「うおー、皆熱いなあ……!」
「かっこいい……!」
「エリちゃんは誰が好き?」
「……えーじろーさん、すごかった!あとあと……!ばくごーさん、かっこいい」
「おお……!!」
ちょっとモテモテじゃんえーくん!あと爆豪くんも。今は5試合目前。エリちゃんが自発的に今までの戦闘訓練の感想をこぼしたので誰がかっこよかったのかなー、と聞いてみるとまずえーくん、とても分かる。かっこよかったので。エリちゃんのセンスは私よりか……?そんでもう一人、何と何と爆豪くんだ。いや確かに、最速で試合を終わらせたからね。
2試合目の後の3試合目、轟くん、飯田くん、障子くん、尾白くんVS鉄哲くん、骨抜くん、回原くん、角取さんの試合は真正面戦闘に見せかけた骨抜くんの活躍によりB組有利で始まった。鉄哲くんを轟くんが赫灼熱拳で攻めたけど、熱耐性が異様に高かったせいで攻めあぐねた。赫灼熱拳は本気で放てば金属をも容易に溶かすことができるけど、私と同じでやり過ぎるとまずいからね。
鉄哲くんに時間を取られ、結局絶凍氷拳と赫灼熱拳を交互に当て続けることにより、温度差を利用することで鉄哲くんの個性を割って、何とか勝利した……鉄哲くんには。骨抜くん、回原くんも気絶させることに成功したが、角取さんが曲者だった。角を4つまで自在に空に飛ばして操ることができる、そう……私のオールレンジ攻撃を素で扱うことができる個性なのだ彼女。結果、骨抜くんと鉄哲くん、回原くんをひっかけて空高くまで逃げられてしまい、時間まで粘られて引き分けに終わった。最後、赫灼熱拳で空を飛んだ轟くんに捕まる寸前で終わったからね、悔しいだろうなあ。
そして4戦目、爆豪くん、響香ちゃん、瀬呂くん、砂藤くんVS取蔭さん、鎌切くん、泡瀬くん、凡戸くんの試合。はっきり言うが圧倒的だった、完璧という言葉以外でない勝利だった。爆豪くんを中心にしたワンマンチーム、に最初は見せかけていたけど、誰かが危ない時は爆豪くんが助け、爆豪くんが危ない時は他の誰かが助ける。あの爆豪くんが背中を預けたのだ。それさえしてしまえはあとは才能マンの爆豪くん、完璧な指揮で勝利をわがものにしてしまった。アンタ変わりすぎなんだよ、という取蔭さんの叫びにはみんなが頷いたことだろう。
「爆豪くん」
「あ?」
「エリちゃんが、かっこよかった~って。サインでもしてあげたら?」
「すご、かった!」
「当然だわ!なんだどこだTシャツかぁ!?」
自信を深めたような笑みで戻ってきた爆豪くんをエリちゃんと迎える。エリちゃんは爆豪くんの動きに魅了されちゃったみたいで、しきりにすごいすごいと言っている。中身小学生説がA組の中で持ち上がってる爆豪くんはそれにちょっと鼻高々。だけどそうなるのも分かる結果だからね。これはちょっと私も頑張らないとまずいかもねー。心操くんの動き次第だけど、彼主体ということは彼がどれだけ動けるかで私がやることも変わってくるわけで。1回目はほとんど動かなかったから分かんなかったんだよね。
三奈ちゃんにグッドサインを送って、エリちゃんはデクくんとお茶子ちゃんに両手をフリフリ。真横で首を掻っ切っているジェスチャーの爆豪くんは見なかったことにしよう。さて、新型オーバーガントレットの実戦投入だね。これでクリアするようならナノマシン仕様のガントレットに切り替えが出来そうだ。ふふふ、腕がなるぞー。
5回戦目のチーム分けは、デクくん、お茶子ちゃん、峰田くんに三奈ちゃんVS物間くん、柳さんに小大さん、庄田くんそして心操くん。デクくんが鍵だね、両チームにとって。爆豪くん並みのジョーカーかつ、捉えれば勝負が決するウィークポイントでもある。まあ、デクくんは強いんだけれどもさ。
『え~ではラストだ!5回戦目!はじめっ!』
「おっ、さっそくデクくん!」
「デクさん……!」
5回戦目が始まった瞬間に、一人だけ空高くに舞い上がった人がいた。ワンフォーオールの馬鹿力で運動場γのアスレチックのような迷宮を上に抜け出すデクくんだ。彼は空中で姿勢を整えると右腕を突き出してそれを左手で支えた。カメラ越しではなくて自分の目の望遠機能でそれを捕らえた私が自動的にされた解析結果に目をむく。初っ端から100%かぁ……!
『エアフォース・キャノン!』
右手のガントレットが変形して、デクくんの拳の先までがまるで筒に覆われるような形になる。ワンフォーオールが巻き起こす風圧の収束装置だ。材質はフルガントレットと同様、つまり……50%にもやすやすと耐えうる。そしてデコピンの形に変えられた右手の指が弾かれると、その風圧は収束されて一気に一方向に飛んでいった。
着弾点にいたのは警戒されているであろう心操くん、ではなく物間くんだった。配管やら何やらを破壊して勢いが削がれてかつ距離が離れていようとワンフォーオールの50%だ。上からのすさまじい風圧で物間くんは地面に叩き付けられる、だけに飽き足らず彼を中心にして小規模なクレーターが出来上がった。なるほど、これがエアフォース……デクくんの新技かぁ……!しかも、これ大怪我しない距離だからこそ50%を使ったね?ひどい打撲で終わってる。もしもっと近かったらデクくんは出力を調整して小規模な威力になる様に撃っていただろう。
さらにデクくんは着地点をずらすために背中側に手をやって指を連続で弾いた。着地点がずらされて、デクくんがアスレチックの中に消える。物間くんに対して大きく回り込む形で背後を取ったデクくんが指を構えながら物間くんを確保にかかる。鈍い動きで悪態をつきつつ立ち上がった物間くんはかぶりを振って気付けをしている。
『頭のいい人間は君を警戒する……!けど、想定外だよ……!教えて欲しいな、恵まれた人間として!そういった人が世の中をぶち壊すらしいよ?どこかの彼の友人なら教えて欲しいんだけど……平和の象徴を終わらした人間がなぜあんなにヘラヘラ笑ってられるんだい?』
『……っ!』
「ふーん……」
「物間……ごめん、楪。あいつ終わったら絶対謝らせるからさ。煽りでも言っちゃいけないことあるし……」
「うーん、事実だからね。多分私や爆豪くんと関係ない人たちもきっとそう思ってるんじゃないかな。まああれだね。特別戦で物間くん出てくるならお話ししたいなあ」
デクくんは、煽りだと分かっているのだろう。私もそうだと信じたい、本気で物間くんがそういうことを言う人じゃないって。B組の皆を代表してフォローしてくれる拳藤さんには少し悪いんだけどちょっと私としてもイラっと来てしまった。じゃあ教えてあげようかな。私が失ったものも含めて。どうして私が……火力が過剰だとわかっているにもかかわらず、威力の追及を緩めないかも。
後ろの方で三奈ちゃんたちが他のB組チームに襲撃を受けている。けど3人の連携はゆるぎなく、そのまま防いでしまった。心操くん対策なのか、ハンドサインとアイコンタクトだけで。誰かの動きを見てそれをフォローする、インターンにて実戦経験があるお茶子ちゃんの動きに合わせている感じか。
デクくんは煽りだとわかっているけど少し冷静さを欠いているように見える。確保ではなく気絶に切り替えていくつもりのようだ。デコピンの構えからシュートスタイルに切り替わる。物間くんも、さすがにまずいと思ったのか口を閉ざして逃げの構えに入った。
「えっ!?なに、あれ……?」
突然だった。デクくんの腕を中心にして黒いエネルギーのひものようなものが渦を巻き始めたのだ。しらない……!私はこんな現象を知らない!ワンフォーオールなの……!?それともデクくんは無個性じゃなかった?元々あったけど表出してなかった個性が今になって突然?
「おい、なんだよありゃ……!?」
「先生ッ!止めてください!おかしいです!」
「相澤君!おかしいぞ!止めるべきだ!」
えーくんの疑問の声が波紋のようにクラス全体に広がっていく。最初は誰にも知らせていなかった新技だと思ってた人たちも、デクくんの必死の表情を見て顔色を変える。デクくんの意思を無視して蠢く黒い触手のようなエネルギーは一気に拡散してありとあらゆるところを傷つけていく。
必死にそれを抑えようとするデクくんと心操くんが会敵する。のたうち回りながら逃げるように心操くんに呼びかけるデクくんと突然の事態に追いつけずデクくんを見ることしかできない心操くん。拡散する触手はチーム関係なく襲い掛かり、宿主であるデクくんにも牙をむいた。触手の反作用で空中に跳ね飛ばされたデクくんを、危険を顧みず動いたお茶子ちゃんが空中で抱き留める。
『心操くん!洗脳をデクくんにっ!!!止めてあげて!!』
お茶子ちゃんの叫びに心操くんが反応する。どうすればデクくんが応えられるか、一度洗脳を破られている心操くんとしては完全に罹かる言葉を探さないとまずいから。だからこそ、心操くんはペルソナコードを外して自分の声で個性を使った。
『緑谷ァ!俺と戦おうぜ」
『っ……応っ!!!』
かかった!心操くんの個性でデクくんの意識が飛ぶ。その瞬間にあの謎の黒いエネルギーはデクくんの中にすさまじい勢いで吸い込まれるように戻っていった。お茶子ちゃんが地面に着地して個性を消して、デクくんに向かって何発も往復ビンタをしている。え、いたいよアレ。お茶子ちゃん焦ってない?落ち着いて?あ、デクくん起きた。
「とまった……!?」
「イヤ!物間がまだやるつもりだ!」
先生たちが止める為に訓練場に向かったあと、デクくんが事態を把握しようとしているときにまだ終わってないとばかりに物間くんが襲い掛かり、それを起点にして大乱戦が始まった。峰田くんのもぎもぎが飛び交ってトラップを形成し、三奈ちゃんが近接戦を庄田くんに仕掛ける。酸で滑るように移動する三奈ちゃんを庄田くんが正拳で迎え撃つけど、三奈ちゃんは地面に対して倒れ込み、身をよじる様にそれを躱して、カポエイラで言うヘリコプテイロと呼ばれる逆立ち回転蹴りを踵で庄田くんの後頭部に叩き込んだ。
うまい、あれ後ろ回し蹴りに並んで威力が高い蹴り技なんだ!打ち込みの意識の隙間を取られた庄田くんは気絶してしまい、これで近接戦闘が苦手であろう小大さんと柳さんが残される。物間くんがまずいと感じたのかデクくんを放置してフォローに向かう、デクくんはお茶子ちゃんに投げられて心操くんを追う。ワンフォーオールがおかしいから個性を使わずに心操くんを追い詰めるデクくんに対して心操くんは捕縛布で天井を崩して対抗する。
「うそっ!?」
「デクさん、すごい」
「チッ……」
爆豪くんが舌打ちするのも分かっちゃう、デクくんは崩された天井をさっき暴走した黒い触手で掴んで無力化したのだ。そして、そのまま捕縛布をひっかけて逃げようとする心操くんにデコピンによる空気弾を叩き込んで動きを止めて拘束してしまった。心操くんが苦笑するようなそれでいてカラッとした笑顔でペルソナコードを外して両手をあげる。なぜかそのタイミングでデクくんの顔に打撃が入ったような動きがあったけど、デクくんは拘束を緩めなかった。今のもしかして物間くんかな?
対するほかのB組たちは、前線を担う庄田くんが気絶したことにより崩壊してしまっている。峰田くんがもぎもぎを投げまくって小大さんの動きを完全に封じ、柳さんのポルターガイストによる念動力をもぎもぎの吸着力でモノをまとめ上げて持ち上がらないようにすることで対処。完全に目が危ない方向にいっている峰田くんに女子二人は怯えるばかりだ。あれは怖い。
そして物間くんは、無重力で飛んで追いつくお茶子ちゃんに追いつかれて体術で地面に組み伏せられた。最初のワンフォーオールによる空気弾のおかげで物間くんの動きが悪かったからかな?煽ろうとして口を開こうとする物間くんに対して、お茶子ちゃんは口を開かせる前に打撃によって気絶を選択、何も言えず物間くんは沈黙する。
『くっ……!第5セット!結果はA組の勝利!よってこの対抗戦はA組の勝利とする!次は頑張ろうなB組!』
「最後まで偏向実況だ~」
いつの間にか戻ってきていた先生たち、マイクを掴んだブラドキング先生の宣言でA組の勝利が確定した。……対抗戦だというのなら私がやる特別戦の結果も含めていいんじゃないかなあ?負ける気は全くないんだけど。それはそうと、次は私だね。いやー、待ち遠しかった。折角だし、新技を解禁しよう。外骨格の上をいく私を強化する方法だ。
「エリちゃん、ミッドナイト先生と一緒に見ててくれる?かっこよくはないかもしれないけど、頑張ってくるからね」
「うん。一番応援してる、おかあさん」
「よーし!やる気がみなぎってきたぞー!」
「張り切ってんなア、希械」
そりゃ勿論ですとも!折角心操くんと共闘できるんだから、私もいい所見せたいじゃない?あ、でも心操くん大丈夫かな?参加できるほど体力残ってるかなあ?
次回、新兵器を携えて楪さんフルスロットルでお送りします。ではまた次回!
映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?
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必用
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本編だけにしろ