大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線 作:薬師審神者
ジョーカーの後ろに翼の生えた男が現れる。ジョーカーのペルソナの一つ…アルセーヌだ。
「ショータイムだ」
ジョーカーが山姥切に襲いかかろうと突進してきた。
山姥切は避けきれたものの、割と焦っていたのでジョーカーの居場所を見失ってしまう。
信号が青になった。歩行者が戸惑っている。
ジョーカーは邪魔にならないよう、どこかに行ったのだろうか。
山姥切もスクランブル交差点から近くのビルの屋根に飛び上がり、辺りを警戒する。
…ジョーカーらしき存在はない。
あんなに喧嘩を売っときながら、のこのこと帰ったのだろうか。
山姥切は半分複雑な気持ちになりながらも、これ以上面倒な事になりたくないので、仲間が待つ寮へ向かう。
そういえば、ジョーカーを“仲間”と“戦友”を使い分けていると言っていた。
山姥切が言った“仲間”を“戦友”と訂正したからには、相当思い入れがあるのだろう。
(だが…。なぜ、俺はジョーカーに狙われているのか…)
それに関しては大体の予想はつくが、あまり確定ではない。
山姥切はため息をついた。
◆◆◆
「みーつけた」
「?!」
もうそろそろ寮に着くころ、ジョーカーの声が突然聞こえてきた。
山姥切が警戒しようとした瞬間、何者かに腹を蹴られ、後ろのフェンスまでふっとばされてしまう。
「ま、まだ…いた…のか」
「甘いな」
ジョーカーは一瞬で山姥切に近づき、ナイフを山姥切に向かって振り落とす。
「くっ!」
山姥切はすんでのところで抜いた本体で受け止めるが、正直押し負けそうだ。
「君のような人がこの大会に参加してるだなんて残念だな」
「な、なにを…」
すると、山姥切は胸ぐらを掴まれ、宙に投げられる。山姥切の方が体格は大きいが、それも関係ないというようにジョーカーは余裕でそれをこなした。
「はぁ!」
ジョーカーは思いっきり山姥切をナイフで斬りつける。その後、数メートル先にふっ飛ばされ、何の抵抗も出来なかった。
ジョーカーは攻撃の嵐を止めない。山姥切は一方的にやられるだけで、反撃もできなかった。
「くそっ…!」
山姥切は腹を蹴られて倒れ、起き上がることもできなり、相手を睨みつける。
「恩を仇で返すだなんて、ファイターとしての誇りは傷付けられないのか」
「誇り、か…。…それを言うなら戦友もお前達によって誇りを傷つけられた」
ジョーカーは睨み返すように山姥切を見下す。
そして、倒れている山姥切を足で踏みつけ、まるで復讐をしにきたような声色で話しだした。
「戦友は数ヶ月前、謎の者に襲われた。しかも多人数だ。ひどいと思わないか。戦友はそれで大怪我をした。下手をしたら死んでいた。戦友はファイターでありながら、“戦うことができない”からだ。敵はすぐどこかに行ったらしいが、戦友の証言曰く…」
山姥切は無言で聞いていた。ジョーカーに踏みつけられているところがジンジンと痛い。
「フードを被った金髪碧眼の男に襲われた…と」
山姥切は拳を握りしめた。フードを被った金髪碧眼の男だなんて山姥切国広以外にそうそういない。
しかし、山姥切はジョーカーの戦友を襲った覚えはないのだ。その戦友の勘違いだと思いたいが…。
山姥切は無言のままでいた。ジョーカーにつけられた傷に汗が入り込み、ヒリヒリする。そして、息をしているのもつらい。うまく酸素を吸えない。
しばらく、そのままの状態でいたが、抵抗しない山姥切にジョーカーは諦めたのか踏みつけていた足をおろした。山姥切の呼吸が少し楽になる。
ジョーカーのペルソナがフッと消え、ジョーカーは山姥切を見下ろした。
「…もういい。
そんな言葉を残して、ジョーカーはどこかに消え去った。
(まったく…。性にあわないなら最初からするな)
本当にとんでもない迷惑だ。というか、殺すつもりだったのか。
そんなことを思いながら山姥切は帰路に着こうと、刀を杖代わりにして、立ち上がる。
「くっ…」
しかし、立ち上げることはできず、そのまま倒れ込む。体のいろんなところが動かない。まるで拒絶反応を起こしているようだ。
「切国さん」
ふと、聞いたことある声がする。
まだ幼い声だが、山姥切はその声を聞いてかなり心が安心した。
力をふりぼって前を向くと、まだ小学生に見える少年がしゃがみこんで山姥切の顔を覗き込んでいた。
黄緑の肩上までのふんわり髪、桔梗色の垂れ目、軍帽みたいな帽子には特徴的な髪飾り。
「も、毛利…」
彼は山姥切の本丸の主力の一振り、毛利藤四郎だった。