まさか人生でプライベートジェットなるものに乗ることができるとは思いもしなかった。現在私は空の上、トゥルーフォームのオールマイト先生と制服姿のデクくんと一緒に貸し切りの飛行機の中にいます。凄いね№1ヒーローの移動って。オールマイト先生は全盛期身一つで日本を縦断してたらしいけど。
「I・アイランド……楽しみだね。ね、デクくん」
「うん……!最新技術のサポートアイテムにパビリオン……ああ、どこから回ろうかな」
「私は免許が取れてるといいんだけど……」
すぴょ~という感じで眠るオールマイト先生を前にして会話する私たち。平和の象徴の鼻提灯だなんて貴重すぎてよくわかんないかも。夏休みに入る前にデクくんがヴィラン連合の首魁、死柄木弔に遭遇するという事件もあったりしたが、その後は特に何もなく私たちは夏休みを迎えることができている。
私は結局自分の分のチケットをえーくんに譲ってえーくんは爆豪くんを誘って二人でI・アイランドに行くことになったみたい。私と一緒じゃないのは残念って言ってた。あとみんな割とI・アイランドで行われるエキスポが気になっていたみたいで、女子のみんなは百ちゃんの同伴者になるべくじゃんけん大会を催していた。向こうで会う予定だし、一週間楽しんじゃうぞ~。
デクくんもワクワクを隠せないようで眼下に見えだしたI・アイランドに夢中だ。窓にほっぺをくっつけて瞳をきらきらと輝かせている。何となく、幼く見えて少し笑いが漏れちゃう。ぎゅっと握られた付箋だらけのエキスポのガイドブックがそれを助長してる気がするよ。
「オールマイト、オールマイト、見えてきましたよ!」
「ん?おお……もうそんな時間かい?」
「はい、もうすぐ着陸態勢に入るみたいですよ?」
「む、では二人とも、着替えなさいな。学校に申請してヒーローコス、持ってきてるんだろう?」
ムキ、と一瞬でマッスルフォームになったオールマイト先生が、スーツの胸元を開くと中には彼のヒーロースーツが輝いていた。プロヒーローは私服の下にいつでも出動できるようにヒーロースーツを着ていることが多いという話を聞いたけどオールマイト先生も例に漏れずなんだ。私は自分の席に引っ込むと、カーテンを閉じてそのまま着替える。更衣室なんて無いからね、ここは我慢。まさか峰田くんじゃあるまいしデクくんが覗きなんてあり得ないから安心。オールマイト先生は言わずもがな。
バッグの中に綺麗に畳んだ制服と下着を入れて、チェック!うん、大丈夫!左目出して、はい完成!シャッとカーテンを開けるとデクくんも既にヒーロースーツに着替えてるようだ。なんか別の意味でドギマギした顔してない?大丈夫?動悸が酷いならついたら病院に行った方が……え?違う?ふーん……?
なんだか慌ててるデクくん、顔が真っ赤だから心配して覗き込んでみると凄い勢いで顔を逸らされた。なんかショック……。緩やかに着地する飛行機の中で私は、すこし頬を膨らませるのであった。
『只今より入国審査を開始します』
「国じゃないのに入国なんだ」
「細かいね楪少女……さてここでクエスチョンだ!この人工島が作られた理由は?」
「はいっ!世界中の才能を集めて個性の研究や新技術の開発を行うためです。移動できるように作られてるのは研究者たちや研究成果をヴィランから守るためで……」
「そのおかげで今まで一度もヴィラン犯罪が起こったことがないっていう稀有な地域ですよね。しかも警備システムはあのタルタロス並み……」
「うーん流石二人とも詳しいね!先生の出番がないぞ!HA-HA-HA!」
動く歩道の横に私たちのパーソナルデータが表示されて入国審査が開始される。この島ってどの国にも属してないことが売りなのに入国審査とはこれいかに。あ、ちゃんと3サイズは隠してある、体重も。ちょっとした気配りが嬉しいなあ、もしくは知られて問題になっちゃったりとかあったのかなあ?
オールマイト先生のクイズにデクくんと二人でI・アイランドのことを解説していくとオールマイト先生はいつかの授業の時のように全部言われた!という顔をしつつもサムズアップを返してくれる。まあ、I・アイランドについては前々から行きたい行きたいと思っていたので入念に、隅々まで、会ってみたい科学者の人に至るまで調べてあるのです。1テラバイトくらいの容量はあるぞ。
ゲートの前で動く歩道が止まる。けどすぐに入国審査が終了して私たちが入国する許可が下りた。エキスポを宣伝する人工音声に見送られてゲートをくぐると、物凄く心が躍る光景が広がっていた。
あらゆるところに空中に投影された画面が浮かび、巨大なパビリオンがいくつもある。遠目で見るだけでも最先端の科学がふんだんに使われてるのがよく分かった。そして個性を使ったと思わしきパビリオンもここから見えるだけでいくつもある。凄いなあ。そして、そこにいる一般来場者の人たちの笑顔!はじけるような笑顔が沢山あって私まで楽しくなってきちゃう。
「一般公開前ですよね、プレオープンなのにお客さん沢山いますねえ。あ!あれもしかして反重力発生装置!?」
「ここまで客を入れるとは、アイランド側の本気が垣間見えるな!とりあえずホテルに行って荷物置こうか!」
「あ、地図は頭に入ってるのでご案内しますよ」
「楪さん、この島かなり広いけど地図覚えてるんだ」
覚えてますとも、メカですから!というかオールマイト先生は目立つうえに超人気なので早いとこ移動しないと人だかりができて大変めんどくさ……もとい、時間を消費してしまうので急いで移動するべきなんだ。マッスルフォームを維持できる時間制限もあることだからね。
「I・アイランドにようこそ~……え!?オールマイト!?」
「あ、バレましたね」
「オールマイト!?」
「№1ヒーローの!?」
「うわあああ!?」
「あ、デクくん危ないよ~」
移動する前にバレちゃったらどうしようもないよね。あっという間に人だかりがオールマイト先生を覆って、私はともかくデクくんはその流れに押し負けて流されてどっかに行きそうになってるのでとりあえず私が引き寄せて確保した。ファンサービスに厚いオールマイト先生のことだからしばらく動けないだろうなあ。テレビカメラまであるよデクくん。流石はI・アイランド!
「オールマイト先生本人の方がどのパビリオンよりも人気だね」
「流石はオールマイト!……あの、楪さん、ち、ちかいぃ……」
「ああ、ごめんね。流されないように気を付けてね~」
オールマイト先生に集まる民衆に流されないように密着状態だったデクくんの文句を受けて彼を解放する、んだけど民衆の密着具合のおかげで全く離れられない。凄いなオールマイト先生、それでいてファンサービスを欠かさないその様子は正しく平和の象徴。感心するばかり、と私は女性たちからキスの雨を降らされている彼を少し気の毒に思うのだった。サインかー、そういえば貰ってなかったし、今度お願いしてみようかな~。
「あそこまで足止めされるとは……いやはや約束に間に合わなくなってしまうところだったよ」
「約束?どなたかと待ち合わせしているのですか?」
「そうとも!招待状を送ってくれた人でね!私の親友の娘なのさ!親友にサプライズをしたいらしい!可愛らしいお願いを叶えるのもヒーローの務め!」
「オールマイトの親友の娘さん……」
顔中にキスマークを付けたオールマイト先生といろんな民衆の方々を振り切って少し、どこから出したのかハンカチで真っ赤なルージュの跡をふき取るオールマイト先生が実は待ち合わせをしているということを教えてくれる。それだったら猶更ファンサを早く切り上げて用事があるといえばいいのになあ。そうしないから人気なんだろうけど。
「ああ、そうだ二人とも。ワンフォーオールについてはここでも他言無用だ。親友にも話していない話だからね、彼らを巻き込むわけにはいかない」
「は、はい!」
「わかりました」
指を立てて個性のことを小声で話すオールマイト先生の念押しに素直に頷くことにする。そう考えると無理やり押し掛けた私のなんと迷惑なことよ……立派なヒーローになって恩返ししないとね!と気合を入れなおしていると、遠くから物凄くジャンプする何かに乗った人影が近づいてくる。ホッピング?にしてはえらい近未来的な……使われてる技術は最新鋭だ、すごいなあれ。もしかしてあれもエキスポの何かなのかなあ?
「マイトおじさま~~!」
「OH!メリッサ!久しぶりだね!」
うわ、待ち人来るだ。満面の笑顔でやってきたのはオールマイト先生の言う通り女の子、多分アメリカの人で金髪、眼鏡をかけてて青い瞳。親近感湧いちゃう。そして百ちゃんなみにプロポーションがいい、峰田くんがいたら涎を垂らす……彼は女の人なら何でもいいんだっけ。ゆりかごから棺桶までというとんでもない事を言ってたような気がする。メモリから消しとこ。
○○少年、少女と呼ばずにオールマイト先生が呼び捨てにしたってことはかなり親しい間柄と見た。ホッピングから飛び降りた少女はオールマイト先生に空中からハグを決めて、オールマイト先生は彼女を軽々と抱き留めて、ゆっくりと地面に降ろしてあげる。うーん、私たち場違いだねデクくん、あ。また固まってるや。
「見違えたね!すっかり大人の女性だ。今日は招待ありがとう!」
「17歳になりましたもの。昔と違って重いでしょ?マイトおじさまはお元気そうでよかった~!パパは研究室で缶詰してるの。きっと会いたいと思うわ」
「デイヴも相変わらずのようだね!ああそうだ二人とも、彼女が待ち合わせの相手で、私の大親友の娘だ!」
「メリッサ・シールドです。はじめまして。メリッサって呼んでね!」
なんとなーく所在なさげだった私が明後日のパビリオンを見ていると急にオールマイト先生に話を向けられてグキリと急いで彼女に顔を向ける。とてつもなく人懐っこそうな笑顔を浮かべてデクくんに手を差し出して握手した彼女が、私にも手を差し出してくれる。冷たい手でごめんなさい、とおもいつつ力加減を謝らないように握手。うーん、えーくんと同じタイプな感じがするなあ。つまり、コミュ力高そう。
「み、緑谷出久です!雄英高校ヒーロー科1年A組に所属してます!」
「同じく雄英高校ヒーロー科の楪希械っていいます。オールマイト先生の同伴者です、お招きしてもらってありがとうございます」
「まあ!ってことはマイトおじさまの……!」
「未来のヒーロー候補たちさ!」
「すごいわ!マイトおじさまが連れてくるってことは将来有望なのね!ミドリヤくん、でいいかな?個性ってどんなの?」
「あ、デクって呼んでください、個性は……パワー系、です」
おーいデクくん、そこ躊躇ったら怪しいぞ~。もう言ってるじゃん個性に関してはノータイムで答えないと怪しいって。メリッサさんは流石科学の街の女の子らしく、デクくんのヒーロースーツを周りをぐるぐると回りながら見聞しだした。むむ、まさか彼女私や発目さんと同じ
「カッコいいけどオーソドックスなデザインね……補助的なアイテムも見当たらないし……あ、改良したほうがいいかも」
デクくんのスーツを摘まんだり引っ張ったりしながら呟いているメリッサさん、うわあ、外国の人っぽい距離の近さだなあ。デクくんのヒーロースーツは確かにサポートアイテムがない。というのも力こそパワーな増強系はそういうのあんまり必要ないし、デクくんも頼まなかったみたい。顔がリンゴみたいなデクくんを観察し終えたメリッサさんは、今度は私の方へ。私も?
「すっごい大胆なデザイン……!デクくんと違ってこっちはサポートアイテムゴテゴテね。見たこともないサポートアイテム……!どんな個性でこれを活かすのかしら……!?」
あ、メリッサさん私の手足の事サポートアイテムだと思ってるのかな?まあ、そうだよねえ。機械を出せる個性って希少らしいし、私は自分以外に個性として体が機械だっていうひと両親以外知らないからそういう風に見えちゃうのかも。あと確信した。メリッサさん完全に私たち側の人間だ。仲良くなれそう……。
「私の個性は異形型なんです。だから、手と足は私の体、ほらこんな感じ」
「えっ!?すごいわ!創造系と異形型のいいとこどり!もしかして貴方……私たち側?」
カチャカチャと音を立てて私の右手が変形して戦闘形態をとって、元に戻る。それを見た途端にメリッサさんのテンションは振り切れて私の左手を取ってぶんぶんと握手をしてくれる。わあ、やっぱり同じタイプの人だった!嬉しいな~えーくんも三奈ちゃんも科学のお話についていけないから同年代で深いところまで語り合えるの発目さん以外にもいてうれしい!
「あっ!思い出したわ!ユズリハさん、だったよね!?アカデミーに雄英から送られてきた反重力で浮くバイク!貴方の作品!?」
「そうだよ!ホバーバイク!陸と空で運用を考えてるバイクで、耐荷重は1トン弱!武装は10ミリ口径機関砲、マルチパーパス仕様!送るの色々考えてたんだけど、あれが一番驚いてもらえるかなって!」
「やっぱり!教授が手放しに褒めてる所なんてなかなかないもの!皆嫉妬しちゃったわ!反重力装置をあそこまで小型化して並列に稼働させるなんて!是非是非色々聞かせて欲しいわ!」
「あー、メリッサ?楪少女?」
「「はっ!?」」
両手を取り合って科学について語ってた私とメリッサさんはオールマイト先生の声で正気を取り戻すのだった
楪ちゃん、メリッサと会う。彼女の存在はめちゃくちゃ大事です。映画だけではなく本筋的に重要キャラになる予定?具体的にいうとデクくん強化的な意味で
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