東方のシェフ   作:多聞丸

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幻想郷に残る覚悟を決めたケン。人里で料理を教えていた時、1人の少女が通りかかる。

※アンケートの結果、妙蓮寺に決定しました。


#22 魔法使いの僧侶

ー人里ー

ケン「自分の好きな素材に衣をつけて、それを器の端で余分な衣を落とします」

ケン「予め熱しておいた油が170~175℃になるように調整…。目安は油に衣を落として底について、すぐ上がってくるのが目安です」

ケン「そして具材を入れていきます。時折火の調節や出てくる天かすを取ってください。そして火のついた鍋の近くから絶対に離れないでください」

ケン「揚がったものから順に油を切って紙で油を吸い取ります」

ケン「そして綺麗に盛りつけをし、先程作った天つゆと塩を用意します」

ケン「これで季節の天ぷらの完成です」

里の人「おおお!!美味そうだ!!」

里の人2「なぁ、ケンさん。それはキノコや魚でもできるかね?」

ケン「はい、野菜や魚、肉、キノコ…色々なもので天ぷらにできますよ」

里の人「へぇ…今度是非かかぁに作らせてみるか」

慧音「ケン、ありがとう」

ケン「いえ、私も教えているのを楽しく思っている部分もありますので」

 

ー寺子屋、外ー

?「…ここですね。あの子たちが言っていた人が人里に料理を教えに来ている場所とは」

?「…精進料理は作れるのでしょうか」

 

ー寺子屋ー

コンコン…

 

慧音「ん?はい」

 

ガラッ…

 

?「こんにちは、慧音先生。ここにケンという人はいませんか?」

慧音「ん?白蓮では無いか。ケンならそこにいるが…」

ケン「初めまして、ケンと申します」

白蓮「初めまして。私は人里から少し離れたところで妙蓮寺の尼僧をしております、聖白蓮と申します」

ケン(僧侶なのに尼削ぎでは無い…浄土真宗のような宗教だろうか?)

 

※浄土真宗…親鸞が開いた仏教の宗派。ほかの宗派のように剃髪はしなくても良く、肉食や束帯が自由であるのがほかの日本の仏教には無い特徴である。ケンが原作で度々関わる石山本願寺がこれに当たる。

 

白蓮「弟子から貴方の料理の話を聞きまして…御手数ですが、妙蓮寺に来ていただくことは出来ますか?」

ケン「はい、大丈夫ですよ」

 

ー妙蓮寺への道ー

白蓮「なるほど…貴方は外の世界から来たと」

ケン「今は妹紅さんの所でお世話になっています」

白蓮「もしよろしければ入信しませんか?私は妖怪や人間の味方です。仏の教えを学べば…」

ケン「…あいにく宗教の方は」

白蓮「そ…そうですか」ズーン…

 

ー妙蓮寺ー

星「聖、お帰りなさい」

白蓮「皆さん、お客様です」

一輪「男の人?」

星「あ…貴方は人里で料理を教えている…」

ケン「ケンと申します」

一輪「星、知ってるの?」

星「ええ、人里で何度か見かけています」

ナズーリン「よく言うよ…宝塔をなくしてよく人里に行くから知ってる癖に」

白蓮「星?」

星「こ…今度からは無くさないように気をつけます…」

白蓮「さあ、上がってください」

 

ー妙蓮寺、屋敷ー

ケン「それで…どの様な料理をご所望でしょうか」

白蓮「そうですね…私達は僧侶なので生臭物(肉、魚、卵や乳製品)が食べられません。しかし、貴方がいた外の世界の料理にも興味があります。よろしければ今まで食べたことの無い精進料理をいただければ」

ケン「畏まりました」

村紗「ちょ…ちょっと待って。そもそも外の世界に精進料理はあるの?」

ケン「ええ。精進料理はありますし、中には健康に気を使う人(ベジタリアンやヴィーガン)、宗教上肉など特定のものが食べられない人は多くいます」

ケン「台所と食材をお借りします」

 

ー妙蓮寺、台所ー

ケン(やはり俺の頭に思い浮かぶのはフランス料理を主とした料理だ。日本の和食…精進料理は味が薄めの物が多い(そうめんやこんにゃく、野菜など)。きっと味が濃い物よりは薄いものの方が口に合うだろう)

 

一輪(…な…何あれ…絵のように彩られていく…。あんな料理は初めてだ)

 

ー2時間後ー

ケン「お待たせしました。精進料理です」

ぬえ「な…なんだこれ?!」

ケン「そちらは前菜です。枝豆のムース、雑穀のコロッケ、茸のババロア、三食豆のグラタンです」

ぬえ「いや…そうじゃなくて!精進料理はもっとこう…こう…」

白蓮「…!美味ですね。これは日本の料理ではありませんね…どこの料理ですか?」

ケン「それはイタリアという国の料理です。『パーニャカウタの梅干しソース』という料理です」

白蓮「イタリア…」

ケン「本来ならアンチョビ…塩漬けにした小魚を使いますが代用として塩蔵、熟成が共通点の梅干しを使っています。梅干しを使うことで馴染みない料理でも抵抗なく食べられるかと思います」

星「むっ…?このフワフワとした食感…これは卵を使っているのではないのでしょうか」

ケン「それは『青菜のトルティージャ』…いわゆるスペイン風オムレツというものです。今回は卵もじゃがいもではなく、山芋をすり下ろしたものと梔子(くちなし)、じゃがいもの代わりに里芋を使っています」

一輪「この汁も生臭は…」

ケン「はい、野菜と茸の出汁です」

ケン「『豆と葱のポタージュパリ風』、『豆腐の揚げピロシキ』、『チシャ(サラダ菜)のザウアークラフト』、『豆腐のフリット(天ぷら)ソーセージ風 柚子とシナモンの薫りをサラダを添えて』。それぞれフランス、ロシア、ドイツ、フランスの料理です」

白蓮「…一輪、貴方ケンの料理を覗いていましたね。貴方は何食作れますか?」

一輪「お…おそらく作れて1食だと思います」

ぬえ「そんなわけないだろう!近くで見てた…」

一輪「ケンさんが作る料理は幻想郷にない手法で作ってました。まるで絵を描くように料理をします。私が作ってもこれには及びません…」

白蓮「…ケンさん、私がもしここで違う物を欲したら貴方は何食作れますか?」

ケン「何千種類でも。お客様に合わせて料理を変えていく…それが料理に必要なことです」

白蓮「…貴方には敵いませんね」

 

ー人里への道中ー

白蓮「今日はありがとうございました」

ケン「いえ、食べたいお客様に満足して貰うのが料理の務めです」

白蓮「…外の世界にはあのような物があるのですね」

ケン「出した料理は一部にしか過ぎません。料理は場所、時代、治める人物、伝えられた物によっても変わってくるものです」

白蓮「…私達も変わっていかなければならないのでしょうか」

ケン「…時代似合わない物は改良する…ただ、根本となる物、決して忘れてはならない物は残す。それが必要な事だと思います」

白蓮「…必要なもの…」

ケン「料理も時代によって新しい食材や調理方法が伝わりました。新しい食材や料理方法が伝わったことで新しい料理や今までの料理が格段に美味しくなったります。ですが、そんな中でも変わってはいけないのは一つ…目の前の人を笑顔にさせる。これは絶対に変わってはいけないと思います」

白蓮「…なるほど」

ケン「私が料理に細工をしないのはそのためです。例え欲しい食材や道具があったとしても私は道から外れることはしません。それは料理の魂だからです」

ケン「…魂は売り買いできないものですよ」

白蓮「…」

ケン「そろそろ人里ですね。ありがとうございました」

白蓮「いえ、こちらも。また来てください」

ケン「はい」

 

スタスタ…

 

白蓮(…前に小耳に挟んだことがある。彼はどこから誘われても蓬莱人の場所を離れないと。欲が無いとは思っていたが…欲はあるようですね)

白蓮(…彼には強い魂の意思が感じられた。出された注文をできる手で限りなく近い形で叶えるという意思…)

白蓮(…ケンさんの意思は強く、頑なな物。だが…それが…)

白蓮「…危なっかしいというか…なんというか…」




#22はここまで。原作12巻での闘茶の際、ケンは今井宗久に中国人の商人を罠にかけようと言われましたが、結局相手の策を見破るだけで勝負に有利不が出ることはしませんでした。その部分を津田宗及は『頑なな部分は好きだが、長生きできない』と言っています。ケンのある意味欠点かもしれませんね。信長にも『腕1本切り落とした所で毒は盛らない』とも言われてますし、そこは信用されているんでしょうね。

#23のアンケートに御協力お願い致します!

#37の登場キャラクターは?(正月編)

  • 博麗霊夢
  • 霧雨魔理沙
  • 魂魄妖夢
  • 東風谷早苗
  • 藤原妹紅
  • 紅魔館勢
  • 上白沢慧音
  • 稗田阿求
  • 天狗(文、椛、はたて)
  • 鬼(勇儀、萃香)
  • 天人(天子、依久)
  • アリス・マーガトロイド
  • 森近霖之助
  • 命蓮寺勢
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