転生者のNobleza Obligación   作:飛翔するシカバネ

3 / 6
アーロニーロ・アルルエリ

 

 

ケイを喰らった後の人生はそれほどのことは無かった。

 

遺言通り俺は生きた。

そして死んだ。

 

ルピだけでなく、旅をしていくうちに仲間ができた。

時には喰らい、時には埋めながら。

 

死後どうするかは本人の意思に委ねた。

俺と一部になるものは結構少なかった。

一緒になっても名前は今のままで増やさないでほしいっていうのが喰われたものの総意だった。

 

どうやらそれ以上に似合っている名前はなく、それが一番しっくりくるとのこと。

俺自身もアーロニーロ・アルルエリは気に入っている。

 

そうして減っては増えてを繰り返し、俺はようやく死ぬらしい。

しかし、俺はまだ死なない。

 

正確には死んでも消えない。

俺には未練でいっぱいだ。

まだ欲望を満たしておらず、世界を支配してもいない。

そしてケイが残した記憶には世界を手にする方法が記されていた。

 

だから俺は死んでも死なない。

 

 

そう思いながら死んだ。

 

 

 

目を覚ますと砂漠で歩いていた。

ケイの記憶では蛸のような姿をしていたと思うが今の俺は普通の人間だった。

髪は灰色に染まり、紫の瞳は砂だらけの夜の世界を眺めていた。

 

両の手には口がついている。

()()()()のように。

 

自分の顔に口。そして二人の口がここにあるのだろう。

仲間もいたが、名前までに深く刻まれているのはあの二人だ。

 

 

「こんばんわ。良い夜だね」

 

そう背後から声をかけられる。

そこにはメガネをかけた死神がいた。

側には銀髪で糸目の男の子がいた。

 

藍染惣右介と市丸ギン。

 

「何かようかな?」

 

「君は襲いかかって来ないんだね」

 

「そりゃ、やる必要もないからな。というか聞いた理由はそれじゃないだろ?」

 

「ああ。私は藍染惣右介。今私は仲間を募っていてね。よければ僕らの仲間にならないかい?そうすれば君をあらゆる痛みから解放させてあげるよ」

 

きっとこの言葉には偽りはないのだろう。

もしも俺があの時に二人で檻で死んでいれば俺たちは痛みへの解放を願っただろう。

そして奥底に確かに痛みに対する嫌悪感は残っている。

痛いのは嫌だからな。

 

「解放はいい。この痛みは俺のものだ。俺のものは誰にも渡す気は無い」

 

「そうかい」

 

市丸ギンが斬魄刀に手をかける。

断った俺を切ろうとするのだろう。

しかし、既にその斬魄刀は知っている。

 

その前に首を掴み上げ、力を軽く入れる。

しかし、入れ切る前に藍染惣右介の持つ斬魄刀が喉元に当たる。

それを見て、俺は市丸ギンの喉元から手を離す。

重力に従い、市丸ギンは地面へと落下する。

 

「殺気を感じたのでな。行動に出る前に手を出させてもらった」

 

「構わないよ。未熟なギンの落ち度だ。それに君は断っていない」

 

「アレ?そうなん?」

 

ゲホゲホと軽く咳をしてから市丸ギンも反応する。

 

「ああ。あらゆる痛みからの解放など望んではいない。あらゆる痛みは俺のものだ。俺のものを勝手に解放されるのは困る」

 

「困る。ふふ、そうだね。それで君は何が欲しいんだい?」

 

「俺は全て欲しい」

 

「全て?」

 

「金も地位も女も名誉も力も世界も神も。全てが欲しい。そしてそれを手に入れる過程も全て俺のものだ」

 

「ならば、力を与えよう。他のものは君が自分で手に入れるのだろう。ならばそうすればいい。先ほど手を止めたのを見るに君はまだ私には勝てないことを悟っているようだからね」

 

「ああ、俺はまだ貴方には勝てない」

 

「ならば力を与えよう。君が強くなる一歩になるはずだよ」

 

「だろうな。俺は貴方に勝てるまでの間だけ貴方に仕えよう」

 

 

そう言って俺は首を垂れた。

俺たちと同じく、泥から脱却しようとし、天に立とうと足掻く男に敬意を表し。

 

 

 

「さて、それでは向かおうか。いまだ建設途中だが、君もきっと気にいると思うよ」

 

虚夜宮(ラスノーチェス)か。

今はまだバラガン殿が支配しているはずだから、青空死んでんだろうな。

 

「そう言えば君の名を聞いていなかったな」

 

思い出したかのようにこちらに向き直る。

 

 

「君の名前を教えてはくれまいか?」

 

 

 

俺たち(僕たち)はアーロニーロ・アルルエリ、だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






リメイクなのもあるので生前の話は一気に3話更新致しました。
次回からお楽しみください〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。