個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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123話

「まあ、向こうさんに迷惑かけないようにな。特に楪」

 

「はぁい。間違えてプラズマでビル焼かないようにします」

 

「そんなことやってたんだ……。あのイレイザー、俺結局誰のところに職場体験に行くのか知らないんですけど」

 

「悪いが機密でな。楪が知っているから向こうについたら教えてもらえ」

 

「じゃあ、雄英を代表していってくるといいのさ!大丈夫!君たちのことは僕が保証するからね!」

 

 1日だけの年末帰省で、エリちゃんのことを両親に頼み込んだ私は念のためお父さんに往時のヒーロースーツを私が超改良したものを渡して、エリちゃんと一緒に年越しそばと特別夜更かしを楽しんで、私とエリちゃんは寮に戻った。お父さんとお母さんは雄英と契約して雇われてる警備会社から雄英に出向するという形で私がいない間、エリちゃんと一緒に教師寮で生活するみたい。お父さんがヒーロー免許を取得していたからできる荒業だね。

 

 ちなみにその件をクラスで説明すると食いついたのはデクくん、お父さんのヒーロー名、ギアフィストを知っているのは彼だけだった。例外はえーくんね。ちなみに一番有名な事件はトンネル工事中に崩落が起きて、天井の岩盤をお父さんがただ一人20時間以上支え続けた事件だそうな。いや何それ私知らないんだけど?多分骨格を固定して支えたんだと思うけど……お父さんの骨格金属は私でも解析再現不可能なうえに強度も化け物じみてるから、できるかできないかで言われたらできると思う。サインはしてもらえると思うよ良かったねデクくん。

 

 それで、私と心操くんは相澤先生、校長先生に送ってもらって空港にきている。これから私と心操くんは日本を離れ、アメリカに留学する。心操くんは一か月、私は3学期丸々の予定だ。さすがに心操くんは職場体験なので引っ張りに引っ張ってもこれだけだけど、私は個性を進化させる必要があるので全力投球の所存。機密の関係上心操くんにスターアンドストライプのことを明かすのは向こうについてからだね。

 

 ちなみにさっき会った通形先輩は、エジプトに行くんだそうな。校長先生曰く、サラームっていうエジプトナンバーワンヒーローのところに行くんだって。へー!って感じ。通形先輩ならどこでもやれるだろうからあんまり心配していない。まあ、彼にサポートアイテムを渡せないのがちょっと残念なような、そうでないような。通形先輩と一緒に透過できるガントレットとか作れれば攻撃力の増加になると思うんだけどなあ。

 

「じゃ、行ってきます。エリちゃんのこと、よろしくお願いしますね!」

 

「行ってきます。イレイザー、校長先生」

 

「ああ、心操。校訓を忘れるな、お前なら必ずものになる。楪、こっちにいる奴らに追い抜かれるなよ」

 

「成長した君たちを迎えに来るのを楽しみに待ってるのさ!」

 

 相澤先生は私たちのことをよくわかってる発破のかけ方をしてくれるなあ。プルスウルトラの精神も、えーくんをはじめとしてクラスのみんなに負けたくない気持ちも……うまく刺激してくれちゃって。あーあ!出発前からやる気マックスだ!と私は超圧縮でトランクサイズまで小さくした荷物を引いて、先生たちに頭を下げた心操くんを伴い国際線ロビーに歩いていくのだった。

 

「じゃ、心操くん。行先なんだけど、ロサンゼルス国際空港に行った後にネバダまで行くよ。今はそこにいるみたい」

 

「今は?」

 

「私たちが師事するヒーローなんだけど、オールマイト先生やラビットヒーロー、ミルコみたいに特定の活動地域を持たずにヒーロー活動しているヒーローなの」

 

「そうなんだ……なんか、実感わかない。ふわふわしてきた」

 

「それを人は期待というのです!じゃ、最終チェック!荷物、よし!パスポート、よし!書類!よし!心操くん英会話!」

 

「いや話せないけど……急だったから学校英語くらいしか」

 

「私が話せるので問題なし!じゃ、行こうかー」

 

 手荷物を残してチェックインカウンターで大荷物を受け渡し、ヒーロー専用のカウンターで心操くんのものも含めて私が持ってきていたヒーロースーツを預け、仮免許と書類を提出。心操くんが付箋びっしりの英会話の本を熟読している間に私は諸々の手配を校長先生に教えてもらった通りに済ませる。

 

 時間あるしラウンジいこいこーと私は開発した特許と主にI・アイランドの教授たちのおかげで持てたブラックカードを見せてビップラウンジの中に入ってみる。やば、超豪華初体験!ほら見て心操くん!高そうなお酒山ほどあるよ!私たち呑めないけど!おつまみも無料だって!あ!ほらあっちアイスもある!上鳴くんが言ってたシンカンセンスゴイカタイアイスってこれじゃない!?

 

「テンション高くない?キャラが行方不明なんだけど」

 

「せっかくだから楽しもうと思ってさー!意外と緊張してるよ?」

 

「余裕だな……じゃあ、さ。向こうで入国審査するときにどう答えたらいいか教えてよ」

 

「いいよー!」

 

 確かに、入国審査で困るよね。私はヒーロー専用ビザなんだけど心操くんの場合は就労ビザと学生ビザの合わせ技だ。心操くん、意外と英語苦手みたい。理数系なのかな?私と一緒だ!まあ大丈夫だよ、向こう側に話が通っているはずだから心操くんと私はヒーロー用の入国審査で別室だ。カウンター式じゃなくて個別に受けることになるし、私と一緒に受けるから基本私が受け答えしちゃうのだ!

 

 そうして時間になったので飛行機に乗り込む。校長先生の計らいでエコノミーじゃなくてビジネスクラス!オールマイト先生の貸し切り飛行機と比べるのはおかしいと思うんだけど、十分豪華だね!まあ私にとってはちょっと窮屈なんだけど……ごめんね心操くん、大きな女で。狭くない?必要だったらクッション出すよ?チキンオアビーフ?私はビーフがいい!座っても天井ギリギリなんだよね……きゅうくつだぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでここがロサンゼルス国際空港です。時差ぼけ大丈夫?」

 

「思ってたより平気。機内で寝れたし」

 

 約10時間のフライトを経て、私たちは自由の国、ヒーロー発祥の地にして本場のアメリカに降り立った。排気ガスとケチャップのにおいがするね。異国だね。入国審査は割とあっさり通った。ヒーローが国防に直結していて派遣にはものすごく煩雑な手順がいるっていうのはそうなんだけど、それはほとんど校長先生がやってくれたから私たちは正直に答えるだけでよかったよ。心操くんはたどたどしい英語が通じるか不安だったみたいだけど、英語って割と勢いだけで通じるから普通に通った。ぐっじょぶ!

 

「というわけでここからネバダまで行きます。電車で」

 

「何で電車?」

 

「ネバダの空港自爆テロでしばらく使えないらしくって」

 

「え、ええ……」

 

「アメリカって日本の3倍治安悪いから置き引きとか気を付けてね。ほら今も」

 

 日本の今の犯罪率なんだけどオールマイト先生の引退もあってか9%まで上がってる。高いか低いかで考えたら世界的に低い数値なんだけどオールマイト先生の時代は5%以下だったから単純に倍なんだよね。え?アメリカ?州によってまちまちだけど20%下回らないくらいだよ。日本が低いだけで世界的には犯罪率ってバカ高いからね。

 

 置き引きしようとしていた伸びる手をつかんで、引っ張る。人ごみの中からずるずる出てきた男の人は私と目が合うと冷や汗だらだら、私はにっこり。拳銃持ってるね、没収。はい、お仕事終了とぐるぐる巻きにしてセキュリティの人に引き渡す。見ればわかるんだけど、このフロアだけでアサルトライフルを持ったセキュリティが結構いる。それなのに置き引きに走るってことはそれだけ貧富の差、そして治安の悪さが極まってるよ。別の国って感じ~~!

 

「じゃ、心操くん貴重品が入ったバッグは胸で抱えて。それで私から離れないように。自衛の時だけ個性オッケーの精神でお願いします」

 

「わかった。頼りにしてる」

 

「うん!向こうにつくまでだから。それ以降は治安もましになるよ。人が多いとどうしてもね」

 

 治安の悪さはわかってたつもりだったんだけどなあ。まあ、日本人丸出しかつ雄英の制服だしね私たち。カモに見えるのかもしれない。空港を出て、ヘイストップタクシーとタクシーを止める。日本人かい?と尋ねるおじいちゃん運転手に受け答えしつつ駅までよろしくと心操くんと一緒にタクシーに揺られる。目的の列車は高速列車!2時間でネバダのラスベガスまで行ける!

 

 助手席にかけられたショットガンにうわ~お国柄~という感じに心操くんと感心しちゃう。アメリカは超常発生前から銃社会だったけど、超常黎明期を超えるとそれが加速した。個性の使用禁止はそのままに、銃の規制が緩くなった。自衛のためというのもそうだけど、銃ごときより強い個性がざらに出てくるようになったからだ。撃った形跡があるなーと苦笑いしてると、前方で爆発音。何事!?

 

「シット!ヴィランのクソ野郎が!」

 

「楪、どうする!?」

 

「近隣のヒーローはいないみたいだね。私が何とかする!運転手さん!渋滞が解消され次第メイン通りをそれてください!お金払うまで他のお客さん載せないでね!?」

 

「お嬢ちゃん、あぶねえから降りるな!」

 

「大丈夫!私、ヒーローだから!ハロ!着装!」

 

『チャクソウ!』

 

 前方にはアメリカっぽいトレーラーが暴走しているのが見える。前の方から銃声と怒鳴り声。拾うに銀行強盗かな?タクシーのドアを蹴り開けるように降りて運転手さんに指示。預けてたアタッシュケースからハロを取り出して音声コマンドを認識させるとナノマシンが私の体に定着してヒーロースーツを形作る。制服はハロが超圧縮して保存。ハロを大きくした私はゴリアテを作って中にハロを放り込む。

 

「じゃ、行ってきます。心操くん」

 

「……あぁ。無事戻ってきてくれよ」

 

「もちろん。運転手さん、ちょっと待ってくださいね。解決してくるので」

 

「あ、ああ……お嬢ちゃん名前は!?」

 

「エクスマキナ!」

 

 何もできないことが悔し気な心操くんとこういう事態に興奮しているらしいおじいさんにヒーロー名を答えてから私はゴリアテを伴って飛び立つ。クラクションを鳴らして周辺の車を無理やりどけつつ暴走するトレーラーの前に降り立つ。威嚇射撃を無視してゴリアテを前に、いきなり現れた私相手にもひるむことなくそのままひき潰そうとするとはさすがは本場のヴィランだね。躊躇がない……だけど、今まであってきた奴らより断然怖くない!

 

 ゴシャア!と真正面からトレーラーとゴリアテが正面衝突するが、ゴリアテはぴくりとも揺るがず下がらずトレーラーを受け止めた。そういえば心操くんを助けたときもトレーラー相手だったっけ。今となっては懐かしい。あの時とは違い、完全にぺっしゃんこになった運転席、まあ生きてるでしょう。どっかつぶれてるかもしれないけど。

 

 そのまま動く。トレーラーの後ろに乗っていたらしいヴィランたちが横転した牽引車から這い出てきて個性やら銃を向けようとする。前に動く。前もって放っておいたファングが銃を解体し、個性をつぶし、服の合間を縫ってヴィランたちを地面に突き刺して拘束する。ゴリアテが運転席を引き裂いて運転してたヴィランを引きずり出す。そのまま拘束用の腕輪と足輪を発射し、ヴィランたちを完璧に拘束。

 

 ん、おわり。とカンカン腕を払う。時間にして1分かからないくらいかなあ?いわゆる戦闘経験豊富なスーパーヴィランの類じゃなかったしこんなもんでしょう。お、そっち終わった?ありがとハロ。……ん?なんか静か。あ、そっか。この前のインタビューの授業で教えてもらったんだけど、こういう時終わって安全が確保されたことを示す必要があるんだった。いわゆるスタンディングポーズ、オールマイト先生だったら片手をあげるアレが有名なやつだね。

 

 ガコォン!とゴリアテの大きな拳と私の拳が衝突して大きな音がなる。えーくんとよくやるアレだけど、それで聴衆たちにはわかったみたいで、次第に波が広がるようにわあああああっ!!と歓声が響いた。そして日本とは違うサイレンの音を鳴らしながら登場したアメリカの警察たち。お国柄なのかすでに抜銃してこっちに向けつつも降りてきている。

 

「これは……君がやったのか?「いかにも!彼女が鮮やかに終わらせたんだよ!」」

 

「えっ!?」

 

「す、スターアンドストライプ!?」

 

「私が来るより早かったみたいだねエクスマキナ!完璧な対処だったよ!」

 

 警察の質問に答えたのは、私ではなく別の力強い声。空からだ、降り立ったのは、金髪のオールバック、8本の触覚のような髪、オーソドックスな全身タイツに星条旗柄のマントの女性。ネバダにいると思ってたんだけど、何でこっちにいるんだろう。私の背中をバン!と強くたたいて誉めてくれたのは……

 

(マスター)が紹介してくれただけのことはある!よく聞いてくれみんな!日本から私のサイドキックとして学びに来たエクスマキナさ!よろしく頼むよ!」

 

 アメリカのナンバーワンヒーロー、スターアンドストライプが雄々しくそう伝えると、観衆から私の時とは比べ物にならないほどの歓声が、爆発するように響いた。

 

 

 




 やばいぞやりたいこと詰め込んだら本題に戻れなくなってしもうた。本編合流はいつになるやら...

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

  • 必用
  • 本編だけにしろ
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