プロローグ
いつだってハンターの日常な非常だ。
昨日一緒に酒を飲んでいた奴が次の日に腕だけになってギルドに戻ってくる。
長年連れ添った相棒がある日突然気がついたら屍になってる。
格下のモンスターを狩りに行ったらそれよりも遥かに危険なモンスターに出会す。
それが明日の自分かもしれない。
もしかしたら今日の自分かもしれない。
それでもハンターはその短い人生と言うチケットで夢という映画を見る。今日死ぬ自分を誰かが語り継いでくれると。
自分の
そして今日もハンター達は自分達の
■□■□■□
「竜の卵ってマジで美味いの?」
「そりゃぁ絶品らしい。基本焼いて食うみたいなんだが、黄身は味付けなしでもホットケーキみたいな甘さと蜂蜜のような濃厚さらしい。白身の方は焼きたてのパンみたいにしっとりとしてて美味しいって聞くけど」
「·························」
「でもギルドの許可なくモンスターの卵を食用、密猟、売買することはギルド法で禁止されてるよ」
「別に食いてえなんて言ってねぇだろ!」
「いやヨダレ垂れてるよ」
「ウルッせぇッ!」
そう言ってレーギーナは俺のケツを蹴った。
俺たちはハンターランクをあげるためのクエストを受けるため、とあるクエストを受注した。
下位個体である飛竜種の卵の納品クエストだ。
年で変わるが、ハンターランクを上げるためのクエストを受けるにはギルドで決められた一定のクエストをする必要があり、俺とレーギーナはその一定のクエストの最後のクエストである飛竜種の卵の納品を受け、今その卵を納品中だった。
卵は役30kg近くあり、破れやすく、しかも親である飛竜種もそう安安と卵をくれるはずもなく、俺達は親であるリオレイアから逃げ、卵を狙うモンスター達から俺をレーギーナが守ってくれながら、何とか一定数の納品を終わらせ、今はギルドに帰る身支度をしている状態だ。
「そういや聞いたか?」
「何が?」
竜車に乗り込み、アイルーがアプトノスの手綱を握り、動き始めたと同時にレーギーナが話を振る。
「G級ハンター【千剣】レギオンがベルナ村に来るらしい」
G級ハンター。
ハンターなら誰もが憧れる存在。
普段はドンドルマでG級ハンター用に用意された超高難度のクエストで長期間村を開けることの多く、また各国の姫様や王直々のクエストなどで多難なハンター。
村に訪れると言っても殆どは急速や里帰りがほとんどだ。
「なんでもベルナ村のハンターから一人弟子をとるらしい」
G級ハンターの弟子。
それはG級ハンターになる為の最短ルートと言ってもいい。
G級ハンターのクエストに同行し、G級ハンターが直々に自身の経験と技を弟子に伝授する。
しかしその過酷な修行に大抵の人間は心折れるか、死ぬ。
「へー、レーギーナもやっぱりG級ハンターの弟子になりたいの?」
「んー、俺はあんまり興味ねぇんだが、G級ハンターってのがどんなやつかは気になる」
レーギーナは誰かに教えを乞うような性格ではない。
なりたい物も、欲しいものも自身で努力して手に入れる。
だからあまり今回のG級ハンターの弟子を探すという話もあまり興味がなさげだった。
「やっぱりG級ハンターには憧れてるんすか?」
「憧れっつうか、俺の憧れがG級ハンターなんだよ」
それは初耳だった。
「俺がハンターになったのもその人みたいになりたくてさ」
「どんなハンターだったんですか?」
「あー····················そんなことより次の緊急クエスト、おっさんはどうすんだよ」
「あ、俺はパス」
「まぁおっさん戦えねぇもんな」
今ギルドではとある問題が上がっており、それは緊急クエストなど討伐クエストを自分より格上であるハンターに任せ、クエストを受注したハンターはキャンプで待機するというものだった。
これにより実力のないハンターが上位ハンターになるという事案だ。
これによりハンターの質が落ち、肩書きだけのハンターが増えている。
これによりハンターズギルドは対策として緊急クエストではギルドナイトを一人派遣し、試験官としてハンターを監視するというもの。
これによりハンターの不正を事前に防止することとなっている。
「おっさんは俺がいない間どうすんだ?」
「まぁ、納品クエストをやろうかなぁと」
「ふーん。ま、ハンターランク2になったら改めて頼むぜ。モンスターの引きつけ役」
「全力で守ってくださいよ?」
「たりめーだろ」
§§§
「ここがベルナ村か」
G級装備であるレギオスXシリーズの女性はそう呟きながら竜車をおりる。
それと同時にギルドのハンター全員がその女性に視線が行く。
噂は真実だ。
この女性、G級ハンター【千剣】レギオン=リコリスは弟子を取るためにベルナ村に来た。
竜車を出てすぐベルナ村の受付嬢が出迎える。
「こんにちは。遠路はるばるベルナ村にお越しいただきありがとうございます」
「元気そうだな。ナータ」
「ふふ、あなたも元気そうね。リコリス」
元々レギオンはベルナ村出身のハンター。
そしてナータと呼ばれた受付嬢はレギオンの同期のハンターであり、ナータはかつての戦いで左脚をなくし、それからは受付嬢として活動している。
左脚の義足はその時によるものだ。
2人は挨拶もそこそこにナータはベルナ村の下位から上位ハンターの顔写真の貼られたこれまでの活動を書いた履歴書をレギオンに見せた。
「ふむ、あまり字を読むのは好きじゃないんだがな」
「そんなこと言っても一人一人に面接なんてしてたらもっと手間よ?」
「うーむ」
レギオンは面倒くさそうに書類をパラパラとめくり出す。
「ん?」
するととある人物の履歴書に目が止まる。
「あ、その人は····················」
「ハンターランク7なのに下位クエストばかり受けている男がいるな」
「そうなんだけど、しかもその人逃げるはばかりで殆どパーティーを組んでる子に全部任せてるみたいで····················」
「ジャックか···············。こいつは今どこに?」
「今はもう一人のパーティーの子と竜の卵の納品クエストに行ったわ。そっちの子は逸材ね、このまま行けば近い将来すぐに上位ハンターになるわ」
「そうか」
そう言ってレギオンは履歴書の束を受付嬢に返した。
「え、もう良いの?」
「ジャックて奴が気になる。そいつのマイハウスは何処だ?そこで待つ」
「えぇ!?で、弟子の件は!?」
「そいつが書類通りの逃げてばかりの腰抜けならもう一人の方を弟子にする。だが、もしもそいつがそうでないなら私の弟子にする」
「そ、そんな適当な!」
「適当では無い」
「じゃあなにを根拠に····················」
驚くナータにレギオンは
「なに、勘だ」
「適当じゃない!」
「私の男を見る目と勘は本物だ!」
「当てにならないわよ!」