※アンケートでは霧の湖でしたがその前に1つ入れさせてください。
ー永遠亭ー
輝夜「…」モグモグ…
ケン「いかがでしょうか」
輝夜「…お見事ね…まさかこれを美味しく料理するなんて…」←カメノテ
輝夜「これはなんと言ってたかしら。ええとカメノテの…」
ケン「『カメノテと胡桃のカナッペ』です。カメノテは甲殻類の一種で、スペインなどでは重宝されているんです」
輝夜(…ここ数日ほどケンを妹紅に秘密で永遠亭に誘ってみて様々な難題を出してみたのだけれども…尽く突破されているわね…)
ー十数日前ー
輝夜「よく来たわねケン」
ケン「はい、お久しぶりです。あの…永琳さんから呼ばれたとお聞きしましたが…」
輝夜「いえ、私が呼んだのよ。でないと妹紅が警戒するからね」
ケン「は…はあ…。それでなんの様でしょうか?」
輝夜「…これを料理してみなさい」
ケン「これ…?」
ウミガメ「…」
輝夜「この前、永琳があの隙間から貰ってきたものよ。話に聞くと、これを使った料理があるらしいけど…あなたは料理出来るかしら?」
ケン「…ウミガメですか…初めてですね。今まで料理したことはありません」
輝夜「あら?珍しいわね。ウミガメを料理したことないなんて」
ケン「ウミガメは捕獲禁止の保護動物でして…でも幻想郷なら関係ないですよね!」
輝夜「…えっ?」
ケン「19世紀フランス領界の巨匠、オーギュスト・エスコフィエの料理書に海亀を使った料理がありまして1度作ってみたかったんです!ありがとうございます!」ズシャ!
※現在でも小笠原諸島では海亀(アオウミガメ)が食料として食べれているが、漁数が制限されている(年間135頭まで)。そもそも一般人の海亀の捕獲は各条例や交際法、国内法に抵触するので絶対にしないように(沖縄や小笠原の限られた漁業関係者は海亀漁を許可されている)。飼育もダメです。
ー数十分後ー
ケン「特性のフォンに松露!」
輝夜「…松露?その小さい土のようなものは何かしら?」
ケン「松露…トリュフというキノコです。松露とトリュフはどちらもショウロ属のキノコです。違いは松の下にあるか、カバやブナの下で共生するかです。キャビアやフォアグラと並んで世界三大珍味と言われています」
ケン「こちらをフォンに松露のエッセンスを加えてトリュフ風味のソースに、上にはスライスした松露を散らして…」
ケン『ソース・トルチュ、海亀の煮込み宮廷風』です」
輝夜「!これは…」モグモグ…
ケン「茹でこぼした後煮込んでからじっくり焼いてあります。鳥の肉のような味わいと香り高いトリュフ風ソースが合っていると思います」
輝夜「…見事ね…」
ー7日前ー
輝夜「これならどうかしら?幻想郷の人里で珍しく売っていたものだけど」
ケン「あ、イソギンチャクですね。古代ギリシャより食べられていてイタリアやフランスなど地中海沿岸ではよく好まれる食材です」
ー数十分後ー
ケン「お待たせしました『イソギンチャクのスパニッシュオムレツ、胡桃を纏わせたイソギンチャクのフリットを添えて』です」
ケン「卵とイソギンチャクを妖怪の山で頂いた胡桃を纏わせました」
輝夜「む…」パクパク…
ー現在ー
輝夜(あんなに考えた難題を難なく解いてくるなんてこっちも悔しいじゃない…!全部美味しかったけど、妹紅がそれを毎日食べているのが余計に悔しい!!)
輝夜(…ケンを1度でいいからギャフンと言わせたいわね…)
輝夜(…それなら…料理から離れたものにしましょう…それならケンでも作れないはず…)
輝夜「…ケン、木乃伊って知らないかしら?」
ケン「木…ミイラの事ですか?」
輝夜「そう…永琳の作る薬に必要な材料でね…。それがあれば患者を治すことが出来るのだけど…」
木乃伊(ミイラ)…自然又は人為的に加工し乾燥させた死体。欧州では15世紀よりミイラは薬や顔料として売買されており、特にエジプト産は高級品とされていた。古代エジプトでは来世で復活するには肉体が必要と考えられたため、亡くなった人を人工的にミイラにして肉体を残そうとしたと言われている。日本では奥州藤原氏3代(藤原清衡、基衡、秀衡)のミイラが現在まで残されている。
輝夜「ケン、ミイラを見つけてくる、もしくは作ってくれるかしら?」
ケン「…分かりました」
輝夜「ふふ…楽しみにしてるわ(これは流石に作れないでしょう…)」
ー香霖堂ー
霖之助「ミイラ…ですか?そんな物は聞いた事がないな…」
ケン「そうですか…」
霖之助「無縁塚に落ちていたら拾っておいてあげるよ」
ケン「ありがとうございます」
ー人里ー
慧音「ミイラ…?この幻想郷に住んで長い事いるがミイラなんて物は見た事がない…。強いて言えば歴史書に書いてあった程度でしか知らないな…」
ケン「そう…ですか…」
慧音「しかしなぜミイラを探しているんだ?」
ケン「それは…」
かくかくしかじか…
慧音(…あの姫はまた難題を出しているのか…)
ケン「…やはりミイラはないですかね…」
慧音「…もしかしたらだが、八雲紫なら…」
ケン「…!紫さん…!」
ー八雲家ー
藍「申し訳ないな…紫様は寝ているのでな…」
ケン「寝ている…?!」
藍「紫様の様な大妖怪は大妖怪は自身の力を多大に使う。そのために多大な休養を要するんだ。まあ…用件なら私が聞こう」
ー5分後ー
藍「ミイラ…そんな物は持ってくることは出来ないな…」
ケン「やはりですか…」
藍「…ケン、例えばだが…作ることは出来ないか?」
ケン「えっ?」
藍「い…いや、流石にケンでも…」
ケン「そうか…」
藍「えっ?」
ケン「その手があったか!」
ー人里ー
ケン「すいません、これとこれとこれもください!」
商人「へい、毎度」
ー永遠亭ー
ケン「すいません、台所をお借りします」
鈴仙「ケンさん…どうぞ、こちらです」
ケン「…」ゴリゴリ…←薬研で何かを潰している
鈴仙(師匠から頂いた薬の材料を潰している…?)
ケン「これに…」
ケン「妖怪の山で頂いたこれを入れて…」←蜂の巣
鈴仙(な…何を作っているんだろう…)
ー3日後ー
輝夜「もうあれから3日ね…流石にケンも諦めたかしら?」
ドタドタ…!
てゐ「姫様!ケンが…」
輝夜「…えっ?」
ー永遠亭、客間ー
永琳「…これは…」
鈴仙「な…何これ…」ガラッ…!
輝夜「ケン、ミイラができたって本当かしら?」
ケン「はい、こちらが輝夜さんの望んだもの…木乃伊です」
輝夜「…これ、どう見ても干し肉…」
ケン「まずはお召し上がりください」
鈴仙「えっ?!食べられるのですか?!」
ケン「輝夜さんは薬の材料としてミイラを所望していましたが、これは食べられますので。ちゃんと数も残してあります」
輝夜(こ…これって人間の死体よね…)
パクッ…
輝夜「…!美味しい?あれ?でも普通の干し肉じゃないような…」
鈴仙「噛めば噛むほどほんのり甘じょっぱくて…でもピリッと刺激的…鼻に抜ける豊かな香りがまた…」
永琳「これはいいお酒が欲しくなるわね」
ケン「はい、ソミュール液に漬けた後軽く燻製し、干してあります。そのソミュール液の味付けが普通の干し肉とは違うかと」
輝夜「そ…ソミュ…?」
ケン「ソミュール液は塩を基本とし、香料や酒を混ぜて煮立てた汁でこれに漬け込むことによって肉の水分を出し、味を入れます」
ケン「ソミュール液の配合は自由で、此度は水、紅魔館で頂いた赤ワイン、永遠亭から頂いたクミンシード、シナモン、胡椒、砂糖、葱、ニンニク、生姜、蜂蜜を入れてあります」
てゐ「なるほど…それで少し甘いのか…」
輝夜「ケン…見事ね…でも1つ大きな問題があるわ」
輝夜「これはミイラじゃないわね」
ケン「ではお聞き致します。ミイラの定義とはなんですか?」
輝夜「て…ていぎ?」
ケン「確かミイラはクミンやシナモンなどの主要香料を防腐剤とし、人為的に加工、又は自然に乾燥された長期保存された死体…」
※エジプトのミイラや奥州藤原氏三代は後者、レーニンの遺体は前者となる(今もレーニン廟にはレーニンが死んだ当時のまま遺体が保管してある)。
ケン「こちらも香料を防腐剤とし、人工的に乾燥させた死体です」
輝夜「…ちなみにこれはなんの死体かしら?」
ケン「鴨です」
輝夜「やっぱり違うわね。ミイラは人間の…」
ケン「いえ、一概にもそうは言えません。確かエジプトでは動物のミイラも出てきているはずです」
輝夜「グッ…」
永琳「…流石にこじつけが過ぎるわよ、ケン。輝夜はこういっているけど、もう少し納得出来るものを…」
ケン「…では、これが『木乃伊ではない』という事を皆さんが証明してください」
輝夜「…えっ?」
ケン「この干し肉がミイラではないと証明できるならどんな罰でも受け入れます」
ケン(幻想郷ではミイラを見た事がない…それは他の幻想郷の住民から見てわかった事だ。外に行ける紫さんならともかく、普通の幻想郷の住民はまず木乃伊というものを実物で見た事がないんだ)
永琳「…輝夜、この勝負はケンの勝ちね」
輝夜「だ…だけど…」
永琳「これがミイラじゃないならミイラではないという証拠がなければダメね。でもこの中でミイラじゃないっていう証明ができるのは誰一人していないんじゃないかしら?」
輝夜「…」
永琳「だからケンの勝ちよ」
輝夜「…はぁ…」
輝夜(…あの父親と同じね…偽物である事を証明できずに一時は結婚寸前まで追い詰められた。でも今回はそれを証明できるものじゃない…それに…彼は人を騙す訳ではなく、できる限り私の要望に答えようとしてくれた)
輝夜「…分かったわ。この勝負、ケンの勝ちよ」
ケン「…ありがとうございます」
ー数時間後ー
ケン「輝夜さんにこれを渡しておきます」←壺
輝夜「これは…?」
ケン「蜂の巣です。蜂が巣を守るために集めた樹脂と蜜蝋を混ぜ合わせた『プロポリス』と呼ばれた固形物でできています。木乃伊がなぜ万能薬扱いになったのかははっきりとは分かりませんが、ミイラを作る際にこのプロポリスが防腐剤に使われていたからという見方があるそうです」
ケン「プロポリスはギリシャ語で『敵の侵入を防ぐ城壁』の意味で、真菌類やウイルスの繁殖を抑える天然の抗菌物質です」
ケン「パンに乗せてお召し上がりください」
輝夜「…本当に律儀ね…」
ケン「ではありがとうございました」スタスタ…
ーその夜ー
輝夜「で…どうだったかしら、ケンは」
永琳「…まあ、大体わかったわ」
輝夜「突然ケンに対して難題を出せと言うから出してあげたんだけどね…まあ、ものの見事に全て解決されたのだけど」
永琳「…」
輝夜「永琳、どうしたのかしら?」
永琳「なんでもないわ」
永琳(ケンの恐ろしい部分…それは料理の腕はもちろん意地を通すだけの胆力、そして高い思考力、そして…)
永琳(…その人が望んだものを具現化させる手際の良さ…)
永琳(…彼は果たして月の災いとなる者が…それとも月に新たな風を吹かせる者になるのか…)
#32はここまで。永琳の最後の思考は原作4巻で楓が恐ろしいと言っていたことです。料理は上の海鮮3つの料理は原作24巻の村上水軍に出したもの、ミイラは原作33巻で堺衆に出したものです。古代エジプトでは上記の通り来世で生き返るには元の体が必要と言われ、多くのミイラが作られたと言います。古代エジプトのミイラの作り方は以下のようなもの。
脳や内蔵を取り出す→死体をソーダ水や塩づけにして乾燥させる→死体に防腐剤を塗って殺菌し、密閉する→布で巻く
当時は香料がなかったため、松ヤニと油(おそらくゴマ)を使っていたらしいです(樹脂を油と混ぜると殺菌作用があり、腐敗から護ってくれる。ソーダ水は脂肪を落とす為らしい)。火葬が一般的な日本ではミイラなんて現在ではつくりませんが、昔の思想というものは現代とはかなり違うと思います。
ケンは今後どうする?
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1 戦国時代に戻る(可能なら)
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2 現代に戻る(現実的)
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3 幻想郷に残る(これも現実的)
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4 その他