ハンターは辛いよ   作:荒北龍

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男の娘に守られるニート

 

 

 

 

「ドスジャギィの討伐クエスト完了、お疲れ様です!こちらがお二人分の報酬となります」

 

「····················」

 

人間とは異なる竜人族の特徴である尖った耳と、4本の指。

長めの金髪とパッチリと開いた碧眼。

青いワンピースに白いフード。頭には猫のカチューシャを付け青いワンピースには猫の肉球マークがついている可愛らしい服装を着た、それに見合うほど可愛らしい少女。

見た目は10代の少女のような可愛さだが、大人の立ち振る舞いと、軽い化粧が大人の女性のような美しさを出している。

 

ハンターの間でもアイドルとして大人気を誇る受付嬢、カティ。

普段はハンターにオトモアイルーの紹介などアイルーにまつわる仕事をしているのだが、最近では受付嬢の仕事を手伝ったりもしている。

そんな頑張る姿は、命のやり取りをする中で、ハンター達の緊迫した空気を和ませ、癒してくれる存在。

一部からは天使と崇められている存在であるカティちゃん。

そんな天使のようなカティちゃん。

 

俺は物凄く苦手です。

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、特に何も···············」

 

「····················?」

 

「······················」

 

カティはずっとぼーっとしてばかりいる俺を不思議に思い、首を傾げた。

 

「おーい、何やってんだよおっさん。早く報酬もってこい」

 

「あ、はい!ただいま!」

 

俺はすぐに我を取り戻し、2人分の報酬を受け取り、パンやソーセージにチーズを付けた、チーズフォンデュを食べているレーギーナの元へ走る。

 

「何話してたんだよ」

 

「えっと、次のクエストの事です」

 

「ふーん。戦わないお前が次のクエストの事なんて話してなんか意味あんの?」

 

「うっ···············」

 

正論なのに何故こんなにもレージーナの言葉は俺の心をこうもズタズタにするのだろう。俺じゃなかったらうつ病待ったナシだね。

 

「で、次のクエスト何にしたんだよ」

 

「えっと、次は納品クエが溜まってるからそれにしようなぁと····················」

 

「ふーん、いいんじゃね。オレは先マイハウス戻ってるから、おっさんはどうすんの?」

 

「俺はこの後····················」

 

「そう言えばさっき、あそこの2人組がおっさんのこと話してたぜ、臆病ジャックってよ。逃げ回るのもいいけど、おっさんのせいで俺まで舐められるのはゴメンだからな」

 

「····················うっす」

 

耳良すぎじゃありませんか?集会所は普段からハンター達で賑わってるのに、あそこのふたりって、結構離れた距離にいますやん、なんで聞こえんだよ。

ケチャシリーズってスキルに地獄耳着いてたっけ。

いや地獄耳はケチャワチャのG級素材か。

 

そう言ってレージーナは報酬を持ってそのまま俺の(・・)マイハウスに戻って行った。

 

俺とレージーナはある契約を交わしており、俺の家に住んで、俺が家事を全てやるという代わりに、こうして一緒にパーティーを組んでくれているのだ。

 

だが最近思うのだ。

一回りも年下の男の娘ずっと守られっぱなしってのはどうなのだ。

周りからの目も痛い。クエストを終わらせて帰ってくる度、周りから「なんであいつハンターやってんの?」「その装備は飾りかよ」「情けない」と色々言われ放題なのだ。

正直辛い。

だけど俺弱いから独りじゃ戦えない。

 

どうしよう。本当にどうしたものか····················。

 

「どうかしたんですか?ジャックさん」

 

「ぽげらぁ!?」

 

「そんなに驚いて、何か考え事ですか?」

 

するといつの間にかジャックの後ろにカティが立っていた。

 

「あ、いや特に何も!それよりこんなとこ居ていいの?仕事が忙しいんじゃ····················」

 

「いえ、今日は午前で終わりなので大丈夫です」

 

「あ、そうなんですか····················」

 

やばい、今すぐ逃げたい。

ふだんから老若男女に好かれるアイドル的存在であるカティちゃんに話しかけられれば誰もが飛び跳ねながら喜ぶだろうが、俺は正直辛い。

今すぐなにか理由をつけてこの場から逃げたい。

 

「あの、今お時間ありますか···············?」

 

「あ、えーっと···············」

 

何か、なにか逃げる理由はないだろうか。

俺がなにか逃げられる理由を探していると、カティちゃんが逃がさない様に俺の手を両手で握っていた。

 

「···············わかった。わかったから、手を離してくれ」

 

「本当ですか!」

 

「あぁ」

パァっとカティの周りに花が咲いたように見える。

何がそんなに嬉しいのか、俺は理解できない。

俺は屈んでカティに目線を合わせながら、頷いた。

 

「それじゃぁ、私の部屋で待ってますね」

 

すると、不意打ちのように、そうカティが耳元で囁いた。

そしてそう言うと、カティはそのまま自分のマイハウスに向かっていった。

 

「殺すか?」

 

「待て待て、ここではまずい。殺るな狩場で殺るぞ」

 

やめてください。

先に言っとくが、俺がカティちゃんの部屋にお呼ばれするのは皆が思うようなムフフな展開は絶対にないということだけ言っておこう。

 

これからおこることは、簡単にまとめれば地獄だ。

 

俺は覚悟を決め、カティの後に付いて行った。

 

 

 

 

 

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