東方のシェフ   作:多聞丸

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いよいよ地底に辿り着いたケン一行。地霊殿を目指して進み続ける。


#14 地獄のカクテル

ー旧地獄、旧都ー

ガヤガヤ…

 

ケン「…人里と同じくらい賑やかですね」

咲夜「ええ、酒の臭いさえなければね…」

 

旧都は地底にあり、陽の光に当たることは無い。その代わり、店の明かりで明るい。まるで夜の繁華街である。

 

ケン「それにしても崖の上から見ましたけどかなり大きそうですね」

妖夢「地獄ですからね。昔はこれより大きかったのですが、今はかなりスリム化して、その切り捨てられた部分が今の地底となったわけです」

ケン「そういえば妹紅さんが妖怪はあまり行かないと言ってましたが…」

咲夜「八雲紫が決めたのよ。地底の怨霊を外に逃がさない代わりに地上の妖怪を地底に入れては行けないっていう条約をね。最も、その条約も曖昧になりつつあるんだけど…」

ケン(…地霊殿…霊夢さんが言ってた場所だ。話によると心が読める『覚り妖怪』がいるらしい。そこに行けば俺の記憶も蘇るのか…?)

鬼「おい、そこのお前。勝負しないか?」

早苗「ま…間に合ってま~す…」

鬼「いいだろ、こんな所に人間なんてあんまり来ないんだからよ」

ケン「すいません。地霊殿って言う場所の行き方、分かりませんか?」

鬼「…知らねぇ、他を当たれや」スタスタ…

ケン「…あれ?」

妖夢「覚り妖怪は嫌われ者なんですよ、心が読めるので。なので地底の鬼も関わり合いたくないんですよ」

ケン(…困ったな…これでは地底の中でさまようことになりそうだ…)

 

その後、何人かの鬼に地霊殿の場所を聞いてみてもやはり断られるか、そのまま去って行くだけだった。

 

ー数十分後ー

ケン(30人以上の鬼に聞いてみても無視される、去って行くばかりだ…。やはり自分達で探すしかないのか…)

ケン(もう1人だけ聞いてそれで無理なら自分で探そう…)

鬼「…おや…こんな所に人間だなんて珍しいね…。しかも女を3人も侍らせて…」

 

最後に話しかけてきたのは女の鬼だった。肩をはだけさせた着物を着ている。手には大きな杯…

 

早苗(…この鬼は…)

ケン「すいません、地霊殿という場所を知りませんか?」

?「地霊殿?知ってるよ、なんでそんな所に用があるんだい」

ケン「自分の記憶を取り戻すためです」

?「ふぅん…自分の記憶を取り戻しに地底にね…ご苦労な事だな…」

ケン(なんだろう…今まで会ってきた鬼より強い気がする…)

咲夜「…ケン、逃げるわよ」

ケン「…えっ?」

咲夜「…こいつは、星熊勇儀…『鬼の四天王』の1人よ…」

勇儀「おや…紅魔館のメイドじゃないか。私と戦おうってか?」

咲夜「…勝負する必要があるなら…」

妖夢「…」←楼観剣抜き

早苗「…」←お祓い棒装備

勇儀「いいね…」

ケン「お待ちください」

勇儀「…なんだい?」

ケン「鬼は『人間の定めた勝負で戦う』のですよね」

勇儀「…よく知ってるじゃないか」

ケン「俺は料理人です。料理で勝負してくれませんか」

勇儀「…料理で?私に料理で勝負しろというのかね?」

 

勇儀の顔色が悪くなった。

 

ケン「いえ、料理をするのは私です」

勇儀「ん?」

ケン「勝負の内容は『今まで飲んだことの無い酒を満足するまで提供する』…それでいいですか」

勇儀「…今まで飲んだ事が無い酒…ね…」

 

少し興味が出てきたようだ。

 

勇儀「…いいだろう。ただし気に入らなかったら…」

ケン「この命を渡します。その代わり勝ったら地霊殿への案内をお願いします」

勇儀「…いいだろう」ニヤ…

ケン「少し、用意をします。時間をください」

 

ー数分後ー

ケンと咲夜達が用意したテーブルの上に様々な酒と果物、植物が用意してあった。

妖夢「ケンさん…無茶ですよ…。鬼は無類の酒好きです。満足させられるわけが…」

ケン「…勇儀さんって仰ってましたか?今、どんなお酒が飲みたいですか?」

勇儀「ん?」

ケン「今から提供するのはカクテルという勇儀さんの気分に合わて作るお酒でございますれば」

勇儀「…なら爽やかな酒は作れるか」

ケン「はい、氷に薄荷(ミント)、それに炭酸日本酒…」

妖夢「ちょ…ちょっと待ってください!その炭酸…とかって言ってましたけどそれはなんですか?」

ケン「まだ発酵している途中の日本酒を荒く越したものです。それを瓶に入れて炭酸を溶け込ませたものです」

ケン「それに蜜柑の果汁…そしてミントを上に乗せて…」

ケン「炭酸日本酒のモヒート風でございます」

勇儀「…」ゴクッ…

勇儀「…確かに爽やかな酒だ。薄荷とみかんの果汁が酒に爽やかさを醸し出してるな」

早苗(お?意外に好印象ですかね?)

勇儀「なら次は柑橘系はどうだ?」

ケン「はい」

ケン「琉球焼酎のサンライズ・テキーラです」

 

ー数十分後ー

ケン「幻想郷風、ジントニックでございます」

勇儀「…はぁ…。あんた、中々いい酒を作るじゃないか」

ケン「スクリュードライバーでございます」

勇儀「…」グイッ!

妖夢「け…ケンさん…。お酒が…」

ケン(多めに持ってきたけど…もう無くなったのか…)

勇儀「…この勝負、あんたの勝ちだ」

ケン「えっ?」

勇儀「いや~…色んな味の酒が楽しめたよ。あんた、同じ酒は作らずあたしの要求に全て答えている。それにあんたは1つ1つの酒に対して命をかけて作っている。気に入った」

ケン「は…はぁ…しかしもうお酒が…」

勇儀「あんたは酒が無くなるまであたしの要求に答え続けた。あたしは満足したしね」

ケン「は…はぁ…」

勇儀「地霊殿まで案内してやる。次、地底に来た時も酒を飲ませてくれよ」

ケン「その時はまたお酒の量を増やしてから来ますね」

勇儀「ああ、楽しみにしてる」

 

ー地霊殿前ー

勇儀「ここだ」

ケン「ありがとうございます」

勇儀「あんたが何者か分かるといいな」スタスタ…

妖夢「…いよいよですね…」

咲夜「ケンが何者かわかるといいわね」

早苗「行きましょう」

ケン「はい」

 

こうして4人は地霊殿の中に入っていった。




#14はここまで。原作でもケンは上杉謙信に対してカクテルを出しているわけですが、その時に出されたのが作中でも出た『炭酸日本酒のモヒート風』と『琉球焼酎のサンライズ・テキーラ風』でした。カクテルが日本に入ってくるのは明治時代の鹿鳴館が初めてであったと言われています。カクテルは無限に種類があるので材料さえあれば組み合わせし放題ですね。それにしても原作でもスイーツ出したり、洋食を禁止された時は東洋の料理を出してますし、ケンって相当有能ですよね…。

#29の目的地は?

  • 博麗神社
  • 妖怪の山(守矢神社)
  • 魔法の森(霧雨魔法店、アリス邸、香霖堂)
  • 紅魔館
  • 霧の湖
  • 永遠亭
  • 地底(地霊殿)
  • 白玉楼
  • 太陽の畑
  • 玄武の沢
  • 命蓮寺
  • その他(コメント欄)
  • 妹紅とのエピソード
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