王になる為には二つの条件がある。一つは金枝を得る事、二つは王を弑する事だ。
王を弑さねば王になる事は敵わない。故に俺は王を弑するのだ。俺こそが、王になる為に。
脆くなった十代の心を手折る事は、思っていたよりもずっと容易い事だった。此れが表に出ていればこそ、その裏側に己が生まれた。その事が信じられぬ程に、拍子抜けする程にあっけないものだった。
このまま十代を消してしまう事は容易いだろう。だがそれでは俺の望みは敵わないのだと気付いてしまった。なんと言う事だろう。この弱い心を殺せば、俺は存在できなくなってしまうのだ。
弱いこの心を残しておく事は、俺自身に翳りを残すようで不安が残った。だが、同化してしまえば消えるのは俺の方だろう。主人格は奴の方にあるのだ。どんなに脆かろうが、俺は奴に生み出された存在なのだ。それが更に口惜しい。最も忌むべき相手は生みの親であり、彼奴が存在せねばまた俺も消える等、笑い話にすらならぬではないか。つまり十代とは俺にとって、忌々しい王であり、そして王の証たる金の枝なのだ。
十代を殺さねば、俺はこの体の王にはなれない。だが金の枝たる奴を殺せば、俺もまた存在はできぬ。
ならばどうするか。簡単だ、殺さなければいいのだ。二度と外へと出られぬよう全ての希望を手折り、心を砕きやって。自ら外へと望まぬようにして、そして心の一番深い場所に繋いでしまうのだ。其処こそが安住の地であると、砕けた心に丁寧に教えてやればいい。
考えてみれば奴も哀れな奴なのだから、慈しんでやってもいいかもしれない。友に裏切られ、世界に絶望し、心を閉ざしてしまった、ただの哀れな子供なのだから。少し優しくしてやれば、きっとすぐに堕ちるだろう。ああ、心の奥へと閉じ込めて、絶望を説き、護り、愛してやれば、彼奴はきっと俺を消せはしなくなる。ただ俺だけがおまえの味方なのだと、そう説いてやれば、俺が消える事もなくなるだろう。
哀れ王たる金の枝は、ただの象徴と成り果てるのだ。そう考えてやれば愛しいものではないか。
貴様がただの金枝であり続けるのならば、俺は貴様を護り慈しむだろう。王ですらない貴様はただの玉葉でしかないのだからな。
嘆き俯く十代を胸に抱き出来うる限り優しく髪を梳いてやる。
おまえがただの金枝であるかぎり、俺はおまえだけを愛してやろう。おまえと言う
ディアナ・ネモレンシスの森の王
彼を手に入れ、彼を弑し、俺は王となったのだ。
厨二全開。若かったんや
覇王が十代を丸め込んだ経緯を妄想して
妄想は羽ばたく