サポート科、それはヒーローを支えるコスチューム、サポートアイテムを開発する技術者を養成する雄英の隠れた屋台骨の学科。私の好きなヒーローである掘削ヒーロー、パワーローダー先生が受け持つ学科である。アルバイトの続行を却下された私であるが内線でどっかに連絡したプレゼントマイク先生といきなりサポート科に行くと言った相澤先生に私は困惑してしまう。
「サポート科に、ですか?でも私サポートアイテムはあまり……」
「行けば分かる、時間は有限だ。いくぞ」
「は、はい!」
あ、これ反省会いけないやつだ。と私は悟る。けど、私の個性の弾切れ問題は滅茶苦茶に重要なのでここは大人しく相澤先生たちについていくことにしよう。談話室の扉を開けた相澤先生とプレゼントマイク先生の後ろについて廊下を歩く。途中で凄いガリガリの金髪でスーツの男の人と校長室近くですれ違ったけど、あんなヒーローの先生いたかな?プレゼントマイク先生が冷や汗だらだらで体調でも悪いのかと思ってしまう。
そうしてサポート科に行くと、なんかすごいことになってる。いやその、爆発跡がいくつかあるのだ。まるで爆豪くんがあたりかまわず個性を使ったみたいになってるけど、爆豪くんはそういうことをむやみやたらにしないと言い切れないのが怖い所だけど多分違うと思う、思いたい。まさか負けたのが悔しくてサポート科で暴れたなんて、ないよね?ないはずだ、さすがに、うん。
「アローパワーローダー!お悩み解決の手段を持ってきたぜ~!」
「くけけ、待ってたよ。初めまして楪希械、僕はパワーローダーだ、よろしくね」
「ゆ、楪希械です!あの、私まだ何も聞いてなくて……」
「ああ、そうなんだ。君ここに来るまでの爆発跡、見たよね?元凶は今もまだ作業中だけど……」
「え、はい!いろんなところが黒焦げで……」
「その元凶が発明した失敗作が、ここにあるんだ。サポートアイテムの場合機能しないようにばらしてから廃棄しないとダメなんだけど、この量ではね……君は大概のものを取り込んで個性の材料にできるとイレイザーヘッドから聞いてるよ」
「えと、つまりこのアイテムたちを私が使っていいということですか?」
教室の中に入ると、山積みになった大小さまざまな機械が置いてあり、そこでガシガシと鉄爪で頭を掻くパワーローダー先生の姿があった。どのアイテムもピッカピカでここ最近に作られたことが分かるがどれも破損しているようだ。だけど見る限り素材は一級品ばかり、私がいつも摂り込んでいるさびた鉄、古びたステンレス、ボロボロになったゴムやショートした跡がある銅線などもうリサイクルできないものとはけた違いにものがいい。
「そうだ。パワーローダーもどうやら倉庫がパンクする前にどうにかしたいと思ってたみたいでな。サポート科の後処理、やってみないか?代替手段がなかったらアルバイトを許可してたが、こっちの方がゴミより物がいいだろう」
「入試の映像と残骸を見せてもらったけど、ごみからあのレールガンを作りだすなんてね、大したものだよ。今からでもサポート科に来る気はないかい?掛け持ちも歓迎するよ」
「私はその、ヒーロー科でいっぱいで……でも、後処理は任せてください!」
「うん、それでいいよ。ただでやらせるのも心苦しいから、欲しい素材があれば言ってくれ。報酬として君に渡そう」
「いいんですか!?それならその、ゴムが余ってたら欲しいです。これからたくさん使うので……」
「ゴム?いったい何に使うんだ?」
「え、と重火器の非致死弾で大量に必要で……金属系は割と沢山貯金が残ってるんですけど今日ゴムをたくさん消費したので」
「ああ、あのガトリングか。演習見せてもらったがお前と切島が今の所一番点数が高いな。そのくらいならすぐだろう」
重火器を使わない、という選択肢もあるにはあるんだけど、そうなると私の場合素手か近接武器に頼ることになる。でも私のパンチもハンマーも銃より明らかに威力があるので本気では人に使えない。そういう意味で銃は私にとって手加減しやすい武器なのだ。ゴム弾なら当たっても大丈夫だし、意図的に外せるし……あと相澤先生にも褒めてもらえてちょっと鼻高々。嬉しいな。中学校の先生は私と話すとき、皆目を逸らしたりして怖がってたけど、雄英の先生はみんな私の顔を見て目を見て話してくれてとても嬉しい。私頑張っちゃうぞ!
「とりあえず今日はこれを処理すればいいんですか?」
「ああ、好きなタイミングでサポート科に来てくれれば都度処理できるようにためておくよ。来るときはイレイザーヘッドか僕に声をかけてくれればいい」
「わかりました。相澤先生、プレゼントマイク先生、パワーローダー先生。ありがとうございます」
「気にするな」
「お悩み解決だなリスナー!」
「くけけ。助かってるのは僕らのほうさ」
「じゃあ、始めますね」
制服のすそを捲り上げて、腰あたりから機械のアームが伸びてくる。それが見る見るうちに変形、拡張して金属粉砕機を作り上げた。シュレッダーのようなそれに私が次々ぽいぽいと失敗作アイテムを放り入れていく、金属が砕けたり拉げたりする不快な騒音が響いてアイテムが粉砕され私の中に入っていく。私は大雑把に金属、非金属、有機物その他に分けた後体内で元素に変えて貯蔵、貯金が増えてうれしいなあ。
「パワーローダー先生、ここなんですけどあーーーっ!私のベイビーに何してるんですか貴方!」
「ひっ!?ベイビー!?何の事ですか!?」
「発目……君の失敗作の後処理をしてもらってるんだからそんなに突っかかるな」
私がホクホク顔で粉砕機を詰まらせる勢いで両手いっぱいに抱えた失敗アイテムを処理していると、パワーローダー先生に用があったらしい女の子の生徒が私がやってる処理を見て悲鳴を上げて私に詰め寄ってきた。びっくりして何の事かと思ったけどベイビー……赤ちゃん、つまりこのアイテムたちの開発者で爆発の元凶は彼女ということなのだろう、うん。なるほど
「発目、作ったはいいが興味をなくして部屋の片隅に放置するなら有効利用したほうがいいだろう。それにその子は君がご執心のレールガンの制作者だ」
「え!あのロボインフェルノを消し飛ばしたレールガンですか!?ってことは貴方がヒーロー科のメカの女の子!聞きたいことが山ほどあるんです今時間ありますかありますよねじゃあ私の工房へあいた!」
「却下だ。すまないな、こいつは発目、入試で合格が決まった途端に雄英に潜り込んで開発ばかりしてる変わり者だ。だが腕は確かな方だから、頼れるときは頼ると良い」
「え、あ、はい……?」
ズガガガガガという粉砕機が奏でるBGMに負けないくらいの大きな声で私に詰め寄る女の子、発目さんの頭を小突いて止めてくれる。うんと、私が言うのも何かあれかもしれないけど変わった子だなあ。でも後片付けしないのはダメだと思うよ、でも個性の産物で庭が埋まったことがある私としては親近感が湧く。お話くらいならしたいかな、なんか分解とかされそうになったら抵抗するけど。このタイプは多分、やるから。
「ああ、そうだ。君が入試で置いていったものはこっちで保管してるよ。ただまあ、興味を抑えられなかったそこのアホとか上級生が分解してしまってるけど……回収するならごめんだけど保管場所に来てね。あれオールマイト先生くらいしか動かせないから」
「あ、いえ置いていってしまったのは私なので……でも回収はさせてもらいます、ご迷惑おかけしました」
「いや、結構みんな勉強になったみたいだよ」
「それとその……発目さん?そのドライバーとレンチはなにかな?私の足をどうするつもり?」
「いえ、中身が気になるので分解しようかと」
「見せてあげるから分解しないで……」
いつの間にか私の足をしげしげとみてる発目さん、やっぱり分解しようとするのね……。しょうがないので外部カバーを開いて内部機構を露出するとなぜかパワーローダー先生もふむふむと私の足の中身を見てる。憧れのヒーローにそんなことをされて一気に恥ずかしくなった私は……相澤先生に目線で助けを求めた。ため息をついて、相澤先生は私を助けてくれるのであった。
「あの!すいません!オールマイトが教師をしているそうなのですが、授業の様子はどうですか!?」
「意外と普通っすよ。でもやっぱり所々で強さとか風格ってやつがにじみ出てるっすね」
「そうなんですか!ではそっちの……でかっ!?」
「あぅ……すいません大きくて」
「ばかお前それ個性差別だぞ!雄英の生徒に何やってんだ!」
「あの、いっていいすか。いやもう行きます、行こうぜ希械」
「あ、うん」
翌日の事、今まで手に入らなかった素材やら貴重な元素やらを補給出来てホクホク……まあいろいろ恥ずかしい思いもしなかったわけではないけど……私は結局反省会には間に合わなかったのである。皆と仲良くなるチャンスが……しょうがないんだけどさ。とにかく私のアルバイト問題は解決、アルバイト先の社長さんにも昨日の内に挨拶してきた。餞別に、となんか色々な先端技術の資料を貰ったけどホントに何者なんだろう……個性の特訓で敷地を使わせてもらった時「後ろにも目を付けるんだ!」という凄いアドバイスをくれた元ヒーロー社長さん……
まあそんなことが昨日あって、すっきり眠った私は元気100倍なわけで。えーくんと一緒に登校していると、雄英の前で張っているマスコミの皆さんにカメラとマイクを向けられてインタビューをされているところなんだ。正確にはえーくんが私を引っ張って雄英の敷地内に入ったところなんだけど。
オールマイト先生が雄英の教師として就任したというビックニュースは当然マスコミにとって格好の特大ネタ。なら生徒だろうと情報は引き出したい、なので登校途中の生徒へ手当たり次第にインタビューを行ってるんだと思う。最初は普通にインタビューを受けてたえーくんだけど、私にマイクを向けた途端若い記者がでかい、と言ったせいで少し機嫌が悪くなったみたい。
私が大きい、大きいって言われるのはしょうがないから諦めてるんだけど、個性への差別って表向きはダメだからいくら思っててもマスコミみたいな人たちがやっちゃだめなんだよね。ツーマンセルの相方らしい中年の記者さんは私に大きいっていった若い記者さんを叱りつけてくれるけど、えーくんは怒っちゃったみたい。事実だから気にしてないんだけどな、おっきいのが私だから。
後ろで雄英バリヤーなる防御機構が発動して地面から障壁がせり立っていくのをしり目に、私たちは教室に入って行くのであった。
「えぇ……すっごい……なにこれ……」
「全く、いくらかかったと思ってるんだか……悪いね楪、昨日の今日で」
「いえ!私がお役に立てるなら!ね、えーくん!」
「ウッス!時間あるしトレーニングにもなりそうだな!緑谷、お前腕大丈夫なのか?」
「うん。すっかり治してもらったよ。ヒーローは本来奉仕活動ってオールマイトも言ってたし、これもヒーロー活動だよね!」
「おし!委員長!号令くれ!」
「任せたまえ!では1-A諸君!これより破損した雄英バリヤーの残骸の撤去作業を行う!各自がれきは楪さんの所へ持っていくんだ!」
授業が終わって夕方、実は日中、お昼ぐらいに少し事件があってマスコミが敷地内に侵入するというアクシデントが発生、一時期パニックになったみたいなんだけど飯田くんの活躍で収めることが出来たみたい。ホームルームで委員長決めを行った後の出来事で、それを見た緑谷くんは自分に決定してた委員長職を飯田くんに譲渡したのだとか。これにて委員長決め問題はめでたしめでたし、で終われたらよかったんだけどねえ……
目の前にあるのは雄英バリヤー、だったもの。扉がまるで崩壊したかのようにバラバラに壊れてしまっている。やったのはマスコミだっていうけど……よくわからない。明日以降も雄英バリヤーがないと困るので突貫作業でパワーローダー先生が直すのだけど、がれきが邪魔だから私に残骸をプレゼントしてくれるのだとか!私はそれにホイホイ乗っかったらあれよあれよとクラスのみんなが集まってがれき撤去のお手伝いをしてくれるっていうの!
昨日は帰った爆豪くんも轟くんもいるし、みんないい人なんだなあ。と私はここ外していいよというパワーローダー先生の指示で持ち前のパワーを活かし、何百キロとある金属塊を引っぺがして粉砕機に入れる作業を始めた。分解できるところは分解してゴミは私の個性いき。警察の捜査も証拠が出なくて迷宮入りだから半分諦めてるみたい。
飯田くんも委員長の初仕事で非常に張り切っている。凄いカクカク動いてる、おお、麗日さんすごい。替えの雄英バリヤーを無重量にして浮かせて持ってきてる!みんなが手伝ってくれるお陰で1-Aとサポート科総出の雄英バリヤー交換作業は日の沈まないうちに終わってしまうのだった。流石に全部はもらえないので扉の金属を延べ棒に変えて後で半分くらいお返ししないとなあ……
分解されなくてよかったね楪さん、というお話でした
ちなみに最後のがれき撤去はヴィランに捜査を諦めたと誤解させるための雄英の罠だったり
感想評価よろしくお願いいたします
映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?
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必用
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本編だけにしろ