個性「メ化」   作:カフェイン中毒

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90話

 「文化祭はちょうど1か月後!時間もないし今日いろいろ決めておきたい!」

 

 「まずは楽曲だね!ノれるやつ!」

 

 「じゃあなるべくみんなが知ってるやつがいいんじゃない!?」

 

 「あと踊れるやつな!」

 

 翌日の事、さっそく文化祭の準備に取り掛かった私たち、文化祭まではエリちゃんの訓練を兼ねて準備が終わるまでは別行動だ。白ハロに加えて私のハロも一緒に派遣しているので大丈夫だろう。万が一があればハロからコールが入るので物理的に飛んでいくべし。それで、今決めているのは響香ちゃん主導の使う音楽のこと。生演奏予定だから楽器経験者が必要だけど、やれる人いるのかなあ。

 

 「となると4つ打ち系だよね。ニューレイヴ系のクラブロック。誰か楽器経験者の人いる?できればベースかドラム」

 

 響香ちゃんの言っていることの半分くらいしか理解できなかった私たちは周りを見渡して誰かいないかとなっているけど、名乗り出る人はいない。かくいう私も、DTMは扱ったことはあるんだけど楽器となると門外漢だ。ほぼホンモノの楽器の音を出すことはできるけど、それは求められてるものじゃないだろうし。 

 

 「いないかぁ……ウチギターメインだからドラムやるにしても初心者に教えながらだと1か月は正直きつい……」

 

 「生音とほぼ同じな打ち込みなら用意できなくもないけど」

 

 「希械さ、アンタなんでもありだね……それは最後の手段かな。今回は生音に意味があるからさ」

 

 「爆豪、お前昔音楽教室行ってたって言ってなかったか?ほら、親に無理やりとかなんとか」

 

 「あ?」

 

 きらーん、と私の目が光る。えーくんとアイコンタクトのち響香ちゃんをお姫様抱っこ、えーくんは爆豪くんを確保し私は響香ちゃんの部屋に走る。響香ちゃんに部屋の鍵を開けてもらって、ドラムセットを共用スペースに運び出した。セットされたドラムセットにえーくんが爆豪くんを座らせ、スティックを握らせる。

 

 「あ?」

 

 完璧なリズムキープ、心地よい音の鳴り方……爆豪くんが叩くドラムは音楽についてあまり知識がない私たちにとってはほぼ完璧なそれに聞こえた。というか普通にカッコいい、さすがは才能マン。響香ちゃんですら完璧というソレを披露したにもかかわらず爆豪くんの顔はすぐれない。バチを見つめて、そのままスネアの上に置いて立ち上がり、部屋に戻ろうとする。慌てた響香ちゃんがいいものになると爆豪くんを説得にかかるけど、彼の顔は芳しくない。

 

 「てめぇらのお題目……他の科のストレス解消だったか?あいつらにとって俺たちはストレスの根源だ。こんな生活に追い込んだヴィランなんだよ!てめぇらヴィランが人を楽しませられると思ってんのか!?アァ!?俺たちだって好きで転がされてるわけじゃねえ!」

 

 「言わんとすることは分からなくもねぇ……けど話し合いに参加してねぇのにあとから文句言うなよ」

 

 「痛って!楪てめぇ何しやがる!」

 

 「言い方。要はこう言いたいんでしょ?『ご機嫌伺ってもいいものにはならないから忖度せず全力をぶつけるべきだろ』って。楽しんでくれるかな?じゃなくて絶対に楽しませてやるっていう本気度が欲しいんでしょ?」

 

 べちこん、と爆豪くんの頭をチョップ、若干いい音が鳴ったあたり爆豪くんの頭は詰まっているらしい。それに両手を爆発させて怒る爆豪くんの言葉を意訳するとだいたいこんな感じかな?主なストレスの発生源は普通科らしいから、彼らに向けたものをという私たちの考えは爆豪くんにとってはヌルいものだった。やるなら自分たちの全力で、校訓そのままじゃないか。

 

 「いいか!なれ合いじゃなくて殴り合いだ!雄英全員!音で殺るぞ!」

 

 「デクくん、翻訳」

 

 「えーと、やってやるから足を引っ張るんじゃねえぞ、かな?」

 

 「クソデクいい度胸だ雄英の前にてめえ殺ったらあ」

 

 とにもかくにもやってくれるらしい爆豪くん。ちょうどいたデクくんに翻訳を頼んでみると完璧な訳をしてくれた。爆豪くんがかつてないほどキレ散らかしてる所を見るにほぼほぼ図星なのだろう。流石は幼馴染、よくお互いのことを知ってるね。見事なアフロヘアーになったデクくんをよそにどんどんと色々決まっていく。

 

 「私、幼少の時からピアノを嗜んでおりましたが……何かお役に立てるでしょうか?」

 

 「わーー!じゃあヤオモモはキーボードだ!」

 

 「シンセ……シンセサイザーってクラブミュージックになくてはならないものなの。ヤオモモ!超助かる!」

 

 「頑張りますわ!」

 

 百ちゃんがキーボードかぁ……グランドピアノが似合いそうだとは思ってた、というか前にお家に遊びに行った時に当然の権利のようにグランドピアノが部屋に鎮座してたからね……弾けるんだろうなあとは思ってた。例によって私は弾けません、音だけなら出せるよ!メカだから!私にできることなんてゲーミングミラーボールくらいだろうなあ。

 

 「ベースは……希械やれるでしょ?」

 

 「え?前教えてもらったっきりだよ?」

 

 「ツインベースやりたくてさぁ……希械スラップ超上手だったからお願い!」

 

 「まあ、そういうことなら……」

 

 寮生活入ってすぐのことだったんだけど、何回かベースを教えてもらったことがある。というのも私がインターネットの動画サイトでベースで曲を演奏している動画を共用スペースで見てたら、響香ちゃんの方から興味あるなら弾いてみない?と誘われて教えてもらったの。何回かやっているうちにまあ弾けるんじゃない?くらいの腕前にはなってると思う。リズムキープは得意だ、何せ機械だからね!そんな感じでじゃあ私はベースでバンド?と決まりかけたところに待ったをかけたのは私の大親友こと三奈ちゃんだ。

 

 「スタァーーップ!希械ちゃんはダンス!これ絶対!あと切島も!」

 

 「俺もか!?」

 

 「当然でしょ!?私についてこれるの今のとこ希械ちゃんと切島だけじゃん!」

 

 「何切島ダンスできんの?」

 

 「出来るっつーか、付き合わされたっつーか」

 

 中学時代、私と三奈ちゃん、えーくんは仲良しトリオとして中学校の中じゃ有名だった。小学校からダンスを続けていた三奈ちゃんの熱いプッシュと指導を受けて、何度かトリオでダンス大会に出たりもした。体を動かすのが好きなえーくんや三奈ちゃんはそれが楽しかったみたいだし、私は目立つからちょっぴり苦手だったんだけど……面白かったのは事実だ。まあつまり何が言いたいかっていうと、踊ろうと思えば踊れます、はい。

 

 「でも私出来れば裏方業務のほうがむいて」

 

 「「それはダメ」」

 

 「私の希望はぁ……?」

 

 裏方でメカを操ってド派手な演出とかやりたいなあって考えてたので裏方やりたいなあと口にだしたら三奈ちゃんどころか響香ちゃんまでダメっていう!なんで!?あのねえ、私大きすぎてダンス隊にはあわないし、チアリーディングのトラウマもあるし、そもそも楽器は初心者なんだから!私を無理に引き込まないでよぉ……。

 

 「えーくぅん……」

 

 「あー希械、俺もあいつら側な。お前裏方よりも表出たほうがいいわ」

 

 「えーくんの裏切りものぉ!!!」

 

 「ああ、希械ちゃんが入学し始めのころに戻ってしもうた」

 

 私の意見と希望が残らず粉砕されてしまった。私は涙目になってえーくんに助けを求めたらえーくんにも裏切られてさらに涙目になり、お茶子ちゃんに泣きついた。え、私の希望は?夢の裏方でみんなを支えながら最新技術でド派手なショーを作ろうと思ってたのに……。

 

 「じゃあ、前半希械ちゃんダンスで、ラスサビでバンド入るとかどう?」

 

 「それいいかも、けど希械の負担大きくない?どっちかに絞った方が……」

 

 「……やれんだろ、このクソメカ女なら」

 

 「かっちゃん、楪さんはエリちゃんのこともあるから……」

 

 「分かんねえのかクソデク。だからだよ。このメカ女が目立ちゃ、あのチビ……笑うかもしれねぇだろ」

 

 デクくんを思う存分爆破して満足したらしい爆豪くんの言葉に、私は目を見開く。エリちゃんが笑うかもしれない……笑顔を作れない彼女に笑顔を戻せるかもしれない。なるほどなるほど……爆豪くんは私を焚きつけるのが上手だね?というか皆そうか、笑えないエリちゃんのことはみんな気にしてるんだから。私が頑張って、それでエリちゃんが楽しんでくれるならやりたい!やる気みなぎってきた!24時間どころか240時間でも戦えるよ!

 

 「私!ダンスとバンド両方やる!」

 

 「おお!やるぞ希械!」

 

 「希械さん、しかし……」

 

 「ヤオモモ、大丈夫!希械ちゃんダンス自体は踊れるし、振付覚えるだけで終われるよ。基礎練習要らないから!」

 

 「ベース自体も弾けるしね。途中でツインベースで盛り上げるの、ロックじゃん?楽譜も覚えるのは半分以下だろうし、行けるんじゃない?」

 

 「決まりだね!」

 

 決まってしまった。ベースにダンスかぁ……頑張らないとね。まぁたしかに、ダンス自体の経験はあるし、楽器経験は少なくても手先の器用さにはとてもとても自信がある。メカですから!リズムキープもお任せあれ。デジタル的に頑張るよ!えーと、私と響香ちゃんがベースで、百ちゃんがシンセサイザー。じゃあ

 

 「ギターはどうなるのかな?」

 

 「ベースが2本あるんだし、ギターも2本欲しい!希望者いる!?」

 

 「やりてー!楽器弾けるとかカッケーじゃんよ!」

 

 「やらせろ!」

 

 「じゃあ持ってみて」

 

 ギターはいわばバンドの顔と認識してる人も多いのではないだろうか、そこで手をあげたのはクラスの女の子好き、上鳴くんに峰田くん。爆豪くんにやりてぇんじゃなくて殺る気があるのかと物騒なことを聞かれつつもあるある超あるととっても軽いお返事でギターを肩にかける。確かにあれだよね、さまになってる。上鳴くん似合うなあギター。峰田くんは……その……

 

 「手が届かねえよ……」

 

 「それに関しては私にはどうしようもできないかな……」

 

 そう、峰田くんの身長は108㎝、なんと実はエリちゃんより小さいのだ。当然ながら手と足もそれに伴って小さくて……ギターの弦に手が届かずネックを握ることができないでいる。上がっていたテンションを一気に下げてしまった峰田くんは崩れ落ち、部屋の隅で体育座りを始めた。うーん、峰田くんサイズのエレキギターを作るっていう選択肢もあるけど、確実に玩具っぽくなってかっこ悪くなっちゃうんだよね……。そこで現れたのは意外なことに常闇くん、彼は峰田くんが丁寧に放り出したギターを拾い上げると静かに爪弾き始めた。

 

 「常闇!?お前ギター弾けたのか!?何で黙ってた!?」

 

 「Fコードで一度手放した。だが、黙っているのもおかしな話だと思ってな。もう一度手に取りたい。峰田、俺がやっても構わないか」

 

 「勝手にしろ。もうさっさと終われ文化祭」

 

 「峰田~ダンスパートでハーレム作ってあげるっていったらやる気でる?」

 

 「最高かよ文化祭。はよ来ないかな」

 

 峰田くんの掌返しが酷い。それはともかくとして、ギターパートもきまりだね!常闇くんが経験者なのは嬉しいなあ。峰田くんもやる気を出してくれるみたいだしあとは練習あるのみだけど……あ。

 

 「歌は響香ちゃんでいいよね?」

 

 「え!?ウチ!?」

 

 「他に誰がやるの~?」

 

 「そうだよ!耳郎ちゃんの歌すっごく上手なの私達知ってるよ!セクシー&ハスキーボイス!ね!」

 

 「待てよ!ギターは諦めても歌は諦めねえぜ!オイラのシャウトを聞け!」

 

 「僕も☆」

 

 歌パートといえば、というか普通に響香ちゃんカラオケ行った時とかすっごい歌上手だったからそれが一番いいと思ったんだけど、何となく恥ずかしいみたい。そこに現れたのは毎度おなじみ峰田くんとなぜか青山くん。彼らは聞いてみやがれとマイクを前に自慢の歌を披露しはじめた。峰田くんはがなってるだけで、青山くんは物凄い裏声。狙ってやってるのかな……それでは!

 

 「響香ちゃん、お願いします!」

 

 「え、ハッズ……じゃあ、1番だけ……」

 

 響香ちゃんがアカペラで歌いだした瞬間、峰田くんと青山くんが歌パワーによって吹っ飛ばされ、床に転がる。私たちの間を駆け抜けていく響香ちゃんの甘く、ハスキーなのにセクシーな歌声。100点満点。歌い終わった響香ちゃんを待っているのはスタンディングオベーションと拍手の雨あられ、負けを認めた二人も含めた満場一致で歌パートも決定。

 

 「じゃあよ、残り必要なのってなんだ?」

 

 「雰囲気作りだよ!演出ってやつ、ミラーボールとか、紙吹雪とかクラッカーとか!ダンスと音楽に合わせて一緒にもりあげんの!」

 

 「なるほどな!轟の氷とかで氷の橋とかやったら面白そうだよな!」

 

 「使う機材とかイメージあったら教えてね。私が用意しちゃうからさ」

 

 「私にも一声おかけください。希械さんと私で用意できないものはありませんわ」

 

 よーし決まった!決定!バンド隊!ダンス隊をメインにそれを支える演出隊!私はちょっとハードスケジュールだけど!大丈夫だからね!エリちゃんが見るんだから、不格好な出し物は出来ないな!よーし、頑張ろう!みんな!飯田くんの音頭で私たちは円陣を組んで、拳を突き上げるのだった。




 さりげに楪さんを認めてる爆豪くん。ちなみに餌付けも終わってたりする。ツンギレで可愛いですね。

 踊れる漢、切島くん。芦戸ちゃんと中学時代から仲良いときっとこうなると思うの。原作では面識ある程度だったし

 では感想評価よろしくお願いします。次回でまた会いましょう

映画や小説、チームアップミッションの話あった方がいい?

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