大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線   作:薬師審神者

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予選開始

「参る」

「アサナン、お願いします!」

 

開会式の次の日、予選が始まった。

予選を突破したチームのみ、決勝戦に出ることができる。

山姥切達のチーム――【Y-095】はポケモントレーナーのスモモが率いる【S-108】チームと戦うことになっている。

ステージはまだ予選なので普通のコートで、観客席はなく、川沿いでどこか草野球をするような場所だ。

 

「切国、負けないでくれよ」

「切国さん、頑張って!」

「切国。応援してるわ」

「切国!相手はジムリーダーだ!手加減すんじゃねえぞ!」

 

仲間達の熱い声援と共に山姥切はコートに入る。

スモモとそのポケモン、アサナンは山姥切の向こう側に立った。

 

「よろしくお願いいたします。山姥切国広さん」

 

不敵にスモモが笑い、カンフー(みたいなポーズだが、山姥切にはよく分からなかった)のポーズをする。

山姥切はそれを合図と見て、刀の柄に手をかけた。

 

「両者とも、準備はよろしいですか?……では、準備(レディ)開戦(ファイト)!」

「アサナン、“けたぐり”!」

 

審判者の合図と共にアサナンが早速指示を出す。

アサナンは山姥切の方に向かってきて、足技を繰り出した。

 

「この一撃で…決める!」

 

アサナンが山姥切に足技をお見舞いしようとしたところ、山姥切は刀を少し後ろに引き、素早くアサナンを斬り付けた。

居合い切りだ。

おお〜といつの間にかいたのか観客が声を上げる。

 

試合(ゲーム)終了(セット)!勝者、山姥切国広!」

 

開会式ほどではないが、観客の方から歓声が上がる。

山姥切がカチリと刀を収めると、グリーン達がやってきて、山姥切の背中をバシバシ叩いた。

 

「一撃必殺だなんてすげえな!俺も負けてられねえ!」

「悠長している場合じゃない、グリーン。さっさと次の試合に行くぞ」

 

山姥切は自身の背中を叩く手を除け、さっさと次の会場へと向かう。

グリーンはつれないやつだと笑い、山姥切の後に着いていった。

 

この大会にはたくさんの選手が参加しており、たくさんの相手と戦わなければならない。

つまり、五日後に控える決勝戦までにこの予選を終えなければならない。

一刻一刻が大事となるのだ。

山姥切達は次の試合へと向かった。

 

◆◆◆

 

「雷符『微速の務光』!」

「雷の呼吸 弐之型『稲魂』!」

 

雷の攻撃がぶつかり、お互いの技が相殺する。

華扇はやるわね、と呟いた。

 

次の試合では、獪岳(かいがく)という鬼が相手だった。

華扇はどこからか大鷲を連れてきて、その鬼と戦っている。一体どこから来たのだろうか。

 

華扇と獪岳が向かい合い、攻撃を再開する姿勢になる。

 

「あなた、鬼なの?ちょっと親近感が湧くわね」

「ふん?お前も無惨様から血をもらったのか」

「無惨…?誰なのか知らないけど…。まあ、こんな鬼なんてすぐに倒せるわね」

 

すると、華扇の包帯が巻いてある右手が、ぐにゃりと曲がる。なんと、華扇の右手は“なかった”。包帯は元々怪我した右手を巻いていたわけでもなかったのだ。

衝撃の事実に獪岳がぽかんとしていると、華扇の包帯が獪岳の方に伸びていく。

獪岳はそれを避ける暇もなく、一瞬で包帯にぐるぐる巻にされた。まるでミイラみたいだ。

 

「な、なんだこれは?!」

「こう見えて、邪道なの」

 

華扇は意味ありげにニヤリと笑う。

 

「包符『義腕プロテウス』」

 

華扇のそのスペルカードに獪岳はふっ飛ばされた。

この勝負、華扇の圧勝である。

 

「あいつは中途半端の“悪党”ね」

 

華扇は特に疲れてもないように服をパンパンと手で払った。

 

◆◆◆

 

「フレイムブラスト!」

「きゃあ!」

 

金髪に緑目の少女――――イングリットがリドルからの攻撃を受け、その場に倒れる。

イングリットはぜえぜえと息を荒らげ、リドルを睨みつけた。

 

「こんなところで…負けるわけには…!」

「おや、まだ倒れてなかったのかい?なら…ウォーターショット!」

 

水の攻撃がイングリットの抵抗虚しく、炸裂する。

ふう、と息をついたリドルがマジカルペンを胸ポケットに直すと、審判の赤旗がバサリと上がった。

 

「イングリット戦闘不能!よって勝者、リドル・ローズハート!」

「これくらい余裕かな」

 

◆◆◆

「はっ!」

 

リンは余裕ありげに対戦相手――同田貫正国(どうだぬきまさくに)からの攻撃を受けきる。

まるで戦闘狂みたいな相手でもリンは落ち着いていた。

 

「なかなかやるじゃねえか」

「そちらこそね!」

 

リンは後ろに下がると刀を構えなおす。

同田貫も同じように刀を構えた。

お互いにらみ合い、一触即発の空気が流れる。

その空気に耐えきれなくなったのか、同田貫がピクリと動く。

すると、同田貫の上に大きな影が現れた。

 

「がら空きよ」

 

なんと、そこにはリンがいた。

いつの間に、と思う束の間、同田貫はリンによって戦闘不能になっていた。

 

「勝者、リンディス!」

「ふう。次いきましょ」

 

◆◆◆

 

 

「いくぞ、ウィンディ!“フレアドライブ”!」

 

グリーンの手持ちであるウィンディが炎を纏い、対戦相手である葛飾北斎に猛アタックした。

葛飾は避けきれず、攻撃された衝撃でふっとばされる。

 

「咆えるじゃないか…!」

 

見た目に合わない江戸っ子の言葉に幼女ともとれるその容姿の彼女は侮ってはいけない。

グリーンは反動のダメージを受けたウィンディの様子を見つつ、相手を品定めしていた。

やはり、“フレアドライブ”でかなりのダメージを与えれたらしい。葛飾の足元がよろよろしている。

 

「もういっちょか?“かみくだく”!」

 

グリーンの指示にウィンディはガルルと唸り、葛飾に向かって突進する。

リズム感が良すぎるその足音はかなり相手に恐怖を与えられているんじゃないかと思う。

葛飾か武器を構えたが、ウィンディは容赦なく葛飾をくわえて飛び上がり、そこから地面に叩き落とした。

 

「流石だ!ウィンディ!」

 

準備運動にもならん、と言わんばかりにウィンディはガルゥと吠えた。

 

◆◆◆

 

「皆さん、お疲れさまです!アイス、買ってきました」

 

戦いを終えたグリーンが仲間のところに戻ると、丁度こはねが労いのアイスを買ってきたところだった。

 

「あっ。グリーンさん、ウィンディくんの分もいりましたか…?」

「いや、大丈夫だ。あいつにはマラサダがあるからな」

 

アローラで買ってきたお土産だけど、とグリーンは苦笑する。

 

とりあえず、今日の戦いはこれで一段落だ。

後は選手専用の寮に移動して、明日に備えて準備をするだけである。

 

「それにしても、華扇の右手にはびっくりしたよ。まさか右手が“ない”だなんてね。あれは義腕の一種なのかい?」

 

リドルがストロベリーアイスを頬張りながら華扇に聞いた。

この暑い時期に冷たいアイスを食べるのは一種の贅沢みたいなものである。

 

「まあ、そんなところね」

 

一方の華扇が食べているのはオレンジシャーベットだ。

どこか気難しそうな華扇だが、甘い物には目がないらしい。

 

「皆さん、とてもかっこよかったです!わたしは戦えないけれど、一生懸命皆さんのこと、支えますから!」

 

尊敬の眼差しを仲間に向けながら、こはねはブルーベリー味のソフトクリームにかぶりつく。

口周りが少々あれだが、あまり気にしてないようだ。

 

「頼りにしてるぜ、こはね。俺達も最高の結果を出さないとな」

 

ソーダ味のアイスキャンデーをしゃくりと食べてグリーンはうまぁ〜とつぶやいた。

ウィンディはというと、アローラ土産のマラサダを嬉しそうに食べていた。アイスと比べるとちょっとグリーン達が得している気がするが、ウィンディは楽しそうなのでそれでいいだろう。

 

「切国、あなたの刀さばきも良かったわよ」

「…ああ」

 

切国はシューアイスを食べており、どこか(くう)を見つめていて、上の空の様子だ。

リンが話しかけても、ボーッとしている。

 

「切国、どうしたの?」

「ああ、いや、考えごとだ…」

 

リンは目をパチクリした。

何か悩みでもあるのだろうか。

 

「元気だせよ、切国。俺達連勝してるんだから、そんな陰気臭くしてたら、雰囲気悪くなるぜ?」

「グリーンの言う通りだ」

 

グリーンとリドル、リンがクスリと笑い、華扇とこはねは苦笑した。

 

山姥切はこんな平穏な時間が続けばいいと思う。

しかし、それは無理だということは分かっていた。

 

(そういえば…。ファイター達は今どこに?)

 

それが、大騒動の引き金となることも知らずに。

 

 

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