掌編小説まとめ   作:葱定

7 / 7
注意1:性格の逆転
注意2:妹弟組の性別逆転
注意3:関係性の逆転(翔と剣山)

嫌な予感のする人はバック推奨
性別を逆転させた段階でホモが爆誕したが仕様



パラレル逆転ワールド(遊戯王GX)ホモネタ注意

 それは偶然起きた事故だった。原因と呼べるものを十代もユベルも把握できておらず、どうしてこんな事になってしまったのか、そもそも元の場所に帰る事は可能なのか、それすらも分からないままだった。DA内の何処か、それだけを頼りに十代はレッド寮へと向かう。そこで目にしたものに思わず声を上げたのは、人として間違った反応ではない筈である。

 レッド寮の自室の扉を開ければ、そこにはお馴染みの面子が揃い踏みしていた。何故かヘルカイザーまでいる。しかも何か剣山と(一方的に)言い争っているようだった。そのあり得ない光景に気を取られ、気付くのが遅れたが、それでも違和感の正体はすぐに分かった。明日香が自分を見つけ、飛びついて来たのだ。一体何があった、というか、あの豊満な胸と長い髪は一体何処にやってしまったんですか。

 

「お帰り、十代! いきなり居なくなってしまったから驚いたよ。何処に行っていたんだ?」

「明日香?」

 

 思わず確認してしまった十代に、明日香は「どうしたんだ?」と首を傾げる。

 

(ユ、ユベル……)

(うん、僕も何か可笑しいなとは思ってはいたよ)

 

 胸の内でユベルに問いかけるが、ユベルも状況をよく分かっていない様子だった。この場所に来てから違和感は感じていたものの、それが一体何なのか、ユベルも今初めて分かったようだ。

 

「飛鳥、少し落ち着きなさい」

 

 吹雪さんが明日香を嗜める事に十代は更に混乱する。何時もは逆なのに、何が起こっているというのだ。呆然と見回せば、翔が白い制服を着ている事に気付いた。……白? 何故、翔がカイザーの学生時代と同じ色合のブルーの制服を着ているのだろうか。確かに翔はブルーに昇格したが、服は青を着用していなかっただろうか。ますます訳が分からない。十代は分からない事は取り敢えず本人に聞いてみる事にした。

 

「明日香」

「ん? 何だ十代?」

「お前、髪……」

「元々この位の長さだろ?」

「……胸はどこにやったんだよ」

「……十代、何を言ってるんだ?」

 

 怪訝そうな顔をして告げられた台詞に、十代はぎょっとした。

 

「私は元々男だろ?」

 

 なあ、と同意を求められ、万丈目は苦い顔をして言う。

 

「お前があんまりにしつこいから、ついに十代がお前を女と思い込む事で精神の安定を図ろうとしているんじゃないのか」

 

 ……明日香は元々男だったらしい。しかも何か自分は迫られていた様な口調である。

 

「あー……翔」

 

 眉間を摘みながら十代は尋ねる相手を変えた。

 

「なんすか?」

「お前、なんでその服?」

「嫌っすよ、アニキ。オベリスクブルー女子の制服は元々このデザインっすよ」

「いやお前青服……って女子?!」

 

 ぎょっとして翔を凝視すれば確かにささやかながら胸元の膨らみを見つけ愕然とする。

 

「十代、レディの胸元を注視するなど失礼だぞ」

 

 いがみ合っていた筈の亮が平然と言って退け、十代は思わずつっこむ。

 

「あんた入院してたんじゃなかったのかよ!」

「入院? 誰が何時したというのだ」

 

 訝し気に眉を寄せるカイザーに、完全に十代は動きを止めた。

 

「……あのさあ、今って何時?」

 

 もう此れはいろいろ可笑しい事になっているのだと認めざるを得ないようである。

 

「アニキ、どうしちゃったんだドン?」

「おかしな事を聞くんだな。何だ、十代、もしかして負けて来たショックで前後不覚になっているのか?」

 

 明日香と思わしき少年はからからと笑いながら尋ねて来た。

 

「負ける? デュエルで、俺が?」

「そう。でもあり得ないか! 十代はこの大会で優勝できそうだもんな!」

 

 今、気になる事を言った。物凄く嫌な予感がしたが、十代は尋ねざるを得ない。

 

「大会って……」

 

 もしかしなくても。

 

「本当、大丈夫かお前」

 

 口を開いたのは万丈目だった。

 

「ジェネックスに決まっているだろう」

 

(どうやら二年生の時の平行世界へと来ちゃったみたいだね)

 

 割と冷静に、少々おもしろがる様なニュアンスで、心の中でユベルが呟いた。十代は嘆く、心の中で。一体俺にどうしろと……。帰る方法も分からない、思いつかない、で結局、今はこの面々に俺の事情をどう説明すればいいものやら。目下の難題に、十代は頭を悩ませるのだった。

 

 

「あのさぁ、信じてもらえるか分からないんだけどさ」

 

 同切り出したものか、散々迷って十代は漸く切り出した。

 

「うん、」

 

 相槌を打ったのは吹雪さんだ。

 

「俺、三年の卒業間近の別の世界から来たみたいなんだけど」

 

 大真面目にそう言ってはみたものの、自分じゃ絶対納得しないなと十代は思う。案の定、ヘルの方のカイザーに盛大に鼻で笑われた。正直かなりムカつく。

 

「だって俺の知ってる明日香は女だったんだ。翔だって男だった」

 

 特に大きな違いはこの二つな気がする。

 

「私が女? 本当か? それなら堂々と十代に迫れるじゃないか」

 

 明日香が目を輝かせて食い付いて来た。

 

「お前は何時だって堂々と十代を口説いていただろうが」

 

 苦い顔で万丈目が明日香につっこむ。

 

「そんな事はない。男だから一応自重しているが、女だったら速攻押し倒すに決まってるだろ!」

 

 決まっているのか。というか、十代が知っている明日香よりも、ノリが何だか吹雪さんに似ている気がする。

 

「飛鳥、あのね、女の子だろうが強姦は犯罪だよ」

 

 吹雪さんがまともな事を言っている。というか、それを言うのは明日香の方ではないんですか。もう十代は何処からつっこめばいいのかも分からなくなって来た。

 

「でも確かに、アニキ、雰囲気少し変わったっすね? なんて言うか、突っ込み側に回ったと言うか」

 

 翔にいわれ、十代は眉をヘタレさせた。確かにユベルと合体する前は突っ込まれる側ではあったのだが……何とも言えない気分である。

 

「確かに翔子の言う通り、大人びた感じになったザウルスね」

「馴れ馴れしく翔子を呼び捨てにするな野生動物」

「お兄さんは話が進まないから黙っていてください!」

 

 翔に言われて不服そうに口をつぐんだカイザーに目眩がする。

 あれ、あんたこんなキャラだっけ?

 

「ってか信じるて貰えるのか?」

 

 その辺りが軽く流されてしまって思わずそう口に出すと、万丈目が半眼で言った。

 

「今更何が起こっても驚かん」

「そうっすよ。テレパシー使って会話する人が何言ってんすか」

 

 はい? 今度は十代が首を傾げる番だった。

 

「ユベルや覇王と念話する人間に、何が起ころうが全く問題に等ならんと言っているんだ」

 

 万丈目の言葉に一瞬呆然として、ユベルの言葉我に返る。

 

(この世界は「十代がボクを宇宙に送らない可能性」の未来なんだね)

 

 そこにほんの少しの羨望を感じて十代は申し訳なくなった。ここは自分と一つになったユベルが望んだ形がそのまま再現された世界なのだと理解する。

 

(気にしなくていい。僕はこの状態で十分満足しているんだよ)

 

 そう言って促され、十代はもう一つの疑問を口にした。

 

「覇王って」

「君の世界には居なかったのか?君の双子の兄だよ」

 

 明日香に言われても十代は開いた口が塞がらない。本当に何から何まで違う世界だった。

 

(すごいね。ここまで違うとなると一つ移動しただけじゃないのかもね)

(どういう事だ?)

 

 頭の中に響く声に問い返せば、ユベルは少し考え込む様に間を置いて答える。

 

(そうだね、可能性の違いが世界の構成する要素を変えているから……ええと、どう説明すればいいのかな。可能性を乗算した分移動したと言うか、平行にそのまま僕たちと言う可能性が移行したと言うか)

(異世界とは違うのか?)

(あれは並んで存在する全く違う世界で、ここは……俗にいうパラレルワールドって奴だよ)

「パラレルワールド?」

 

 そこまで聞いた所で声が出た。周りの面々は少し驚いたようだったが、成る程、慣れているというのはあるらしい。

 

「パラレルワールドがどうしたんだい?」

 

 いち早く立ち直った吹雪さんが尋ねて来た。

 

「ユベルがここは俺たちが居た世界から見た所のパラレルワールドみたいなものだろうって」

「成る程ね。違う可能性の世界って訳だね」

 

 吹雪が頷きながらそう言うと、十代が首を傾げる。

 

「違う可能性?」

 

 横から十代を抱き締めながら明日香が言った。

 

「全部が全部違う訳じゃなくて、何処か違う、平行時間軸上に存在しているとされる無数の可能性の仮定の世界、だっけ?」

 

 翔が思案するように言葉にすると、剣山が突っ込む。

 

「なんのマンガからの知識ザウルス?」

「残念、アニメだよ」

 

 そう言う問題じゃないと思ったのは果たして十代だけだっただろうか。思わず遠い目をしていた所に躊躇いを一切含まない勢いで、部屋のドアが開く。

 

「貴様ら、この部屋を溜まり場にするなと何度言えば理解するのだ?」

 

 其処に居たのは何故か黒いアカデミア制服を着て、露骨に眉間に皺を寄せた十代が立っている。違う所を探すなら、金の瞳くらいであろうか。

 

「あ、覇王君。お帰り」

「邪魔しているぞ」

 

 そんな気の立っている様子の覇王をものともせず、吹雪は片手を軽く上げて出迎える。万丈目も至って普通に声を掛けた。それを見て、覇王は益々眉間の皺を深くする。

 余りにも露骨な核弾頭の登場に、十代は思い至ってしまった爆弾に冷や汗をかく。まずいなどというものじゃない。

 

(なあユベル)

(なんだい? 十代)

(この世界の「十代」はどこに行っちまったんだ?)

(………………さあ)

 




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