境界戦機 ロストネイション   作:アンサングのフレンズ

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 また間が空いてしまいましたがようやく最新話投稿です。
 ストーリー展開の見せ場であり原作キャラが大きく関わる話でもあります。
 内容はサブタイトルのまま構えてくれればいいと思います。



殺戮 Genocide

「こちらガシン、やはり数が多い」

 

 迷彩の布で機体を覆ったジョウガンがスナイパーライフルを覗き、偵察をする。

 都市に繋がる大型の橋には見張りのキュウレンが数機配備されている。

 

『包囲するといっても敵の数が圧倒的だ。それに気づかれないように位置取りが出来る場所も限られる』

 

 ケイが入手してた情報を示す。

 

『機動性を犠牲にして大型火器や盾を装備した機体もある。まるで要塞だ。戦略的な攻城兵器でも無いと突破は不可能だ』

 

 ナユタもデータを拝見した意見を述べる。

 

「目的は制圧じゃ無いよ。宇堂さんのいう交渉」

 

『だが我々が伝えられてるのは宇堂キリュウの案のみ。ムラクモ、薩摩隼人がどう動くかは解らないままだ』

 

「指示通り配置についてるんだよね?仲間なんだし信じようよ?」

 

『その事だがあっさり引き下がったのがどうも引っかかる……それに……』

 

『我々より先に声明を送った者がいる。それも複数だ』

 

 ケイは都市管理総統府に送られたメッセージの痕跡を把握していた。

 

『アジア軍に対するこういう悪戯は日常茶飯座だ。警備も数は多いが特別警戒してる様子も無い』

 

『だが他の声明、ヤタガラスが送った声明とは違うものだ。言葉も高圧的でありメディアをハッキングして行われている。それも数回に渡って』

 

『我々が送ったのは総統府へのものだ。それに言葉ももっと慎重だ』

 

『だが無意味だったな。連中は適当な日本人を犯人に仕立て上げ、拘束して揉み消したぞ』

 

 ナユタはニュースの映像や画像を画面に映し出す。

 

『……そのようだな。首尾良く上手くいくとは思って無かったが……』

 

 

 

「こちらナギ、配置に着いた」

 

 ムラクモのメイレス、セイレンは都市警備の死角に位置取るとスナイパーライフルを構えた。

 

『各員、配置完了を確認』

 

 

 

「どうする?作戦は失敗か?」

 

 ガシンには多少の動揺が観られるが冷静さは崩していない。

 

『いや、このまま継続する。全機その場で待機』

 

 ギンペイがそう指示を出す。

 

 

『ふむ、宇堂からの指示を待つとしよう』

 

『………ところでギンペイよ?何故お前が仕切るのだ?』

 

「ナユタ?」

 

 ナユタは作戦指示をギンペイが取ってる事が引っかかる様子だ。

 本人のプライドもあるようにも観える。

 

『僕は君達より最新型だ。性能は上だしその方が合理的だ』

 

『………』

 

『口の減らん奴め。まぁいい、撤退指示もないから拒否する理由も無いが……』

 

 ナユタも元は自尊心が高い面がある。

 ただ今の様子はギンペイに対する対抗心ではなく、疑いのようにシオンにも見受けられた。

 

 

 

 

「お届け物です」

 

 北九州アジア協商の統括する都市のとあるオフィスや家庭、商業施設等、あらゆる場所に荷物が届けられる。

 

「やっと来たか。あっちに運んでおけ」

 

 アジア協商圏のスタッフが日本人の配送業者をぞんざいに扱う。

 本来の業務は配送だけだが日本人のスタッフには荷物の移動まで行わせるのが日常になっていた。

 

 宛先に配送される物もあれば不在で置き配、適当な場所に放置される物もある。

 それらは都市各部に置かれ、配置されていた。

 本来の業務ならあり得ない、日本人に強いられる業務にしてはあり得ない乱雑さだった。

 

 

 

「設置終わったぞ」

 

「こっちもだ」

 

 都市部下水道。

 二人組の日本人が指定された場所へ機材を設置している。

 

「しかし何だ?この機械……まさか……」

 

「余計な散策はやめておけ。それより終わったならさっさと指定された場所へ行くぞ。こんな地獄とはおさらばだ」

 

「ああ……」

 

 そう言うとは二人は足早にその場を後にする。

 設置された機械はタンク状で何かしらの気体が入ってるようである。

 

 

 

「指定海域に到達」

 

 ムラクモの潜水艦ミズチは北九州海域を航行していた。

 オペレーター席にはメアリーの姿があった。

 

「このまま作戦開始まで待機」

 

 艦長のミコトがそう指示を出す。

 

 

 

 北九州のとある山間部を目立たぬ用にアメイン用輸送機が3機、編隊を組んで飛んでいる。

 輸送されているのはヤトノカミのメイレスだ。

 

「さぁて、そろそろ開始時刻、だな……」

 

 機体の中で清霞ヒロシゲは時計を見てそう呟く。

 

「それじゃ行ってくるよ」

 

 サイバー担当の少年がそう言うと一機、編隊を外れ別方向へ向かう。

 

「まぁ、いっちょ派手にやろうぜ」

 

 ヒロシゲは見送る用にそう言った。

 

「………」

 

 フブキも黙って見送る。

 

『間もなく作戦開始時刻です』

 

 フクロウ型のアイレスがそう告げる。

 

 

 

 都市各所に置かれた機械、それらは不審物としてアジア協商の警察が調査している。

 

「何だこれは……?」

 

「置いて行ったのは日本人の連中だ。職務放棄か?再教育が必要だな」

 

 警察が文句を言っている間に機械のデジタル時計が作戦開始時刻を指した。

 

 すると排気音とともに不気味な色のガスが噴射される。

 

「なんだ?!こ………ぐふっ!!」

 

 すると警官たちは苦しみ倒れ込む。

 猛毒のガスが機械から各箇所で噴射される。

 都市市民達は次々と苦しみ、倒れていく。

 

「毒ガスだ!鼻と口を抑え………ごっはっ!!」

 

 そう叫んだ男は自分の皮膚が爛れてる事に気がつき、悲鳴を上げながら倒れた。

 呼吸器からだけでなく皮膚からも吸収する猛毒のガスだ。

 更に腐食性もあり、周囲にある無機物や建造物も腐敗が進んでる。

 地下施設も同様だ。

 地上部を支える支柱は腐敗し、崩れ始めていた。

 

 

 

「何だ?!何が起こってる?!」

 

 都市の様子を監視していたガシンがこの異常に気づく。

 

『解らない。どういう事だ?!都市の監視カメラにもアクセス出来ない!』

 

 ケイも外部から都市のネットワークに介入されている状況に気づく。

 

『作戦開始時刻だ。ジョウガン、指定した二ュウレンを無力化しろ』

 

「待て!こんな指示は宇堂さんや熊井さんからも出ていない!」

 

『日本人を乗せた車両が都市の橋を通過する。橋にはアメインが配置され、検問がある。日本人が危機に晒されるぞ』

 

『ガシン、此処はギンペイの指示に従うのが最善だ。配備されているニュウレンは遠隔操作型の無人機だ』

 

 ケイがそう言うとガシンはジョウガンのスナイパーライフルでニュウレンを狙撃、二機を無力化した。

 

 

 

「こちら熊井だ。ガシン、シオン、聞こえるか?」

 

 別の持ち場にいた熊井の部隊、異常に気づいた熊井が通信を繰り返すが通じない。

 

「隊長……これは……?」

 

 馬崎も動揺を隠せない。

 

「駄目だ、通じない」

 

 熊井は通信を諦め、現場責任者として指示を出す。

 

「人命が最優先だ。脱出用の橋を封鎖してるアメインとバリケードを破壊する。破壊するアメインは勿論無人機だけだ」

 

「了解!」

 

 そう応えると馬崎のジョーハウンドはバズーカを構え弾頭を発射し、橋を封鎖していたバリケードを破壊する。

 

「ええい!今度はテロリスト共か!こんな時に!」

 

 司令室の映像でそれを見ていたアジア軍の指揮官はそう憤りを顕にするが熊井のジョーハウンドの様子を見て驚く。

 

「今は敵も味方もない!早く脱出しろ!」

 

 熊井のジョーハウンドが動き誘導する。

 

「急いで!」

 

 橋の出口で待機する熊井、馬崎のジョーハウンドに向かって自動車や徒歩を含めて脱出する市民達。

 アジア軍も市民の脱出の大義名分としてどさくさに紛れて脱出を試みる。

 

 その時だった。

 橋を支える柱が爆破され、橋が崩れ落ちる。

 

 

 

「ポイントA、爆破。上手く行ったよ」

 

 機体の中らかヤトノカミのハッカーの少年が映像で確認する。

 

「日本人の脱出はポイントE、間違えないでね」

 

『そんなヘマしないっしwww』

 

 ハッカーの少年の相棒のタヌキ型のAIアイレスは薄笑いを浮かべて返す。

 

「ちゃんと薩摩隼人はEに配置されてるね」

 

 

 

「さぁてお願いしますよ薩摩の皆さん!こっちも頑張りますんでね!」

 

 作戦開始時刻を確認したようにそう威勢よく言うと輸送機からヒロシゲのメイレスが投下される。

 目の前にあるのはアジア協商によって急造されたダムだ。

 植民の為に一帯の水源の確保の為に日本人は通達も無しに反対も無視して造られた物だ。

 

 

 

「何が起きてる?」

 

「駄目だ。繋がらない」

 

 収容施設行きの護送車のアジア軍兵も異変に気づき、動揺している。

 

「……ウェーーーい……兵隊さーん……薬くれよ……ムゲ……なんだっけ……?」

 

 護送車内の囚人も動揺する中、一人の男が喚き始める。

 今回の脅迫の犯人として仕立てられた男だ。

 

「おい!黙ってろ!」

 

 もう一人の囚人の男が注意するも男には通じていない。

 囚人達も次第に騒ぎ始める。

 

「……鎮めてくる」

 

「ああ……」

 

 アジア軍兵が護送車の囚人スペースへ鎮圧用の警棒と銃を持って向かう。

 

「おい!静かにしてろ!」

 

 アジア軍兵士は扉を開けるなりいきなり警棒を握りしめ怒鳴る。

 

「おい!外では何が起きてる!?」

 

「私達は何処へ連れて行かれるの?」

 

 だが囚人達は兵士に向かって集まり詰め寄る!

 

「ええい!静かにしてろ!」

 

 兵士は警棒で一人の男を見せしめといわんばかりに殴りつける。

 それを見た囚人達は恐怖で黙り込む。

 

「静かにしないとこうだぞ!日本人共!」

 

 囚人は皆日本人である。それを知ってる兵士から思わず揶揄する本音がこぼれる。

 

 だがそれを見つめる一人の男がいた。

 犯人として仕立て上げられた廃人の男だ。

 男は人が変わったように兵士の隙を突き、飛びかかると拘束された腕で兵士の首を絞め上げる。

 

「こはッ……!!」

 

 兵士の首から何かが折れるような音がした。

 

 周りの囚人達は黙ってその場を見つめる。

 

「死にたくなければ従え」

 

 男はその一言を告げる。

 

 護送車の運転席の扉が開く。

 

「遅かったじゃな……」

 

 言い終わる前に運転席のアジア軍兵士の頭に銃が突きつけられる。

 そして驚く間も無く引き金が引かれた。

 

 護送車は発進し、ナビに指定されたポイントへ向かう。

 

「大した演技力だったぜ。こりゃあまた昇給と出世かな?」

 

 笑顔で運転する男を助手席で賞賛するのは始めに注意した男だ。兵士に殴られもしたが応急処置はしてあり、安堵している様子だ。

 

「浮かれるのはまだ早い。飛ばすぞ。捕まれ」

 

 廃人を演じていた男からは少し笑みが見られるがまだ気は抜いていない。

 

 護送車は混乱の中、信号や標識、歩道等を無視して突っ切る。

 その中で同じように逃げ出していたであろうアジア協商の乗用車1台を跳ね飛ばす。

 

「ざまぁみやがれ!仕返しだ!」

 

 占領下での交通事故は基本的に日本人に全て過失が押しつけられる。

 どんな事故であろうと相手が日本人ならば占領側は一切の責任は問われないのだ。

 

 護送車が走るルートは毒ガスの散布が無く影響の少ないエリアだ。

 そして車内であれば毒ガスの影響も無い。

 だが目の前に現れたのは毒ガスエリアから半生半死で逃げてきたアジア協商の住人達だ。

 毒ガスで皮膚がただれ、それらはまるで映画のゾンビのようである。

 

「構わん、行け」

 

 助手席の男がそう行った。

 応答はしなかったが指定ルートでもあったので護送車はそのまま突っ走る。

 

 

 

『来たぞ、脱出する日本人の車両だ』

 

 狙撃体制のメイレスセイレンの中でギンペイがナギに伝える。

 

『マーカーで選別する。それ以外の車両を撃てばいい』

 

「了解」

 

 次々と脱出車両が出てくる。

 だが同時にアジア協商住人や兵士の車両もある。

 

 だがそれらは全てセイレンによって狙撃されてしまう。

 

 

 

『どういう事だ?セイレン、軍車両だけで無く一般車両も撃ってるぞ!?』

 

 別ポイントにいながらもケイはカメラ等をハッキングしてその状況を知る。

 

「何やってんだ!?ギンペイ!!どういう事だ」

 

『どうもこう無い。日本人が脱出する。援護しろ。日本人の車両はマーカーで指定してある。それ以外は破壊しろ』

 

「何を言っている?!」

 

『……姫…』

 

「………」

 

 

 

『ヤタガラスのメイレス、動かねぇぞ?まったく使えねぇな』

 

 狸型のアイレス、ポコは不満そうに言った。

 

「ポコ、よろしく」

 

『おk』

 

 ヤタガラスが配備された橋付近のメイレス、ガシンのジョウガンやシオンのレイキは全く動かない。

 

 静観している内に日本人戸の車両と共にアジア協商の車両も橋を渡り切ろうという時だった。

 

「なんだ?!ハンドルが……」

 

 突如、自動車が曲がり橋へと落ちる。

 軍車両、一般車両、どれも日本人の乗っていない車両だ。

 

『ヤタガラスのバカ共がサボるからぁ。これ、結構面倒なんだぜ?』

 

 都市から脱出する多数の車両の制御を奪い、同時にコントールするのは高性能AI、アイレスでも容易ではない。電子線特化のメイレスだからこそ出来る所業だ。

 

「警告する!!車両で橋を渡るな!!」

 

 熊井が咄嗟の判断で脱出する車両に銃口を向ける。

 

「いい判断だね。ヒロの予想通りだよ熊井のおじさん」

 

『おいオッサンwwwそこで止めたら都市にいる日本人も死ぬぞwww』

 

 熊井を煽るようにポコが通信を入れる。

 

「?!誰だ?!」

 

『まぁ安心しなよwwwそっちには日本人行かせてないからwwwそのままウジ虫どもを足止めしといてよwww』

 

 そう言うとポコは通信を切る。

 

「ポコ、やめときなよ」

 

 ハッカーの少年はポコを諌める。

 

『腹立つくらいおめでたい連中でねwwwついwww』

 

 ポコは全く反省していない様子だ。

 

『おっとwww向こうの通信が回復する。流石先輩達w』

 

 

 

『熊井!!この状況は?』

 

「解らん!何があったというのだ!?」

 

 熊井達も何が起こってるのか解らない状態で混乱している。

 

『とにかく皆、徒歩で橋を渡らせろ!車両の制御が奪われてるぞ!』

 

 ケイがオープンチャンネルで敵味方構わず通信を入れる。

 

『なんてハッキング能力だ!まるでゴースト……、それ以上かもしれん』

 

 ナユタも車両の制御を取り戻そうと必死だがそのハッキング能力は高性能AIアイレスだというのに太刀打ち出来ない。

 

「とにかくみんな!車を降りて!急いで橋を渡って!」

 

 シオンのレイキは市民達を誘導する。

 

 

 

『そろそろガスの毒が消える。次の段階だ』

 

 ギンペイは呟くように言った。

 

 

 

「時間だ。発射用意」

 

 艦長のミコトが指示を送る。

 

『ミズチ、浮上』

 

「総員、衝撃備えよ!」

 

 

 

 ミズチは海面へと、姿を現す。

 

『発射準備、完了。発射のタイミングはそちらへ』

 

「………」

 

 火器管制担当であるミヤコはミサイル発射シークエンスを終えるも躊躇してるのかボタンの前で手が止まる。

 

「ミヤコさん、……私が代わりましょう……」

 

「どないしたんやメアリっち?これはウチの役目や」

 

「私なら……嫌われても構わないでしょうと思い……」

 

「これはウチが……ウチらがやらなアカン事やねん……」

 

「でもそのような業は……」

 

「皆、この船に乗った時、ムラクモに入った時から覚悟は決まっとるんよ」

 

「発射……」

 

 話を断ち切るようにミコトは指示をだす。

 

「………」

 

 ミヤコはそして静かに発射ボタンを押す。

 

 潜水艦ミズチから大型のミサイルが発射された。

 巡航ミサイルだ。

 

 

 

『時間経過でガスの毒性が弱まってるぞ!今だ!』

 

 ナユタはガスの弱毒化を確認する。

 

『しかし何だこのガスは?データに無いぞ……』

 

 しかしケイは既存データと照合するもこの毒ガスと同類の物は確認できなかった。

 

 

 

『猛毒ガス『K2M』。アジア軍で研究されてた奴なwww事故で研究は凍結、隠蔽されたもんだ』

 

「これに目をつけるなんてヒロらしいね。まぁウチだけじゃ形にはならなかったけど」

 

 モニターにはムラクモの潮ユミが映し出される。

 

『潮ユミ。かつては日本の医療機関の……というよりはその医療機関も買収されてたんだけどねw薬学の研究の第一人者。ムゲンサイカも彼女が作った物だからね』

 

「この人を確保出来たのは大きいよね。美人だしヒロも喜んでるだろうな」

 

『本人はその価値を全く理解して無いけどねw善意の医師が今では麻薬の女王って訳www』

 

 

 

「……先生?」

 

 北九州のレジスタンス拠点の医務室でふと何やら物思いにふけるユミに点滴で投薬を受けるアサミが声をかける。

 

「あ、アサミちゃん。ごめんね。ちょっとボーっとしちゃってて」

 

「先生も疲れてるんだね。ヤタガラスの人達とかみんな診察してたんだもの」

 

「そうね。みんな元気で問題無かったわ」

 

「なんか男の人はみんな嬉しそうだったね!先生美人だもん」

 

「……」

 

「さぁアサミちゃん、今日の分の点滴はおしまいよ」

 

「はーい」

 

「いつも点滴、我慢してて偉いわね」

 

「アサミ、お注射も点滴も痛くないし怖くないよ」

 

「だってこのお薬があれば痛くないし苦しくも無いんだ。それになんだが元気になってくる!」

 

「……」

 

「アサミ、ムラクモに来てから凄く元気になったんだよ!」

 

「……良かったね…」

 

「アサミ、いっぱい勉強してアサミ、ユミ先生みたいなお医者さんになりたいな」

 

 

 

『北側より飛行物体を確認!!これは……?』

 

 ケイが接近する飛翔体を確認。

 

『巡航ミサイルだ!進路予測!都市中央に着弾するぞ!」

 

「撃ち落とす!」

 

 ガシンの搭乗するジョウガンがスナイパーライフルを構える。

 だが巡航ミサイルはジョウガンの射程範囲外で分裂する。

 

『分裂型か!』

 

「クソ!」

 

 分裂したミサイルの内、一つを撃ち落とすもミサイルの雨が都市に降り注ぐ。

 更に都市に充満したガスに引火し、都市中で爆発が起きる。

 

『可燃性ガス?!』

 

「……うっ!……酷い……」

 

 シオンが目を背ける程に都市には更に凄惨な状況が広がる。

 

 

 

「さてと……」

 

『仕上げは御覧じろってねw』

 

 ハッカーの少年がPCで入力すると都市地下に設置された爆弾が次々と爆発、都市は大規模な地盤沈下を起こし、崩落する。

 

 

 

「……大山、撤収ばい……。後は任せればよか……」

 

 トヨミが静かにそう言うと都市に背を向ける。

 

「……皆の衆、撤収じゃ!」

 

 大山は薩摩隼人のメンバー達にそう指示をだす。

 

「中馬……こいでええんじゃな?」

 

「……良か…」

 

 大山の言葉に中馬はそう応える。

 二人とも表情はいつになく静かで巌しい。

 

 

 

『ヲイヲイ!薩摩隼人の連中撤退するぞ?!っかえねーな!!』

 

「役割は充分こなしたよ。後は僕らの仕事」

 

 と言いながら少年は再びPCに入力する。

 

 すると都市に繋がる橋が爆破され、崩落する。

 

 

 

 

『橋が爆破されただと?!』

 

 ナユタは驚愕の声を上げた。

 

『爆弾だ!精密スキャンをしないと解らないまでに隠蔽されている!』

 

 ケイは精密スキャンしたデータと橋の爆弾の位置情報をナユタと共有する。

 

「ナユタ!爆弾の位置を!」

 

『姫!何を!』

 

「爆弾を回収するよ!」

 

 レイキは爆弾のある橋の下まで滑空する。

 

『複雑だが何とか解除は可能ですぞ姫!』

 

 

 

『おい!馬鹿が馬鹿やってるぞ!っざけんな!』

 

「爆弾の解除、回収されてる。これじゃ橋が爆破出来ないや。ヒロはともかく鬼曽のオバサン怖いんだよね」

 

 状況を確認した夜刀神のハッキングチームからこの状況に愚痴が溢れる。

 

 

 

『ナギ、問題が発生した。ヤタガラスのメイレスが爆弾の回収をしている。阻止に行くぞ』

 

「了解」

 

『後は任せる』

 

『了解。目標識別完了。排除開始』

 

 機械音声の無人制御AIがギンペイに返答すると腕をガトリング式機関銃に改修したタンク型ジョーハウンドが脱出しようとする車両や市民を次々と攻撃していく。

 

 

 

『解除プログラム入力………解除!』

 

 レイキはナユタの解除コードを送信し、次々と橋桁に設置された爆弾を解除していく。

 

「これでこの橋は最後……」

 

 その時だった。

 セイレンの銃撃がレイキ目掛けて飛んでくる。

 

 それを回避しレイキの視線の先にはナギのセイレンがあった。

 

「ナギちゃん……」

 

 だがナギのセイレンはレイキ目掛けて容赦なく銃撃を駆り出す。

 

『こうなったら仕方ない。ナギ、レイキを撃破するぞ』

 

『シオン!アイツは落とす気だ!上空へ!』

 

 ナユタも必死である。

 それ程に油断ならない相手だ。

 

『滞空性能はレイキの方が上だ。逃げに徹されると時間を取られる』

 

 レイキは必死でセイレンから逃げる。

 滞空性能はレイキに分があるがそれでも回避するのがやっとだ。更に回収した爆弾もあり、被弾すれば無事では済まない。

 

「あれは……レイキとセイレン、何やってる?!」

 

『援護を頼む!爆弾を止めねばならん!』

 

 ナユタの必死の通信が伝わったのかガシンはジョウガンの銃口をセイレンに向け、発砲する。

 だがセイレンは臆すること無くレイキを追う。

 

『ジョウガンのパイロット、技量そのものは悪く無い。だが威嚇射撃なのが丸わかりだ』

 

 ジョウガンの銃撃は全て外れる。

 機体の一部を狙った物もあるが全て予測されて当たらない。

 

「速い……!」

 

『あの機体、セイレンは瞬発力に特化している。あの性能、搭乗者への負担は考慮されていないぞ……』

 

 

 

「お前達はどっちの味方だ?」

 

 混乱する中、また新しい通信が割り込んでくる。

 

「……この声は……」

 

 声に熊井が反応する。

 

『新たな機体反応を確認……この機体は……』

 

「……!」

 

 ジョウガンが視線を向けた先に現れた機体。

 色や形は違えどその機体の面影にはガシンは見覚えがある。

 

「ゴースト!!」

 

 ジョウガンは直ぐ様狙撃体制に入る。

 

 だが目の前に既にその機体は無い。

 

「ほう、悪く無い」

 

 その声と共にジョウガンは巨大なマニピュレーターに頭部を捕まれ、持ち上げられる。

 

『ジョウガンを片手で?!それに何だこの機体?!まるで……』

 

 動揺するケイ、そして抵抗する間もなくジョウガンは放り投げられた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

 

 操縦席は設計上保護されているがその衝撃は凄まじくガシンは苦痛の声をあげる。

 

「だが鍛え方がなってないな。生ぬるい」

 

 現れたのは鏖禍刻の鬼曽トモヱとその異形の白い機体だ。

 

「いつまで遊んでいる!目的を見失うな!」

 

 ナギに向けて鬼曽が叫ぶ。

 

「了解」

 

 ナギのセイレンはレイキの追跡を辞め、引き返す。

 

「お前達は下がっていろ。残りの橋は私が片付ける」

 

 鬼曽の白いアメインゴーストのような機体は残った橋へと向かう。

 

「手筈通りならそろそろだ。離れていろ」

 

 鬼曽はレジスタンス連合全員に通達する。

 

 

 

「ロン!」

 

 北九州のアジア協商ダムでは警備の兵達が麻雀に興じていた。

 

「しっかし面白くねぇな。都市警備の連中は楽しいだろうに」

 

「あっちはあっちで忙しいぜ?暇なのはいい事だ。休暇には都市で楽しもうや」

 

 

 

『エネルギー充填率70%』

 

 清霞ヒロシゲの機体がランチャーを構える。

 

 

『85……90……90……』

 

『100』

 

「巻き込まれるなよ」

 

 皮肉なのか、それとも都市部のメンバーに向けてか、ヒロシゲはそう呟くとトリガーを引く。

 

 ランチャーから高出力のレーザービームが発射され、ダムを削り取るように破壊していく。

 ダムは瞬く間に決壊していく。

 

「見ろ!ついてるぜ!国士無双…」

 

 決壊と共にダム施設は崩壊し、大量の水が流れ出す。

 

「お仕事完了!帰るまでが遠足だ!」

 

 ヒロシゲはそう言うと機体を輸送機に接続し、その場から撤退する。

 

 

 

『白いゴースト……何をする気だ……』

 

 橋桁へ向かう白い機体をケイは確認する。

 白い機体は異形の巨大な右腕を橋桁に接触させる。

 そしてそこから放たれた衝撃波によって橋は爆ぜ、崩落する。

 

「ヤトノカミ、少し遅れてるな。だがまぁいい」

 

 鬼曽はそう呟くと白い機体は崩壊に巻き込まれる前にそこを飛び去る。

 

「ナユタ、あれ!」

 

 シオンは上空から異変に気づく。

 

『激流?!ダムの放水か?にしては大き過ぎる!』

 

 激流は一瞬にして都市を飲み込む。

 

「助けないと!」

 

『駄目だ!レイキごと巻き込まれる!』

 

 激流は都市の市民、車両、アメインを全て飲み込んでいく。

 

「助けて!」

 

 流されながらも必死に漂流物に捕まりながら助けを求める者がいる。

 何とか流されずに済んだ有人アメインのニュウレンが救助しようと手を伸ばす。

 

 しかしその直後、ニュウレンは操縦席を撃ち抜かれ、そのまま沈む。

 配置に戻ったセイレンによる狙撃だ。

 

 

 

 

「こんな……酷すぎる……」

 

 その光景を漠然と静観するしか無かった馬崎は悔しさと義憤に満ちた感情がこみ上げる。

 

「………」

 

 熊井も巌しい表情で立ち尽くしていた。

 

 

 

「ガシン!」

 

 シオンのレイキがガシンのジョウガンの元へ降り立つ。

 多少の損傷は見られるがジョウガンの動きには問題無いようだ。

 

「ナユタ、ケイ、状況は?」

 

『皆、撤退を始めている。私達もこの場を離れよう』

 

『……都市の被害状況は……』

 

『都市の被害甚大……残された市民の生存確率は……』

 

「………」

 

『0だ………』

 

 

 

「こんな話は聞いていない!双方、納得のいく説明をしてもらおう!」

 

 拠点ではヤタガラスのオーナーである宇堂キリュウが自ら出向き、怒りの感情を露わにしていた。

 

「………」

 

「宇堂、なら私から説明してやろう」

 

 皆が揃って沈黙する中に鬼曽トモヱが割り込んでくる。

 

「誰だ君は!?何者だ?!」

 

「貴様!御前に無礼だぞ!」

 

 鬼曽の取り巻きのメンバー達が宇堂に対していきり立ち、銃を構えようとするも鬼曽が無言で制止する。

 

「御前……まさか……『鏖禍刻』か!?」

 

 キリュウの表情は驚きよりも確信といった表情だ。

 

「『ヤトノカミ』もいるぞ。宣伝はしておかねばな」

 

「………!」

 

 キリュウの静かに鋭く巌しい顔になる。

 

「始めから君達は繋がっていたのか!?」

 

「ムラクモは既に我らの傘下だ。薩摩隼人はそこの中馬が仲介になってる」

 

 キリュウは中馬を見る。

 

「トヨミさんはこの事をご存知か?」

 

「いえ……話しておりません」

 

 中馬の返答を確認すると宇堂は真剣な表情でトヨミの方を向く。

 

「ならばトヨミさん、彼を直ちに処罰するんだ。彼はリーダーである君の指示も無しに道理に背く事をした」

 

「宇堂とやら、お断り申す。それは出来んばい」

 

「どうしてだ?!彼が古参の重鎮である故に情があるのは解る。だが、このままでは君達の大義名分は無くなるぞ!」

 

「中馬がやった事はおいのやった事ばい。おいが責任を取り申す」

 

「それで貴方はいかなる責任を負うつもりか?」

 

「この九州ば、日本ば取り戻せばいかなる責めも受け申す!腹ば切れ申せば腹を切り申す!」

 

 まだ少女の面影が残るも覚悟の決まった顔でトヨミは言った。

 

「その覚悟は認めるが私が聞きたいのはそういう事ではない。非道の連中と結託して悪逆無道の道を行くつもりなのか?と……」

 

 キリュウはタブレット端末を取り出し、破壊され、水没した都市を映し出す。

 

「見ろ!これを!この結果に何の意味がある!こんなものに大義などあるものか!」

 

「……あるばい。ありもうす……」

 

 トヨミはその画像を見た後、宇堂の方を見る。

 

「……何?」

 

「おいら……日本人は虐げられ、虫けらのように殺されて来たばい!その仇ば討たねば死んでも死にきれんばい!!」

 

「……そうじゃ!」

 

「そうじゃ!お嬢の言う通りじゃ!」

 

 トヨミの言葉に薩摩隼人の面々が賛同し、沸き立つ。

 

「親父どんが……兄者らが!殺されたもん、戦って死んだもんたちが応報せよと言うとるばい!!」

 

 トヨミの眼光は年齢不相応に鋭く覚悟が決まった顔をしている。

 だが宇堂にはそれは不安にしか映らない。

 

「その為ならば無抵抗の一般市民も殺すか!このような道を外れたやり方でか!!それでも貴方は名誉ある武士の末裔か!!こんな事は武士道に反するぞ!!」

 

「長々とまどろっこしい。雑談はその辺にしておけ」

 

 静観していた鬼曽が再び口を挟む。

 

「宇堂、お前の家系は武士では無いだろ」

 

「家系が武士であろうと無かろうと!日本人であるなら心に『武士道』を持つべきだ!!」

 

 声を荒げた宇堂が叫ぶ。

 

「いい事を教えてやる。『武士の本懐は舐められたら殺す』だ」

 

「非道を正当化する為に誉れある武士道を歪曲させるな!」

 

 火に油を注いだように宇堂は更に激昂する。

 

「思った以上におめでたい頭だな。お前達は住む家に勝手に居座る害虫をそのままにしておくのか?」

 

「人と虫は違う!」

 

「違わないさ。連中も日本人の事なんてその程度にも思って無いぞ?害虫を駆除するのに理由も要らんし方法を選ぶ必要も無い」

 

「……もういい」

 

 宇堂は背を向け、その場を立去ろうとするもトヨミの前で足を止める。

 

「トヨミさん、貴方もそれでいいのか?このような邪な思想や洗脳に染まってしまっても?」

 

「さっき申した通りじゃ」

 

「……その年で道を踏み外すとは……残念だ……」

 

 キリュウは背を向け声を荒げる。

 

「熊井!この同盟は決裂だ!ヤタガラスは九州より撤退する!」

 

「了解しました。……そういう事だ。皆、撤収作業を始めてくれ」

 

 熊井は冷静に皆にそう伝える。

 

「宇堂、一つ言い忘れた事がある」

 

「………」

 

 宇堂の去り際に鬼曽が声をかける。

 

「やむを得ずお前達の機体を一機破損した。修繕を受けていけ」

 

「不要だ!外道の施しなど受けない!」

 

 宇堂キリュウはそのまま立ち去って行く。

 

「木曽……、お前はやはり……」

 

「熊井、ヤタガラスの武運長久を願ってるよ」

 

 

 

「ここでお別れなんて……」

 

「……仕方ないさ。進む道が違い過ぎる……」

 

 撤収する中、シオンとガシンは話を交わす。

 

『しかし我々が引き連れていた難民にも鏖禍刻に賛同する者もいて此処に残る者もいるようだ……』

 

 ケイはこの連合に加入する難民を数組確認した。

 

『ヤタガラスは今、補給もままならない状況だ。身を寄せるなら物資や補給がある相手なら当然だ。大義名分で飢えは凌げないし鬼曽に賛同する者もいても不思議ではない。それに難民の行き先があるというなら我々や難民の日本人にとっても悪い話では無い』

 

 ナユタは冷静に状況を分析し、応える。

 

「……なぁケイ、もし俺がこういう風に非道の道を行くならどうする?」

 

 ガシンは多大なレジスタンス連合勢力を眺めながらそう言った。

 

『私ならいかなる手段をもってしてもお前を止めるさ……』

 

「そうか……」

 

 一呼吸置いてからシオンもナユタの入った端末を見る。

 

「……ナユタ…」

 

『よくぞお聞きくださいました。まぁ問われるまでもございませんよ姫』

 

「まだ何も言ってないんだけどね……。ナユタはどうするの?」

 

 シオンもガシンと同じ事が気になったのであろう。

 

『このアンジェロ、姫の進む道であれば冥府魔道であろうが地獄であろうがお供しますよ』

 

 シオンの端末にはナユタが紳士のお辞儀をする姿が映し出されていた。

 

 

 

 レジスタンス連合とヤタガラス、双方の撤収作業の中、ヤタガラスの馬崎と叢のイオの姿があった。

 

「イオさん……その……」

 

「馬崎さん、……ごめんなさい。こんな事になってしまって……」

 

「いや……イオさんは悪くないですし……その……」

 

 馬崎は言葉に詰まりながら話す。

 

「イオさん……俺達と一緒に来ませんか……?」

 

「……え?」

 

「貴方は……こんな所にいちゃいけない……!」

 

 馬崎は真剣な顔つきでそう伝える。

 

「そりゃヤタガラスだってやりくりは厳しいですけど……貴方はこんな道を……悪に染まってはいけない!」

 

「ごめんなさい……」

 

「え……?」

 

 だが、イオは悩む様子もなく直ぐそう伝える。

 

「貴方の気持は嬉しいです。でももう私は汚れてしまってるんです」

 

「すみません!そんな言い方したつもりは……それに俺、気にしませんし……」

 

「えっと……なんというか……もう私は貴方達とは違う道にいるです。もう既に染まってるんですよ……」

 

 馬崎はイオの言葉を察したのか表情から希望の色が消える。

 

「確かに直接人を殺めた事はありません。でも私の整備した機体で多くの人の命が奪われる。でもそういった事に罪悪感を抱いた事はありません」

 

「………」

 

「だから私は貴方に相応しく無いんです。ごめんなさい……」

 

 イオは馬崎に背を向ける。

 

「イオさん……俺……気にしないですから……」

 

 馬崎は引き留めようと声をかける。

 

「貴方の気持ち、とても嬉しかったです。ありがとう、お元気で……」

 

 イオは振り返る事無く馬崎に告げるとその場を歩き去っていく。

 

「……」

 

 馬崎はその場で膝をつき、項垂れた。

 

 

 

『ヤタガラス終了のお知らせwww』

 

「どうかな?ヤタガラスにだってアイレスが二体もいる」

 

 撤収の光景を高みの見物が如く夜刀神のメンバー達が眺めている。

 

『やるだけやるって奴じゃ無いの?心中乙www』

 

「ま、ヤタガラスがどうなろうがどうでもいいんだけどね」

 

 清霞ヒロシゲは手持ちのタブレット端末で叢、薩摩隼人のメンバーを確認していく。

 

「立ち……塞がる……なら……斬り……伏せる」

 

 フブキは小型マイクを喉に当ていつものようにゆっくり喋る。

 

「薩摩隼人の実質加入は嬉しいね!悪名の露払いが捗る」

 

 

 

 撤収するヤタガラスを監視するように眺めるナギ。

 

『しかしヤタガラスのメンバー達の考え方、これが倫理観か。敵対してるというのに合理性に欠ける』

 

 ギンペイは先の作戦の映像を振り返りながらそう分析した。

 

『ナギ、君は特に躊躇や迷いが一切無いな。鬼曽トモヱに何をどう教わった?』

 

「日本人以外を見たら始末しろ。理由が欲しいなら後から考えろ」

 

『成る程、シンプルで効率的だ』

 

『しかし今も思うがよくメアリーを生かしておいたな』

 

「北米関係者は北米軍との取引に使える場合があるから可能な限り生かして捕らえろと指示があった」

 

『ふむ……北米軍との繋がりか。しかしその判断がこの機体といい状況に大きな変化を生んでいる』

 

『今回の件でアジア軍も決断を迫られ後に大きく状況も動くだろう。そう遠くない内に大規模戦闘が起きるかもしれん』

 

 

 

「以上が今回の戦闘データだ」

 

 鬼曽がリモート通信を行っている。

 

『協力、感謝します』

 

 相手はブレンゾン北米支社のCEO、セレーナだ。

 

「そういえばヤタガラスの小僧……鉄塚の倅だったかが私の機体を見るや『ゴースト』と言っていたが……」

 

『トライヴェクタの試作AIプロトゼロの事ですね』

 

「海中に沈むも北米軍が回収し解析、そのデータを反映した機体が間もなく投入されるという話だが?」

 

『よくご存知で』

 

「他に何か知っているのか?」

 

『北米に支社があるといえブレンゾン社は北米軍に兵器を提供しておりませんのでそういった情報の入手は不可能です』

 

「……まぁいい、そういう事にしといてやろう」

 

『引き続き戦闘データの提供をよろしくお願いします。特に今回のようにヤタガラスのメイレス、それとそのサポートAIであるアイレスのデータのような物はとても重要になります』

 

「トライヴェクタの技術が欲しいか。商魂逞しいな。夜刀神の清霞とも取引したらどうだ?」

 

『検討させて頂きます。それでは』

 

「……フン」

 

 

 

 北米軍日本前線基地。

 

「あれが新型機か?」

 

 基地には白い新型機が次々と輸送されて来ており、兵士達がそれを見ようと集まる。

 

「ブレイディ・ハウンドとあまり代わり映えしないようだが……」

 

「OSが全然違うって話だ。それに新型の光学兵装もある」

 

「要は乗ってみないと解らんて事か」

 

「明日にでも実戦でデータを取るって話だ」

 

「いきなり実戦だと?機種転換訓練も無しに?」

 

「それだけ最新型のOSが凄いって話だ。楽しみじゃねぇか」

 

 




 今迄の展開からあり得る内容ではありましたが自分でも思い切った内容だと思いました。
 何故原作の二期で宇堂キリュウがああなったかの理由を考えたのとガシン、シオンがアモウを受け入れられたのかを考えてみました。
 とはいえもう原作と世界が同じとは言えなくもなってきてますが(苦笑)
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