個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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63話

 難しい!エスカッシャンを利用したオールレンジ攻撃をしつつも自身も動きながら攻撃をする、自由に動く……凄い難しいの!そうだね、分かりやすく言うなら今の私はいつもの手足に加えて11個の手を追加した感じだ。ヘカトンケイルで6本腕は経験してたけど宙を自在に動くそれが滅茶苦茶難しい。自分が動かないなら全然余裕なんだけど動きながらだと途端に難しくなる。まるで知恵の輪をいくつも同時に解いてるみたい!脳内で処理する座標情報と刻一刻と変化する相手の状態、エスカッシャンのエネルギー残量を同時に管理しつつ自分も戦闘……プルスウルトラだ!私! 

 

 とりあえず止まった状態での射撃と並行でエスカッシャンを動かしつつ対人用に威力を大幅にダウンさせたビームライフルを使って射撃を繰り返していく。うーん、あたりはするんだけど凄い処理が重い感じがする。急造プログラムだからブラッシュアップがいるね。あ、バグ発見、消去修正。おっ、いい感じ!

 

 「やってるねえ皆!」

 

 「あ、オールマイト先生。御加減どうですか?」

 

 「大丈夫だよ楪少女!さて、私が特に用事はないけど必殺技の訓練を見に来た!」 

 

 体育館γの扉を開けて顔を出したのはオールマイト先生、もはや隠す必要のなくなったトゥルーフォームでの登場だ。ただ、決め台詞である私が来た!の所だけはマッスルフォームに変身して、すぐにトゥルーフォームに戻るという力の入れよう。コツコツと足音を立てながら私の方にやってきたオールマイト先生は私の周りを浮遊するエスカッシャンを見て、片眉をあげる。

 

 「成程楪少女、君の必殺技がそれかい?」

 

 「はい!今回はビーム兵器を搭載していますけど、同じ方式で操作できるミサイルとか、これ自体が武器になったり、盾になったりするものを設計中です!」

 

 「2年前に似た個性のヴィランにあったことがある。そのヴィランは個性の発動中足が止まっていたが楪少女は動きながら使うことを目指すようだね。多対一を強制的に作れるそれは物にすればかなり有効だと思うよ。頑張ってね」

 

 やはりオールフォーワンとの戦いで負った傷は深いみたいで、リカバリーガールの治癒をしてもまだ腕を吊っている状況だ。そして、血反吐を隠さなくなった。今もマッスルフォームの変身の反動で少しばかり口の端から血が垂れている。怖いのでやめて欲しい。ギャグを狙いに行って反動で血反吐とは笑えないから。

 

 「さて、緑谷少年!」

 

 「あ、はい!オールマイト!」

 

 「うむ、迷ってる君に一つアドバイスだ。君は私ではない、まだ私に倣おうとしているぞ」

 

 「え?それは、どういう……?」

 

 「頑張れよ!少年!」

 

 私への激励を終えたオールマイト先生は次に私のお隣で難しい顔をしていたデクくんの元に向かってそうアドバイスをした。私に倣おうとしている……?デクくんの個性はオールマイト先生のものだというのに彼に倣ってはいけないというのはどういうことなのだろうか?エスカッシャンの青い軌跡でスカイツリーを描いたりしながら考える私。そろそろ推進剤とエネルギーが切れるね。回収、っと。大型盾の状態に戻ったエスカッシャンを確認して、次のえーくんの方に行ってしまったオールマイト先生を私は首をかしげて見つめるのであった。ぼーっとしすぎてたのかエクトプラズム先生の蹴りを貰った、突くのは私でも痛いよ先生……

 

 

 「あの……希械さん、少々よろしいでしょうか……?」

 

 「……百ちゃん?どうしたの?」

 

 レアアロイブレード二刀流を振るいながらエスカッシャンを同時に動かしていた私に話しかけてきたのは百ちゃんだ、ちょっと脳みそフル回転状態で頭痛がしていた私はこれ幸いといったん休憩を挟むことにした。シールドに結合させたエスカッシャンを適当なコンクリートに立てかけて、レアアロイブレードをコンクリート塊にぶっ刺して置いておく。

 

 百ちゃん、多分私と系統が似てるから参考にしようと色々聞きに来たのかな?私の場合、ため込んだものを使って物を作るというから多くの元素あるいは物体を出来得る限り毎日取り込んでいるんだけど、百ちゃんは脂肪からあらゆる物質を作り出すことができる。生きている生物は例外だけど、有機物だってお茶の子さいさいだ。凄いよね。ご飯食べればそれが材料になるだなんて。私の場合、取り込むには食べるかもしくは粉砕機で粉砕して吸収するしかないからね、アルバイトや雄英入学後のアレソレでため込みまくってるからあまり意識はしてないかもしれないけど、創造系としては百ちゃんの方がすごいのだ。

 

 「その……私の必殺技はやはり、創造することですので、新しい素材を模索することにしたのです。希械さんならば、何かしらの知見をお持ちではないかと……」

 

 「例えばこれみたいなのかな?」

 

 「ええ、その通りですわ」

 

 百ちゃんの創造後のお片付けのおかげで割と貴重な素材を戴いてる私としては協力したい、というかしなきゃいけないでしょう。日頃のお礼も兼ねて!コンクリート塊に屹立するレアアロイブレードをゴンゴンとノックする私に百ちゃんは頷く。なるほど、レアアロイブレードに使われる超硬質合金か……教えるのはいい、全然いい。特許は出願済みだけど、それをどうするか私の自由だ。それよりも……

 

 「これ、持てそう?」

 

 「えっ?……お、重いですわ……!?」

 

 「だよねえ……」

 

 この超硬質合金の利点にして欠点、重いのだ。比重で言えば金とかよりも重い。イリジウムくらいとまではいかないけど……同物質のサバイバルナイフを百ちゃんに手渡すと私が手を離した瞬間にずしっとした重さにナイフを取りこぼしそうになる。刃引き&鞘付けといてよかった~!

 

 「百ちゃんはどういう必殺技を作りたいとかあるの?例えばその、攻撃技とか、防御技とか……」

 

 「お恥ずかしい話ですが、いまだその段階に行けていませんの……」

 

 「ふむふむ、百ちゃんは肉弾戦には不向きだよね。基本後衛……おっ?おっ?思いついたっ!」

 

 百ちゃんは大型のものを作り出すのに少々時間がかかる。それは私も同じだけど、私の場合は頑丈なので多少邪魔されても無視できないこともない。だけど深い集中力が必要な私たち創造系の個性は邪魔されるのは致命的だ。ならどうするか、邪魔されないようにしてしまえばいい。言うのは簡単だけど行うは難しい、けど……これなら……

 

 「百ちゃん、発想を変えよう。必殺技を決め技にするんじゃなくて、必ず決め技に繋げられる技を作ればいいんだよ!」

 

 「……足止めをする技ということですか?」

 

 「そう!百ちゃんが大砲とか、爆弾とか大きいものを創造する時間を作り出してくれる技、というか技術!例えば、これっ!」

 

 「腕時計に、服のボタン……ですか?」

 

 「そう見えるよね。だけど腕時計の方は付けて、はいっ!」

 

 百ちゃんに腕時計をつけると、腕時計は自律的に超圧縮されていた姿を解放して、リストバンドみたいな形に変わる。文字盤の横、手首側に穴が開いて、手のひらの中央に吸い付くように感圧式のボタンが配置される。百ちゃんはしげしげとそれを観察している。私が彼女の手を取って、手のひらを上にする形でコンクリート塊にその腕時計の穴を向けて、ボタンを強めに押す。すると穴からねばねばした糸のような液体が飛び出しコンクリート塊にくっついてワイヤー状になる。

 

 「これは蜘蛛の糸を参考に作った液なんだ。張力もかなり高いし、何より液体状だからどんな風にも変形する。と言っても液を開発したのは私じゃないけどね。特許出てるから百ちゃんでも使えると思う。腕時計の方は……蜘蛛の網を発射するものだからウェブシューター、かな?」

 

 それともう一つは、と前置きしてボタンをコンクリート塊に投げる。コンクリート塊に引っ付いたボタンは一瞬強力な電流を発した後、断続的に電流を流して、5秒ほどで放電を終えた。ミニミニスタンガンだね、使い捨てだけど。どっちも足止めあるいは無傷制圧に重きを置いたものだ。蜘蛛糸液については救難現場での実地使用の試験中のハズ。ウェブシューターについては私がいまササッと設計をしたものなので粗が多くてとても設計図なんて渡せない。せめて1週間……いや4日は欲しい。自分で使うものなら途中で爆発しようが何とかなるけど人に使わせるものはそうはいかない。

 

 「テイザーディスクについては私が小型化したものだから後で作り方を纏めるね。ウェブの方は……蜘蛛糸液があれば色々できそうじゃない?百ちゃんなら。こっちは3か月前のI・アイランドで行われた学会のレポートに載ってるよ。どう?参考になれたかな?」

 

 「ええ!ええ!希械さんに相談して正解でしたわ!ああ、I・アイランドのレポートはやはり目を通すべきでしたわね……!必ず形にして見せますわ!希械さん!ありがとうございました!」

 

 「よかった~。あとね、これも。私の一押しはEカーボンだよ!軽くて強い装甲なの!」

 

 ついでに私は参考になるだろうかとここ最近私が合成したり、特許が出願された新素材について纏めた紙を百ちゃんに手渡した。私たち創造系個性にとって知識はそのまま力に直結する。科学、技術に極振りされた私よりも、有機物の生成まで可能とする百ちゃんの知識範囲は広いものがあるだろう。私のこれが彼女の力になればいいな。

 

 私の両手を握手する形でお礼を言ってくれた百ちゃんは、気合をあらわにして頑張りますわ!とプリプリしながら去っていった。その先にいるエクトプラズム先生の分身を見る限り今日は個性を伸ばして今日の夜から新素材の選定を始めるんだろう。私も負けてられないね!

 

 

 

 「えーくんはどう?順調?」

 

 「あー、ちょっとなんかな。オールマイトがな、俺の個性なら小細工するよりゴリ押しがいいって言うんだよ。そも俺の個性でゴリ押しって何だって感じでな」

 

 「えーくんの個性のゴリ押し……難しいね。あ、こういうのはどう?ごしょごしょ……」

 

 「ん?おお……なるほどな……男じゃねえか!やってみようぜ!」

 

 「おっけー!おーい砂藤くん!デクくん!ちょっと手伝ってー!」

 

 「え?」

 

 「なんだ?」

 

 「えーっとね、ごしょごしょ……」

 

 オールマイト先生にアドバイスを受けていたえーくんに進捗どうですか、と聞いてみるとえーくんが考えすぎてドツボにはまってる様子だったので、昔えーくんと一緒に考えていた合体技的な奴を今ここで試してみない?と耳打ちして提案、えーくんも一回動いてみるべきかということを考えていたらしくあっさり承諾。

 

 あと何人か人が必要だったので増強系の二人をチョイスし、事情を説明すると砂藤くんは胸をドンと叩いて承諾し、デクくんは驚きながらもやってくれるとのことなので準備を開始。私は合金製の頑強な柱を二本地面に突き刺し、間に引っ張るのも一苦労な超強力ゴムを柱に繋げる、柱を個性を使った状態のデクくんと砂藤くんに支えてもらって、私はゴリアテを着込み、ゴムを限界まで引っ張る。そしてその引っ張られたゴムにセットされるのは、全身をガチガチに硬化させたえーくんだ。

 

 「せーのっ!」

 

 「「「「最強合体兵器!人間パチン虎!」」」」

 

 「アホかよ」

 

 ええい爆豪くんうるさい!なればこの威力を見せてあげよう。声を揃えてシャウトした私たちを鼻で笑う爆豪くん、感心するミッドナイト先生、表情が読めないエクトプラズム先生、無言で分厚いコンクリート塊を5枚作ってくれるセメントス先生に非合理的と顔に書いてある相澤先生。限界の限界、ゴムが切れる寸前まで引っ張った私は、合図とともにゴムを離す。パチンコ、つまりスリングショットだ。弾丸はえーくん。硬いからこそ強いを地で行くえーくんしかできない荒業。

 

 体育館中に響き渡る音で射出されたえーくんはすさまじい速度と威力で瞬く間に5枚のコンクリート塊を貫通して慌ててセメントス先生が出した巨大なコンクリートの山に突っ込んでそれを半壊させた。鼻で笑ってた爆豪くんは、威力のすさまじさを見たせいか笑った顔のままフリーズしてる。ガラガラと音を立てて当然のように無傷のえーくんがこっちに戻ってくる。

 

 「ゴリ押しってこういうことかぁ?」

 

 「僕はその、そういうことじゃないと思うんだけど……」

 

 「俺はすげえと思ったぜ!やっぱ切島かってえわ!攻撃が効かねえってのは強いよなあ」

 

 「相澤先生!今のどうでしたか!?」

 

 「それ、一人じゃやれないだろ」

 

 「「「「あ」」」」

 

 「アホかよ」

 

 相澤先生が頭を搔きながら言った指摘に全く同じ言葉を漏らす私たち4人、そしてそれをまたまた鼻で笑う爆豪くん。でもえーくんには何かヒントをもたらすことができたようで悩んでるには悩んでるんだけど突破口が開けて思考を延々と回してる感じの悩み方に入ったのできっと大丈夫だろう。

 

 「それで、デクくんはどう?」

 

 「やっぱりまだ何も見えてこなくて……オールマイトの言葉が、分からないんだ」

 

 「うぅん、じゃあ一回テクノロジーの面から考えてみない?デザイン会社にフルガントレットとフルグリーヴのことは申請したでしょ?それならコスチューム全体の見直しも兼ねてサポート科、行こ?視点を変えたら何か出てくるかもよ?」

 

 技のビジョンが一向に浮かばず、オールマイト先生の言葉が引っかかってるらしいデクくんに、私はそう提案してみるのだった。




 一回やりたかった人間パチン虎。次回サポート科に行きます。ふふふ、この機に乗じて原作キャラを強化していこう。蜘蛛糸液はあれですね、ケツ十字キラーさんからですね。開発者は別。テイザーディスクはブラックウィドウが使ってるアレです

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