個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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後期インターン編
119話


「だっはっはっは!」

 

「ぎゃははははは!」

 

「笑ってんじゃねえこのクソカスども!」

 

「い、いやだってお前あんだけ、あんだけインタビュー受けておいて映ってるところ全カットって!」

 

「せっかく仮免とってすぐに大活躍できたのにね、もったいない」

 

 時間は流れて、本日もなんだけどヒーロー科は授業だ。なんせ那歩島やらなんやらのおかげで大幅に授業が遅れちゃってるし。大事な活動だったし成長できたから文句はないけどね。いやはや、そういえば那歩島の皆さんからお手紙もらったの、活真くんと真幌ちゃんからもね。うれしいなーうれしいなー。オールマイト先生にも聞いてみたことがあるんだけど、やっぱりうれしいものなんだって。

 

「希械なんて個別インタビューもらってるのになぁ……対照的じゃねぇか」

 

「何でこのメカ女がこんなデカデカ取り扱われてんだアアン!?」

 

「希械ちゃん別枠じゃん、ヒーロー枠じゃなくて研究方面でのあれ」

 

「シールド博士がナノテクノロジー関連のことを発表したからね。私、一応連名になってるから……今のところナノテクは私の個性がないと使えないんだけど」

 

「俺のことも使えやぁぁぁ……!」

 

 何でこんなに爆豪くんが荒れてるのかっていうと、首尾よく仮免の再試験を突破してライセンスが発行された爆豪くんと轟くんの二人は試験会場からの帰りでヴィランに遭遇し鮮やかに鎮圧した。付き添いに同行していたどう見てもやつれるという言葉をはき違えてるようにしか見えないオールマイト先生曰く、かなりの高得点だったそう、そこまではよかったんだよそこまではね?問題はそのあと。

 

 昨今のヒーローはショービズとしての一面がどうしても無視できなくなってきている。オールマイト先生が平和を維持していたからこそできた「市民は無傷で、なおかつ戦闘を魅せて、それでいてヴィランは逃がさない」というなかなかな無理難題のことなんだけど、その側面の一つとしてどうしてもあるのがテレビ番組、それこそインタビューのことなんだよね。

 

 はい、お察しの通り外聞がどこからどう見ても悪いでお馴染み爆豪くんが反発しまくったせいで自分のところ全部カットされるという憂き目にあいましたとさ。で、えーくんはじめとしていつも爆豪くんと仲良くしている面々はそれが面白くって大爆笑。エリちゃんはエリちゃんで爆豪くんがいないのが疑問らしく、爆豪さんいないの?って寂しそうに本人に尋ねてる。

 

 いるわ!カットしやがってあのクソテレビィ!と叫ぶ爆豪くんにビビるエリちゃん。とりあえず爆豪くんを机に沈めてから私は恥ずかしかったなあ、とテレビ映りいいじゃーんと弄ってくる上鳴くんにいつだか作ったダースベイダーマスクの亜種、ヨーダマスクをかぶせて思いをはせる。ヨーダマスクはナノテク技術によりなめらかに肌にフィットしなおかつ表情も変化する優れものです。これで君も小さな緑の友だ!

 

 そもそも活躍も何もしてないのになんで私がテレビの取材を受けているかっていう話をすると、ナノテクのせいなんだよね。ナノテクノロジーは今の科学にブレイクスルーを起こす技術だ。段階的に発表していくっていうシールド博士の思惑通り、ナノテクノロジーの実用化に成功したっていう発表をしたの。私が那歩島にいる間に。

 

 I・アイランドには先んじて伝えてあったんだけど、シールド博士ったら私を共同研究者として連名にしてしまっていたものだからさあ大変。無名の新人研究者の誕生である。本来なら取材で大変なことになるだろうけどそこは雄英、ほとんどシャットアウト、というかほぼシールド博士がやってくれた。私に来たのはまあ、興味本位くらいだろう。研究者兼ヒーローっていう肩書は断固拒否したけど。せいぜい私は技術者どまりだ。

 

 ナノテクノロジー、正直楽しすぎていけないの。やってみたいこと、やりたかったこと、できるかもしれないこと、文字通りなんだって出来ちゃう。ナノの世界の可能性は無限大、楽しくて楽しくて寝不足で、はない。ちゃんとエリちゃんと寝ているので大丈夫。時間がないんだけど!

 

 

 

 

 

 

 

 メリークリスマース!とみんながグラスに入ったソフトドリンクを掲げて、近くにいる人はかちゃんと乾杯をする。爆豪くんメディア出禁事件と1-Aインタビュー授業があって早数日、本日はクリスマス!そう、キリストの誕生日とか恋人たちの夜とか、子供はプレゼントもらえてホクホクなあの日です!ずらっと並んだ料理も、がんばりました!主に私と砂藤くんが!

 

「ありがとね、百ちゃん。私布を直接出すのは苦手で……」

 

「いえいえ、希械さんはこうしてお料理頑張っていますもの。お役に立てて嬉しいですわ」

 

「聖夜最高」

 

「よかったわね峰田ちゃん」

 

 私たち、女子も男子もみんなサンタのコスチュームに身を包んでいる。峰田くんプレゼンツのサンタ水着バニーは却下されたけど、この程度のコスプレならまあやってもいいかな、楽しいし。私は化学繊維を出せはするんだけど、体から直接出すのはなんか苦手だ。多分いつも金属とかプラスチックとかばっかり扱っているせいで微妙に経験値が足りないのかもしれない。要修正だ。

 

「インターン行けってよ。雄英史上俺たちが多分一番忙しい1年生だぜこれ。やっばローストビーフうっま」

 

「希械の料理何食べてもほんと美味しいよね。麗日と梅雨ちゃんはまたリューキュウ?」

 

「お、お餅ピザある……うん、そやねえ。耳郎ちゃんはどうするん?」

 

「決めかねてるー。希械はどうするの?サー・ナイトアイのところ?」

 

「お茶子ちゃんお餅好きでしょ?作ってみたの。うーん、響香ちゃん聞いて~……」

 

 上鳴くんが大口を開けて自信作ローストビーフをもぐもぐと食べながら一昨日伝達されたことを愚痴交じりにぼやく。そうそう、相澤先生から新年あけたらすぐにインターン行くように伝達されたんだよね。しかも今回のインターンは自由だった死穢八斎會の時とは違って全員絶対参加のやつらしい。お茶子ちゃんに梅雨ちゃんは多分またリューキュウ事務所だろうし……えーくんはやっぱりファットガム事務所だって。相当気に入ってるねえ。

 

「実はねー、断られちゃったの。私とデクくん。ナイトアイから」

 

「えっ!?マジで緑谷!?希械いらないって相当じゃない!?」

 

「ちちち違うんだよ耳郎さん!ナイトアイ、連合がらみの件でかなり忙しいらしくて……グラントリノもダメだから僕いま宙ぶらりんなんだ」

 

「あー、そういうこと。でも今回は学校から紹介もらえるらしいじゃん?そっちも考える感じ?」

 

 三奈ちゃんが爆豪くんにサンタの衣装を着せようと追いかけまわすのを眺めながら響香ちゃんに答える。そうなの、私行こうと思っていたナイトアイ事務所から無理だ宣告されててさ、デクくんと一緒にどうしたもんかって途方に暮れてたんだよ。だから指名の中から選ぼうかなーって思ってるんだけど今更あの7000件の中から自分に合う事務所を探すのも難しい気がする。どうしたもんかねえ。

 

 コスプレに爆発的拒否を示している爆豪くんに私は辛い物好きというデクくんからの情報、というか観察の成果をフル動員して作成したホットチリターキーを見せると、爆豪くんは舌打ちを一つだけして三奈ちゃんからサンタ衣装を奪い、最後の抵抗なのか羽織るだけ羽織って見せた。そうそう、ノリよくするのも大事だよ爆豪くん。

 

「おおい!きよしこの夜だぞ!いつまでも学業に現抜かしてんじゃねええええっ!」

 

「何そのとんでもない暴論……わからなくもないけど。ということで、じゃじゃーん!」

 

「めりー・くりすます?」

 

「そう!エリちゃん大正解!」

 

「サンタなエリちゃん!かわいい!」

 

 峰田くんのすごい暴論に一応の理解を示した私の口で言った効果音とともに、共用スペースの扉が開いて、今日は相澤先生と一緒だったエリちゃんが私が手縫いしたサンタ衣装に身を包んで現れた。エリちゃん、実は最近ちょっとお勉強を頑張ってるんだよね。それを面白がったマイク先生が、ちゃんとお勉強の時間を私と離れているときに行ってるみたいなの。

 

 個性エネルギーの蓄積が始まってエリちゃんの角は少しづつ伸びてきた。それに伴って個性訓練も始まるみたい。こっちは相澤先生がつきっきりになるのかな。私だと抱きしめてあげることはできても、止めてあげることはできないからね。ああそれはそうと、という相澤先生が私に向き直る。

 

「楪、休みのところすまないが午前中校長室にこい」

 

「え、はいわかりました。なんでしょう?」

 

「詳しくは校長から聞け。じゃあ、俺はこれで」

 

「あっ!待ってください!これ良かったら先生方皆さんでどうぞ!」

 

 何だか知らないけど呼び出しを受けてしまった。明日、クリスマスイヴは休みなのでエリちゃんと一緒に何かしよーかなーと考えてたんだけど予定が入っちゃったや。しかしなんだろう?サポート科関連ならサポート科に来いってなるよね?むむむーん?と首をかしげながら私は相澤先生に渡そうと取りおいておいたオードブル盛り合わせセットを手渡す。ランチラッシュには負けるけど、自信作です!

 

 相澤先生にほどほどにしろよ、と言われてもパーティーモードに入った私たちはなんのその!まずは駆け付け一杯、って違うか。エリちゃんを私の膝の上にのせて、響香ちゃんプレゼンツのお歌の時間。エリちゃんはあの文化祭のショーを見た後から私も歌いたいっていう風に夢になっちゃったみたいで、響香ちゃんが私の部屋に遊びに来るたび歌をねだってたりする。エリちゃんの歌がいつか聞けるといいなあ。

 

 美味しいご飯に美味しいジュース、楽しい仲間、最高の時間。こうやってただただ楽しむ時間っていうのはいつぶりかな?上鳴くんが言う通りほんとに忙しかったんだね、私たち。各々が持ち寄ったプレゼントをひもでつないで、一斉に引く。プレゼント交換の結果は、エリちゃんが常闇くんプレゼンツのなんかすごく大きくて複雑な模造剣、私が……。

 

「おそば?」

 

「俺だ」

 

「轟くんの。んー、折角だし明日か明後日遊びにおいでよ、茹でて一緒に食べよ」

 

「楪がいいなら、邪魔する」

 

「んだこりゃ?」

 

「あ、それ私のオリジナルデバイス。どこよりもいい音質と映像美をあなたにってね」

 

「ええ~~!!いいな爆豪~~~!希械のアンプめちゃくちゃ音質いいから羨まし~~~!」

 

 プレゼント包装の中に入っていたのは乾麺のお蕎麦。結構いいやつ、轟くん自分が好きだからこれにしたのかな?うって変わって私が音質と映像美に徹底的にこだわったスマホ型音楽再生プレイヤーとヘッドフォンのセットを引いたのは爆豪くん。響香ちゃんは私製の音楽再生機器の性能を知ってるからかかなり羨ましそう。珍しい声を出している。

 

「そういや、楪、緑谷、爆豪。インターンまだ決まってねえならこっちくればいいんじゃねえか。1位の事務所」

 

「エンデヴァーの!?そ、そっか、そうだよね。それはありかも……」

 

「あァ?……まあ、今更有象無象に学ぶ気はねえしなァ」

 

「残念ながら私はエンデヴァーに断られてるの……」

 

 インターン来る先無いなら来いよ、と誘ってくれる轟くん、エンデヴァー事務所……実はナイトアイに断られた時に最初に思い付いてもう連絡済みなんだけど……エンデヴァーになぜか直通でつながった電話にあれこれこうでインターンできませんか、と尋ねたところ。事務所にきてどうしたいかというところとどれだけ自分が成長したかという話をヒヤリングされた。ヒヤリングされたうえでの答えが……

 

「『おそらく貴様が今必要なのは俺ではない。貴様が糧にできる場所は別にあるはずだ』って返されちゃって……」

 

「ハッ!体よく断られたわけか。ざまあねえな」

 

「クソ親父……あいつは、強さに関しては貪欲だ。あいつがそういうなら、今の楪にはもっといい場所があるってことなのかもしれねえ」

 

「ナンバーワンの事務所で足りないっていうのはなんだろう……?」

 

 そう、それなのよデクくん。現ナンバーワン事務所のエンデヴァーをして私が成長できる場所は別にあるっていうのが腑に落ちないの。エンデヴァーの教え方は学校の先生たち並に分かりやすいから、そこは疑ってない。エンデヴァーは、今の私に自分が教えるべきことはないと示した、経験は不足しているけど私に必要なのはもっと別なのかもしれない。だからこそ、悩んでるんだよねえ、とエリちゃんにあーんとアップルパイをあげながら私はソファに沈むのだった。

 

 

 

 

「失礼します。校長先生……私に何の御用、で……え?」

 

「来たね!楪さん!早速座ってほしいのさ!」

 

「楪、悪いな休日に」

 

「やあ、楪少女。メリークリスマスイヴだ!」

 

「……お久しぶりですね、楪希械さん」

 

 校長室に入室させてもらった私は、一瞬フリーズする。校長先生、相澤先生、オールマイト先生という物々しい布陣も気になるんだけど、もっと気になるのが一人。久しぶり、という言葉通り私はこの人に会ったことがある。エンデヴァー事務所に職場体験に行ってステインにやられて入院してた時に。

 

 薄い金色の髪の毛に厳しく鋭い瞳。あとで知った……この人が、ヒーロー公安委員会の会長さんだっていうことを。




うわでた(公安) この展開をやりたかったためにステイン編で公安と絡ませたんですね(RTA風) 詳細は次回に、ご期待ください。

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いします。

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

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