東方のシェフ   作:多聞丸

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太陽の畑の畑を訪れたケン。風見幽香との話をしている時、話を持ちかけられる。


#29 花の命

ー太陽の畑ー

秋が終わり、初冬が近づく頃、太陽の畑は冬の花が咲きほこる。

 

ケン「こんにちは、幽香さん」

幽香「ケン」

ケン「近くまで寄ったので立ち寄らせて頂きました」

幽香「…あなたも物好きね…恐れられている私に会いに来るのは妖精とケンだけよ」

幽香「それで…何をしに来たのかしら?」

ケン「はい、いい物が出来たのでお分けしようと思いまして」

幽香「…とりあえず上がりなさい、そんな所で突っ立っていても邪魔なだけよ」

ケン「はい」

 

ー幽香の家ー

幽香「で…いい物って何かしら?」

ケン「はい、これです」←袋

幽香「…これは…何かしら?」

ケン「陳皮…蜜柑の皮です」

幽香「…それは分かるわ。これが何かしら?」

ケン「紅魔館で頂いた蜜柑の皮を乾かした物です。本来は1年ほど日陰で干すのですが、咲夜さんの能力を使って短期間で作りました」

ケン「中国では生薬として使われる他、入浴剤やお茶としても活用されるのです」

ケン「少しお待ちください」

 

ー8分後ー

ケン「出来ました。『オレンジピールのハーブティー』です」

幽香「…」ゴクッ…

幽香「…!爽やかな香りね」

ケン「陳皮にはストレス軽減や暴飲暴食、消化不良、吐き気がある時に効果があると言われています」

幽香「…私にストレスや病気があると言いたいのかしら?」

ケン「い…いえ…」

幽香「…ならいいわ」ゴクッ…

幽香「…ケン、そのオレンジピール…とか言ったかしら…。幾つか頂戴。いつも野菜や種をあげている見返りとしてね」

ケン「はい、分かりました」

 

ー数分後ー

ケン「どうぞ」

幽香「…ありがとう」

ケン「…何か考え事をしてますか?」

幽香「…そうね…」チラッ…←窓の方向を見た

幽香「…この花の事なんだけど、冬が近づいてきたのかだんだん元気がなくなってきたのよ。どうしようかと考えていたのよ」

ケン「…分かりました。少し時間をいただけませんか?」

幽香「…えっ」

ケン「そのお花をお借りします」

ケン(この花はマリーゴールド。観賞用としても知られているが、実は食べられる花だ)

ケン(…これなら料理に使える…持ってきた食材を使って料理を作ろう)

ケン「白身魚をソテーにして…」

幽香「…?」

ケン「そこに…オリーブオイル(紅魔館で作った)、そしてバター…そして装飾にマリーゴールドの花弁を使います」

幽香「は…花を…?!」

 

ー数十分後ー

ケン「お待たせしました。『マリーゴールドの花散らし、白身魚のレモンソース』です」

幽香「…ケン、私のことを忘れたのかしら?私は花を司る妖怪…私の体の一部でもある花を食べろというのかしら」

ケン「お待ちください、確かに幽香さんが花を司る妖怪だということは百も承知です。しかし、1度…1度だけご賞味ください」

幽香「…良いでしょう、だけど…不味かったら花の仇として貴方を花の肥料にしてあげる」

ケン「…はい」

幽香「…」パクッ…

幽香「…美味しいわね、貴方の事だがら美味しいとは分かってたわ。だけど…」

ケン「…世界には花を使った料理は沢山あります。ハーブティーはもちろん、中国などでは漢方としても花を薬、毒、食料として使います」

ケン「人間が『頂きます』を言うのは何故か…考えたことはありますか?」

幽香「…ないわね。私は妖怪だから」

ケン「『頂きます』には、その物…魚や動物、そして植物の命に対する感謝だと私は思っています」

ケン「人間や動物はやはりなにかの生命を食べなければ生きて行けません。水だけでは人間はやはり栄養失調となってしまいます。生き続けるためにはそのものが持っている栄養が不可欠なのです」

ケン「もちろん、水だけでは料理はできません。なにか食事を作るためには他の物の命を扱う必要があるのです」

ケン「しかし、その命は他の物に生まれ変わって生きて生きます。人に食べられた料理は栄養として吸収され、筋肉、骨、その他の臓器と生まれ変わり新しい命へと生まれ変わるのです」

ケン「この料理で使われた花も幽香さんの体となってまた新たな命として生まれ変わって生きていくのです」

ケン「それは元の花であれ、料理された花であれ同じことでは無いでしょうか」

幽香「…」

 

コトッ…

 

幽香「…あなたに免じて許してあげるわ」

ケン「…はい」

幽香「…帰りなさい。それと…欲しい種があればなにか言いなさい。私に出来ることがあれば協力するわ」

ケン「はい」

 

ー太陽の畑の外ー

ケン「それでは、さようなら」

幽香「…あまりここには来ない方が身のためよ」

ケン「…幽香さんは優しいと思いますよ。度々料理を持ってくる度にそう思いますよ」

幽香「…あら、私は妖怪よ。貴方を殺すことも出来るわ」

ケン「でもしてないですよね」

幽香「…殺したらあのスキマになんて言われるか分からないからよ」

 

※現在、紫によってケンに対して危害を加えることを固く禁止した命令が出されている。

 

ケン「そうですか」

幽香「早く帰りなさい」

ケン「はい」

 

スタスタ…

 

幽香(…あの男…見た目に反して1度決めたことを貫く強い心を持っているわね)

幽香(この私に対して願いを言うなんて幻想郷で何人いるかしら)

幽香(…まあ…あの頑なさが…ケンの吉と出るか凶と出るかなんて私には関係ないのだけどね)スタスタ…




#29はここまで。皆さんはいただきますを言う意味を考えたことはありますか?私は妹が過去に物が好き嫌いをした際『世界にはその料理を食べられずに死ぬ奴がいる』と小学生の頃ながら言ったことを強く覚えています。そのため、私はとある組織に入ったあともその事をよく考えて食べています。残すことは食品ロスになる事は勿論、その生きてきた命を粗末にする行いでは無いのでしょうか…。皆さんはどう思いますか?

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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