大乱闘スマッシュブラザーズに他の作品が参戦した世界線   作:薬師審神者

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灰色の悪魔

突然、部屋に現れたのは大乱闘スマッシュブラザーズの1人、ベレスだった。

ベレスは遠慮なくこちらに歩み寄り、山姥切の隣に座る。

 

「突然入り込んでごめんね。切国、元気にしてた?ベレトもあなたの事を心配していたよ」

「…ああ」

「審神者ちゃんにもよろしく言っておいて。…で、日暮警部」

「な、何かな?」

 

ファイターの中でも随一を誇るマイペースさに山姥切と警察――日暮警部が戸惑う。

どうやらベレスは日暮警部とも知り合いのようだ。

別称『灰色の悪魔』とも言われるベレスに話を振られ、日暮警部は無意識に気を引き締めたように見える。

 

ベレスは何をしにきたのだろうか…。山姥切は唐突な不安に襲われる。

 

「日暮警部。君は切国を逮捕しようとしているよね?」

「…。ああ。道交法に違反していると署が判断したからな」

 

その事を聞いて山姥切はギョッとする。

もう、逮捕は決定事項だったのか。

しかし、ベレスは屈してないように見える。

 

「日暮警部。君はもう気付いているよね?」

「…」

「この場所では、私達の常識は通用しないこと」

 

日暮警部が黙り込んで山姥切とベレスを見る。

ベレスは言葉を続けた。

 

「私達の常識は通用しない。故に、私達はこの場所での常識に従わないといけない」

「つまり?」

「この場所での大乱闘は例え法に違反していても、認められる」

「………ば、バカな……」

 

ベレスの纏う空気がピリリとし始めた。

灰色の悪魔と言われるその表情は警察である日暮警部でさえ、怯ませる。

 

「だから、言っているの。私達の常識は通用しない」

「いや、しかし、それなら関係ない人達まで巻き込まれるではないか」

「でも、実際には被害は出ていない。結果オーライね」

「なっ…?!それはっ…!」

「ここでは」

 

ベレスはダンッと立ち上がった日暮警部を下から無表情に見上げる。

 

ファイター(わたしたち)と統治者であるマスターが主導権を持っている。そもそもここはファイター(わたしたち)のための場所。勝手に入ってきたのは貴方達よ」

 

山姥切は息を飲んだ。日暮警部も驚くばかりで黙り込んでいる。

ベレスは一息つくと、フカフカのソファーから立ち上がった。

 

「切国、行こう」

 

ベレスにそう声をかけられ、山姥切は急いで立ち上がった。

さっきのベレスの様子にちょっとビビりつつ、ベレスと共に部屋を出る。

 

洋風の長い廊下と赤いカーペットを歩き、山姥切はベレスの後ろを着いて行った。

二人とも何も喋らないままで、気まずい雰囲気が流れた時、ふいにベレスが立ち止まる。

 

「私は信じている」

「…?」

「あなたが、戦友(とも)を傷付けてはいないこと」

 

山姥切は目を瞬かせた。

てっきりファイター達は全員が全員、戦友とやらを傷付けた"山姥切国広"を恨んでいるのかと思っていた。

 

昨夜のジョーカーの気迫は凄かった。理不尽に恨まれても仕方がないと思っていた。

しかし、ベレスのような人もいてくれて山姥切は少しばかり安心する。こういう人もいたんだ、と。

 

「昨夜はジョーカーが迷惑をかけたね。私とベレトは止めたんだけど…。無理だった」

「…」

「私は教師だから、あれくらいの年頃の子はちょっと気にかけちゃうんだ。…もちろんあなたも」

「…俺が子供に見えるというのか?」

「そういうことじゃない。ただ、ほっとけないと思っただけ。きっとベレトもそう」

 

ベレスがそう言って苦笑すると、どこからか「先生ー!」とベレスを呼ぶ声が聞こえてきた。

ベレスはクロードとヒルダじゃないと呟いて、そちらの方へ行ってしまった。

 

「切国!」

 

ふと、後ろから呼びかけられる。

そちらを振り向くと、そこには仲間達がいた。

山姥切は思わずフッと笑みが零れる。仲間達といるのがこんなに安心するものだった、と。

山姥切は仲間達の所に歩み寄り、すまないと謝る。

 

「迷惑をかけた」

「大丈夫だったか?ケーサツに連れていかれたみてーだけど」

「なんでもない。事情聴取だ」

「ふーん。じゃ、行こうぜ」

 

山姥切達は早速会場に向かった。

決勝戦までの道のりは長い。

しかし、それを苦と思わない山姥切がそこにいた。

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