ハンターは辛いよ   作:荒北龍

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【閑話】灰塵

 

 

 

揺れる竜車。

この竜車は今原生林に向かっていた。

竜車には手綱を持つアイルー、そしてその中には腕を組み座る170cmと女性にしては大柄の体躯をし、赤と白が特徴的な装備、ギルドナイトシリーズを着た女と、その反対側にはドスランポスの素材で造られた双剣、ランポスクロウズ2を研ぐケチャシリーズを装備した140cm程の小柄な少年、レージーナが砥石で武器を研いでいた。

 

「貴様が噂のハンターか」

「噂···············?」

 

突然口を開いたギルドナイトに、武器を研ぐ手を止める。

レージーナはまるでギルドナイトを睨みつけるように視線を向けた。

ギルドナイトと言えばハンターズギルドの治安を守る王国直属の部隊。

法を犯したハンター達はそこらの犯罪者たちよりもタチが悪い。自分よりも遥かに巨大なモンスターを殺すために作られた武器と、その攻撃を防ぐための装備を持ったハンター、その力が同じ人間に振るわれれば相手はタダでは済まない。

そのハンターを狩る為の、言わばハンターを殺すことに特化した部隊がギルドナイトだ。

 

「将来G級ハンターになるかもしれないと噂のルーキーだと聞いた」

「将来ねぇ」

 

興味無さそうに答えるリーギーナ。

お互いの視線は鋭く、これから殺し合いでも始まるのかと言うほど冷たい空気に手網を握るアイルーは恐怖でガタガタと震えていた。

 

「G級になりたいのならくれぐれも馬鹿なことは考えるなよ」

「【灰塵】のようにか?」

「···············そうだ」

 

G級ハンター【灰塵】。

かつて太陽と呼ばれたモンスター、【銀火竜】リオレウス希少種を単身で倒した伝説の女ハンター。

銀火竜の素材を使った装備と炎を纏った大剣を駆使し、モンスターを焼き、モンスターの骸を灰にする程の火力でもって焼き殺す事からハンターズギルドかは【灰塵】を付与され【灰塵】と呼ばれるようになった。

しかし、今は亡きハンターだ。

 

かつてドンドルマを襲った大災害。

多くのハンターが住まう街であるはずのドンドルマは3分の2が壊滅的被害を受け、G級ハンターが3人も死んでしまうハンマーズギルドには到底無視できないような大損害を受けた。

今も謎多き古龍、【巨戟龍】ゴグマジオス。

古文書にしか記されていない、火薬を主食とする恐ろしい生態を持った古龍。

しかし問題はゴグマジオスを討伐した後に起こった。

突然【灰塵】は"狂ってしまった"のだ。

 

【灰塵】の象徴である輝王剣リオレウスを振り回し、各地を暴れ回った。

モンスターを、村を、街を、殺し、壊し、破壊の限りを尽くした。

その被害は甚大であり、これによりモンスター達の生態バランスが崩れ、それの巻き添えにより普通ならばいないはずのモンスターが人前に現れるようになり、これにより幾つもの村が滅んだ。

これにより【灰塵】は要注意危険人物としてギルドナイトに捕縛、そして処刑された。

なぜ狂ったのか、何故モンスターだけでなく村や街も襲ったのか、その謎は闇のまま。

 

「··········俺は【灰塵】のようにはならねぇ」

 

再びレーギーナは武器を研ぎ始める。

 

「俺には夢があるからな」

「···············そうか」

 

二人はそれ以上なにか話すことは無かった。

 

「着いたニャー!」

 

竜車が止まり、外に出れば辺り一面緑で包まれ、遠くからでもわかるほど巨大なモンスターの骨が見える。

二人は竜車から降りると支給品をレーギーナに渡し、ギルドナイトはポケットから書類と時計を出す。

 

「それではこれより緊急クエストである毒怪鳥ゲリョスの討伐を開始する。制限時間は1時間だ、準備はいいな?」

「あぁ」

「それでは、初め!」

 

その言葉と共に、レージーナはモンスターの元へ歩を進めた。

 

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