個性「メ化」   作:カフェイン中毒

41 / 138
41話

 「ごめんなさい、おじさま……私つい夢中になっちゃって……」

 

 「すいません……」

 

 しまった、あまりにもメリッサさんと技術者として波長が同じすぎて話がかみ合いまくってしまった。発目さんの場合、割とゴテゴテしてロマンとかそういうものを重視しているんだけど私の場合、最新技術をぎっちぎちに詰め込んで尚且つ省スペース化とかそういうたぐいの方向性なので若干発目さんとはずれてるんだ。で、メリッサさんは私と同じ方向、最新技術が好きなタイプだと思う。絶対メルアド交換しようと今決意した。

 

 「早くパパを喜ばせてあげなくちゃ。案内するね、マイトおじさま」

 

 「……!超圧縮技術……!」

 

 「知ってるの!?あとでゆっくりお話しましょ!夜のパーティーの時とか!」

 

 「うん!是非!」

 

 傍らで自立していたホッピングにメリッサさんが手をやると見る見るうちにホッピングは小さなひも状の物体になってメリッサさんのポケットの中に納まってしまった。知っている、これが本家本元の超圧縮技術!私が概論だけじゃ答えにたどり着けなかった最新中の最新の技術の一つ!それを目の当たりにしてしまって私の中の熱が高まる。ああ、色々話してみたいけどがまん!1週間もいれば話す機会は沢山作れるから!

 

 そしてやってきたのはI・アイランドの中枢に位置するセントラルタワーと呼ばれる施設。文字通りの中央、ここにI・アイランドの警備システムやら何やらの全てが詰め込まれているらしい。普通なら多分入れない場所だ。見るからにハイテク!分厚い気密扉のエレベーター!自動で動く警備ロボット!うーん素晴らしい!住んじゃいたいくらい!発目さんも来れればよかったんだけどなあ……模試の結果がね、あとパワーローダー先生が「帰ってこなさそうだから」という理由で……。

 

 そしてその上層階にやってきた私たちに、メリッサさんはしー、と口に指を一本立てて目の前のドアをくぐる。

 

 「パパ、研究がひと段落したお祝いに、パパのだーい好きな人に招待状送ったの!」

 

 「私がぁぁ!再会の感動に震えながら来た!!」

 

 「トシ……!?オールマイト!?」

 

 「ほ、本物ですか!?」

 

 「当然本物だとも!わざわざ会いに来たんだぜデイヴ!」

 

 部屋の中にいるのは初老で小太りの男の人と、シールドの姓で何となく察してはいたけどやっぱり、個性研究の第一人者にしてノーベル賞を受賞した天才博士、デヴィッド・シールド博士!ほ、本物だ!どうしよう、サインとかしてくれるかな?この際腕でいいから!後で装甲板剥がして飾るから!技術オタクとしては彼の特許についてはお世話になりっぱなしなんだよね!このスーツの再生機能の大本の技術は彼の特許だから!感動だなあ!

 

 旧交を暖めていた二人が、こつんと拳をあてる。私もかなり興奮しているけど、それ以上に興奮しているのはデクくんだ。彼は勢いそのままにデヴィット博士に詰め寄ると彼の功績を並べ立て始める。個性研究のトップランナーであり、オールマイト先生のヤングエイジ、ブロンズエイジ、シルバーエイジ、ゴールデンエイジ……つまりすべてのヒーロースーツを作っている人。余りの勢いにシールド博士は少し引いていたけどただのファンだっていうのが分かってからから笑ってくれてる。よし!わたしも!

 

 「は、初めましてシールド博士!雄英高校ヒーロー科の楪希械です!ご功績はかねがね……その、ファンです。特にこの前の個性数値に関する論文には感銘を受けて……」

 

 「ああ、ありがとう。楪希械……もしかして国際免許の子か!オールマイトの名前で推薦されていた……。いや、あのバイクは一学生が作ったなんて考えられなかったよ!特にエネルギーの循環!反重力の慣性制御の技術、素晴らしかった!間違いなく免許は発行されると思っていい!全くヒーロー志望じゃなければすぐに研究室にスカウトしたかったくらいだ!」

 

 「そんな、私なんてまだまだで……詰まってる技術が沢山あるくらいなんです。このエキスポ中にヒントを見つけられたらなと思ってるくらいで……」

 

 「そうか、ここには1週間いるんだったね?機械系の個性は珍しいからアカデミーの教授たちも興味津々だったよ。私も君とディベートをしたい。良ければ時間を取ろう、話させてくれ。メリッサも参加するといい」

 

 「こ、光栄です!よろしくお願いしますっ!」

 

 「ええ、私も話したい事沢山あるもの!ありがとう、パパ!」

 

 わ、わ~~~~!!!なんてこと!?あのデヴィット・シールド博士とディベート!?夢じゃないよね!?仮に夢だったら私暫く寝込むよ!?ああ、何聞こうかなあ!は、私も聞かれるのか!ええ、プロというか科学界のオールマイトみたいな人から質問とかとちって変なこと言っちゃいそう!ああ、でも超圧縮技術については聞かないと!あとはエネルギー効率の話と熱放出技術についても!忙しいぞー!楽しみ!

 

 「追って連絡させてもらうよ。私の連絡先だ、登録しておいてほしい。ああ、でも先にオールマイトと積もる話をさせてもらえないだろうか。何せ久しぶりの再会なんだ」

 

 「は、はい!もちろんです!ね、デクくん!」

 

 「え!?はい!当然ですよね!」

 

 「ありがとう、メリッサ。二人にエキスポを案内してあげなさい。きっとお前のためにもなる」

 

 「勿論よ!むしろさせて欲しいっていつ言おうか迷ってたもの!」

 

 シールド博士の連絡先!なんて恐れ多いものを……!すぐ登録して返送メールを送っておこう。こういう時私の個性は便利だね。何となく話題を逸らされたような気がしたけど……もしかしてシールド博士はオールマイト先生の後遺症の事を知ってるのかな?でもメリッサさんの様子を見るに彼女は知らないんだ。そういえばオールマイト先生がマッスルフォームを維持して1時間は経ってるし……そうか。気を使ってるんだ。じゃあそれを察さないようにするのも役目だよね。

 

 咳払いに見せかけた咳き込みをするオールマイト先生が心配だけど、シールド博士を信頼して私たちはお暇することにしよう。オールマイト先生、休めるといいのだけど……。

 

 

 

 「すごいねー、ここが人工の島だなんて思えないや!」

 

 「大都市にある施設は一通りそろってるわ、旅行だけはできないけどね」

 

 「守秘義務があるっていうもんね。情報漏洩は怖いから、それを防いで科学者を守るために、でしたっけ」

 

 「そういうことか……あぁっ!?カイジュウヒーロー・ゴジロ!?」

 

 「わ、ホントだ。流石デクくん、すぐ名前が出てくるね。本物が都市部にいるなんてなかなかレアショットじゃないかな?」

 

 デクくんが大興奮で指さしたのは岩のような巨体をのっしのっしと動かすヒーロー、噴火などの大規模自然災害で活躍するヒーロー、ゴジロだ。端的に言えば私の倍は大きい巨体、都市部じゃ二次災害を誘発するということでめったなことでは見ることができないレアヒーローでもある。気づけば周りには日本だけじゃなく各国で活躍する外国のヒーローがファンサービスに励んでいた。私は知らない顔の方が多いけどデクくんはすべて頭に入っているようでアレは誰、これは誰と私たちに解説してくれる。うーん、テーマパークに来た小学生よりテンション上がってるね。

 

 「デクくんはヒーローが大好きなんだね。夜には関係者を集めたパーティーがあるから、その時にもたくさん会えるよ」

 

 「なるほど、正装が必要だっていうのはそういうことだったんだね。スーツのデクくんかあ……期待していい?」

 

 「え、その期待されても困るというか何というか……」

 

 「いやデクくんの私服ってこう……反応に困ってさ。Tシャツって書かれたTシャツとか、いわゆるダサTっていうジャンルっていうのを私は初めて人が着てるのをみたんだよ~。そのデクくんが正装だよ?気になるよ~。大丈夫!私もちゃんとドレス着るから!あんまり私の方は見栄えは良くないけどね、大きいから」

 

 「あはは、それは夜のお楽しみね!ほら、こっち!最新アイテムの展示場があるわ!」

 

 メリッサさんの言葉に私とデクくんの目がギラリと光り輝く。最新のアイテム?見に行かない選択肢はないよねデクくん?うん、同じ考えみたいで安心した。メリッサさんに先導されてやってきたのは最新のサポートアイテムを展示している場所!すっご、滅茶苦茶参考になる!メリッサさんが指し示したのは飛行機型のビークル、なんと陸海空すべてに対応するスーパーマシンらしい。水中まで対応とは恐れ入る。私だけだったら個別に作った方が確実だけど同行者がいるならこういうアイテムは全然ありだ。

 

 「この潜水スーツは深海7000mまでの水圧に耐えられるの!そしてこっちが36種類のセンサーが内蔵されてるゴーグル!」

 

 「深い!見えすぎる!」

 

 「あ、これアクアビット製なんだ。そっちのビークルはアナハイム……職場体験に行けばよかったか……!」

 

 「実は、このアイテムのほとんどはパパが発明した特許を元に作られてるのよ」

 

 「お父さんの事、尊敬してるんですね」

 

 「勿論、パパみたいな科学者になることが私の夢なの」

 

 あのアイテムはこれ、このアイテムはこの特許と説明してくれるメリッサさんはお父さんであるシールド博士のことをかなり尊敬している様子だ。きっとそれは、デクくんのオールマイト先生のような存在が彼女にとってのシールド博士だからだろうか。特許、特許かぁ……パワーローダー先生にどやされて私もいくつか特許出願をせざるを得なかったんだけど、シールド博士の持つそれは私なんかミジンコみたいなものだと思う。世界中のヒーローが彼の発明の恩恵をどこかで受けている、それほどの科学者なのだから。

 

 「メリッサさんは、ここのアカデミーに?」

 

 「うん、そうなの。3年生よ」

 

 「すごいですよね!I・アイランドのアカデミーと言えば全世界の技術屋の卵や科学者志望からすれば夢の学校ですよ!」

 

 「私なんてまだまだ……」

 

 デクくんの素直な賞賛を受けてメリッサさんは顔を赤らめて謙遜をしている。でも、すごいと思うよ。アカデミーはいうなれば世界版雄英高校だ。しかも技術者養成高校だけあってその偏差値は雄英高校よりお高い。難関中の難関であり才能がなければ入れない、優秀な人材の蟲毒とすら言われている。そこに所属し3年生に上がっている時点で彼女は将来が成功するといわれているようなものなんだ。

 

 ん?ん~~~~……私は2歩、3歩と下がってメリッサさんを褒め続けるデクくんと照れくさそうなメリッサさんを少し離れて見る。手でパースを作って収めてみると、意外とお似合いかもしれないね?三奈ちゃんじゃないけど恋バナは割と好きな方だし、これは面白い並び……にやにや。ん?この足音は

 

 「楽しそうやね、デクくん」

 

 「う、麗日さん!?どうしてここに?」

 

 「……楽しそうやね」

 

 わー、お茶子ちゃんだ。こっちに来ているのは当然知っていたけどこうやって連絡せずに会えるとは思わなかったよ~。あとこれが修羅場ってやつ?お茶子ちゃんデクくんが好きだったり?なーんかいつも通りうららかでいるようでいて笑顔が平たんなんだよお茶子ちゃん、ちょっと怖い。

 

 「とても楽しそうでしたわ、緑谷さん。希械さんもごきげんよう」

 

 「緑谷、聞いちゃった。希械、ついたんなら連絡頂戴よ」

 

 「ごめんね~。まだホテルにも行ってないの~」

 

 「そうなん?希械ちゃんはデクくんと一緒だったんやねえ」

 

 「あはは、たまたま飛行機が一緒だったの。ね?デクくん」

 

 「うん!そそそそ、そうなんだ!」

 

 「え、でもマイトおじさまと……?」

 

 荷物自体はメリッサさんが呼んでくれたロボットに部屋に置いておくように頼めたんだけどホテル自体にはまだ行ってない。あとオールマイト先生と一緒、というとなんだか面倒そうだし、公私の私の部分でオールマイト先生と関係があると思われちゃったらデクくんの師弟関係に支障が出ちゃうのでメリッサさんだけに見えるように、私が彼女の前に出てオールマイト先生のことは秘密という文字を背中に投影して教える。メリッサさんが思い至ることがあったのか背中に指文字でオッケーと書いてくれて一安心。

 

 「お友達かしら?」

 

 「そうなんです。私とデクくんのクラスメイトで、麗日お茶子ちゃん、八百万百ちゃん、耳郎響香ちゃんです。姿を見ればわかるけどみんなヒーロー科なんですよ!」

 

 「よろしくお願いいたしますわ。八百万百です」

 

 「麗日お茶子です。よろしくお願いします」

 

 「耳郎響香っていいますよろしくお願いします」

 

 「まあ、そうなの!私、メリッサ・シールドよ!みんな二人のお友達なのね、良かったらカフェでお茶しませんか?」

 

 メリッサさんの提案に、私たちは1も2もなく頷くのだった。




 やったねデクくん、ハーレムだ!(峰田くんが見たら憤死しそう)
 デヴィット博士にも会えて良かったね楪ちゃん。一応ですけどちょっと原作改変しますのでお許しください

 では感想評価よろしくお願いします

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

  • 必用
  • 本編だけにしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。