東方のシェフ   作:多聞丸

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妹紅から自分のか記憶が戻らないかもしれない話を聞いたケン。彼はこの後、どうやって幻想郷で暮らしていくのか考える。


#21 記憶と企み

ー妹紅の家ー

妹紅「…ケンは…どうする?」

 

ケン(…確かに記憶を思い出すのは大切かもしれない…)

ケン(…だが、思い出した俺は果たして幻想郷にいた頃の俺だろうか…)

ケン(…分からない…ただ…ここで暮らしていた全ての人を忘れると言うなら…ここで暮らさなければいけないのなら…)

ケン(…自分の記憶ぐらい…大丈夫なのではないか?)

ケン(自分の名前は分かるようになった。自分の職場も分かる。ならその程度でいいのではないのか…)

 

ケン「…妹紅さん、俺は自分の記憶を諦めます」

妹紅「?!」

ケン「…俺は確かに幻想郷の人ではありません。ですが、俺は幻想郷で生きていきます」

妹紅「ケン…」

 

ー妖怪の山、守矢神社ー

早苗「えっ?!平成に帰るのを諦める?!」パクパク

ケン「ええ、この幻想郷で過ごしていくのも一つの手だと思いますので」

早苗「…ケンさんがそこまで言うなら止めませんが…」

早苗「話は変わりますが…このモンブラン、よく作りましたね…」

ケン「麓に住む神様に頂きました。柿のどら焼きをあげたら多く頂いたので」

早苗「秋姉妹ですね。秋の豊穣と紅葉を司る神様です」

ケン「しかし…海がないのは課題ですね…」

早苗「そこはしょうがないですね…。そういう土地なので」

ケン「…早苗さん、『平成』ってどんな場所でしたか?」

早苗「えっ?私がいた所はかなり田舎だったので…」

ケン「…それでも構いません」

早苗「ええと…人々は幻想郷みたいな和装ではなく洋服を着ていて、移動には自転車、自動車が当たり前。大半の人はスマートフォン…いえ、携帯充電で話をしていますね」

ケン「…幻想郷とは違ってかなり進んだ時代ですね」

早苗「ええ…こっちに来た時に驚きましたよ。幻想郷ではスマートフォンも持っている人もいませんし」

ケン(…長い間閉鎖的な空間だったのだろう…。それ故に外国の料理が伝わっていないのも納得だ)

早苗「…ケンさんが決めたことです。私は何も言いませんよ」

ケン「ありがとうございます。早苗さんにも感謝してます」

 

ー人里ー

慧音「…そうか…」

ケン「はい、記憶を取り戻すのをやめます」

慧音「…別に妹紅のそばにいて欲しいと入ったが…」

ケン「いいんですよ、俺が決めたことですし」

慧音(…なんか済まないことをしたな…)

ケン「今日は何を教えましょうか」

慧音「ん?そうだな…。この幻想郷には甘いものが少ないんだ。なにか甘い物があれば教えてくれないか?」

ケン「はい」

 

ー数十分後ー

ケン「カスタードプリンです」

慧音「プリン…?」パクッ…

慧音「…おお、これは美味しい」

慧音「…色合いからしてこれは卵だな。砂糖と牛乳も入っている。だが…この上の黒いほろ苦いもの…これはなんだ?」

ケン「それはカラメル…砂糖です」

慧音「これが砂糖か?」

ケン「はい。砂糖を煮詰めていくと飴状になります。それを更に煮詰めた物…それがカラメルです」

慧音「…?」

ケン「砂糖を温めると飴状…どろりして、透明になることは知ってますか?」

慧音「ああ、祭りの時に見たことがある」

ケン「砂糖は温度が上がる事にシロップ、フォンダン、タフィー、べっこう飴、カラメルソースと変化します。カラメルになるのは165~180℃、元を辿れば飴もカラメルソースも砂糖と水から出来たものです」

ケン「なぜ変わるのかと言うと砂糖の分子が温度によって繋がり方や組み合わせが変化するからで…」

慧音「…よく分からないがつまり砂糖を水とともに熱した物…ってことか」

ケン「平たく言えばそうなります」

慧音「…ケンは我々の知らないことをよく知っている」

ケン「知らなければ色々な料理は作れませんので。慧音先生にも感謝しています」

慧音「何をだ?私はケンに何も…」

ケン「この幻想郷で生きていく理由を与えてくださいました。この幻想郷で自分の知っている料理を伝えていく…。その目的ができただけでもありがたいことです」

慧音「…こっちもケンが来てから料理が流行った。ケンがいなければ私たちは西洋料理など知らなかっただろう。ケンには本当に感謝してるよ」

 

ー紫の家ー

紫「…そう、帰るのをやめたのね」

ケン「はい、しばらくは幻想郷にいようかと」

紫「そう…ということは自分の記憶は諦めるのかしら?」

ケン「平たく言えば…」

紫「…この幻想郷は全てを受け入れる。あなたも幻想郷には受け入れられているようだし、あなたが好きなように生きればいいと思うわ」

ケン「…はい」

紫「料理、美味しかったわ」

ケン「また呼んでください」

紫「ええ、料理を楽しみにしているわ」

 

隙間が閉まる

 

紫「…籃」

 

スッ…←襖が開く

 

籃「ここに」

紫「…あの用意はできたかしら?」

籃「ええ、霊夢も修行に励んでいます。紅魔館にも話を持ちかけています」

紫「そう…」

籃「…ケンが帰らなくてほっとしてますか?」

紫「さぁ?でも彼がいることで月での計画はかなり変わってくると思うわ。月の技術は残念ながら私達では破れない。おそらく霊夢でも難しいかもしれないわね」

籃「ならなぜ…」

紫「言ったじゃない。『力では』と」

紫「…彼は月侵攻の切り札。彼にはあの月を屈服させる逸品を作ってもらうわ」




#21はここまで。ケンは信長にも1日1食デザートを用意しているそうなのでケンのバリエーションはかなり多いですよね…。彼は一体どこでそんな技術を身につけたんでしょうか…。

#22のアンケートを取ります。御協力お願いします!

#36の登場キャラクターは?(ちなみにクリスマス編)

  • 博麗霊夢
  • 霧雨魔理沙
  • 魂魄妖夢
  • 東風谷早苗
  • アリス・マーガトロイド
  • 紅魔館勢
  • もこたん
  • 上白沢慧音
  • 稗田阿求
  • 天狗(文、椛、はたて)
  • 地霊殿組
  • その他
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