東方のシェフ   作:多聞丸

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ある男が竹林で一人倒れていた。彼はどこから来たのかも分からず、自分が誰であるかも記憶を失っていた。ただ料理の腕と知識、そして食材の歴史だけを残して…。


#1 目覚めし地

ープロローグー

ある男が幻想郷に流れ着いた。自分の本名も知らない、自分がどこから来たのかも知らない。ただ知っているのは料理のことだけ。彼はこの幻想郷で自分自身がどんな人物で、どんな場所から来たのか探すことにする。自分がかつて呼ばれていた『ケン』というあだ名を目印に…。

 

ー第1話、目覚めし地ー

竹林の中で男が目覚めた。男には自分はどこから来たのか分からなかった。目が覚め、気づいたら竹林の中に倒れていた…と言った所か。男にしては長髪で、ある。どこかで怪我をしたのか額を少し切っていた。

 

ケン「…ここは…どこだ…」

 

白衣をしていてエプロンがある…自分が料理人だったのか…それも分からない。ただ覚えているのは料理に関する物事とレシピのみ。

 

ケン「…ここが何処か分からなければ…」

 

男は竹林の中を歩き始めた。

 

ー?時間後ー

何時間歩き回ったか分からない。そろそろ日が落ちてくる頃である。

 

ケン(…人の住んでいる場所に行かないと)

 

近くから足音がする。しばらく経たないうちに目の前に白髪の少女が現れた。

 

?「うわ?!人の気配がすると思ったら竹林に迷い込んでいる人がいたか…自分の家まで帰れる?」

ケン「…家…?」

?「…もしかして外来人かな?私のうちに連れてってやるよ」

 

女性に導かれてケンはその女性の家に行く事になった。

 

ー?の家ー

妹紅「私の名前は藤原妹紅。この竹林で案内人をやってる。あなたの名前は?」

ケン「…名前…」

 

昔の記憶を少しずつ辿る…

 

ケン「…ケン…」

妹紅「…ケンね。さて…食事を取ろう。歩き回って疲れてるだろうし、ヤツメウナギをご馳走するよ。こいつは焼いて食べると美味いんだ…」

 

そう言おうとした時、ケンが妹紅の腕を掴んでこういった。

 

ケン「俺が料理します」

そういうと長い髪を縛り、妹紅からヤツメウナギを受け取り、鰻の頭を固定するとあっという間に伸した。

 

妹紅(ヤツメウナギを手早く開いた…この男、相当料理の腕がある…)

 

妹紅が呆気に取られている中でケンは黙々と調味料を確認していく。

 

ケン(砂糖…塩…酢…醤油…味噌…一通りの調味料はあるようだ。さっき妹紅さんの言葉を信じるなら蒲焼があって、醤油があるということは戦国期以降の時代…)

※砂糖が大衆広まったのは江戸時代。醤油は1580年代に文献に登場する。

ケン(…名前も、記憶も分からない…俺はどこで何をすればいい…)ジュゥゥ…

 

ー数十分後ー

ゴン!

妹紅「?!」サッ…

ケン「…お待たせしました」←梁に頭をぶつけている

妹紅「ケン…お前デカイな…(連れて来て私よりデカイのは分かっていたけど…)」

ケン「ひつまぶしです」

妹紅「…ひつまぶし…(幻想郷にはない料理だ…)」パクッ…

妹紅「…!美味い…!こんな料理は初めてだよ!」パクパク!

妹紅「ケンはきっとどこかで料理をしてたんじゃないかな?」

ケン(…)

妹紅「どこにも行くあてがないんでしょ?家に泊まりなよ。また明日も美味しいものを食べさせてくれよ」

 

ケンはその言葉に救われた気がした。少し下を向いて口を綻ばせた。

 

ケン「…ありがとう、妹紅さん」

妹紅「ば…バカ…。お礼を言うのはこっちだよ…」///

 

ー数日後ー

妹紅の家から漂ういい匂いが、近くの者を引き付ける…。

 

ゴン!

 

ケン「…お待たせしました。たけのこと味噌の和風グラタンです」←チーズは自力で作った

妹紅「おいおい…また…」

妖怪兎「いい匂いだ~!」

妖怪兎2「ケンが作った料理だ~!」

ケン「…一緒に食べます?」

妹紅(…永遠亭のうさぎ達も来てるし…ケンは人気だな…)

 

ー妹紅の家の付近ー

?「…ここね、謎の外来人がいるという家は…」

?「はい、目撃情報も多数寄せられてます。どうも危険な人物ではなさそうです」

?「…ふぅん…藍、面白いとは思わない?」

藍「…何がですか?」

?「幻想郷にない料理方法で外の料理を作る…彼の実力を見てみたいと思わないかしら?」

藍「…それで、どんな方法を?」

?「家に迎えて料理を作らせるわ。それも、かなりの難題の」

藍「…」

?「さあ、行きましょうか」空間が裂ける音

藍(またよからぬ事を…)

 

ー妹紅の家ー

?「いるかしら?」空間が開いた

妹紅「…この声は…」

ケン「…」

紫「はじめまして。私は八雲紫。この幻想郷を管理しているものですわ。あなたの名前は?」

ケン「…ケンです」

藍「それが本名か?にしては短いと思うが…」

妹紅「…ケンは今、記憶を無くしてるんだよ」

紫(…嘘を着いているようには見えない…)

藍「…申し遅れた。私は紫様の式の八雲藍だ。九尾の妖怪だ」

紫「…あなた、何を信じて生きているのかしら?」

ケン「…何も」

紫「家族、親友、仕事…神様や仏様…色々いるじゃない」

ケン「…あいにく記憶が無い人ばかりなので…」

紫「…」

藍(本当に記憶を失っているのか…)

紫「…そうだ、私にも1品作ってくれないかしら?こんな家より食材はあるわよ」

妹紅「こんな家で悪かったな!ケン、こんな奴について行く必要は無いよ」

ケン「…わかりました」

妹紅「ケン!」

紫「心配ならあなたもついてくれば。大丈夫よ、取って食ったりしないわよ」

妹紅「…ケンに何かしたら承知しないからね…」

 

空間が避ける音がした…。

 

紫「…ここから入れば私の家へ行けますわ」

最初に紫、次に藍、次にケン、最後に妹紅が空間の中に入っていった。隙間は閉じて、静寂な部屋だけが残った…。




第1話は原作第1話のケンが京に迷い込み、夏に助けられるシーン、信長に岐阜へ連れていかれる話を参考にしています。原作でも宇治丸(鰻)の料理を作ってます。幻想郷にはヤツメウナギの蒲焼があるので砂糖と醤油はあるという勝手な解釈をして作っています。時代的には江戸中期あたりかな…と。原作の夏は鍛冶屋の職人でしたが、今作は妹紅がこの役です。そろそろ原作が終わりそうなので…。

#8の目的地はどこにする?※永遠亭はまだ除外

  • 守矢神社(妖怪の山)
  • 魔法の森(香霖堂、霧雨魔法店、アリス邸)
  • 紅魔館
  • 玄武の沢
  • 妙蓮寺
  • 白玉楼(冥界)
  • 太陽の畑(阿求から止められた)
  • 地霊殿(現時点ではおすすめしない)
  • その他…
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