個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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65話

 「なんでみんなサポート科行く前に私にコスチューム変更の相談してくるの?」

 

 「相談しやすくてサポート科並みに詳しいからじゃね?」

 

 「嬉しいんだけどね、上鳴くん。私に丸投げするのはよろしくないんだよ~」

 

 ちゃんと自分で考えなさい、と上鳴くんの顔の前に指を突き付けて注意をする。飯田くんのラジエーターの件とかはともかく、お茶子ちゃんの酔い止めシステムの件とか、響香ちゃんの増幅アンプの件とか、果ては爆豪くんの籠手の改良型の件とか、なぜかクラスのみんなはサポート科じゃなくてとりあえず私に相談を持ち掛けてくる。

 

 嬉しいの、嬉しいんだけど……私が提供できるとしたらちょっとしたサポートアイテムくらいだし、時間の問題で一人に割ける時間は少ない、そんな中途半端な状態じゃ却って失礼だから、私は提案するだけに徹して、ヒーロー活動に直結するような超重要な所だけサポート科と連動して動くことにした。ちょうど上鳴くんがそうだね。

 

 上鳴くんのご要望は戦闘時間の延長、つまりアホになるまでの時間をコスチュームの機能を使って伸ばせないか、あと電気のコントロールの補助があればなお良しとのこと。上鳴くんの個性は「帯電」電気を纏うのであってコントロールするのは難しい。威力の強弱は利くけど、全身から放電するしか攻撃方法がない。今回の必殺技の訓練ではピンポイントで攻撃する方法を模索してるのだとか。

 

 「うーん、こういうのとか?持ってみて放電して?」

 

 「うぇ?うおおおおっ!?すげえええ!?」

 

 「語彙力……」

 

 私が設計を済まして手から精製した彼の二の腕くらいの長さの黒い棒、オレンジの稲妻ラインが入ってるそれをもって放電すると、黒い棒が放電された電気を吸収して、先端から収束した電気を形にした剣を作り出した。圧縮訓練初日に電気の剣に憧れてたって話してたし、ビームサーベルから得た技術を応用して作ってみたけどどうやら気に入ってくれたみたい。

 

 内蔵された超超々大容量バッテリーが放電された時の余剰電気を蓄積し、上鳴くんのショートによるアホ化を防ぐと同時にその余剰電気を使って電気の剣を作り出すメカニズムだ。これでいいなら稟議書自分で作ってサポート科に……え?わかんない?そっかあ……じゃあ頑張ってね。

 

 「ここで梯子外すのかよ!?」

 

 「いや、上鳴くんのコスチュームだからね?ちゃんと自分でどうにかしましょう。今持ってるそれについては私の方で申請進めるけど、引き続き別方面から頑張ろう?ね?」

 

 「うぇ、うぇーい」

 

 「なんもかんも私に丸投げしたら怒っちゃうよ~?」

 

 上鳴くんの課題は強い攻撃をしようとすると周りを巻き込んでしまうことだ。必要なのはピンポイント電気を走らせる方法、それに関しては今みたいに私に全部答えを投げるんじゃなくて自分で動いて主体的に見つけて欲しい。だからちゃんとサポート科に行っていろんな人と話して、考えるべき。上鳴くんはちょっと、おバカというかそういうところがあるから。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで4日経った。私があれこれ頑張っていたオールレンジ攻撃の解決の糸口を完全につかみ、そしてもう一つの必殺技も開発終了段階に近づきつつある。そこかしこでボコンボコンと爆発音がなる中、私はデクくんに声をかけた。ようやく完成したフルガントレットとフルグリーヴの改良品が国の審査を通過したので渡すためなんだけど。

 

 「ん、デクくんコスチュームどう?発目さんのサポーターとアイアンソールの付け心地」

 

 「うん!凄くぴったりくるよ!」

 

 「よかった~。それはフルガントレットとフルグリーヴが壊れた時にデクくんを支えてくれるものだからね。そして!これがお待ちかねのものだよ!」

 

 「審査通ったんだ!腕輪が、4つ?」

 

 「正確には二つはアンクレットだけどね」

 

 デクくんに渡したのは緑色の腕輪二つと黒色の足輪二つのセット。改良型のフルガントレットとフルグリーヴだ。サポーターとアイアンソールのデザインの中に待機状態がはまる場所を組み込んでデザイン的に違和感がないように仕上げてある。付けるようにデクくんに促すとデクくんは腕輪と足輪をつけて、右腕の腕輪にタッチする。すると腕輪と足輪それぞれがガントレットとグリーヴを形成した。

 

 「ん、正常稼働だね。名付けてオーバーガントレットとオーバーグリーヴ!耐久力自体は変わらないんだけど。その腕輪と足輪の中には予備のガントレットとグリーヴが2つ封入してあるんだ!」

 

 「なるほど!!壊れても次の分が出てくるんだ!」

 

 「そういうこと!」

 

 フルガントレットの元々の機構は超圧縮技術で封じたバンテージ状の装甲材を使用者の腕に巻き付けて硬化させるものだ。私はそこで超圧縮技術の限界までバンテージを封入することで壊れても即座に次のバンテージが腕に巻き付くという方法を思いついて、メリッサさんとの協議の末に方向性を決定した。代わりに待機状態が4つに分割されてしまったけど、問題はないはずだ。

 

 ぐっぐっと手を開いたり閉じたりして動きを確かめるデクくん、フルカウルも様になってきたよね、前までは強く集中して意識する必要があったけど、今は息をする様にワンフォーオールを体に纏うことができている。個性の使用に慣れてきたってことなんだろう。うう、こんなに成長して……短い付き合いだけど努力を知っているから私まで嬉しくなってくるよ。

 

 「あ、オールマイト先生だ」

 

 「ほんとだ。また見に来てくれたんだ!」

 

 デクくんにヒアリングを続けていると何時のまに入ってきたのかオールマイト先生がクラスのみんなの近くまで歩いて見に来ていた。私たちの所まではまだ距離があるけど、多分こっちにも来てくれる……そう思ったところでオールマイト先生の上から爆発音がして、コンクリートの塊がいくつか降ってきた。危ない!私とデクくんが同時で動いた。

 

 「ハロ!ビットステイヴ展開!」

 

 『ビットステイヴテンカイ!ビットステイヴテンカイ!』

 

 「スマッシュ!」

 

 デクくんが地を蹴るのと当時に私も足のスラスターでぶっ飛んだ。私の周りに()()()()()()エスカッシャンが追随する。デクくんは空中で態勢を整え、ひときわ大きなコンクリートの塊に向かって蹴りを叩き込んだ。同時に私も手を握りしめる。すると腕を覆うように空間を歪ませるエネルギーが集中し、バリアに変わる。私はそのまま腕を振りぬいてデクくんが届かないコンクリートの塊を粉砕、細かいものはエスカッシャンのビームで防いだ。

 

 「オールマイト、大丈夫ですか?」

 

 「ご無事ですか!?オールマイト先生!」

 

 「ああ、ありがとう。緑谷少年、よく気付いたね」

 

 「はい!」

 

 今のはピンチに気づいてくれてありがとう、ではなくその戦い方に自分で気づいたことをオールマイト先生は褒めたんだろう。デクくんは今までオールマイト先生を参考にして足を止めたパンチを主体にする戦い方をしてきた。だけど、デクくんは時たま足を使った攻撃をすることがあった。彼はそこに発想を得て、戦闘スタイルを二つ作ることにしたらしい。

 

 一つは今までと同じ、足を止めて拳を使う攻撃の繊細さと連打力を売りにしたブロウスタイル、もう一つが今オールマイト先生を助けた足技を主体にし、細かい軌道とスピードを両立するシュートスタイル。デクくんはこのスタイルを使い分けることを必殺技として選んだらしい。

 

 「あの、楪さん!さっきのパンチ、手を何かが覆ってたけど……」

 

 「あ、聞いてくれちゃうの?ふふ、これはピンポイントバリアっていうの。電磁バリアを研究して、今朝やっとたどり着いたんだ!簡単に言えば空間のひずみを利用したバリアなんだけど……細かいことはいいよね!」

 

 「バリア!?それとさっきの声は……」

 

 私がもう一つの必殺技に選んだのは、守る力だった。何せ私はこの機械の体の頑丈さを超える攻撃で何度も不覚を取ってしまった。だから、自分の体を守る技術を開発しようと思って、ずっと開発してた。燃費が非常に悪いんだけど、ビームもレーザーも実弾もあらゆるものから身を守ることができるバリアだ。小規模ながら強力で、体をピンポイントで守れるからピンポイントバリアってわけ!

 

 『ハロ!ハロ!』

 

 「あの、これはいったい……?」

 

 「うん、オールレンジ攻撃の補助をしてくれるAIサポートメカの「ハロ」だよ。私がオールレンジ攻撃をする時に、座標の計算だとかの処理が重い物を代わりにやってくれるの!」

 

 私めがけて緑色の丸っこい物体が地面を撥ねてやってくる。私はそれをキャッチして、デクくんに見せる。動きながらのオールレンジ攻撃、いくら私でも戦闘という一つのミスが命取りになる行為の中でいくつもの複雑に絡み合うタスクが必要なオールレンジ攻撃を自分が戦いながら繰り広げるのは難しかった。だから、処理を代わりにやってくれるものを作ったの!バスケットボール大の大きさのマスコットみたいなカワイイロボット!まあ中身はI・アイランドのイオリア博士が提唱する量子コンピュータを入れた超高性能AIなんだけどね。

 

 バスケットボールくらいの大きさのハロだけど、これは救助とかで人を探したりするときにドローンとして動いてもらうための体なんだ。普段は超圧縮技術でビー玉サイズまで縮小して私のベルトのバックルにはまってもらう感じになると思う。えへへ、我ながらナイスデザインだよ。丸っこくてカァイイな。機能的にはある程度の戦闘力はあるけど前線で戦ってもらうことはない。基本的にはエスカッシャンを始めとするオールレンジ攻撃の補助がこの子のお仕事になる。

 

 オールマイト先生に危ないから近づかないようにと注意する相澤先生、オールマイト先生はその言葉に少し寂しそうにしていた。自分が戦えないということを再認識したからだろうか。大丈夫ですオールマイト先生。貴方が繋いできたものを、今度は私たちが繋ぐ。平和は、途切れさせてはならないものだから。

 

 

 

 

 

 

 「心操くんも必殺技とか作らない?」

 

 「まだ先の話だ。これを手足のように操れるまではな」

 

 「ヒーロー科、そんなところまで……行ってるんですね……」

 

 そんなことがあった訓練後、自由時間になった私は久しぶりに相澤先生が心操くんの訓練を見るという話を相澤先生から聞き出し、半分無理やりついてきた。他人のことを心配する暇があったら自分の必殺技をという相澤先生だけど、私の必殺技は演習場じゃないと使えないので自主練が難しいと屁理屈をこねて心操くんのトレーニングに相乗りする形にしたいと言ったら許可が出た。なので私はハロの補助を受けつつ今エスカッシャンと新兵器であるシールドビットを動かしている。

 

 そして目の前で捕縛布で雁字搦めにされているのが心操くん、彼はどうやら戦闘スタイルを決める際に相澤先生の捕縛布を使うスタイルを選んだらしく、本格的に相澤先生と師弟関係を結んだみたいだ。直接的な戦闘力がない個性の持ち主という共通点もあるし、とても理にかなってると思う。心操くんの戦い方を1から作るよりは他人の模倣から始めて手段を増やしてスタイルを確立する。合理性を尊重する相澤先生らしい判断だ。

 

 「難しい……ですね。まず布をまっすぐ飛ばすのが難しいです。イレイザーみたいに綺麗に飛ばすにはどうしたら……」

 

 「これに関しては反復と練習だ。捕縛布は炭素繊維と金属を織り込んだ特殊武器、通常の布より重くて扱いやすいぞ」

 

 「先端に重りとか付けたらダメなんですか?まっすぐ飛ばす練習で」

 

 「ダメだ、使用感がずれる」

 

 「なるほど、じゃあ相澤先生、30回ほどいろんな投げ方で捕縛布投げてもらえません?私解析して心操くんにデータと動画で提供します!」

 

 「……お前、便利だな。緑谷にもそれやったのか」

 

 自縄自縛状態から抜け出した心操くんが捕縛布の扱いが難しいと相澤先生に相談するが、相澤先生はこれに関しては練習量しかないと返すけどここに私がいるならば、デクくんにもやったようにデジタル的な解析と詳細な動画を録画して提供することができるのです!便利だな、という心操くんに心操くんを助けられるから便利でもいいでしょ、と返す。相澤先生もそれに関しては異論はないのか10mほど距離を取ってから目標の木片に向かって投げ方を変えて捕縛布を投げてくれる。

 

 両目のおかげであらゆるデータを集積することができる。両目とも機械になってしまったおかげか、それとも一回死にかけたからか目の機能が爆発的に上がっていて、最近は日常生活でふとした瞬間に入ってくる情報量が洪水のように増えた。機能を落としてもそれなので早く慣れないとな~。多分今ならオールマイト先生の動きも見れる気がする!

 

 流石は相澤先生、捕縛布は百発百中、かなり無理な態勢でも投げれば木片をつかみ取り、手首のスナップで拘束が解ける。ナニコレ凄い、思えば相澤先生はこのスタイルを学生時代に確立したんだよね、師匠もなく一人で。私たちって滅茶苦茶凄い人に担任の先生やってもらってたんだな~。

 

 「これでいいか」

 

 「はい!心操くん後で動画とか纏めて送るね!」

 

 『オクル!オクル!』

 

 「うん、ありがとう……さっきから気になってたんだけど、その跳ねまわってるの、ナニ?」

 

 「私のサポートメカだよ!戦闘の補助をしてくれるんだ、あとある程度戦えたり、救助活動でドローンになってくれたり、多機能なの!」

 

 「へぇ~、凄いじゃん」

 

 『ウレシイ!ウレシイ!ハロ、シンソウオウエンスル!オウエンスル!』

 

 相澤先生の実演が終わって、私と心操くんは貴重な動画を撮れたことにお礼を言った。デクくんに見せたらお金出しててでも買いそう。ひと段落付いたのを悟ったのかさっきまで静かに転がっていたハロが跳ね回って私たちの所にやってくる。

 

 どうやらハロは心操くんを気に入ったらしい、私と同じで頑張ってる人が好きなのかな?あと爆豪くんのことも好きみたい。私の休憩中に爆豪くんの所に行って跳ね回って応援してたし、爆豪くんがキレる寸前だったから呼び戻したけど。凄いと言われて嬉しそうなハロを胸に抱えて、私は今撮った動画を編集し、解析に回すのだった。あ、そういえば心操くんのサポートアイテムの案聞いてもらわないと!

 




 必殺技その2 ピンポイントバリア、便利な防御技の導入によりさらに強化が加速する!そしてサポートAIのハロ爆誕。ハロのイメージはOOのハロですね、万能型のサポートAIです。中身の技術はヴェーダ(あれほど高性能ではない)

 では感想評価よろしくお願いします。

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