の振り返りにまで発展していた。

 

「(あの金髪の女の子大丈夫かなぁ……?あの女の人が言うには凄い勢いで吹っ飛んだらしいけど。妖怪だから大丈夫って言っても…。というか、妖怪って本当にいるんだ)」

 

 思い返すは爆弾使いの綱吉の右腕を名乗る友人。

 彼はまさにUMA博士というに相応しい知識と探究心をもっており、綱吉も何度も話に付き合わされた。並盛の山でツチノコ探しをしたのも記憶に新しい。

 そのため、その類の知識はそれなりに身についてしまった。家庭教師にその話をしたら「まずは教科書の知識を身につけやがれ」と〆られた後、猛勉強させられたのだが。

 

「(あの弾幕?ってやつも死ぬ気の炎とはなんか違う気がするし……。どちらかというと昔、()()()が使ってたオーラって感じだけど……)」

 

 リボーンと出会った後、明確な敵として初めて綱吉自身が戦った男。一応、仲間ではあるはずなのだが、今もなお綱吉の命を狙っているという、綱吉自身もよくわからない関係性に落ち着いている。

 

「(そもそもここはどこなんだよ。どこもかしこも古めかしいというか……。まさか、10年後はおろか過去に来ちゃったとか!?)」

 

 魔改造した結果であるが、かつて綱吉の友人がその身に10年バズーカを喰らい、見た目だけ幼児レベルまで若返ったことがある。

 それを考えると、過去にタイムスリップしたというのもあり得る話ではあるが……。

 

「(でも、なんとなく違うというか……ってか!もう5分経ってるよね。なんで効果が切れないんだ?)」

 

 例外もあるが基本的に10年バズーカの効力は5分だ。5分経てば、元の時代に帰れるはずだ。

 しかし、綱吉が戻る気配はない。

 

「あーもう!!色々考えることが多すぎて、頭が痛くなるよー!!」

 

 頭に両手を乗せ、苦難する綱吉。

 度重なるトラブルの連続で、混乱しているようだった。

 彼が頭をぶんぶんと振っていると、襖が開く音がした。

 

「あっ……」

 

「だいぶ混乱しているようだな。無理もないか」

 

 綱吉の視線の先には湯気がたった湯呑みを乗せたお盆を運ぶ女性がいた。

 あたふたしている綱吉に彼女はクスッと笑っている。

 恥ずかしくなった綱吉は顔を赤くし、頭に乗せた腕を膝に下ろし正座の状態で縮こまった。

 

「まずはお茶でも飲んで落ち着きなさい」

 

 その言い聞かせるような落ち着いた声は、まるで癇癪を起こした子供を宥める教師のようであった。

 綱吉は湯呑みに視線を向けると、毒やなんやは入っていないと判断する。

 それはそれとして助けてくれた恩人の湯呑みにまでに警戒してしまう今の自分が嫌になるのだが。

 

「は、はぁ……。いただきます…」

 

 温かい湯呑みに口をつけると、口の中にまるで森林のど真ん中にいるような香りが広がっていく。それでいて、まるで青臭さの無いどこか甘味すら感じられる味わいであった。

 そのお茶の香りと温かさに先程までの混乱が落ち着いたのか、綱吉はホッとひと息を吐いた。

 

「落ち着いたようだな」

 

「あっ!はい。ありがとうございます。すみません、お見苦しいところお見せして……」

 

「いや、全然見苦しくなんてないさ」

 

 女性が優しげな笑みを浮かべながら言うと、佇まいを良くした上で再び口を開いた。

 

「まずは自己紹介からだな。私の名前は上白沢(かみしらさわ)慧音(けいね)という。君は?」

 

「あっ!俺は…さ、沢田綱吉って言います。改めて……助けていただいてありがとうございました」

 

 綱吉が深々と頭を下げると、慧音は「そこまでしなくても良い」と少しばかり困った表情で言う。そんなまさに大人な対応に綱吉は感動すらした。当然である。綱吉の周りには大人を含め破茶滅茶な連中ばかりなのだから。

 

「次に一体、ここは何処なのか…について説明しよう。落ち着いて聞いてくれ」

 

「は、はぁ……」

 

 この後、慧音から出た言葉は何もかもが妄言のようなことばかりであった。

 

◇◇◇

 

「つ……つまり、ここは『幻想郷』っていう場所で、妖怪やら人間やらが共存しているってことで良いんですか?」

 

 そして――と綱吉は続ける。

 

「俺は幻想郷を包む結界?の外から来た外来人ってやつだと……」

 

 慧音は「そうだ」と頷く。

 そう綱吉が迷い込んだのは【幻想郷】。

 幻想と神秘、妖怪を始めとした人外と人間が共存する秘境である。

 

「それにしても凄いな君は……」

 

「へ……?」

 

 突然の慧音の感嘆とした声に綱吉は戸惑った。

 何の冗談かと思ったが、慧音の顔と声に嘘はない。

 

「いや…偶にではあるが、外来人が迷い込んでしまうことはあるんだ」

 

 慧音は続ける。

 

「一応、こうやって説明はするんだが……まず大体の人間が何の冗談かと鼻で笑うか、それか観光気分で盛り上がる者ばかりでな。つまり、危機感がまるで無いんだ」

 

 例え、妖怪云々が冗談であろうとも自分にとって見知らぬ土地に迷いこんだのであれば、それ相応に危機感を持たなくてはならないだろうし、信じたのであれば、身近に命を狙う危険生物がいるのだから、それはそれで盛り上がるのはどうかと思うのが、慧音の考えであった。

 

「とは言っても、パニックになって暴れられても困るがな」

 

 そして慧音は綱吉の目を見抜く。

  

「だが、君はそのどちらでも無い。君は今もなお、警戒心を持ちつつ、慌ててはいるが、きちんと物事を受け入れている。それはそう簡単に出来ることではない」

 

  慧音はチラリと綱吉の湯呑みを見ると、再び綱吉に視線を戻す。

 慧音の鋭い眼光に、綱吉はウッ…と声を詰まらせる。

 まさか、自分が差し出されたお茶にさえ警戒していたことに気がつかれていたとは思っていなかった。

 今の慧音の目は「お前は一体何者だ?」そう言っているように綱吉は感じていた。

 

「(無人島に放逐されたり、崖から突き落とされたり、他にもリボーンの破茶滅茶のせいで色々大変な目に遭ってるから慣れちゃってますなんて言えないしなぁ……)」

 

 綱吉は綱吉で隠し事は多い。

 なんとかそれを悟られないよう、しどろもどろになりながらも、必死で言葉を紡ぐ。

 

「いや…その……。女の子があんな風な能力使ってるの見ちゃったら、嫌でも信じるっていうか……。俺自身もまだ実感が持ててないというか……」

 

 綱吉の口から並べられる言い訳にますます目を鋭くする慧音。

 流石に限界だと悟ったのか綱吉は最終手段に踏み切る。

 

「あ!そういえば、俺意外にも外来人っていたんですよね?その人たちって今はどうしてるんですか?」

 

 綱吉の十八番、話題の転換である。

 某家庭教師には効かないが、それ以外の場面では割と通用した手段だ。

 慧音にも効果はあったようで、彼女は綱吉から視線を外し、顎に手を当てている。

 

「基本的に二択だな。この里に残るか、それとも外の世界に行くか…だ」

 

「えっ!!?じゃあ!元の世界に帰れるんですね!!」

 

 喜びを表現するかのように身を乗り出す綱吉。

 良かったぁ…と安堵の息を吐く綱吉であったが、対する慧音は何とも気まずそうな表情をしていた。

 

「あー。とても言いにくいことなんだが……」

 

「え……?」

 

 慧音は苦笑いしつつ、頬をぽりぽり掻いている。

 出来れば言いたくない。絶望させたくないと言わんばかりに。

 しかし、言わないわけにはいかないだろうと慧音は重々しく口を開いた。

 

「…恐らく、今は帰れない…だろう……」

 

「え……?」

 

 その時の綱吉の表情たるや。まさに絶望をいわんばかりであった。

 しかし、沢田綱吉にとってこのようなトラブルは悲しいことに日常茶飯事。何とか打開せんと何とか情報を聞き出そうとする。

 

「えっ…と……。な、なんで帰れないんですか?」

 

「幻想郷から外に出るには霊……いや、博麗の巫女の力が必要なんだが…。今、彼女が神社にいないんだ」

 

「いないって…何かあったんですか?」

 

 例えば、夜な夜な暗殺者が襲いかかってきたりだとか、突然、家の中に爆発物が投下されたりだとか、ご飯が何故か毒物に変貌していたりだとか。

 かつてその身が味わってきた経験……もとい恐怖(トラウマ)が蘇り、綱吉の顔が真っ青になっていく。

 

「だ、大丈夫……か?」

 

 そんな綱吉の様子に慧音も思わず心配の声をかける。綱吉はひとまず大丈夫だとだけ答えた。……死んだ目で。

 慧音は深く突っ込まない方が良いかと判断したのか、話を戻す。

 

「いや、私も博麗の巫女の友人から聞いただけなんだがな――」

 

 慧音の話を纏めると、どうやら博麗の巫女はあまりにも参拝客のこない神社をなんとかしようとして、色々やらかしたらしく、偶々現れた仙人やら“スキマ”と呼ばれる力を使う妖怪やらに説教された後に、修行だなんだと、どこかに連れ去られたらしい。ちなみに何時帰ってくるかは慧音もその巫女の友人も知らないのだそうだ。

 

「(まさかの説教&修行(リボーン)パターンだったー!!)」

 

 その巫女とやらが何をやらかしたのかはわからないが、綱吉自身も家庭教師の説教に加え、変な場所に連れていかれて、その度に理不尽な目に遭っている身。ある意味、似た境遇であろうその巫女には同情禁じ得なかった。

 できれば、平穏無事に五体満足で帰ってこられますように…と、いるかもわからない神様に祈った。

 

「つまり、その人が帰ってこない限り、幻想郷の外には出れない……と」

 

「そういうことだ……な……。すまん。期待させてしまって」

 

「いや、上白沢さんが謝ることじゃ無いですよ。助けて下さいましたし…。むしろ感謝しかないっていうか!」

 

 申し訳なさそうな慧音に、綱吉はあたふたしながらも言葉を並べた。

 その様子に励まされたのか、慧音は先ほどの固い表情が柔らかくなる。

 

「そう言ってもらえてありがたいよ沢田くん。……後、私は慧音で良い」

 

「え……?あ、はい。け、慧音さん…。なら俺も綱吉で大丈夫ですよ」

 

「そうか。それでは綱吉くんと呼ばせてもらうよ。それにしても綱吉か。かの徳川綱吉公と同じ名前とはな…」

 

「は…はぁ……」

 

「徳川綱吉公は歴代の徳川将軍のなかでも誰よりも誠実で、誰よりも他者への思いやりがあったという。君の両親は素晴らしい名をつけたものだな」

 

「あはは……。ソーデスネ」

 

 能天気で今でもバカップルな両親を思い出す綱吉。

 ある程度、反抗期から脱したとはいえ、今だに苦手な父親の顔に微妙な表情を浮かべた。

 

「ところで綱吉くん。今日の寝床はどうするんだ?」

 

「ね…寝床……?あっ!!」

 

 そう綱吉は博麗の巫女が戻るまでは、綱吉は金無し宿無しの身である。野宿など魑魅魍魎が跋扈する、この幻想郷において自殺行為でしかない。

 それを今になって気がついたのか。綱吉はわたわたと慌て始めた。

 

「そ、そうじゃん……。俺、今日寝るところないじゃん!どうしよー!?野宿なんてしたら、絶対死んじゃうし!!」

 

「い、いや、野宿なんてさせないから、安心してくれ」

 

 冷や汗を流し、その特徴的なふわふわツンツンヘアーを両手で掻きむしる綱吉に若干引きながらも慧音は宥めようとする。

 すると、綱吉は「ほへ……?」と呆けた表情を浮かべた。

 

「もう日が暮れる。今日はここに泊まっていくと良い」

 

「えっ?良いんですか?」

 

 戸惑う綱吉に対し、慧音は穏やかな表情で頷く。

 

「ああ。ちょうど布団もあるからな。流石に宿もなしに追い出したりはしないさ」

 

「あ……ありがとうございます…」

 

 綱吉は感動のあまり泣きそうになる。いや、本人が変な見栄で踏ん張ってはいるが、その目は確かに赤く、そして潤んでいた。

 ひとまず安心する綱吉であったが、対しては慧音は「ただ……」と何か悩むような顔で呟いた。

 

「……?どうしたんですか?」

 

「いや……。ゆっくり一日くらい休んでもらいたいところなんだが、明日の午前中は少しばかり騒がしくなるかもしれないから、それだけは言っておきたくてな」

 

「はぁ……。泊めてもらうんですし、それくらい全然。何かあるんですか?」

 

 実家の騒がしさに比べれば、全然大丈夫であろう。綱吉はそんな風に考えていた。

 そして、綱吉が軽い世間話くらいの感覚で尋ねると、慧音は少し苦笑いしながら言った。

 

「明日は授業の日だからな。沢山の里の子供達が来るんだ」

 

「え…?授業?子供って………。もしかしてここって――」

 

 綱吉がここがどういう場所なのかに気がつくと、慧音は思い出したかのように口を開いた。

 

「そうだった。言っていなかったな…」

 

 慧音は穏やかに、それでいて誇らしげに語る。

 

「ここは幻想郷唯一の学校(寺子屋)で……私はここで()()をしているんだ」

 

 綱吉はこの時、「つくづく自分は教師と縁があるんだな…」と、そう思ったという。

 

 

 

 

 

 




こんばんは味噌漬けです。
今日もご愛読ありがとうございます。何とか投稿出来ました。引越し忙しすぎるんや。

さて、今回もキャラ紹介載せておきます。ちなみに東方キャラの死ぬ気の炎の属性はあくまでも“もしも使えたら”の話なのでよろしくお願いします。
REBORNのネタバレが嫌やと言う方はお気をつけください。

【上白石慧音】
 年齢不詳 
 種族…半人半獣
 能力…歴史を食べる(隠す)程度の能力(人間時)
 属性…霧

 人里の守護者にして寺子屋の教師。
 里の近辺を哨戒中、大きな声で助けを求める小動物(綱吉)を救助、および保護する。咄嗟に吹っ飛ばしてしまった相手がルーミアだと気づいた後は罪悪感か何かか、冷や汗を掻いてしまった。。多分、後で酒や飯を奢ることになるだろう。
 綱吉が出会った中でも珍しい“まともな大人”であり、10年後草壁さんやディーノさん(部下あり)なみに頼れる大人としてカテゴライズされている。
 多分ヒロインにはならない。

【ルーミア】
 年齢不詳 
 種族…常闇妖怪
 能力…闇を操る程度の能力
 属性…霧→夜

 腹ごなしに綱吉を追いかけ回していた雑食系女子。
 慧音に吹っ飛ばされたが、本人も暇つぶしのつもりだったため特に気にしていない。でも、いつか慧音に酒と飯を奢らせるだろう。ちなみに寺子屋の生徒でもあるため、綱吉の再会フラグもばっちし用意されている。
 個人的に特に得体の知れない妖怪の一人で、覚醒したらきっと死ぬ気の炎が夜属性に変貌するくらいは余裕だと思ってる。

【沢田綱吉】
 年齢16歳 
 属性…大空

 今回、妖怪に追いかけ回されていた哀れな小動物。
 慧音に対してはちゃんとした大人としての対応に感動すらしている。
 一応、慧音が純粋な人間ではないことは何となく感じ取ったが、知り合いに恐竜人間とか蛾人間とかいるし、別に今更やんと特に気にしていない。

『自問自答コーナー』
・なんで綱吉はルーミアと戦わなかったの?
ーーーー綱吉は他の誰かがいるなら戦うけど、そうじゃないなら基本的に逃げを選びます。ヘタレなので。後、見た目年齢ランボな女の子をぶちのめすツナなんて書きたくない。

・なんで最初に本格的に絡んだのが慧音なの?
ーーーーむしろ、真っ先に思いついたのがこのコンビ。やっぱり綱吉と最初に会わせるなら教師だと思うんですよ。家庭“教師”ヒットマンREBORN!ですからね。言うならば、【寺子屋教師ガーディアンKEINE!】といったところでしょうか笑 ……うん。怒られそう。
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