大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線 作:薬師審神者
一日目の予選が終わり、山姥切達は寮に帰るのみとなっていた。
日はもう傾いており、今にも地平線の先に沈みそうだ。一番星も空に輝いている。
「…」
山姥切は空を見上げた。
雲一つない空。まるで青春の1ページのようである。
しかし、それが逆に不気味だ。
「…!」
山姥切に近付く明らかに怪しいその気配は、人混みに紛れるように山姥切に襲いかかった。
山姥切はすんでのところで避けきったが、まだ相手の素性が分かっていない。
しかし、山姥切は大抵の見当はついていた。自身を狙う敵の事を―――。
山姥切は本体を抜き、辺りを警戒した。
…なるべく、グリーン達を巻き込みたくない。
「おい。山姥切、どうした?」
「先に行っていてくれ」
「はあ?そんなこと言われても…」
「いいから、早く!」
グリーン達も山姥切のただならぬ様子に気付いたのだろう。山姥切を心配するように寮へと向かった。
山姥切は感覚に集中した。どこに敵がいるか、霊力の波動で大体の場所は分かる。
向こうのビル上から霊力の波動が流れてきた。
かなりの高さのビルだが、刀剣男士である山姥切国広にとっては関係ない。
大乱闘の時みたいに力が制限されていないので、山姥切は近くの低いビルの屋上に軽々と飛び上がり、段々と敵のいる場所に向かう。
もう、陽は沈んでいた。街灯が街を照らし、夜景が一面に広がる。
しかし、悠々とそれを眺めている場合ではない。
敵はもうそこにいる。
「予告状 あなたの心を頂戴する。……なんてな」
夜の闇から突如して現れた敵。
黒髪のくせっ毛にタキシード風の黒いロングコートを着て、両手には赤色の手袋がはめられてある。白黒の仮面もどこか怪しさを出していた。
まさに、怪盗に相応しい格好だ。
山姥切は本体を構えた。もう、相手が誰なのか分かりきっている。
「久しぶりだな」
しかし、最初に出てきたは再会の挨拶だった。
いや、あまり山姥切も冷静ではなかったのかもしれない。
山姥切は本体を構える手に力を込める。
「ああ。久しぶりだ」
敵は不敵に笑う。
「ちっとも嬉しくない再会だが」
その瞬間、山姥切の体がふと
視界に満天の星空が広がる。
すると、目の前に敵がナイフを構えて、飛び降りてきた。
山姥切は何が起こったのか混乱していたが、とりあえず自分が“ビルから落ちている”ことは分かった。
あの敵がビルから山姥切を落としたのだろう。まったく落とそうとする様子を見せなかったところがさすがだ。
しかし、そんな敵に感心している場合ではないので、地面に着地できるよう受け身をとる。
人混みの音が聞こえ、山姥切は地上が近いことが分かると、体勢を変え、そのまま落ちていく。
なんとか、無事に地面に着地すると、少し離れて敵も着地した。
着いたところは赤信号ばかりのスクランブル交差点。
もしかして敵はこんなことも計算していたのだろうか。
歩行者や運転者が戸惑うような素振りを見せ、どこかすまない気持ちになった。…いや、ビルから山姥切を突き落としたのはあの敵だが。
「早く
「…突き落としたのはあんただろ…」
「あ、そっか」
まるでコントだが、そんなに悠長していられないのだ。
敵は、明らかに山姥切を殺そうとしている。
しかし、山姥切は一言一言言葉を紡いでいく。
「…なぜ、俺を狙う?俺“達”はあんたの仲間の恩人だろう?」
「仲間じゃない。戦友だ」
「あまり変わりないのでは…」
「一応使い分けているけど」
「関係ないだろ…。…で、なぜ俺を殺そうとする」
「いや、なんとなく」
本当にコントになりかねないが、山姥切は敵が「なんとなく」で行動するタイプではないことは分かっている。何かしら理由があるはずだ。…これもまたある程度見当はつくが…。
「まあ、いい。売られたケンカは買う専門だ。……………ジョーカー」
山姥切は敵―――ジョーカーを見据えた。
ジョーカーはまたも不敵に笑う。
「ああ。……ペルソナ!」
紛れもなく、敵は大乱闘スマッシュブラザーズのファイターの一人―――ジョーカーであった。