東方のシェフ   作:多聞丸

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年も明け、新たな1年を迎えた幻想郷。ケンはある用で妖怪の山を訪れる。


#39 椛の甘味

ー妖怪の山ー

肌が凍るような風が吹いている。地面には白狼天狗の毛のような真っ白でふわふわした新雪が地面を覆っている。誰も入らない冬の山でケンは妖怪の山にいた。

 

ケン「すいません椛さん。こんな朝早くから」

椛「もう慣れたわ。それにいつも料理を作ってくださるお礼よ。これも哨戒の任務のひとつなので苦じゃないわ」

ケン「…ありがとうございます。それと…最近文さんとはどうですか?」

椛「あ~…うん。まあ色々あってね…」

ケン「は…はぁ…」

椛「そ…それより今日妖怪の山に来た理由は?この時期だから山菜はまだ採れないとは思うけど…」

ケン「はい、今日は天狗の皆さんに新たなビジネス…仕事をお願いしに参りました」

椛「…仕事?」

 

ー妖怪の山、山道ー

椛「皆を集めて来たんだけど…何をする訳?」

白狼天狗「ケンの事だから料理だよね?」

ケン「はい。皆さん、妖怪野山にある楓の木を知りませんか?」

白狼天狗「楓…?それなら山中に生えているよ?」

ケン「今から作る物は楓の樹液から作るものです。楓の種類によって出来る出来ないがあるので1つずつ探していきましょう」

椛「分かったわ。こっちよ」

 

ー妖怪の山、某所ー

椛「えっと…これが楓の木ね」ポン

ケン「いいウリハダカエデですね。ではここに…」

 

ガッ!ガッ!

 

椛「えっ…楓の木に傷をつけて何してるの?」

ケン「今から作る料理の材料は楓の樹液から作るものです。ですから幹に竹筒をさして樹液を集めていきます」

椛「な…なるほど…」

ケン「これを山中の楓の木に刺しておきましょう」

椛「き…気が遠くなりそう…」

 

ーその日の夕方ー

椛「や…やっと終わった…」ハァ…ハァ…

ケン「白狼天狗の皆さんの協力があって何とか終わりましたね。それでは帰りましょう。また明日見に来ます」

椛「ま…また明日何かあるの…」

ケン「ええ、明日からが本格的な作業です」

椛(何が始まるんだろう…)

?「あやややや、なんだかお疲れ気味ですね」

椛「…!文様」

ケン「文様…?以前はそんな呼び方でしたっけ?」

文「おや、ケンじゃないですか。実はあの後2人で飲みに行ったのですが、お酒を飲んだ途端椛が甘えてきましてね…」

椛「も…もういいです!」

ケン「な…なるほど…」

文「所でケンは妖怪の山で何をしていたのですか?」

ケン「天狗の新しいビジネスを紹介していました」

文「新しい…方法それはどんな?」←ペンとメモ帳

ケン「では、明日椛さん達と一緒に手伝ってください」

文「えっ?」

ケン「その方が見たままの記事が書けると思います」

文「確かに一理ありますね…ではお手伝いしましょう」

ケン「ありがとうございます」

文(ついでにケンの事も記事にしちゃいましょう)

 

ー翌日ー

椛「ケン、集めてきたよ」

ケン「ありがとうございます。それではこちらの甕に入れてください」

椛「分かったわ」ジャ~!!

文「しかしまだ集めるのですか…昨日どれだけ用意したんですか?」

ケン「妖怪の山中に樹液を集めるための装置を用意したのでもう少しありますね」

椛「でもこれで甕3つ分よ…どれだけ集めるのかしら?」

ケン「今から煮詰めていきます。これだけの量の樹液があっという間になくなりますよ」

文「あやや?」

 

ー20時間後、小屋ー

ケン「出来ました」

文「…もうすっかり夜明けじゃないですか…」

椛「ふあぁ…眠い…」

ケン「これが楓の木の樹液から作った物…メープルシロップです」

椛「めーぷ…」

文「しろっぷ…?」

ケン「メープルシロップ…楓の木の樹液を煮つめて作ったものです。せっかくですから朝食に料理を出しましょう」

 

ー1時間後ー

ケン「魚が取れました。では…」

ケン「まずは川魚をしっかり焼きます」

ケン「魚が焼けたら鍋に移したっぷりの酒と水で煮て酢を入れる…」

椛「…?」

ケン「そして…先程作ったメープルシロップを…」

文「えっ?そこで入れるのですか?」

ケン「これに醤(味噌と醤油の元となった調味料)をいれ、煮汁が無くなるまで三刻ほど炊きます」

 

ー六時間後ー

ケン「出来ました。『川魚のメープルシロップ煮』です」

椛「…!」パクッ!

文「…!」パクッ!

椛「魚が…甘い?!」

文「しかも川魚特有の臭みがない…!」

ケン「メープルシロップのおかげです。肉や魚の臭いを隠す効果があり、生姜などを使う手間がなくまた甘味は醤との相乗効果でよりコクと旨みが出ます」

ケン「さらに…」

 

ー数十分後ー

椛「…!美味しい~」

文「これはなんですか?」

ケン「パンケーキです。メープルシロップはこのように甘味にも使われます。これなら天狗の皆さんにも簡単に作れると思います」

ケン「このようにメープルシロップは様々なことに使えます」

文「…確かに楓の木は沢山ありますし沢山作ることは可能ですね」

椛「メープルシロップ…まだ使い道がありそうですね」

ケン「ただ、メープルシロップは気温が0℃で変動する時期、早春の芽が芽吹く時期だけ取れるものです。冬の間しか妖怪の山でしか取れないものです」

椛「冬の間だけ…」

文「でもそれを差し引いても新しい材料になる事は間違いないですね」

椛「…文様、河童にも話をしてみましょう」

文「なるほど…これはいい料理記事ネタになりそうですね…」

椛「ありがとうケン。こっちでも作ってみるわ」

ケン「はい」

 

その後、妖怪の山で作られたメープルシロップは河童の技術を得て増産。高価ではあるものの人里に出回ることになった。




#39はここまで。信長のシェフ本編でも川筋衆を懐柔させるためにメープルシロップを使っています。本編でも出てきたとおり日本の楓からもメープルシロップは作れます。自分で作るメープルシロップはさぞ格別でしょう。ただ、時期が限られることと40L取って1Lしか作れない手間、そして何よりも山の木を勝手に切ることは犯罪に繋がります。作りたい時は地主に許可をとってからやりましょう。

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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