個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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131話

「あの、ね?楪少女。おじさんが寝てたのも悪いと思うんだけど、君は如何せん思い切りが良すぎるよ。治験って自分の体でやるものじゃないからね?」

 

「じゃあ誰がやるんですか。言っておきますけどオールマイト先生はなしですよ。健康体じゃないですから」

 

「ブハッ!?正論だけど言葉のナイフが過ぎないかい!?」

 

「だって多分私がやらなかったらオールマイト先生が自分で試すつもりだったでしょうし。顔に書いてあります。そもそも解毒薬が完成したことを発表できないんですから身内の誰かで試さないといけません。最悪体内でむりやり分解できる私が試すのがベターです」

 

 ベストとは言いませんけど、と私は正座の状態で口を尖らせてオールマイト先生に反論をする。うん、その……自分の体で治験してたらオールマイト先生にめちゃくちゃ怒られちゃった。

 

 まあたしかに、強引だったとおもう。それでもまず、時間が足りない。私とシールド博士、さらにはネット経由でつながったI・アイランドの教授たちの総力を結集してもなお、トリガーボムの全容を解明して解毒防護剤を生成するのに3日かかったんだ。

 

 もちろん驚異的な早さだというのもわかってる。わかってるけど、次のテロがいつ起きるかわからない状況で悠長にのんびりしてられない。オールマイト先生もそれを理解しているからこそ激怒じゃなくてやんわりと言いにくそうな怒り方をしているのだ。

 

「とりあえず、現状体に負担はかからないのがわかりました。改良すれば現行のカクテルやブースト薬の即時解毒もいけそうな出来です。さすがはシールド博士、ノーベル賞ものですよ」

 

「君の力も十分に借りてるさ。ただ、中和剤が作れないのが痛いな。向こうの科学者たちは、おそらくI・アイランドにいる教授たちに並ぶ天才だ」

 

「そもそもトリガーをガス状に散布する技術自体が初見ですからね……これだけでも応用で助かる人山盛りですよ」

 

「まったくだ。それでトシ、今の現状は?」

 

 私もアメリカンに侵食されているのでアメリカ映画っぽく首をすくめて手をやれやれとしながら苦笑するシールド博士に話を振る。誉めたくはないんだけど、トリガーボムは新技術の塊で、いつも私がやってる初見殺しをそのまま返されてる感じなんだよね。

 

 とくにやばいって思うのは、個性因子誘発物質を霧状に散布することなんだけどね?これすごいよ、応用したら傷薬とか消毒薬とかを霧状に散布できるってことだからね?マジで世界変わるよ?怪我人がこの技術で何人救えるか、その技術が傷つける側に使われてることがひどく、やるせない。

 

「現在、ヒューマライズの支部の特定がほぼ完了した段階だ。ヒューマライズの支部は全世界合わせて25か所、本部はオセオン。これらを同時多発で拿捕に動くように調整中だ」

 

「アラスカとハワイは支部の支部って感じでしたからね。アメリカは……ワシントンですね。いやですねえ首都だなんて」

 

「他にはフランス、エジプト、シンガポールにマレーシア……そして日本にもだ。世界選抜ヒーローチームを結成し、事に当たることになるだろう。もちろん君もだ楪少女。そしてキャシーもきっと動くことになる」

 

「いつでも行けますよ。アメリカに来てから昼夜問わずどんぱちどんどーん!って感じですからね。核爆弾でもどんとこいです」

 

「HAHAHA!実に頼もしいな雛鳥ちゃんは!だがそれよりも楪少女!君には重要な任務があるぞ!なぁデイヴ!」

 

「トシの言う通りだ。キカイくん、悪いことは言わない。今から言う任務を真面目に、そして正確にこなすんだ」

 

「……なんでしょう?」

 

 私とシールド博士、あとI・アイランドにいる教授たちが完徹の深夜テンションで笑いながら薬品と向き合ってたことを知っているオールマイト先生はいまだに若干ハイな私を見つめながら大真面目な顔で私を見つめる。

 

 ワールドヒーローズミッションというのの正体がヒューマライズの壊滅を狙ったものというのは理解した。アメリカに次ぐヒーロー先進国である日本から各国にヒーローが派遣されるというのもわかった。私も準備しないと。

 

 そう思ってるとなぜかシールド博士までオールマイト先生と一緒に真面目な顔をして私に向き直るものだから、さっき解いた正座をもう一回して、私もしゃんと背筋を伸ばして大真面目な顔を作る。任務とな?私に?いいでしょうしっかりこなしますとも!この二人からということはきっとかなり重要な任務に違いないし!

 

「はい!楪希械あらためエクスマキナ!どんな任務でもばっちこいです!」

 

「「寝なさい」」

 

「……えぅ……」

 

 尊敬する二人に大真面目にすごまれた私は、涙目になりながらシャワールームに引っ込むのだった。ひーん。

 

 

 

 

「え、アメリカにも日本からヒーローが派遣されるんですか?」

 

「そうなるね。トリガーボムはバイオテロかつ薬物汚染だからその筋に詳しいヒーローを選抜した」

 

「そうなんですか……一体どなたに?」

 

「HAHAHA!これから迎えに行くのさ!さあ準備したまえ楪少女!善は急げだよ!」

 

 3時間ほど仮眠をとっておはようございます!とやったらまたどやされて追加で5時間眠らされた楪希械です。翌日になっちゃいました、しょぼりん。ヒューマライズはだんまりでテロも確認されてないから胸をなでおろしたところです。

 

 そういえばスターに会えてないなあと思って連絡を取ろうとしてたらオールマイト先生に捕まって日本からヒーローがくるから迎えに行こうか、と言われたんです。

 

 キャシーからは君はワールドヒーローズミッションに専念するようにと言付かっているよと言われてしまえば、スターに仕事くださいと言えるわけもなく、こっちにも運んできたらしいオールマイト先生の愛車のスポーツカーに乗ってやってきました。

 

 ちなみにこの愛車はオールマイト先生のニューヒーロースーツを試作していてテンションがおかしかった私とメリッサさん、ついでにシールド博士が魔改造をしているとそれに吸い寄せられた明ちゃんと絢爛崎先輩、パワーローダー先生という超豪華メンバーでガワだけは普通だけど中身は別物レベルまで改造したスーパーマシンだったり。やろうと思えば地球一周できるよ!あ、車検は通ります、当たり前ですが。

 

 走ってるのに音が一切しないというシールド博士製走行システムに感心しながら空港への道をすたこらさっさ。ところで誰が来るのですか?と聞いてみたけど来てからのお楽しみさとのこと。えー……?

 

「しかし、楪少女のそんなラフな私服は初めて見るね。よく似合ってるよ」

 

「あ、そうですか?私の服ってだいたい特注なんですけど、アメリカにはあるんですよ私のサイズ。どうせ高い買い物するなら長く着れるいいものをって考えちゃうとどうしてもカジュアルよりフォーマルに寄っちゃってるので……パーカーフードって楽でいいですね」

 

「ああ、少しわかるよ。私もほら、マッスルとトゥルーを行き来しているからいつものスーツとかだとサイズ差が激しくてね。マッスルに合わせるとトゥルーでぶかぶかになるしトゥルーに合わせるとマッスルがはちきれるし、難儀したものだよ」

 

 そうなんですかー、とデクくんも知らないであろうオールマイト先生の日常の話を聞けてなんか得した気分の今、心操くんを見送ったゲート前にて、今度は迎え入れる側で待っています。スターバックスのキャラメルフラペチーノアメリカンサイズをじゅっこーと吸って。

 

 うーん高カロリーの味がする。スリーサイズは胸もお尻も3桁サイズの私だけど、たくさん食べるのはやめられないよね。美味しいもの大好き。あ、飛行機やってきたとアメリカ滞在中で一番平和な時間を過ごせてなんか和むなあ。ヒューマライズの件がなければもっとよかったんだけど。

 

「そういえば心操少年からも聞いたけどアメリカではずいぶんと活躍してるようだね」

 

「活躍、と言っていいのかわかりませんけどテロ組織なら10個くらい潰しましたね。あとブースト薬が山になるくらい押収したり。すごいですよアメリカ、一組織が巡航ミサイル持ってたりするんですもん」

 

「だろう?私もアメリカ時代は気をやったものだよ。日本はAFOがいたものだから、表向き何かをする組織は大体やつがらみだったんだがアメリカはそれがないから無秩序だ。入学時に核爆弾を使った設定。実はあれ実際にあってね。核なんか表向きにできないからなかったことになってるんだが」

 

「あれ実話だったんですか!?」

 

 それって絶対報道規制敷かれてるやつじゃない!?というかこれ聞いていいやつなのかな!?すごいなーオールマイト先生。お話を聞けば聞くほど気になることがたくさん出てくるんだから。さすがは平和の象徴。元なんてつけないよ?その精神性は今も変わってない、私の中でこの人はそういう人物なんだ。

 

「なんだー、まさか迎えに来てくださってるとは。お手を煩わせちゃってすいませんね、オールマイトさん。お、楪さんじゃない。その節はどーも、ね」

 

「お!なんやエクスマキナやないか!死穢八斎會のアレ以来やないかい!烈怒頼雄斗からアメリカ行ったーきいたから会えるとは思ってたんやがな!誰のところに行ったんや?」

 

「ホークス!?それにファットガム!?お久しぶりです!」

 

 そんなことを話していると飛行機のゲートから大きな人影が。羽の大きなホークスと、物理的に大きいファットガムだ。これもしかしてオールマイト先生の人選かな?

 

 的確な人選だなと思わずうなってしまう。まずホークス、空が飛べて非常に個性の作用範囲が広い。広域の探索にうってつけだろう、それでファットガム。彼は死穢八斎會の時にも自分で言っていた通り、ブースト薬関連のドラッグに関しては詳しい。

 

 昔はというか今もゴリゴリの武闘派であるファットガムは昔は警察と連携してそういうドラッグ関連のヴィランを片っ端から潰してたとかなんとか。これはすごい納得の人選だ!ってあれ?ホークスとファットガムが来たってことは……。

 

「希械!?お前なんでここにいんだ!?」

 

「楪!?」

 

「えーくん!常闇くん!」

 

 次にゲートから姿を現したのは元気いっぱいなえーくんと彼と話していた常闇くん。その後ろに鉄哲くんと天喰先輩だった。私はえーくんが見えた瞬間ダッシュして常闇くんごとえーくんに抱き着いて持ち上げる。うわーうわー久しぶりだー!えーくんだ!常闇くんだ!

 

「二人とも久しぶり!もー、寂しくて参ってたところなんだよー!あ、ダークシャドウも元気?色々話そうねー!」

 

「ゲンキダヨ!キカイオヒサー!」

 

「ちょ、楪、やめ……ドギマギする!」

 

「あー、常闇諦めろ。こうなった希械はどうしようもできねえんだよ。おとなしくしとけばすぐ終わるから」

 

 私のハグが気に入らないのか常闇くんはあわてた様子で抵抗を試み、慣れているえーくんは諦めの表情で私にハグし返してくれる。ぴょこっと出てきたダークシャドウに頬を寄せてからもう一度強めに抱きしめて私は二人を開放した。

 

「うん、満足!A組成分充填完了!」

 

「それはよかったなー。しかしまあ、ここでお前に遇えるなんざ思ってなかったぜ。ってお前も作戦参加するのか!?つーかインターン先どこだよ!?」

 

「それはついてからだけど、作戦参加はするみたいだよ!あ、鉄哲くんと天喰先輩もやっときます?」

 

「っ……!いや、俺は遠慮しておく!」

 

「……同じく。どうしてしまったんだ楪さん、君はもう少しおとなしかったはずじゃ……これじゃまるで波動さんだ」

 

「アメリカナイズされましたー。今頃通形先輩もエジプトナイズされてるのでは?」

 

 後ろで唖然としていた鉄哲くんと天喰先輩に両手を広げて誘ってみたら拒否されちゃった。アメリカってボディタッチというかスキンシップの距離が日本より近いもんだから完全に慣れちゃって私抵抗がなくなったんだよね。

 

「はい、再会の感動にうち震えているところ悪いんだけど、早速ワールドヒーローズミッションについて話し合いするから移動しよっか。バス押さえてるからさ、積もる話はそこで」

 

「もうちいと話させてやりたいんのはやまやまなんやけどなあ」

 

「ごめんなさい!そうですよね!はい、トリガーボムについての概要もそのバスでお話しします!シールド博士との分析結果も含めて!」

 

 あっちゃーやりすぎちゃった。オールマイト先生はニコニコしてるだけなんだけどホークスとファットガムに注意されてしまったので私は素直に従い、空港から退去するのだった。




 でたわね(派遣先変更) 今回メインはメカサキュバスと男前幼馴染くんです。異論は認めませんがあるばあは自己生産してください。

 それではまた次回に。感想評価くださると嬉しいです。

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

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