東方のシェフ   作:多聞丸

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妖怪の山を訪れていたケン。そこに大天狗の飯綱丸からの呼び出しが入った。


#28 食わず嫌いへの料理

ー妖怪の山ー

ケン「塩漬けした紅葉を一枚ずつ塩を落とします」

ケン「その後、紅葉を衣に纏わせ揚げます」ジュワァァァ…!!

ケン「揚げた紅葉を上げた後に冷ませば…」

ケン「『妖怪の山の紅葉天ぷら』の完成です」

秋姉妹「「おぉ~!!」」

静葉「これで、秋姉妹の地味な方とか言われない…!!」

穣子「まさか紅葉にもこんな使い方があるなんてね…」

ケン「是非食べてみてください」

静葉「じゃあ早速…」パクッ!

静葉「…なんか芋けんぴとかかりんとうみたいな味ね。この前食べたさつまいもの天ぷらとは何か違うような…」うーん…

ケン「でも子供とかには人気が出そうな気がします」

静葉「…そうね。ありがとうケンさん」

穣子「今度、秋の食材を持っていきますね」

 

秋姉妹は飛んで行った。

 

ケン「…さて…」

?「あやややや、いいところに来ましたね」

ケン「文さん」

文「こんにちは、おや…それは…」

ケン「紅葉の天ぷらです。どうですか?」

文「ありがとうございます。頂きます(と言ってもさっきから空の上で見てましたけどね)」

ケン「どうですか?」

文「なんか想像してたものとは少し違いますね…でも美味しいですよ」

 

ビュー!

 

?「あ~!また文にケンの記事を取られた!」

ケン「はたてさん」

文「念写で新聞を書こうとするからですよ。私のように足を使って取材をしないからケンがどこにいるかすぐ分からないんですよ」

はたて「くっ…!」

ケン「良ければはたてさんも食べませんか?」

はたて「ほんと?ありがとね♪」

はたて「うん、美味しいわね。これなんの料理かしら?」

ケン「紅葉の天ぷらです」

はたて「へぇー。紅葉って食べられるのね…」

 

ビュー…!

 

椛「ケン!飯綱丸様が貴方を…」

はたて「あら、椛じゃない」

椛「はたてさん。それと…」

文「どうしましたか?」

椛「…鴉天狗様」

ケン(やはり文さんと椛さんは仲が悪い様だ…)

椛「あ、そうそうケン。飯綱丸様が貴方をお呼びしているわ」

はたて「飯綱丸様が?」

ケン「飯綱丸様…?」

文「私達の上司、大天狗の1人です。簡単に言えば天狗のトップ、天魔様と私達鴉天狗、椛達の白狼天狗を繋ぐ中間管理職と言った所でしょうか」

椛「とりあえず案内するわね」

 

ー飯綱丸の屋敷ー

ケン「お初にお目にかかります、ケンです」

飯綱丸「お主がケンか、いつも白狼天狗や文から聞いている。なんでも外の奇妙な料理を作るらしいではないか」

飯綱丸「そこでだ、私にも料理を作ってはくれないだろうか。何でもいい」

ケン「…分かりました」スッ…

 

ー台所ー

ケン「…文さん、飯綱丸様の嫌いな食べ物はありますか?」

文「う~ん…そういえば以前、鶏肉が嫌いとか言ってたような…。特に鶏皮が嫌いとか言っていましたね…」

はたて「…なんでそんなこと知ってるのよ」

文「そりゃ、新聞記者ですから。あらゆる情報は知っておかなければなりませんし」

はたて「…ケン、文に付きそうのはやめた方がいいわよ。きっと髪の毛の数まで調べられるわよ」ヒソヒソ…

文「聞こえてますからね?はたて」

はたて「だって本当のことでしょ?」

文「と…兎に角…ケン、出す料理は鶏肉や鶏皮を使った料理は出さない方がいいわよ」

ケン「…分かりました。鴨にします」

はたて「?!文の話聞いてた?!そりゃ今私も知った話だけど、普通嫌いな料理が出されたら手も出さないわよ!」

椛「け…ケン…?」

文「…ハァ…仕方ありません。1度席に戻りましょう」

はたて「えっ…でも…」

文「ケンが、なにか考えているなら私はそれを信じましょう」

ケン「…」←鴨肉に油をかけている

 

ー飯綱丸の部屋ー

ケン「お待たせしました」

飯綱丸「おお、待っていた…ぞ…?」

椛「ええと…それは…鴨?しかも鴨まるまる1匹…?」

ケン「北京烤鴨(ペイジン・カオ・ヤー)…北京ダックです」

はたて「ええと…これをどう食べるのかしら?まさかかぶりつくのかしろ?」

ケン「いえ、ここから仕上げさせて頂きます」

ケン「…」←鴨の皮を削いでいる

飯綱丸(皮を削いで…捨てるのか…?)

ケン「餅にネギと甜麺醤…甘味噌を乗せて…」クルックルッ…

ケン「北京烤鴨…北京ダックの丸焼きでございます」

天狗4人「?!」

飯綱丸「そ…削いだ皮を食べるというのか…!」

飯綱丸「…期待外れだったな…今日はもう帰…」←スッ…

ケン「お待ちください。私は飯綱丸様になんでも良いと言われて作りました。それに、この料理は飯綱丸様が思っているようなものではありません。是非1度ご賞味を」

飯綱丸「…分かった」スッ…←座り

飯綱丸「…」パクッ…!モグモグ…

天狗3人「…」パクッ…モグモグ…

飯綱丸「…!…美味い…!」

椛「お…美味しい…!!」

はたて「香ばしさと甘く豊潤な旨み…これは凄い…!」

文「まさかあのブヨブヨした鶏皮がここまでサックリとした感触になるとは…」

ケン「この北京ダックは骨付きの肉を少ない油をかけながら火入れすることによって皮の張りを保ちながらゆっくりと均等に火が入り、表面はパリッと、中は脂の潤いが残ります」

ケン「食わず嫌いという言葉があるように、人の心は先入観で拒むことがあります。しかし、同じ食材でも美味しく食べる事が出来るのです」

ケン「もう1品、お出しします」

 

ー数十分後ー

ケン「お待たせしました」

文「それは…守矢神社で食べた…」

ケン「はい、蕎麦です。その上にトマトで作ったソース…トマトソースをかけたものです」

はたて「…なにこれ…」

ケン「一口食べて見てください」

はたて「…!美味しい…!」

文「ほ…本当ですね…。この前のつゆにつけて食べたものも美味しいでしたが…」

椛「…合いますね…」

ケン「食材には先入観では合わないと思っているものでも実際には食べてみると合うもの…その逆も然りです。それは人間関係も同じではないでしょうか」

飯綱丸「…」

はたて(…違う…これは飯綱丸様に言っているものじゃない…文と椛に対して言っているんだわ…。合えばいつも揉めている2人だけど…実際は椛が文に対して噛み付いているのが実情…。ケンのメッセージ…2人は気づいているのかしら…)

ケン「…」

文「…椛、今度2人で飲みに行きましょう」

椛「!な…なんで…」チラッ…←はたて見た

はたて「…」

椛「…」チラッ…←ケンを見た

ケン「…」

椛「…」ハァ…

椛「…分かりました。文様」

はたて(…良かったわ…)ホッ…

飯綱丸「どうやら話は終わったようだな。ケン、此度の料理とても美味しかった。私からも天魔様にケンのことを良い待遇で迎えるよう言っておく」

ケン「い、いえ。私は今まで通り、山の食材を使わせていただければそれで結構です」

飯綱丸「そうか…分かった」

 

ー妖怪の山、山道の入口ー

文「今回の料理も美味しかったですよ。また訪れてくださいね」

はたて「今度は文じゃなくて私にネタを提供してよね」

椛「ケン、気をつけて帰ってね」

ケン「はい。また来ます」

 

スタスタ…

 

文(…ケンの言葉…あれは飯綱丸様ではなく私と椛に対して言った言葉だった…)

文(…1度、椛との関係を見直してみましょう)

椛(…ケンとはたてさんに言われて気づいた…今までは私が一方的に噛み付いていたけど…)

椛(…1度そういうものを全て考えないで普通に接して見ましょう)

はたて(…これで椛と文が仲良くなってくれればいいけど…)ハァ…




#28はここまで。食材の中には絶対に合わないと思っているものでも意外に合っているものがあります。例えば名古屋の小倉トーストとかですかね。作者が名古屋に行って食べてみて実際に美味いと思った料理です。ちなみに最後の料理は美味しんぼに乗っていた料理です。原作でも山岡と栗田が絶賛してました。ただ、人の味覚はそれぞれです。合う合わないは個人の差がある事、それは人間関係も同じだということをお忘れなく…。

ちなみに飯綱丸は東方虹龍洞…つまり儚月抄より後に登場しますが、風神録で文を守矢神社に交渉させに行っている、幻想郷に元からいる人物なのでセーフということで…。※飯綱丸が鶏肉や鶏皮が苦手なのは作者の設定です。原作には無いので注意してください。

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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