東方のシェフ   作:多聞丸

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2月14日、幻想郷に新たな風が吹き渡る。

※アンケートの結果妹紅になりました。


#41 感謝の気持ち

現実世界での2月14日と言えばなんであろうか?そう、バレンタインデーである。古くは古代ローマの時代、戦に行く兵士は家族ができると士気が下がると言われ結婚が禁じられた。しかし、聖人バレンチヌスは兵士たちに愛を説き、結婚をさせていた為皇帝に逆らったとみなされ処刑された。人々はその聖バレンタインの処刑日を『バレンタインデー』と呼ぶようになったと言われている。無論、海外や外の世界との関わりのない幻想郷である。そんなイベントに関しては知るわけがない。しかしある一人の男によってそのバレンタインデーが幻想郷に広まっていくのである。

 

ー2月14日、迷いの竹林ー

ケン「…」ゴリゴリ…

妹紅「…?ケン、何作ってるんだ?」

ケン「妹紅さん。今日はバレンタインデーなのでお世話になっている人にお菓子を配ろうと思って作っていました」

妹紅「ば…バレンタインデー…?」

 

※バレンタインデーが伝わったのは戦後アメリカから。

 

ケン「はい、この幻想郷に来てからわたしも時間が経ちましたのでそのお礼に作りたいと思いまして」

妹紅「…バレンタインデー…ってなんだ?」

ケン「はい、海外で広まった恋人や友達にお菓子や花を渡す文化です。日本では女性から男性に送るパターンが多いですが、海外では男性から女性に渡すこともあります」

妹紅「へ~…要は友達や好きな人にお菓子をあげる日ってことね」

ケン「そうですね」

妹紅「…なら…私もなにか作りたいんだけどいいか?」

ケン「はい、何を作るんですか?」

妹紅「う~ん…慧音にいつもお世話になっているからさ、なにかお菓子でお礼をしたいと思っているんだ」

ケン「…それなら、いいお菓子を紹介しますよ。きっと慧音さんも喜んでくれるはずです」

妹紅「…喜んでくれるか?あまり料理が上手じゃない私の料理を」

ケン「料理の善し悪しは大事ではありません。大切なのは一生懸命作ったという気持ちがあれば十分ですよ」

妹紅「でも…」

ケン「では作り方を教えますのでその通りに作ってみてください」

 

ーその日の午後、人里寺子屋ー

慧音「ふう…今日の授業も終わりだな。やはり人が学び、成長していく姿を見るのはいいな」

 

ガラッ…

 

慧音「ん?誰だ?」

妹紅「あたしだよ、慧音」

慧音「妹紅じゃないか、どうかしたのか?」

妹紅「うん、ちょっとね。今日は慧音に贈り物をしたいと思うんだ」

慧音「贈り物?」

妹紅「うん、これなんだけど…」ガサガサ…

慧音「…包み紙?」

妹紅「開けてみて」

慧音「いいのか?」

妹紅「いいよ」

 

ガサガサ…パカッ…

 

慧音「これは…なんだ?」

妹紅「『キャラメル』って言うお菓子だって」

慧音「キャラメル……なるほど、ケンに教えてもらったのか。だけどなぜ今日なんだ?」

妹紅「今日はケンが言うには大切な人に贈り物をする日なんだって。私にとって大切な人なんだ」

慧音「…」

妹紅「私がこの死ねない体になって、自暴自棄になっていた時に慧音が話しかけてくれた…それが何より嬉しかったんだ」

 

ー???年前ー

慧音「…あれは…」

妹紅「…」←殴られてアザだらけ(治っている)

男「なんだこいつは…いくら殴ってもすぐ治る」

男2「バケモンみたいだな…」

男3「こうなったら…」←包丁

男「ちょっ?!待てって!それで死んでもしたら…」

男3「死んでもかまわねぇだろ。盗人を殺すくらい…」

慧音「やめなさい」

男「?!慧音先生!」

慧音「どんな理由があろうと抵抗しない者に暴力を集団で振るうのは私刑にあたる。いい大人がやっていいことでは無いぞ」

男「し…しかしこいつは盗人…」

慧音「盗人だからといって私刑が許されるのか」ギロッ!

男「うっ…命拾いしたな!!」ダダダ…!

慧音「…大丈夫か?」スッ…

 

バシン!

 

妹紅「…助けなくても良かったのによ」

慧音「なぜそんなことを言う?」

妹紅「…あんたも分かっているだろう。殴られても殴られても死にはしないあたしの体によ」

慧音「…」

妹紅「ただの人間であるお前に行っても無駄だ、帰れ」

慧音「…」

 

ーその後ー

慧音「やあ、元気かい?」

妹紅「…!」ダッ!

慧音「ふぅ~む…」

 

ー数日後ー

慧音「やあ、調子はどうだい?」

妹紅「…!チッ!」ダッ!

慧音「…」

 

ーその後ー

慧音「なあ、そろそろ名前ぐらい教えて貰っても…」

妹紅「…」グググ…!!

妹紅「しつこいな!あたしは普通の人間じゃないって言ってるだろ!関わらないでくれ!」

慧音「…普通の人間ではない…か」

妹紅「そうだろ!だったらさっさと…」

慧音「…なら君に見せたいものがある。満月の夜、寺子屋に来てくれないか?」

妹紅「あ゛?!」

慧音「君をもてなそうと思うんだ。だから来てくれないか?楽しみにしているよ」スタスタ…

妹紅「あ…!おい…」

 

ー満月の夜、寺子屋ー

妹紅「…なんでこんな日に寺子屋に来ないといけないんだ…」

 

ガラッ!

 

慧音「ああ、来てくれたのか。遅いから来ないかと心配したんだよ」

妹紅「…それで…呼んだ理由ってなんだい?つまらなかったら…」

慧音「つまらない…か…。じゃあ私の正体を見てもつまらないと…いえるかな」

妹紅「正体?」

慧音「…見ててくれ」

 

月明かりに照らされた寺子屋の庭…そこには角が生え、尻尾が生えた慧音の姿があった。

 

慧音(白澤)「…これが半人半獣の私の正体だ」

妹紅「…な…な…あんたも人間じゃないのか…?」

慧音「いや、私は後天的にこうなった元人間だ」

妹紅「後天的…?」

慧音「ああ、まあ色々あってな。今では白澤と人間の半人半獣と言ったところかな」

妹紅「…」

慧音「さて…私は胸襟を開いて見せた。もし良ければ君の…」

妹紅「…妹紅」

慧音「…?」

妹紅「私の名前は藤原妹紅。あたしは…不老不死の人間だ」

 

誰にも信用されず、人間不信になっていた私を暗闇の底から照らしてくれた一筋の光…それが慧音だった。

 

ー現在ー

妹紅「人間不信の私に根気よく付き添って、そして私を変えてくれた…本当に感謝してる。だからそれが私の感謝の気持ちだ」

慧音「妹紅…」

妹紅「慧音、ありがとう」

慧音「私もだ。あの時まで私は、この体を隠しながら生きてきた。だが、妹紅と話を聞いて仲を深めていくにつれて自分に自信を持てるようになったんだ。私も妹紅に感謝している」

慧音「…こんな物を貰っておいてタダで返すのは野暮だな。妹紅が来た時に渡しておこうと思ったんだ」ガサガサ…

妹紅「…服?」←小袖

慧音「香霖堂の店主に頼んで作ってもらった物だ。きっと妹紅にも合うと思う」

妹紅「…ありがとう」

 

ー迷いの竹林、妹紅の家ー

妹紅「ケン、料理を教えてくれてありがとう。慧音に渡すことが出来たよ」

ケン「いえ、妹紅さんの役に立てたなら…」

妹紅「…ケン、これを貰ってくれないかな?」

ケン「なんですか?」

妹紅「…包丁。ケンは今まで私の家にあったものを使ってたでしょ。慧音に聞いたら包丁によっても色々あるようだし、人里の鍛冶屋で作ってもらったんだ」

ケン「妹紅さん…ありがとうございます」

 

※包丁の種類

菜切り包丁・出刃包丁・柳刃包丁・三徳包丁・中華包丁

 

ケン「しかし、中華包丁や三徳包丁をよく知っていましたね…」

妹紅「鈴奈庵で小鈴から料理の本を貰ってその中に色々な包丁が書かれていたからそれを参考にして作ってもらったんだ」

妹紅「…ケン、それが幻想郷で生きていくお前の刀だ。これで誰にも負けない料理を作ってくれ」

ケン「はい。ありがとうございます、妹紅さん」

妹紅「うん、いい返事…」グ~…!!

妹紅「ご…ごめん。何か作って」///

ケン「はい、分かりました」

 

新たな道具と妹紅の感謝の気持ちを受け取ったケン。ケンの幻想郷での暮らしに新たな風が吹こうとしていた。




#41はここまで。バレンタインデーは日本では女性→男性のイメージが多々ありますが欧米では男性→女性も一般的です。日本でホワイトデーやバレンタインデーにチョコを配るというのはお菓子会社の策略ですね。

話は変わりますが、今までケンは妹紅の家の包丁(主に三徳包丁)を使っていました。信長のシェフでは1話で夏から包丁を作ってもらい、武田から帰った後にも包丁を作ってもらっています。包丁は料理人の命であり、錆びた包丁、切れ味の悪い方は味にも影響が出ます。そのため手入れをしていない包丁は料理の恥なのです。家庭で使うステンレス製であるならば月一で研ぐのが理想らしいです。

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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