東方のシェフ   作:多聞丸

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新年を迎えた幻想郷。ケンの新たな一年が幕を開ける。


#38 故郷の味

ー元日、博麗神社ー

新春の風が頬を心地よく撫でる。幻想郷にもまた新たな一年が舞い込んできた。

 

霊夢「んん~…。そういえば今日はお正月だったわね…。ということは初詣に来るわね。お賽銭の書き入れ時ね!」

霊夢「さ~て…最初の参拝客は誰かしら?」

 

コツコツ…!

 

霊夢「来たわね。博麗神社にようこそ、今なら博麗神の霊力でチャチャッとお願いが…」

ケン「あけましておめでとうございます、霊夢さん」

妹紅「今年もよろしく」

霊夢「…ケンと妹紅ね。あけましておめでとう」

妹紅「なんだよそのガッカリようは」

霊夢「だってケンはしょっちゅうここに来るし妹紅に関しては賽銭入れていかないじゃない」

妹紅「霊夢は自分で祀っている神のことも知らないじゃんか。そんな物に賽銭を入れようっていうのはね…。あと私無宗教だし」

霊夢「あんたは不老不死だからね!」

ケン「私はちゃんと拝みますよ」

霊夢「やっぱりケンは違うわね。どこかの不老不死のやつと違って」

妹紅「表に出る?」

霊夢「ええ、やりましょうか?」

ケン「…新年早々喧嘩をしないでください。福が逃げますよ」

霊夢「…分かったわよ。で…その包みは何?」

ケン「はい、霊夢さんにも届けようと思いましてお持ちしました」

霊夢「…分かったわ、上がって」

ケン「はい、お邪魔させてもらいます」

妹紅「じゃあ私も上がるよ」

 

ー博麗神社、客間ー

霊夢「それで…届け物って何かしら?」

ケン「はい、こちらです」パサッ…

霊夢「…重箱?」パカッ…!

 

お節「…」

 

霊夢「お節じゃない!ケン出来したわね!」

ケン「はい、霊夢さんにもおすそ分けしようと思ったので。どうぞ」

霊夢「…あれ?見たことがないやつが入ってるわね?」

ケン「はい、幻想郷には無いものも入っているので」

霊夢「…これは?」

ケン「数の子ですね。ニシンの魚卵や卵巣を塩漬けしたものです。紫さんから取り寄せてもらいました。子孫繁栄の意味があります

霊夢「これは?」

ケン「海老ですね、こちらも紫さんから頂きました。長寿の意味があります」

霊夢「これは?」

ケン「栗きんとんです。金運上昇の意味があります」

霊夢「色々入っているわね…」

ケン「正月のめでたさと新年への願いがこの箱に込められているのです」

 

※栗きんとんの発祥は室町時代。しかし現在の形になったのは明治時代。

 

霊夢「まあいいわ。新年からいい事がおきそうね。ケン、今お皿を…」

 

ゴシューーー!!

 

魔理沙「よ、あけましておめでとうだぜ」

霊夢「帰りなさい」

魔理沙「なんだよ、せっかく参拝客客がいないから来てやったのに」

霊夢「参拝客ならいるじゃない」

魔理沙「えっ?」

ケン「どうも」

魔理沙「ケンはノーカンだぜ」

霊夢「で、正月早々何よ」

魔理沙「お年玉くれだぜ」手を出し

霊夢「あげないわよ」

魔理沙「ぶ~…」

霊夢「用がないなら帰りなさい。私は今からケンと…」

魔理沙「なあ、ケン。これはなんだのぜ?」

ケン「お節です」

霊夢「話を聞きなさいよ!」

魔理沙「これがお節か?私の知ってるお節じゃないのぜ?」←大金持ちの娘(勘当済み)

ケン「魔理沙さんの知っているものよりあとの時代のものですから」

魔理沙「な…なるほどだぜ?」

霊夢「…仕方ないわね…そこに座りなさい」

魔理沙「やったのぜ」

コツコツ…

霊夢「今度は参拝客かしら?」

早苗「こんにちは、霊夢さん」

霊夢「…あんた商売敵でしょ」

早苗「諏訪湖様達から挨拶しておくように言われたので来ました。博麗神社にも分社を置かせて貰っていますし」

霊夢「…あんたも律儀ね」

早苗「いつもお世話になってますし。あ、ケンさん」

ケン「あけましておめでとうございます、早苗さん」

早苗「お節じゃないですか!これ、ケンさんが作ったのですか?」

ケン「はい、紫さんから材料を用意してもらって作りました」

早苗「美味しそうですね…あの…一緒に食べても…」

霊夢「ダメよ」

早苗「そうですか…」

霊夢「…少しならいいわよ」

早苗「…!はい!」

妹紅「そういえばこの前、鈴仙ちゃんからお餅頂いたよ。これでなにか作れないか?」←月の餅

ケン「はい、ではお作りしますね」

 

ー数十分後ー

ケン「お待たせしました。お雑煮です」

 

お雑煮←大根、人参、えのき、油揚げ、鶏肉、鶏肉、三葉、四角餅

 

霊夢「ん?これがお雑煮?」

魔理沙「なんか知っているものと違うぜ」

早苗「…!」

ケン「お雑煮は県によってお餅の形、使っている味付けがかなり違います」

霊夢「…うん、美味しいわね」

魔理沙「本当だぜ」ズズズ…

早苗「…これは…諏訪のお雑煮ですか」

ケン「はい、細かいところまでは似せられませんでしたが、大まかには味付けは似ているかと」

早苗「…」

 

ー回想ー

早苗「お母さん、今日はお雑煮?」

早苗母「ええ、正月だからね。早苗はお母さんのお雑煮好き?」

早苗「うん!大好き!」

早苗母「ふふ…」

 

ー現在ー

早苗(…お母さん達は…今頃どこにいるんだろう…)

早苗(…何も言わずにこっちに来て…きっと探しているんだろうな…)

霊夢「何湿っぽくなっているのよ。福が逃げるわ」

早苗「…!す…すいません…」

魔理沙「早く食べようぜ!」

霊夢「そうね、早く食べましょう」

ケン「ではいただきましょうか」

妹紅「うん」

早苗「…」

魔理沙「じゃあ、これ頂き!」←蒲鉾

霊夢「あ!待ちなさい!」

 

一抹の不安と新年への感謝を込めて時間は過ぎていく。




#38はここまで。お雑煮は地域によってかなり作りが違うのでその地域の特性が出やすいですね。長野県の1部では小豆を使った雑煮もあったり。原作でも『越前の雑煮』を朝倉の兵に食べさせて撤退させています。戦国時代ではお雑煮はめでたい時に食べられていたので、食べた兵士は嬉しい思い出がより反映されていたんでしょうね…。

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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