個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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100話

 私を外した理由が、全部終わった後で心操くんと組んでB組5人との特別戦を開催するため?なんでだろ?なんだか相澤先生もブラドキング先生も私を特別視してないか?もしかして私この訓練においてバランスブレイカー扱いされてる?えぇ……ひどくない?それを聞いた物間くんが口をとがらせる。

 

 「それじゃあまるでB組5人がかりで楪と心操君がトントンだと言ってるみたいじゃないですか」

 

 「そう言っている。というか楪に関しては数の差が関係ないからな。プロヒーロー並みの戦闘能力を持ったメカを増やして数の差で圧倒できる。そもそも本人が現3年生1位が押し切れなかったヴィランを一方的かつ無傷で捕縛するほど戦闘能力が高いんだが」

 

 「ああ!楪さんの外骨格!」

 

 「あれ訓練で使うものじゃないんですけど」

 

 「使ってほしいから分けたんだぞ楪。全力出さずに訓練して本番で全力以上が出せるわけがないだろう。数的不利は一番最後にすることで許してくれ」

 

 なるほどね~。私は訓練のたびにどう手加減したものか、ということに頭を悩ませていたわけなんだけど……ほら、えーくん以外だとたとえ爆豪くんであろうと私が本気で攻撃すると命に関わるわけで……。例えばパワーなら砂藤くんとかデクくんとか、火力ならそれこそ爆豪くんとか轟くんとか、一部分で私に匹敵する戦力を持ってる人はいる、それでも……まともに攻撃を受けられるのはえーくんだけだから、えーくん以外の場合何とか手加減を頑張っていたわけです。

 

 というか私一番最後にしていいの?相澤先生はよくわかってると思うんだけど、私に情報を与えたら対策しちゃうよ?というかB組の個性は大体把握済みなんだけども……アップデートできるならホントにガッチガチに対策できるんだけども。B組の個性ってどれも搦め手の人が多いから対策には力入れてるし。

 

 「どうして俺が楪とペアなのか、理由ありますか?」

 

 「それが楪への課題だ。お前をメインにしつつ、B組を相手にしてみろ。ルールは今から説明するが、ただ制圧するだけなら楪一人でいい。それくらいこいつは反則だ」

 

 「まあ、それは分かりますが」

 

 「分からないで!?それは過大評価ですよ!?」

 

 「悪いがこれが俺たち教師陣の認識だ。戦闘能力なら既にお前はプロの域に踏み込んでいる。いつまでも加減させるわけにもいかん。上限を知っておきたい」

 

 心操くんが私チート説を補強してしまった。ああ、そうだよね……特訓であれだけ好き放題やったらそういう認識になっちゃうよね。全力……全力かぁ。それこそ死に物狂いで全部出し切ったって言えるのはUSJの時の脳無とオールフォーワンの時、それと一番近いところでオーバーホールの時だ。特に殺す気でやった脳無とオールフォーワンの時は加減とかしなかったしね。

 

 私、どこかで必ずパワーをセーブするから……爆豪くん風に言えば舐めプになっちゃうのかな。でも、それは相手を殺さないようにするためだし、ふざけてるとか真剣にやってないとかそういうのとは違う。訓練相手をできるだけ傷つけたくないだけなの。あーもう!つまりこういうことだよね!?相澤先生!

 

 「何でもやっていいんですね?」

 

 「そう言っている」

 

 「分かりました」

 

 「あ、やべえ希械のやつ本気だ」

 

 「私はいつでも真剣だよ?」

 

 「希械ちゃん目が据わっとる据わっとる」

 

 つまり、バーリ・トゥード(反則無し)ですね、と私が言うと相澤先生がやっと理解したかと面倒くさそうに頷いた。いつかの心操くんのアレソレを思い出したのか心操くんの顔が苦笑いを含んだソレに変わる。いや、あのそれについてはごめんなさい。相当怖かったと思うんだけど……今回も同じか。はい、頑張ります。エリちゃんは私の雰囲気が怖かったのかつったかたーとえーくんの後ろに隠れてしまった。あ、すごいショック……。

 

 「あ、倒れた」

 

 「楪対策にエリちゃん有用じゃね?」

 

 「やめとけ、黒焦げにされるぞ。消し炭になるぞ」

 

 「私を何だと思ってるのさー!」

 

 「A組の最終兵器、何でもあり、ドラえもん」

 

 何それすっごい傷ついた。私そんな風に思われてたの?上鳴くん後で覚えといてね、お茶会の時にハバネロクッキー混ぜてやるんだから。あと仮にではあるけどエリちゃん巻き込んだら私その時点でプッツンするよ?最近開発した打ち上げてエネルギーを蓄積する衛星端末から私本体にエネルギーを還元して放つ超出力ビーム砲を叩き込むよ?名前は絶賛募集中。実験で空に放ったら校長先生に呼び出されてこっぴどく怒られた物体です。すいませんでした!

 

 ではルールを説明する、とブラドキング先生がとりなしてくれて私はよろよろと立ち上がる。エリちゃんは私の雰囲気が戻ったことで安心したのかそろそろと私の傍に戻ってきて服の裾を摘まむ。ごめんねエリちゃん……。で、ルールなんだけど状況想定は「ヴィラングループを包囲して確保に動くヒーロー」お互いをヴィランとして想定しての模擬戦となる。

 

 双方に陣営には「激カワ据え置きプリズン」なる檻が設置されていて相手を投獄した時点で捕まえた判定になる。うん、名前で明ちゃんが作ったってわかるね、この緊張感のないネーミングとか。A組B組共に5人チームがあるが、それでも4人捕まえられた時点で負け、それがハンデってことらしい。

 

 「お荷物抱えて戦えってわけか、クソだな」

 

 「ホントにお荷物ならね。心操くんは凄いんだよ~?」

 

 「ああ?」

 

 「やってみてのお楽しみ~」

 

 爆豪くん相変わらずストレートだね。心操くんと幾度か実際戦った私からすれば彼結構すごいんだけどな。個性が効くならそれはもうえげつないことになる。チームにいるだけでも意味があるほどだ。初見殺しかつ、種が割れた後でも警戒の必要があるジョーカー。下手な戦闘系個性よりも厄介だよ、私じゃ真似できないし。

 

 というわけでくじをみんな引いていく。私はもう既にペアが発表されてるのでひかないけどみんながみんなチームを組んでいく。当然心操くんも。いいなー、私も4人か5人で組んでいろいろやりたいなー。だって、それぞれ個性を組み合わせたら色々できそうだし。むしろ私はそういうのが得意なのだ。何かと何かを組み合わせて1+1を何倍にもする、それが機械の本質だからね。

 

 さて、最初の一戦は……おお!いきなり心操くんだ!それにチームメイトがえーくんに上鳴くん、口田くんに梅雨ちゃん!かなりバランス取れたいいチームだね!特に司令塔の梅雨ちゃんは侮れない。そして言わずもがな無敵の前衛えーくんに中衛の上鳴くん、サポートに口田くん、そして搦め手の心操くん。これかなり相手やりづらいぞ。

 

 そういう相手は塩崎さんに宍田くん、円場くんに鱗くん。塩崎さん居るのきついなー、彼女物量戦なら結構えげつないからね。待ちに徹された場合攻め崩すのは至難の業だ。あと増強系の宍田くんに遠中距離型の鱗くん、そして防御型の円場くんときた。うーん、攻め込むA組に守るB組って感じの戦いになりそうだね。

 

 よろしく、という心操くんをケロケロと受け入れる梅雨ちゃんを筆頭にA組チームが分かれて作戦を練り始める。何気にA組のコミュニケーション上手が3人もそろっているのでいろいろスムーズに決まるだろう。あー楽しみ!そう考えていると後ろからオールマイト先生とミッドナイト先生がやってきた。優しく遊んでくれるミッドナイト先生が大好きなエリちゃんがとててと駆け寄っていく。ミッドナイト先生がエリちゃんに優しく構ってくれるのを見守っていると、オールマイト先生がやあ、と手をあげた。

 

 『では双方位置についたな?では、始め!』

 

 さてさてどうなるかな?オールマイト先生が言うには、成績的には特にトラブルがなかったB組の方が良く伸びているということらしい。それに調子づいた物間くんがB組の勝利は揺らがなあああい!と叫んでいる。うーん、舐められてるわけじゃないねきっと。それだけ私たち対策を積んでいるわけだ。

 

 早速自陣を出発する双方、残ってツルで探索しつつしらみつぶしにする塩崎さんに対し、A組は揃って出発、口田くんの索敵と同時に、保護色で透明となった梅雨ちゃんが前方確認、えーくんが先陣を切って進む。そして……曲がり角で会敵!えーくんに向けて振るわれる宍田くんの増強された太い腕、えーくんはそれをまともに受けて踏みとどまった。あ、宍田くんそれ悪手。えーくんに接近戦を挑むならヒットアンドアウェイを繰り返さないと、そうなるよ。

 

 『よう、宍田ァ……!お前から来てくれるとはありがてぇこった』

 

 『くっ……離せない……!?切島氏、恐るべきパワー……』

 

 『宍田っ!』

 

 『フンっ!!』

 

 振るった腕をえーくんが万力の握力で捕まえる。ふりほどこうと腕を振るう宍田くんだけど、全力の握力で締め付けた状態で腕全てを硬化させたえーくんのグラップを外せない。そして、綱引きの状態に持ち込まれる。宍田くんの純粋なパワーはえーくんより圧倒的に上、だけど綱引きの状態なら体を硬化して固定できるえーくんなら張り合えてしまう。

 

 そして宍田くんの背中にいた円場くんはヤバいと判断したらしいらしく、えーくんを覆う透明な壁を出現させる。だけどえーくんは頭突き一発でそれを粉砕して、拳を握りこんだ。硬さ勝負に持ち込んだらえーくんを突破するのは至難だよ。思いっきり拳を引くえーくんに宍田くんは残ったもう片手で攻撃を加えるが、硬化したえーくんはそれを安無嶺過武瑠で受けて、そのまま殴りぬいた。

 

 『ぐおおおっ!?』

 

 『宍田ッ!』

 

 円場くんの壁を幾枚もぶち壊したえーくんの拳が咄嗟のガードの上から捻じ込まれる。防御の上からでも重いダメージが通るえーくんの拳に苦悶の声をあげる宍田くん、それが幾度も繰り返される。そしてそれがまずいと思ったのか鱗くんの声がどこからか響き渡る。

 

 『円場!宍田!一回撤退だ!』

 

 『できたらやってる!………………』

 

 『円場氏……!?』

 

 『おーし!ナイス心操!上鳴、俺ごと行け』

 

 『オッケー!悪いな宍田、円場。50万ボルトだ』

 

 鱗くんの声に返事をした円場くんの意識が落ちる。あれは洗脳を受けた時と合致する。心操くんが付けている物々しいマスク、あれの効果だ。あれはペルソナコード、共鳴プレートの効果を利用して機械を通さずに声を変えられる変声機。機械を通すと効果を失う心操くんの個性を効果的に扱うために心操くんの要望を受けて開発したものなんだ。実戦使用は今日が初めてだけど問題なく動いてるね!いやー、電気も自動化も使わないサポートアイテムの製作はかなり勝手が違って結構勉強になったよ。

 

 洗脳状態で動けなくなった円場くんとえーくんに捕まり綱引きを強要されている宍田くん、踏ん張るえーくんの足元がひび割れているあたりかなりの力で引っ張っているみたいだね。そこで現れたのが両手を帯電させた上鳴くん。彼はえーくんごと巻き込むように数秒放電し、残されたそこには無傷のえーくんと完全に気絶した宍田くんと円場くんの姿が。えーくんが個性が解けて縮んだ宍田くんを背負い、円場くんは口田くんが持った。そのまま来た道を逆に進み、二人を牢にいれてしまう。別カメラに写っていた本物の鱗くんは流石に5人そろった状態で襲うのはやばいと判断したらしく、塩崎さんの所に戻っていく。

 

 さてどうするのかな、と考えていると今度は全員が全員違う方向に向かう。梅雨ちゃんと上鳴くんでペア、口田くんと心操くん、そしてソロのえーくん。向かうは鱗くんと塩崎さんの居所。えーくん一人の正面突破だ。はっきり言うがえーくんと塩崎さん、鱗くんの相性は最悪だ。えーくん一人だと勝てるビジョンはないだろう。

 

 「切島が特攻だって!?勝負を捨てたのかい!?」

 

 「んなわけないでしょ物間。認めなよ、あの宍田を一人で抑えたんだよ?強いよ、切島」

 

 物間くんに突っ込む拳藤さん、そう。えーくんは冗談じゃなく強くなった。私だってあの硬さには手を焼く。真正面から打倒するのは骨が折れるし時間がかかるので絶対に選択しない。拘束するしかない。口田くんの個性で居場所を割り出したえーくんが案内されて二人の前にずしゃりと立つ。その上で上鳴くんと梅雨ちゃんが細工をしているのが見えた。

 

 上鳴くんに私が作ったサポートアイテム、サンダーロッドには電気を収束して剣にする機能がある。そして、それを限界まで収束すれば超高熱の短剣にすることができる。これはビームサーベルと同じく対物破壊を目的にしたものだけど今二人がやっているのは頭上にある金属パイプ、コンクリ、その他もろもろに切れ込みを入れる作業。そして、えーくんは時間を稼ぐのが役目だろう。

 

 えーくんが安無嶺過武瑠を発動して特攻する。迎撃の構えを取る二人に対して、どこからか無数のハトが入り込む。それに二人は一瞬躊躇した。二人の個性は遠距離に放って操作するもの、その射線上にハトがいる。ハトを無視して攻撃を放てば解決するが、それはハトを殺すということであって躊躇わざるを得ない。結果、二人の対応が一瞬おくれた。重戦車のように突き進むえーくんが鱗くんに向かってタックル。そのまま背後の壁をぶち破って消える。えーくんが消えた瞬間を見計らった梅雨ちゃんが全力でジャンプして、足場にドロップキックを叩き込んだ。

 

 ガラガラと音を立てて切れ込みを入れた足場が崩れる。舌で上鳴くんを掴んだ梅雨ちゃんが瓦礫に巻き込まれないように飛びのく。塩崎さんはツルで瓦礫を受け止める。その隙に梅雨ちゃんは舌で上鳴くんをぶん投げた。塩崎さんは勿論反応、ツルの壁で上鳴くんを捕縛しようとするが、上鳴くんはサンダーロッドから稲妻の剣を伸ばすとそのままツルの壁を一刀両断、塩崎さんの前につきつける。

 

 『降参してくんね?』

 

 『いいえ、まだ………………』

 

 『かーっ!やっぱ心操えげつねえなあ!』

 

 『そうね、とっても頼もしいわ』

 

 そっか、今度は考えたね心操くん。塩崎さんは上鳴くんに返答したんだろうけど、上鳴くんの口の動きに合わせて洗脳を発動して喋りかけた心操くんに答えた形になるんだ。よく聞けば口から声が出てないことに気づけたんだろうけど、目まぐるしく変わる戦況に塩崎さんは判断力を失った。人のいい塩崎さんはそれで咄嗟に返事をしてしまって、心操くんのトラップに引っかかったんだ。

 

 気絶した鱗くんを背負ったえーくんが壁の穴から現れて、心操くんが捕縛布で塩崎さんを拘束。そのまま牢にいれた。5人全員無事で、1戦目はA組の勝利。悔しげなブラドキング先生の宣言で、私たちは歓声を上げるのだった。




 ちゃんと全員やることをやるA組の皆さん。そしてクソツヨえーくん、さすがはえーくんかっこいい~~!あとちゃんと真面目な上鳴くんも追加で。

 ではまた次回に 感想評価をよろしくお願いします

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

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