ロスト・ザ・ブラッド   作:抜剣餅

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聖者の右腕 Ⅲ

 

 

 絃神島 西地区

 

「蘭花攻魔管ここが5人目の被害者の現場です」

 

 警察の案内で現在は立ち入りが制限されている区域へ入り現場を目にする。

 

 そして、辺りを一瞥してみるだけでも得られる情報は多くあった。

 

「なるほどですね……被害者は獣人で帰りの途中に何者かに襲われて現在も意識が不明ですか……概ね先にいただいた資料通りですね」

 

 地面に手を触れながら警察管への確認を行う。

 

「はい、概ねの情報は南宮攻魔管に送った情報と同じです」

 

「なるほど……」

 

 警察官の話を聞き現在は自分の目で確認しながら一つの仮説を立てる。

 

 まず、現場となったこの場所は犯行時刻の夜は人通りが極端に減る場所であるためほとんどの事件では目撃情報も少ない。

 

 そして、数少ない目撃情報でも白くて、でかい何かが見えただの曖昧な情報が多かった。

 

 だが、実際に現場に赴いて犯人によって破壊された残骸に触ってみると微かだが、まだ魔力の残滓が残っていた。

 

 その魔力の残滓は、かなり濃密なモノで濃いモノだった。そして、そこから導き出せる答え……

 

「恐らく、一番可能性が高いモノで眷獣による攻撃が可能性が高いか……」

 

 目撃情報、そして高密度の魔力の残滓、破壊の規模、そして獣人ですら意識不明になってしまう攻撃となるとかなり絞られる。

 

 その中で一番可能性が高いモノが“吸血鬼の眷獣”だ。

 

 少し考え込む蘭花に捜査官の一人が……

 

「やはり、蘭花攻魔管も同じ結論ですか?」

 

「そうですね、現状の情報だけでは私も南宮攻魔管と同じ結論です」

 

「分かりました。では、当初の予定通り私たちは吸血鬼が今回の件に関わっていると考えて捜査を行います」

 

「ええ、そちらはお任せします」

 

 捜査官にこの場は任せて僕は空間制御術式でその場を後にする。

 

「それにしても警察の前では言わなかったけど今回の事件、本当に吸血鬼なんですかねぇ〜?」

 

 警察の前ではああは言ったかがあの場所には魔力の他に“血”の臭いがした。しかし、それは吸血鬼特有のものではなく。そう例えるなら薬品などの臭いが強く残っていたのだ。

 

 本来、吸血鬼の血はその血自体が魔力を帯びており昔は吸血鬼を生贄にして大規模な魔術の核に使われることもよくあった。

 

 その為、吸血鬼の血は獣人などではその特有の嗅覚から吸血鬼の中にいる“血の記憶”そう“眷獣”を見分け吸血鬼だと見分けれる特有の獣人もいる聞く。 

 

 しかし、蘭花自身は特殊な嗅覚がないので今回使用したのは血に残る魔力の残滓から魔力を測定しその魔力を人一人分に置き換えて、予測的に数値を出した結果の判断なのだ。 

 

 たが、血の匂いに関しては僕、自身が同種であるからこそ気づけたのだが……だからこそ疑問がある。魔力自体は濃密な物ではあるのだか、その血の、匂いが吸血鬼の物とは異なる。だからこそ今回の件が吸血鬼によるモノなのかな……それとも別の眷獣にすら匹敵する何者かによる犯行なのかそれを確かめる必要がある。

 

「とりあえず、犯人の行動パターンから次に襲撃が予測される場所を3パターンまでには絞ることが出来たけどさぁ〜これは、しらみつぶしに夜に出向くしか無いかなぁ……全くこんなに可愛いい蘭花ちゃんを酷使する人だにはお仕置きレパートリーのフルコースだよ〜」

 

 蘭花は黒い笑みを浮かべながら、まだ見ぬ犯人に笑みを零していた。

 

 同時刻、暁古城から獅子王機関について聞かれた那月は再び不機嫌になるのであった。

 

 その後、那月に獅子王機関の話しを聞いた古城は昨日の少女の財布を届けようとしたところ、色々とありその少女とハンバーガーショップで話しをすることになった。

 

 

 

 

 ハンバーガーショップ

 

 

 

 全くなんだってんだ。と古城は少女の話……いや姫柊の話しを聞き心底、理不尽だなとテーブルに手を付き溜息をついていた。

 

 アイツ……先代の第四真祖アブローラのこの力を押しつけられて、今までと同じ生活が出来ないとは覚悟していたが、まさか自身の存在が戦争やテロと同じ扱いで、姫柊はその為に獅子王機関という魔導テロなどを防ぐ特務機関から監視役として送り込まれたなんてな。

 

 まぁ、まさか姫柊も俺が本来の第四真祖……力を引き継いでいることには驚いていたな。

 

 先ほどの会話を振り返っていると。

 

「先輩? 聞いているんですか先輩」

 

「あ、ああすまん。ぼーとしてた」

 

 姫柊の声に俺はハッとした。

 

「それでですね……先輩、先輩が第四真祖になった経緯は分かったのですが一つ質問が」

 

「おう、なんだ?」

 

「昨日の先輩と一緒に親しそうに手を組んで居た方は先輩が第四真祖だと知っているんですか?」

 

 姫柊の質問に一瞬、考え込んだが話の意味が分かったので答えた。だが何故だろうかの彼女の質問の仕方に何か違和感を覚えてしまった。

 

「あー、それって蘭花の事か? 確かにアイツも俺の正体を知ってるけどどうしたんだ?」

 

「えっとですね、その……」

 

 すると姫柊は言いにくそうに恐る恐る声を出した。

 

「そ、その蘭花さんと言うのはせ、先輩の彼女さんですか? それとも血の伴侶なのですか?」

 

「い、一応、私は先輩の監視役なので先輩の周りの状況は把握しておかねばならないので」

 

 俺は一瞬、姫柊の言葉の意味が分からなかった。嫌、意味は分かっていたがそれを本能的に理解したくなかったのだ。

 

 そして、その意味を理解した瞬間……俺は勢いよく立ち上がった。

 

「……んな訳あるか!!」

 

「ち、違うんですか!? だ、だってあんなに男女が抱き合っているなんて……伴侶じゃ無いんですか?」

 

「いや、普通の人間ではあるんだけど! そもそもアイツは男だ!」

 

 俺の抗議に姫柊は驚愕の表情をしていた。

 

「え、え? 男の人、せ、先輩、隠したいのは分からなくも無いんですが流石にその嘘には無理が……」

 

「だから違うぅ!?」

 

 俺は姫柊に必死に説明し誤解を解こうとする。このままでは俺は男の後輩に手を出しているヤバい奴認定の烙印を押されかねない。

 

「違うよね~僕と暁先輩は伴侶じゃ無くて、人間と吸血鬼そう! 種族を超えた愛を誓った中なのさ!」

 

「そうそう、俺と蘭花は愛を誓っt……ん?」

 

 流れるように話しに混ざってきた赤髪の少女のような少年の言葉に危うく、頷きかけるが直ぐにその違和感に気付く。

 

「おい、なんでここに居るんだ蘭花?」

 

「そりゃ~古城くん居るところに蘭花ちゃんアリですよ~!」

 

 ドヤ顔をしながら得意げに話す蘭花に古城は頭を痛めていて、そして雪菜は少し顔を赤くしていた。

 

「や、やっぱり先輩、そ、そこの方とは恋仲」

 

「だーから! 違うって言ってんだろ!?」

 

「やーん! 暁先輩! 僕のこと捨てる気なんですか!? ひどい……僕こんなに先輩に尽くしてるのに……グスン」

 

「先輩なに泣かせてるんですか!?」

 

 一部始終見ていた雪菜は蘭花のウソ泣きを信じてしまい古城を叱る。

 

「……勘弁してくれ」

 

 諦めるように古城は天井を見上げてつぶやいた。

 

 

 

 

 ……数分後

 

 

「まぁ~そうゆう事でご紹介に預かりました南宮蘭花ちゃんでーす!」

 

「ま、まさか本当に男の子だったなんて」

 

 しばらく、古城が必死に説得し、蘭花自身も男であることを認めたので驚きのあまりしばらくフリーズしていたが雪菜は少し納得できない箇所もあったのだろうが渋々納得した様子だった。

 

「こほん……それであなたは何者ですか?」

 

 咳ばらいをし、少し警戒した様子で蘭花を雪菜は視線を向ける。

 

「そうだねぇ~第四真祖の愛人っていうジョークはもう効かないだろうし真面目に答えようか」

 

 いつものふざけた雰囲気から真面目な口調に変える。

 

「初めまして獅子王機関の剣巫、国家攻魔管の南宮蘭花ちゃんだよ〜君とは同業者になるのかな?」

 

「なぜ、国家攻魔管のあなたが第四真祖のそばに?」

 

 ‘国家攻魔管’その言葉を聞いた瞬間、雪菜は警戒の表情を強めていた。

 

「そりゃ、古城君とは同じ学校の生徒だからだけど?」

 

「……え?」

 

 雪菜の少し間の抜けた声が聞こえてきた。

 

 うん、かわいい!! Σb( `・ω・´)グッ

 

 

【説明中】

 

「なるほど、あなたが暁先輩……第四真祖とご学友であるのはわかりました。ですが何故、国家攻魔管であるあなたが何故暁古城の傍に? 先ほどの戦闘時と今の状況を考えて彼が第四真祖であることを知っているはずですね?」

 

 雪菜は疑問の目から訝しむように目を細め睨んでいる。

 

「うん、その通り!」

 

「では、単刀直入に聞きますがあなたの目的は何ですか?」

 

「そうだね~獅子王機関の剣巫なら検討はついてるんじゃない? この魔族的知識ゼロのお馬鹿でかわいい古城君が一人で吸血鬼だとバレずに生活できると思う?」

 

「誰がバカだ!」

 

 古城は蘭花の発言にツッコミを入れるが、蘭花のことがに雪菜は考え込む。

 

「(確かに……魔族的、魔術的な知識がない暁先輩がここまで正体がバレてないのはおかしい……そうなれば誰かが隠蔽していると考えるのが普通)」

 

 雪菜はその考えに行き着いた瞬間、目の前の攻魔管に対して警戒を強めるた。

 

 だが、蘭花はそのことを一切気に留めることはなく会話を続けた。

 

「まぁ、別段そこまで難しく考える必要はないと思うよ? 簡単に言えば僕の役割は古城君の監視役だから」

 

「そうですか、監視役ですか……では次に私が言うこともわかりますね?」

 

「わからなくもないよ? こう言いたいんでしょ『手を退け』って、まぁ断るけどね~」

 

「な! ……蘭花さんあなたも攻魔管であるならばわかるはずですが? 絃神島は日本政府が運営していることを、そして、獅子王機関は政府の国家公安委員会の特務機関この意味が分かりますね?」

 

 そう、彼女は間違ったことは言っていない、確かに国家攻魔管であるならば獅子王機関が政府の命令で動いているなら、おとなしく命令を聞くのが正しいのだろうだが……

 

「だけど、こっちも攻魔管なんでね、そうそうはいそうですか! って簡単にいかないのさ」

 

 お互いに退かず、二人の空気は何処かギスギスしたものになっていた。

 

「お、おい、蘭花も姫柊もその辺にしとけよ、何だかわからねえけど流石にこれ以上は店にも迷惑がかかるだろ」

 

 二人の空気に耐えかねて古城は二人の仲裁に入った。

 

「そうだね~これ以上揉めるのは蘭花ちゃん的にもNGだから、ここはこのくらいにしておきましょうか」

 

 蘭花は先ほどの空気とは言って変わって人懐っこい雰囲気になると古城が食べかけていたハンバーガーにかぶりついた。

 

「あ! お前! それ俺のハンバーガーだろ!?」

 

「えへへ〜おいしぃ〜! 古城くんの食べかけもーらい〜」

 

 突然、かぶりついたので古城は戸惑ったが、蘭花はもぐもぐとハンバーガーを食べていた。

 

「それじゃーねぇ~古城くん雪菜ちゃん!」

 

 別れの言葉を伝えると古城の目の前に紫の魔法陣が現れると、その瞬間、蘭花の姿がこの場より消えた。

 

「空間制御術式……あれほどの高度な術式を何故あんなに簡単に……」

 

 突如、魔術を行使した蘭花に雪菜は驚きと警戒が混ざった声を上げていたが古城は“やれやれ”と見慣れてたあきれて声を上げていた。

 

「まったく、あいつ無事なのか?」

 

「暁先輩それはどうゆうことですか?」

 

 雪菜は古城の言葉の意味ができていなかったのか古城に聞き返した。

 

「ああ、蘭花あいつは────」

 

 

 

 

 

 

 涼しい風が吹き抜ける。見えるのはこの町の一望、もし同じ光景を見るならおそらく同じことを言うだろう。

 

 ”絶 景”

 

「きれいですね~」

 

 電波塔に救が引っ掛かり吊るされたようになった状態の蘭花が答える

 

「今日こそはうまくいくと思ったんですけどね……」

 

 

 

「那月ちゃん!? 助けてええええ!!」

 

 

 

 

 そう、この男の娘、空間制御が絶望的に下手なのである。

 

 

 

 

 

 ??? side

 

 

「──―遊んでくれませんか。私たちと」

 

 藍色の髪の、瞳が薄い水色でケープコートで覆っているが下には何もつけていない、小柄な少女が二人の若い吸血鬼に声をかける。

 

「なんだ、オイ? こんなところで男漁りかよ?」

 

「ちっ……まだガキじゃねえか」

 

 そして男たちは小柄な少女に近づくがそれは迂闊な判断だったのだろう。

 

 

 

 、

 暫くして辺りには静寂がもたらされた。先ほどまで声を上げていた男たちはボロボロな姿となり、獣人の男は意識を失っていた。そして男の眷獣は白い巨大な腕にとらわれていた。

 

 その灰白な腕は藍色の髪の少女から伸びており少女は無表情でこちらを見ていた。

 

 男はありえないと絶望していたが少女の隣にいた金属製の鎧を纏い半月斧うをその手に持つ屈強な男が一歩こちらへ踏み出した。

 

「殺す価値もない者たちですが、放っていてもいずれこの島とともに滅びる身。ロドダクテュロスの腹の足しくらいにはなるでしょう。アスタルテ、彼らに慈悲を」

 

「──―命令受諾(アクセプト)

 

 そして、その夜、アイランド・ウエストに男の絶叫が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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