個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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夏合宿編
48話


 「あれぇ!?A組赤点いるの!?補習の人がいるの!?A組はB組よりずっとずっと優秀なはずなのにおかしかぺっ!?」

 

 「ごめんな~。あとお前も補習組だろ、人のこと言えない言えない」

 

 色々あって林間合宿当日、荷物を持った私たちは雄英のバスストップに参上した。そこでB組の人たちと体育祭ぶりに一緒になったんだけどどうやら物間くんは私たちが相変わらず気にくわない様子で補習者弄りを展開しようとしてたみたいなんだけど……拳藤さんにいつか見たような感じで首に思いっきり打撃を打ち込まれて失神し、バスの中に吸い込まれていった。

 

 私たちはそれを無言でどうしていいか分からず見送り、何とも言えない空気のままB組と別れてバスの方に向かう。私は体の大きさが大きさなので荷物も大きな傾向にあるんだけど……バスもバスだしちゃんと乗るよね!ボストンバッグ二つ……!1週間分の着替えとかそういうの入れたら重くなっちゃったの。

 

 「A組のバスはこっちだ、席順に並びたまえ!」

 

 「いい天気でよかったね、轟くん!」

 

 「そだな」

 

 「あ、ごめんね飯田くん。私体の大きさ的に普通の席じゃだめなの。席順じゃないけど一番後ろに行かせてもらえないかな?」

 

 「むっ!?そういうことなら当然そうしたほうがいい!みんな!後ろを楪君に譲ってくれ!」

 

 「別に好きなところに好きに座ればいいんじゃね?早い者勝ちでよー!荷物積んだやつから乗り込めー!あ!後ろは座んなよ!」

 

 「「「「おー!!!」」」

 

 上鳴くんの意見にみんな賛同して各々荷物を積み込んでバスの中に行く。私もそれにならって手荷物だけをもってバスの中へ、天井が低いので腰をかがめたり頭を曲げたりして何とか一番後ろにたどり着く。あー、やっと座れたよ。若干座席が余ってるみたいだから私が2席分占領しても大丈夫だよね!

 

 相澤先生の目があるからか無駄な時間をできるだけ作らないようにささっとみんなが乗り込んで緩やかにバスが発車した。ユーチューブで曲を流したりとかしたいらしいみんなの声が聞こえてくる。私は一番後ろなのでみんなの顔は見えないんだけど楽しそうで微笑ましい。まるで小学生の遠足のようだけど皆高校生初めてクラス皆でお泊りする機会なのだから、それはそれは楽しみだったのだろう。ちなみに私の隣、まあ2座席ほど隣は爆豪くん。

 

 一緒の座席でやかましくつるんでられっかとのことだけど、本当に鬱陶しいらしくバスが出発した瞬間から腕を組んで目を閉じて眠るスタンスに入っちゃった。まあ、私も眠るんだけど!というのも実は昨日まで夏休みなのをいいことにI・アイランドの件で実用化に成功してしまったビームについてI・アイランドの教授たちと夜遅くまでテレビ通話で知見を深めてたので眠くてしょうがないんだ。

 

 あと!メリッサさんとも超圧縮技術の技術交流からデクくん用のフルガントレットを改良するためのメール通話、その他やり取り……恐れ多いことにシールド博士も一緒に!なので私は毎日寝不足だけど充実した日々を過ごせてるの……!フルガントレットの強度改良はまだ時間がかかりそうだけど応用技術も開発できた!デクくんへ披露するのが楽しみだな~~。

 

 そんなことを考えつつも眠気が限界になった私はバスのカーテンを閉めて窓にもたれかかるようにして目を閉じる。皆のワイワイした喧噪を子守歌代わりにして、私の意識はまどろみの中に消えていくのだった。

 

 

 「……いちゃん!希械ちゃん!」

 

 「んぅ……んん……?お茶子ちゃん?どうしたの?」

 

 私の聴覚センサーがお茶子ちゃんの声を捕らえたので眠りから覚めるとお茶子ちゃんが前の席から私を呼んでいた。何という輝く笑顔であろうか、とてもうららかで可愛らしい。わざわざ眠っている私を起こす程のことなんだから何か大事な用事があるに違いない、なんだろう?

 

 「今皆でしりとりしてるんよ!次希械ちゃんで『ら』だよ!」

 

 「……しりとり?何で……?私起こす必要あった……?」

 

 「あああごめん楪さん!事情があって!実はね……」

 

 気持ちよく寝てたところを起こされたことに文句を言うつもりはないけどしりとりのためだけに起こされたのかとちょっとしゅんと悲しくなってしまった私に慌てたデクくんが説明してくれたところによると、何でも青山くんがバスの中で鏡を見続けたせいで乗り物酔いを起こしてしまっているのでみんなで気を紛らわす何かをしようとなり、それでしりとりとなったのだとか。なるほど、それで私より先に起こされたであろう爆豪くんの眦が吊り上がって怒ってるのね。ふーん……車酔いか荷物の中に……ん、あった。

 

 「百ちゃーん!ちょっとアイマスク作って青山くんに渡して欲しいの~!」

 

 「ええ、構いませんわ。しかしどうして……」

 

 「青山くん、これ飲んで。酔い止めね。あとこれ付けて、静かな森の環境音と焚火の音が流れてるから。あとはゆっくり休んで、ね?はい、スポーツドリンク」

 

 「……め、メルシィ☆レディー……」

 

 私は酔い止めとスポーツドリンク、それと個性で作ったヘッドフォンを彼に渡す。補助席を使ってる轟くんに私の隣でいいならきていいよ、と変わってもらって青山くんが足を延ばして寝られるように場所を確保する。百ちゃんから回されたアイマスクを付けて、ヘッドフォンをして酔い止めを飲んで寝転ぶ青山くん。多分だけど、気を紛らわそうと騒いだせいで悪化した感じする。善意が空回りした感じがするな~。でも、それはそれで……

 

 「みんな、体調悪い人の周りで騒いじゃいけません。静かに休ませてあげて欲しいの。風邪の時と一緒だよ?こういうのは変に意識するよりもちゃんと休んだ方がいいと思うな。というか誰も酔い止め持ってきてないの……?」

 

 「「「「ごめんなさい………」」」」

 

 「私じゃなくて青山くんが復活したらちゃんとごめんなさいするんだよ?でも、みんなの気持ちは嬉しいはずだからね。皆優しくて素敵だな~」

 

 「……も、勿論だよ。みんなの気持ちは嬉しくてたまらなかったさ☆今は羽根を畳んでバスを降りる頃にはキラめいてる僕に戻るから待っててくれたまえ~☆」

 

 どうして気を紛らわすのにしりとりに発展したかはよくわかんないけど、皆の優しさは青山くんに届いてはいたんだ。ちょっと方向性を間違えちゃっただけで。だから青山くんも律儀に文句も言わず付き合ったし、みんなも爆豪くんすら青山くんを心配してしりとりに参加した。うーん、いいクラスだなあ、私A組大好きだ!

 

 「すげぇな、楪。さっと対処しちまった」

 

 「そんなことないよ?皆と一緒、どうにかしたかったけど手段だけ違ったんだよ。酔い止めが無かったら私もあわててたかもね」

 

 「そうか」

 

 「ん~~目が覚めちゃった!何しようかな~。轟くん何かテーブルゲームする!?」

 

 「……将棋しかできねぇ」

 

 「いいよ!将棋!やろっか!」

 

 私はI・アイランドの技術を応用して作った感触はないけどつまんだりして操作できるホログラムを投影して将棋盤を作り出す。ホログラムの王将を不思議そうに持って、碁盤に置くとちゃんとパチンと駒を置いた音がする。ふふふ、こういうところをこだわってこその楪さんなのです!さあ、行くよ轟くん!勝負だ!

 

 

 

 

 

 「ふ、ふぐうう……轟くん強い……!」

 

 「いや、楪も相当だぞ……!まだ分からねえ……!」

 

 轟くんは結構将棋をやりこんでいるらしくて普通に強い、私の穴熊を振り飛車で崩してくる……!物凄い接戦だ!そして私たちはお互い負けず嫌いなので段々と駒を打つ手が白熱しだして、今となってはみんなが後ろを振り向いて私と轟くんの将棋を見物しだした。私と轟くんの一手がパチンパチンと音を鳴らして繰り広げられる。将棋のルールを知っているらしい障子くんと飯田くんが解説と実況を務めている、楽しそうで何より。

 

 「まだまだ……!」

 

 「ここで攻めるぞ」

 

 きたっ!轟くんの怒涛の攻め!私はここで少しだけ長考をしようと口元に手を当てて思考を整理しようとする。そこでタイミングよくききっとバスが止まり、相澤先生が立ち上がった。

 

 「お前ら、ここで降りるぞ」

 

 「「「「「「ええええ~~~~~~っ!?」」」」」

 

 「なんかあるか」

 

 「「「「「「なんでもないですっ!!!」」」」」

 

 「残念、水入りだね」

 

 「ああ、楽しかった。楪、またやってくれ」

 

 「うん、いいよっ!」

 

 相澤先生が降りるといった瞬間に対局を中断する私と轟くん、上がるブーイングと一瞬で鎮圧される何時もの流れをお約束のように繰り返して、私たちは休憩だというのでバスを降りる。それで外に出ると……あれ?崖に作られた一時待避所じゃないこれ?みんなも同じようでトイレに行きたいらしい峰田くんが絶望的な顔をしていると

 

 「煌めく眼でロックオン!」

 

 「キュートにキャットにスティンガー!」

 

 「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」

 

 「今日からお世話になるヒーロー、プッシーキャッツの皆さんだ」

 

 「知ってます!山岳救助を得意とする4人組ヒーローチーム!キャリアは今年で12年になる大ベテランの……!」

 

 「心は18!」

 

 私でも知っているヒーローチームの二人だ。ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ、デクくんの解説を途中で差し止めたプッシーキャッツの一人、金髪のピクシーボブに肉球が付いたグローブで顔面を握られてるデクくんをよそに茶髪のマンダレイが山の麓を指さして説明するには、合宿所はあそこらしい。早ければ12時半くらいに着く……あれれ?何かおかしくない?

 

 「悪いね諸君。合宿はもう始まってる」

 

 「やべえ!バスに戻れ!」

 

 相澤先生がそう言った瞬間にピクシーボブが地面に手を突くと土石流が発生して私たちを飲み込もうとする。私が咄嗟に個性を発動して壁を生成しようとすると……個性が出ない!?あれっ!?まさか……ああああ!やっぱり!相澤先生が私の個性を消してる!?そんなっ!?

 

 「相澤先生~~!恨みますからね~~~!!!」

 

 「私有地につき個性は自由に使っていいからね!目指せ3時間以内に合宿所到達!頑張ってよ~~!何せここは魔獣の森だからね!」

 

 なすすべもなく土石流に飲み込まれるクラスメイト全員。これがピクシーボブの個性……!土を操ることができる超強個性だ!どうやら空気を含ませて柔らかい状態にした土で私たちを包み込んで優しくおろしてくれたみたいで、私たちは怪我をすることなく地面につくことができた。そして、魔獣の森……?なにそのゲームによく出てきそうな名前は……?あ、個性使える。相澤先生、私が強引にどうにかしようとするのを予期して消したね?凄いなあプロ……

 

 「ドラクエめいた名前の森だな」

 

 「やべえ漏れる!オイラは耐え抜いたぞ……!」

 

 「魔獣っつったってなにが……」

 

 「………………」

 

 「「マジュウだーーーーーー!!!!」」

 

 峰田くんが物陰に走ると、その物陰から土くれでできたような動物……正しく魔獣と言わんばかりの造形のモンスターが現れて、上鳴くんと瀬呂くんが叫んだ。わ、私よりおおきい……!?サイズにしたらゾウとおんなじくらいだよ!?ここで即座に動いたのは動物を声で操ることができる口田くん。

 

 「静まりなさい獣よ、下がるのです」

 

 「効かないっ!?」

 

 「ビームサーベル、形成開始(レディ)!」

 

 口田君の個性が通用しない……ということは生き物じゃない!攻撃して大丈夫な奴だ!私はすぐさま足に力を入れて踏ん張り、魔獣に向かって突撃する。そしてそのまま膝頭から出てきた丸い柄を片手で引き抜いて振るう。柄から伸びた光の剣が魔獣を一刀両断する。そして、私とほぼ同時にデクくんと飯田くん、爆豪くんに轟くんの攻撃が魔獣に当たって魔獣は見るも無残な姿に代わり、土くれになってしまった。

 

 実践投入成功、かな。私は一部真っ赤なマグマになってる魔獣の残骸を見て、ビームサーベルのビームを仕舞う。荷電粒子を斥力フィールドでまとめたビームサーベルの威力は御覧の通り。火力で言えば私のどの装備よりも高い。一撃で全部ぶち壊せるまさに最強ウェポン!私は太ももにサーベルを仕舞うラックを作ってそこにサーベルを仕舞っておく。また使うだろうけど。

 

 「みんな!さっき相澤先生が言った通りだ!もう合宿始まってる!これが最初のプログラム!」

 

 「そういうことか!緑谷君の言う通りだ!ここから合宿所まで全員で進むぞ!」

 

 デクくんと飯田くんの号令に威勢よく返すクラスメイトたち。私も戦闘準備を整える為に個性をフル活用してベルトに小さな小型ボックスが10個ほどついてるものを生み出して腰に巻く。そしてそのあと、木を踏みしめる音を立ててやってくる魔獣たちを油断なく見据えるのだった。

 




 初手で最大火力をぶつけるのは基本。というわけでビーム兵器実戦投入です。バス内のシーンはノベライズからですが、なんで誰も酔い止め持ってなかったんでしょうね。不思議ダナー

 ちなみに描写外でI・アイランドの変態、もとい博士たちとは連絡を取り合って随時アップデートをしています。だからたまにやべー技術が開発されるかもしれません。最近はそこに金持ち天才社長が加わったとか。世も末やな(適当

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