東方のシェフ   作:多聞丸

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多くの護衛に守られて三途の川へと向かうケン。三途の川への道、中有の道で死者の祭りを目撃する。


#44 中有の祭り

ー人里から中有の道への道のりー

頼もしい護衛を連れたケンは三途の川へと通じる『中有の道』と呼ばれる場所へと移動していた。

 

アリス「そういえばだけど…なんでケンはもう一度記憶を思い出そうとしたの?」

ケン「勇儀さんの助言です」

咲夜「あの鬼から?」

ケン「ええ、『自分の記憶を知らないのは自分の生き方を否定している』と言われまして…」

霊夢「…まあ、私は自分の生き様なんてあまり深く考えたことないけどね」

魔理沙「まあ、今回でケンがなんでここに来たかわかるのぜ」

早苗「…ケンさん、ひとつ質問してもよろしいですか?」

ケン「なんでしょうか?」

早苗「もし…ケンさんが自分の記憶を取り戻したあと…自分の世界に帰るのですか?」

妹紅「…!!」

ケン「…分かりません…その記憶次第ですかね…」

妹紅(…そうだ…ケンが記憶を取り戻す事は自分の世界に帰るって事だ…)

妹紅(…私はケンがその答えを出した時に…素直に喜べるのかな…)

ケン「…?妹紅さん?」

妹紅「な…なんでもないよ」

妖夢「見えてきましたよ、あれが中有の道です」

 

ー中有の道ー

幻想郷の住人に『中有の道』と呼ばれた場所はまるで夏祭りのように華やかな場所であった。

 

早苗「いや~、いつ来ても賑やかですね~」

ケン(…てっきり三途の川へ続く道だから寂しいと思いきや意外と賑わっている…)

霊夢「なんで賑わっているか知りたい?」

ケン「えっ?」

霊夢「顔に出てたわよ。今地獄が財政難で三途の川の渡し賃だけじゃやっていけないからよ」

ケン「ということはここにいるのは…」

霊夢「そう、地獄に落とされた罪人。だから賑わっていても油断しない方がいいわよ。特にケンは人を信じやすい人間だからね」

ケン「き…気をつけます…」

ケン(…そういえば地底も財政難で切り落とされた場所に鬼が住み着いたって言っていたな)

妹紅「ケン、買ってきたよ」

ケン「お…お面ですか?」

妹紅「ケンもせっかくお祭りに来たし楽しまなきゃ」

ケン「…ありがとうございます、妹紅さん」

魔理沙「じゃあ一旦ここで別れて祭りを見て回らないか?」

霊夢「いいけど散財しすぎないでよ」

魔理沙「わかってるって」

咲夜「じゃあ一旦別れましょう。1時間ほどしたらここに集合しましょう」

アリス「わかったわ」

 

ー30分後ー

妹紅「ケン、どう?」

ケン「賑やかで楽しいですね」

妹紅「…ケン、もしさ記憶が全て甦ったら…元の世界に帰る?」

ケン「…分かりません、自分がどんな世界から来てどうしてここに流れ着いたのか…それ次第ですね…」

妹紅「…そっか」

ケン「…!あそこの店…なかなか人が集まってませんね」

妹紅「それがどうしたの?」

ケン(…)

 

ー屋台ー

亡霊「…」

ケン「…どうしました?」

亡霊「客か?」

ケン「いえ、ただ困っていそうなので尋ねてみました」

妹紅「ケン!こいつは亡霊なんだよ。早くここから…」

ケン「…なにか事情があるのですか?」

亡霊「…俺は元々貧しい暮らしをしていた。両親は毎日朝から晩まで働いていた。だが生活は一向に良くならなかった。俺が10の時に両親は死に、俺はそれから生きるために毎日盗みをして生活していた。だが…」

亡霊「…ある日、町一番の金持ちから盗みをし奴がつけていた用心棒に斬り殺された。まだ…18の時だった。それからここに来て何年もの間、ここで店を出していたが才能がねぇのかちっとも客が寄り付かなねぇ…」

亡霊「…俺って何のために生きて…なんのために死んだのかな…」

ケン「…そのことは…盗んだ事は反省してますか」

亡霊「ああ…生きるために仕方なかったとはいえ、反省してるよ…」

ケン「…分かりました。少しお待ちください」

亡霊「…えっ?」

ケン「妹紅さん、私の荷物から小麦粉と卵、牛乳を」

妹紅「えっ?な…何するの?」

ケン「この人を助けます」

 

ー30分後ー

霊夢「ケン…なかなか来ないわね…」モグモグ…

魔理沙「どこかで寄り道してるんじゃねぇのか?あと…お前が1番散財しているように見えるが?」

霊夢「そんな事ないわよ」←両手いっぱいの荷物

妖夢「な…何でそうなったんですか?」

霊夢「別に?射的で当てただけよ」

咲夜「もうそこまで行くと才能ね」

早苗「お待たせしました~」

霊夢「遅いわよ。早苗、ケンと妹紅見なかった?」

早苗「えっ…見ませんでした。ですが、向こうにたくさんの人盛り…いえ、霊盛りが…」

霊夢「…えっ?」

 

ー屋台ー

亡霊「はい、お待たせしました。こし餡とつぶあん3つずつね」

ケン「こちらはカスタードクリームです」

妹紅「…」

霊夢「…妹紅、どうしたの?」

妹紅「…ケンがさ、困ってる亡霊を助けて商品を売り始めたらこんなに霊が集まってきてね…」

早苗「一体何を作ってるんですか?」

妹紅「ええと…『人形焼』って言ってたかな」

アリス「に…人形焼?」

ケン「あ、おまたせしてすいません」

霊夢「ケン、あんた何してるのよ」

ケン「困っている人がいたので手助けをしてました」

霊夢「…人形焼ってどんなのよ…」

 

上海人形の人形焼

蓬莱人形の人形焼

 

アリス「それ…私の人形を象った…」

ケン「はい、知り合いの鍛冶屋さんに作ってもらいました。お祭りは移動するので歩きながらでも食べやすいものを作ったらどうかと思いまして…」

妖夢「可愛いですね~」

ケン「人形焼は元々は七福神などを象ったものです。それが時代が下るにつれて様々な形へと変化したと言われています」

ケン「少しでも祭りを楽しんで貰えればと思いまして提案しました」

霊夢「美味しそうね、ひとつ頂いてもいいかしら?」

ケン「どうぞ」

 

ーその後ー

亡霊「…ありがとよ、あんたのお陰で早く向こう岸へ渡れる算段がつきそうだ」

ケン「頑張ってください」

亡霊「ああ」スタスタ…

霊夢「…結局人助けするんだから…全く迷惑なんだから」

咲夜「と言って、ケンが作っていた料理を1番食べていたのは霊夢だったわよ?」

霊夢「うるさいわね、迷惑料よ」

咲夜「はいはい、そういうことにしてあげるわ」

妹紅「ケン、いよいよ三途の川だよ」

ケン(…この先に俺の記憶がある…。俺はその記憶を見た時…どんな決断をするのだろうか…)

 

三途の川へと近づくにつれて自分の記憶、そして決断の時期が迫ってくる…。




#44はここまで。

最近モチベーションが上がらなくてほとんど書いてませんでした(…最後の更新がほぼ1か月前)。これからペースあげていかないと…。

今回は祭りについて。祭り自体は縄文時代以前よりもあったとされています。祭りはその年に取れた作物や獲物を神に捧げ感謝を伝える儀式でありました。また、古代では酒が飲める唯一の時だったのです。時代が下るにつれ、祭りの形式は変化していき、戦国時代に火薬が伝わり、技術が発展すると、花火が打ち上げられたりするようになりました(花火師は実は火薬の扱いが得意だった忍者が再就職でやっていたとも)。ただ、祭りは娯楽の要素が強かったため、江戸時代には幕府から禁止令が発せられるほどでした。

今回登場した人形焼は浅草名物です。由来は人形町から。元々は芝居で見に来てくれたお客さんに楽しんでいただけるように作っていたそうです。そんな人形焼ですが初期の頃は七福神の全身を作っていたため相当大きい型を使っていたと思われます。

※最近SS投稿速報の方でも再開し始めました。艦これ系はそちらにあるのでぜひ…。

ケンは今後どうする?

  • 1 戦国時代に戻る(可能なら)
  • 2 現代に戻る(現実的)
  • 3 幻想郷に残る(これも現実的)
  • 4 その他
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