東方のシェフ   作:多聞丸

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レミリアの誘いを断ったケン。そこでレミリアはケンに十六夜咲夜との洋菓子対決を申し込む。はたして勝者はどちらか…。


#9 紅魔館洋菓子対決

ー霧の湖ー

ケンが咲夜との洋菓子対決のために与えられた準備期間は1週間。お題は洋菓子、その後に果物を使った洋菓子であることが追加された。その頃ケンは霧の湖に来ていた。

 

チルノ「お、ケンだ。またお菓子作ってきてくれたのか?」

ケン「はい、琥珀糖です」

チルノ「キラキラしてる…」

大妖精「ケンさん、すいません…」

ケン「いえ、氷を作ってもらっているお礼です」

チルノ「ふふふ…あたいったら最強だからね!氷なんて幾らでも作れちゃうよ」

大妖精「このお菓子、皆に分けても良いですか?」

ケン「はい、仲良く食べてください」

チルノ「ありがとな〜」

妹紅「ケン、勝負まで時間が無いのにどうするの」

ケン「そうですね…材料は粗方揃いましたが…一つだけ足りませんね…」

妹紅「…それって幻想郷で手に入らないやつ?」

ケン「作れなくはないですが難しいかと…」

 

隙間が開く

 

紫「あらケン。あなた紅魔館のメイドと料理対決をするそうね」

ケン「紫さん」

紫「そんなに悩んだ顔をしてどうしたのかしら?」

ケン「…紫さん。ひとつ外の世界から取ってきて欲しいものがあるのですが大丈夫でしょうか?」

紫「何かしら?」

ケン「琉球焼酎とみかんです」

 

ー当日、紅魔館ー

レミリア「両方とも準備は出来たかしら?」

ケン「はい、大丈夫です」

咲夜「お嬢様、いつでもいけます」

レミリア「フフフ…それじゃあ…始めましょうか」

レミリア「これより紅魔館洋菓子対決を始める!始め!!」

 

両者一斉に準備に取り掛かった。

 

ー審査員席ー

魔理沙「本を借りに来て捕まったと思ったら面白いものに出会えたもんだぜ」

アリス「魔理沙…盗むんじゃなくて普通に借りなさいよ…。まあでもケンの菓子作りには興味はあるわね…」

美鈴「いや~咲夜さんのお菓子が食べられるなんて…向こうの外来人の方の料理も気になりますね〜」

パチュリー「…この勝負、咲夜は分かってるとしてあのケンという男…あの男の実力が気になるわね…」

フラン「お菓子?昨夜がいつも作ってくれるお菓子とは違うのかな?」

レミリア(…この対決が始まる前、ケンの運命を見てみた。ケンが作ろうとしてるのは…)

 

ーケンsideー

ケン「よし、季節のタルトを作ろう」

妹紅「た…?なんだって?」

ケン「ケーキの一種です。サクサクのタルト生地の上にクリームや果物を乗せたフルーツです。それに必要なのがこの自家製麺グランマニエです」

妹紅「それって外からのお酒を漬け込んでいた…」

ケン「はい、洗ったミカンを漬け込んだオレンジリキュールです。度数の低いとあまりいい香りが出にくいのですが…うん、これはよく出てる…」

妹紅「???」

 

レミリア『始め!!』

 

ケン(早く始めよう。作る時間が遅ければ印象が悪くなる…)

ケン(そういえば相手はどんなものを…)チラッ…

咲夜「…」←タルレット

ケン(なっ?!)

ケン(もうタルレットが置いてある?!)

咲夜(これがお嬢様の策…)

 

ー前夜ー

レミリア「咲夜、明日はタルトを作りなさい」

咲夜「そ…それは構いませんがなぜタルトを…」

レミリア「ケンの運命を読んでみた。ケンは明日、タルトで勝負する」

咲夜「…つまり…」

レミリア「ええ、彼が料理を作る前に料理を作り終えてしまう…。これだけでも相手にとってかなりのプレッシャーになるわ」

咲夜「…しかし…それでは…」

レミリア「咲夜、数日前ケンが湖の辺で誰と出会っていたか分かる?」

咲夜「…いえ…」

レミリア「八雲紫よ」

咲夜「あの妖怪の賢者ですか!」

レミリア「恐らく幻想郷にはない物を取りに行ったのでしょう。それではこちらがあまりに不利。私たちが勝つにはケンよりも早くものを作るしかない」

 

ー現在ー

レミリア『だから必ず、タルトをケンよりも早く作り上げなさい』

咲夜(昨日のうちにタルレット、カスタードクリームを作り上げておいてよかった…。これで向こうより早く作業を終えることが出来る…)

ケン(まずい…向こうと同じものが出来上がったら後にできた方が印象が悪くなる…今あるもので短時間でできるものを考えなければ…!!)顎に手を当て

妹紅(ケン、どうするの…向こうはもう完成間近だよ…)

 

ー審査員席ー

魔理沙「なんだ?ケンのやつ動かないぞ?」

アリス「咲夜の方はもう完成間近ね…」

レミリア(さあ…どうするのかしら?)

咲夜「紅魔館、お菓子が完成したわ」

パチュリー(なるほど…予め用意しておいてすぐ盛り付け…これなら相手より早く用意することが出来る)

咲夜「季節のフルーツタルトよ。ブドウ、ブルーベリー、マスカット、パイナップル…。今日採れたての果物をそれぞれ別のタルレットに載せたものよ」

魔理沙「お~…じゃあ早速頂くぜ」サクッ…

魔理沙「! 美味いのぜ!甘酸っぱいフルーツとカスタードクリームって言ってたか?の甘さが口に広がるのぜ」

アリス「うん、確かに美味しいわね」

美鈴「ん~…!美味しいですね~」

咲夜(反応は上々…と言ったところかしら?)

 

ーケンsideー

妹紅「ケン…」

 

その時、妹紅の汗が用意していた桶の中に落ちて波紋ができた。

 

ケン「…!」

ケン「妹紅さん、チルノさんからもらった氷に塩をかけて牛乳、卵、砂糖をボールに入れてかき混ぜてください」

妹紅「わ…分かった!」

 

魔理沙「お?向こうも作り始めたぜ」

アリス「何を作るのかしら?」

 

ケン(時間的にも大きな差をつけられた、こちらはただ美味しいだけでは勝てない)

ケン(ならパフォーマンスで相手を圧倒する!)

 

妹紅「ケン、これでいいかな?」

ケン「はい、それを冷凍庫に入れてください」

妹紅「了解」

ケン「さて…こちらも用意しないと…」

 

ー20分後ー

ケン「…」ジュゥゥ…

ケン「…」フウッ… ウワッ…

 

魔理沙「な…なんだぜ?あの薄い生地は?」

アリス「薄衣みたいに薄い生地ね…」

 

妹紅「ケン、これって何?」

ケン「クレープです。クレープは『波立つ』という意味があって妹紅さんの汗が桶に落ちた際、波紋が広がったことで思いつきました。助かりました、ありがとうございます」

ケン(…さっき妹紅さんに用意してもらったものも出来た…)

ケン「完成しました。献上致します」

 

レミリア「えっ?その薄いクレープ生地、それだけ?」

ケン「いえ、ここで仕上げさせてもらいます」←クレープ生地畳み

ケン「…」←蜜柑の皮むき

ケン「妹紅さん、温めておいたグランマニエを」

妹紅「うん」

咲夜(何が始まるのかしら…)

 

ケンは温めたグランマニエを皮が剥かれたみかんの上に垂らし、そのままクレープ生地の上に落とした。

 

咲夜(…!クレープシュゼット…!!)

審査員「?!?!?!」

咲夜(本で読んだことがある…あの料理は目の前で作るため五感の全てを刺激する…!!作る工程さえパフォーマンスに彼はした手上げた…!!)

咲夜(さっき言っていたグランマニエが無かったから作れなかった料理…お嬢様達だって食べたことがないはず…)

ケン「即席の蜜柑の皮の甘露煮と蜜柑の実を使ったアイスクリームを載せて完成です」

咲夜(そうか…紅魔館は窓が少ない…だから少し室内にしては湿度が高い…それに日光も余り当たらないから蒸し暑い。暖かいスイーツと冷たいスイーツを合わせた融合性…そこまで見越して…)

 

魔理沙「ん~!!うめーぜ!!芳醇な蜜柑の生地が口いっぱいに広がるのぜ!それにこのアイスクリームをクレープの上に乗せて食べると!」

美鈴「うん!咲夜さんのデザートも良かったけどケンさんのデザートも美味しいですね!」

レミリア(…咲夜が出せなかったスイーツを見事に出てきた…。ただ作るだけの咲夜とは違って作る過程もパフォーマンスにした…なんて男…)

フラン(美味しい♪こんなに美味しい料理は初めてかも)

 

ーその後ー

レミリア「…四対二でケンの勝利よ」(ケンに魔理沙、アリス、美鈴、フランが投票、咲夜にパチュリーとレミリアが投票した)

咲夜(…完敗…私の料理の腕もまだまだね…)

レミリア「…私の完敗よ。約束通りあなたの事は諦めるわ。それと何か希望のものはあるかしら?」

ケン「…でしたら…」

 

ー夕方ー

レミリア「気をつけて帰りなさいね」

ケン「ありがとうございます。また招待していただけたら料理を振る舞います」スタスタ…

妹紅「帰ろう、ケン」スタスタ…

レミリア「だけどケンの希望が地底へ行く時の護衛と紅魔館が育てているフルーツを使わせて欲しいだなんて。あの男は欲が無いのかしら…」ハァ…

咲夜「…お嬢様…」

レミリア「咲夜、しょうがないわよ。彼の方が1枚上手だった、それだけの事よ」

レミリア「…咲夜、ケンが地底に行く時に護衛をしなさい。その時に料理のノウハウを彼に教わりなさい。雇うことは諦めたけど料理の腕は吸収できるわ」

咲夜「…かしこました」

咲夜(…グランマニエを自力で作りだす…作る工程さえパフォーマンスにする…彼は並の料理じゃない…記憶を失っているそうだけど彼の職業は間違いなく料理人…)

咲夜(…彼を超える料理人が幻想郷に何人いるかしら…)

咲夜(…次に会った時は彼に外の料理を教えてもらおう)




#9はここまで。原作では『ようこ』との菓子対決で引き分けに持ち込んだケン。原作と同じくようこは咲夜と同じくタルトを帝に献上しています。ケンのクレープシュゼットのほぼ原作通り。原作では初冬だったため少し乗ってる水菓子が違います。紅魔館は花を育てているという設定があったため、果物も育てているだろうということで、果物を育てていることにしました(あながちパチュリーや美鈴が育てていてもおかしくないような…)。先日原作単行本、32巻を読ませて頂きました。勝頼最期の天目山の戦いは初期の勝頼とは全く別人であったことを改めて思いました。勝頼は信長のシェフの中でも好きな武将であったため、死んだことが…。

#10 で行き先を決めます。アンケートに御協力お願いします!

#22、次に行く場所は?

  • 博麗神社(新キャラ登場)
  • 守矢神社(妖怪の山)
  • 紅魔館
  • 永遠亭
  • 地霊殿(地底)
  • 妙蓮寺(新キャラ登場)
  • 魔法の森
  • 太陽の畑
  • 玄武の沢(新キャラ登場)
  • 人里
  • 妹紅とのエピソード
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