転生者のNobleza Obligación 作:飛翔するシカバネ
廊下を進む。
すれ違う破面を見かけるが、ある程度の霊圧を出すことでみくびられることはない。
ある程度人の姿をしているのを見て、兵隊はそれなりに揃っているのがわかる。
まだ
俺の着ている服装は装飾や布面積やら何かと多い。
まだ物資が少ない虚圏では、こういった贅沢はできていないようで周りの破面は布面積も少ない。
関係なく、布面積を減らす者もいるだろうが、俺はそこまで動かないからな。
それ以前に新参も含めて他の破面に関わりたくないという気配も感じるがな。
しかし、あるところを超えてから、肩を掴まれ動きを阻害される。
死闘は一応禁止されている。
理由は兵力がまだ少ないから。
どんなに弱くとも雑兵は戦争では重要な役目だ。
現状は減らしたくはないのだろう。
そんな命令違反を犯してでも止めると言う意思を肩を掴む破面から感じる。
「なんだ?」
「ここから先はさるお方の部屋だ。藍染様とお付きの二人以外は入室は許可されていない」
「相変わらずだな。殺しはしないが、邪魔するなら押し通るぞ」
そう言って足を踏み出す。
その瞬間に頬を思いっきり殴られる。
しかし、振り抜くことは破面にはできなかった。
そして気がつけば意識を失っていた。
「ガラキバがやられた!止めろ!陛下の御前だ!!!」
「全員でかかってきてもいいぞ」
その言葉を皮切りには面が襲いかかってくる。
しかし、いなし、一撃で意識を刈り取る。
派手に投げればせっかくの作っている最中の虚夜宮が壊れる。
いなす際も床にぶつければ壊れるためにあくまで攻撃した本人に返してやる。
そこで四人の攻撃が来る。
「シャルロッテ様!セラヴィム様!アビラマ様!ミドロ様!」
切り掛かる瞬間に服の隙間から触手が伸び、それぞれの刀に絡みつく。
「あら?貴方……」
攻撃してきた長髪長身女言葉の男はこちらの顔を見て何かに気が付く。
「久しぶり……だが戦闘中だ。受けてもらうぞ」
デコピンのようにして全員のデコを弾く。
痛みを感じ気が緩んだ瞬間に顎に一撃ずついれ、意識を飛ばす。
一人だけ、体を逸らすことで顎の攻撃を躱す。
流石に古参は伊達ではないな。
「いたいわね。相変わらず強すぎよ、アーロニーロ」
「久しぶりだな、シャル。相変わらず元気そうで良かったよ。この分だと陛下もご健在のようで……」
「ええ、奥にいるわ」
「約定に基づき、参上した。試しはまだ必要か?」
「いらないわ。というより、ここにきた時点で貴方が来るのを陛下は待っていらしたわよ。着いてきなさい」
そう言ってシャルロッテ・クールホーンは髪を翻し、奥へと歩いていく。
その際に打ちのめされた他3人を蹴り起こしている。
「シャル。他の奴らは?」
「アビラマが新参よ。他はジオとフィンドール、ガンテンバインを除いていないわ。あとは育てている中にニルゲ・パルドゥックとチーノン・ポウがいるわ」
「そうか」
奥へと通される。
そこには玉座に座り込む老齢の男性がいた。
バラガン・ルイゼンバーン
藍染惣右介隊がやってくるまで自称虚圏の王を名乗っていた。
その全土を支配できていたかを問うと答えることはできないが、その力は
その覇気は未だ衰えておらず、大帝の異名に違わぬ霊圧を放っている。
「久しいな、アーロニーロ」
「ご健勝そうで何よりでございます、陛下。此度は約定に基づきバラガン様の目の届く範囲に寄りましたので顔を出させていただきました」
「ワシの目が届くか……」
「此度は誠に残念です。必ずやまた訪れると言いましたが、このような事態になるとは」
「フンっ。ワシは敗北した。ボスが下につけと命令したのだ。そのように遜る必要はない」
「それでもあの時貴方に感じた覇王の気配。それが衰えていない限り僕は貴方を陛下とお呼びします」
「貴様は未だにあの約定を果たすつもりか?」
「陛下の王権が藍染惣右介により、揺らいだ今は何か変革の時……その際は約定を果たさせていただきます」
「何が来ようともワシは変わらん。貴様らが朽ちていくだけだ」
「いや、藍染に負けてんやん」
「ケイ!貴様!!!」
「あ、ごめん!結構気にしてた!?とりあえず、俺も仕事があるからゆっくりはできないけど、これ……」
そう言って懐からワインのようなものを取り出す。
それをシャルロッテに渡す。
「じゃあ!また後でゆっくり話しましょうやー!!!」
それだけ言い残し、部屋を出て走り去っていった。
玉座の間に入ってくる他の破面とは違う幹部クラスにも見える破面。
そのうちの3人はおでこと顎を赤くしている。
シャルロッテはなぜか完治している。
「な、なんですか。あの不敬なやつは……」
「彼はアーロニーロ・アルルエリ。はるか昔にバラガン様の試練を超えた勇士よ」
シャルロッテはワインの栓を抜き、グラスに注ぐ。
「100毎に律儀なやつじゃ」
バラガンはグラスを呷り、飲み込む。
「今回は不作かギリアンですね」
アーロニーロの得た力の中に名称は聞き出せずに食い殺したギリアンがいた。
その力は対象を体内に捕獲することで溶かし、酒にすること。
中国神話の紅瓢のようなその力でアーロニーロは体内でギリアンを喰い、その霊圧を酒にしてバラガンに毎回送っていた。
血さえも枯れているはずの虚から漏れ出る赤い酒は悠久にも等しい退屈な時間を癒す貴重な娯楽だった。
「……ワシは………」
バラガンは窓から虚夜宮の外を眺め、夜と月を見る。
本来であればバラガンの居城はあの空が天井であるはずなのに。
バラガンは弱くなったわけではない。
過去を知るシャルロッテは変わったと感じていた。
しかし、気持ちを切り替え、他の破面の尻を叩く。
自身が仕えるのは藍染惣右介でなく、変わらずこのお方なのだから。
「それよりも陛下の駒である貴方たちがあの程度でのされてんじゃないわよ!!!今日はこれからまた扱いていくわよ!!!」
次回 ザエルアポロ