大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線 作:薬師審神者
「そういえば、切国。昨日、どこ行ってたんだ?」
次の日。山姥切達が朝食を食べていると、グリーンがそんなことを聞いてきた。
山姥切は、まさか聞かれるとは思わず、むせてしまう。
…あまり聞かれたくない質問だ。
「俺達心配していたんだからな」
グリーンの声色から本気で心配されてはいるようだが、山姥切としては非常に言いにくい。
ファイターの一人であるジョーカーに殺されかけただなんて一言も言えない。
「…何があったのか聞かないけど、助けが必要ならいつでも言うのよ」
何も言わない山姥切を心配したのか、華仙が気遣ってそう言った。
その優しさがザクザクと山姥切の胸にささる。
今は何も聞いて欲しくない。
山姥切はその一心だった。
山姥切がずっと黙ったままなので、チームの中で気まずい雰囲気が流れる。
そんな時、ふと、誰かが、山姥切の肩をポンポンとたたいた。
「君、ちょっといいかな」
山姥切の肩をたたいたのは中年ほどの男性だった。
太い口髭と帽子がトレードマークで、帽子と同じ茶色のコートを着ている。
見るからにどう見ても警察だ。
山姥切はめんどくさいことになったとため息をついて、席から立ち上がる。
「や、山姥切さん…!」
はわわとこはねが山姥切と警察のほうを見た。
もう仲間は察していると思うが、明らかに昨日の夜のことだろう。
グリーンはおいおい、と呆れているようにも見える。
「行くぞ」
半ば無理やりにその警察に連れていかれると、応接間みたいな部屋に案内され、やけにフカフカなソファに座らされる。
その向かいに警察が座り、懐から手帳を取り出した。
「君、聞きたいことがあるんだけど、いいかい?」
「…ああ」
事情聴取だろうか。それにしてはかなり空気が重い。
「君、昨夜ここの近くのスクランブル交差点で、とある男と戦わなかったか?」
「…」
思い当たる節がありすぎる。
山姥切は答えるべきかどうか迷い、警察の顔をじっと見つめることしか出来なかった。
「…その場にいた通行人から証言が出ている。この写真に写っているのは君だろう?」
警察が1枚の写真を取り出した。
スクランブル交差点のど真ん中でフードの男と仮面をつけたマントの男が対峙している。
どこからどうみても山姥切とジョーカーだ。
山姥切の冷や汗がタラリと垂れる。
「その様子だと思い当たる事でもあるのかな?」
「正当防衛だ」
山姥切は思わずそう言っていた。
警察は驚いたように山姥切を見る。
それを見た山姥切は急いで言葉を続ける。
「俺はあいつに殺されかけた」
「ほう。…一旦、署で話を聞いた方が良さそうだね」
大変な事になったと山姥切は心の中で焦る。
今思えば、山姥切がいたところの常識はここでは通用するとは限らない。
とはいっても、ジョーカーと和解できるかどうか言われれば違う気もするのだが。
部屋が重苦しい空気に包まれる。やはり、殺されかけたことは言わなければ良かったか。山姥切がそう思った時。
「待って」
部屋のドアが開き、1人の女性が入ってきた。
警察と山姥切は同時にそちらを見る。
「ベレス…」
「ベレス殿…?」
「久しぶりね。切国、日暮警部」