大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線 作:薬師審神者
「それにしても、この大会で優勝すれば、大乱闘スマッシュブラザーズに参戦できるというのは、やる気がでるな。レッドやリーフと大乱闘できると思うと頑張りたくなるぜ」
「あら。グリーンはファイターの方と知り合いなの?」
「ああ。ポケモントレーナーってファイター名で参戦してる。レッドとリーフは俺のライバルであり幼馴染なんだ」
開会式の会場で向かう途中、グリーンがそんなことを話し出す。
ファイターと知り合いということを話し、華扇やリドル、リンから興味を示される。
「ライバルってことは…。もしかしたらグリーンはファイターと同じくらい強いってこと?」
「まあな」
同じマサラタウンに生まれ、マサラタウンに育ち、共にカントー地方を旅したレッドとリーフはグリーンにとって掛け替えのない友なのだろう。
しかし、その二人が大乱闘スマッシュブラザーズに参戦した時のグリーンはどのような気持ちだったのだろうか。
グリーンはチャンピオン防衛戦で負けたにも関わらず、レッドとリーフとの力は互角。なぜ、レッドとリーフだけだったのか。
勇者やスティーブのように四人で同じ一人のファイターが出来るように、“ポケモントレーナー”としてレッドとリーフとグリーンで一人のファイターに出来たはずだ。
山姥切はそんなことを思う。
なんだか、レッドとリーフの武勇伝を語るグリーンの声がどことなく寂しく聞こえた。
……きっと寂しいのだろう。幼馴染が二人も大乱闘スマッシュブラザーズに取られたのだから。
「さあ、着いたよ。開会式会場に!」
霖之助の声と同時に薄暗かったこの場所が一気に明るくなる。いや、正確には山姥切達が明るい場所に出たのだが。
ものすごい歓声に、晴れ渡る青空。眩しい日差しが一夏の青春に思える。
しかし、現実はそんなものではないのだ。
山姥切は少し浮かれていた気持ちを掻き消すと、霖之助の後ろに着いていく。
霖之助に案内された先には学校にあるような朝礼台の前で、その上にはマイクスタンドがポツリと立っている。
山姥切はふと、空を見上げた。
雲一つない空。夏の風流だ。
『ただいまより、武闘会開会式を行います』
そのアナウンスだけで賑やかだった会場がシン、となる。
山姥切は少し緊張してゴクリ、と唾を飲み込んだ。
『武闘会主催、ローズ委員長からです』
朝礼台(かどうか微妙なもの)にどこか胡散臭そうな男性が登り、会場一体を見渡した。
この人はかなりの資産家に見える。
『この度は、大乱闘スマッシュブラザーズ新ファイター選考武闘会にご参加いただきありがとうございます。大乱闘スマッシュブラザーズの運営委員会からも協賛をいただき、またファイター達も新しい仲間が増えることも楽しみにしていらっしゃいます。この青空の元、勝ち負けにこだわらず、大乱闘をすることを……………………』
山姥切はそこまで聞いて眠くなってきた。まるで話の長い校長先生みたいだ。
とはいえ、山姥切はローズの真ん前にいるので、堂々と眠るわけにもいかない。
山姥切は眠気と戦いながら、早く話が終わらないかと待っていた。
『…………………では、思い出に刻まれる大乱闘を。マクロコスモス社ローズ』
ローズが話をやっと終え、会場はものすごい拍手に包まれた。
その音で山姥切はパチリと目が覚める。
やっとローズの話が終わったようだ。
『次は選手宣誓です』
ローズの話で終わりかと思いきや、まだあるらしい。
しかし、選手宣誓があるとなると、これはもうただの運動会ではないか。山姥切は主の学校の体育祭を思い出して、そんなことを思う。
右手側から一人の男性が優雅に歩いてきた。
山姥切はそれを見ると、思わず目を見張る。
青を貴重とした
しかし、三日月宗近が宣誓を行うだなんて意外だ。
三日月宗近は体育祭で大きい声で宣誓を言う体育会系男子には見えない。
山姥切はちょっと心配しつつ、ローズと向かい合う三日月宗近の背中を見続けた。
「宣誓!」
聞いたことがないような三日月宗近の大声。決して荒っぽくはなく、まるで落ち着きがある優雅な声だ。それでも会場中に響き渡っている。
「私達は支えてくれた方々の思いを忘れず、仲間と協力し、最後まで戦い抜きます」
その三日月宗近の視線はまるでローズをどこか試すような眼差しだった。
一応言っておくが、三日月宗近が年上だ。自称ジジイである。
何なら山姥切もローズより年上だ。何せ、古き刀剣の
「そして、正々堂々と競技に挑む事をここに誓います」
しばらくシン、となりその後溢れんばかりの拍手喝采が響く。
ローズと三日月宗近は向かい合って礼をし、それぞれ元の場所に戻っていった。
『次に大会ルールについてです………………』
大会ルールの説明が始まり、先ほどのような熱狂は静まっていく。
長々とした説明は要約すると、
・仲間と協力すること
・運営が決めたことに文句は言わないこと
・とにかく不正行為はしないこと
という感じだ。
何せ、新ファイターを決める大会なのだ。ルールが厳しく、たくさんあっても疑問はない。
開会式が終わり、山姥切達は会場から退場していく。
「さて、明日からは予選ね。各々頑張りましょう。切国、あなたの采配を期待しているわよ」
リンがそう言って山姥切の方を向く。
山姥切ははあ、とため息をつくと、リンから視線を逸らすようにフードを深く被った。
「俺は写しだからな。あまり期待しないほうがいい」
「何言ってるの。あなたからはものすごい強者の匂いがするわよ」
そんなこと言われても、と山姥切は思う。
しかし、これも主の命令だ。逆らえば、初期刀やへし切長谷部にふっとばされるだろう。
山姥切は重いため息をついた。