なんとか20話位で終わらせたいです。
元々、俺はアイツが嫌いだった。
『そこの君〜!その制服、〇〇高校だよね。悪いが電車賃借してくれ!明日返すから!』
『…………………は?』
馴れ馴れしく人について回って、喧しく騒ぐ。
『あれ、さっき金借してくれた人じゃないか!隣だったんだな。僕は_________。君の名前は?…………恭次郎!いい名前だね。よろしく恭次郎。』
『馴れ馴れしく呼ぶな、気持ち悪い!』
どこか腑抜けで、体もろくに鍛えず、アニメやら漫画やらにうつつを抜かす。
『ねぇねぇ、恭次郎もこういうの興味あるんでしょ?そんなんだからみんなにむっつり野郎とか言われるんだよ。』
『五月蝿い。俺はそういうものに興味は無い!』
そのくせ授業では、俺よりも高得点を出しやがる。
お前がいると、俺はいつも2番手。No.2だ。
『ほら、そういうところで攻めすぎるから逆に攻められるんだよ。』
『クッソ………!お前にだけは教えは請わん!』
ヘラヘラしながら、人の心に土足で踏み入ってきて、お節介を焼きやがる。
最後の最後は、まさかの勝ち逃げだ。俺の堪忍袋の緒を幾度となくぶった斬ってきた。
『僕、先生になるのさ。あのキヴォトスでね。だから今日で、ちょっとの間のお別れだ。また、機会があったら一緒に酒を飲もうよ。僕の生徒の話をしたい。あと、恭次郎の生徒の話をしてよ。生徒自慢とか、やってみたいんだ。』
巫山戯るな。巫山戯るな。
この男はどれほど俺を怒らせれば気が済むのだ。
次回だと?いいだろう、待ってやる。
だが、その時こそ俺の方が上だと、お前に証明してやる。
お前は、俺より下だと教えてやる。この能天気野郎。
その日は、快晴だった。
うだるような暑さの中で仕事に精を出す。
「失礼します。教官。お客様です。」
「客だと?何と名乗っている。」
「キヴォトス連邦生徒会、会長代理権首席行政官と。」
「キヴォトス…………通せ。」
奴のことを、数瞬忘れた時、突然やってきた。
「失礼致します。」
長髪のエルフ耳に、頭に天使の輪を浮かべた女。
「要件を、手短に頼もう。」
「私、七神リンと申します。……………坂野恭次郎様。あなたに手紙を預かっております。先生からです。」
「手紙なら部下に渡しておけ。後で目を通しておく。それに先生…………奴からの手紙など読むに値せん。」
「いいえ。貴方には読んでもらう必要があります。」
「だから仕事が終わったら読むと…………………」
スッと目の前に手紙を出される。
「時間がありません。時は今。場所はここです。」
「………………」ペラ
手紙の差出人は、やはり奴だった。
『やあ恭次郎。元気してるかい?君と道を別れてもう5年になるかな。私の方は、楽しくキヴォトスの先生やらしてもらっているよ。君は海外に行ってしまったから知らないだろうが、キヴォトスはやはりものすごい都市だ。どうだ羨ましいだろうウェーイ。』
しばらく声を聞いていないはずなのに脳内で勝手に声が再生される。またイライラして血圧が上がってきた。
『さて、この手紙を読んでいるということは七神リンに会ったみたいだね。もうすでに彼女から聞いているかもしれないけど、私の筆で君に伝えなければならないことがある。』
どうせくだらない事だろう。あと1行読んだら投げて捨ててやる。
しかし、そんな軽い気持ちも、奴は嘲笑うかの様に蹴ってきた。
『君に、私が所有する全権利を譲渡し、連邦捜査部シャーレの担当顧問代理を任せる。』
「……………は?」
『すでに君の上司には報告済みだよ。多分そろそろ連絡が来るんじゃないかな。』
未来予知でもされたかと思った次の瞬間、内線電話が鳴る。
「………………もしもし。坂野です。」
『あ、坂野くんか。今ー、君に解雇通知が届いたよ。再就職先決まってるらしいけど、君何したの?』
「………………何ですって?」
『君も知ってると思うけど、ウチの上層部の決定は絶対だから。それじゃ、引き継ぎだけしっかりよろしくね。私としては君は優秀だったからちょっと惜しいけど、まあキヴォトスでも頑張ってよ。じゃーねー。』ブツッ
「……………………」
「お分かりいただけたでしょうか。貴方に拒否権はありません。私たちと共に、キヴォトスへ向かっていただきます。」
「………………………」
ゆっくりと立ち上がり、何も無い壁に向かってに立つ。
そして静かに拳を握りしめ、怒りを露わにする。
「あの野郎ォォォォ!!」
「改めまして坂野さん。ようこそ。シャーレへ。」
書類は綺麗に整頓され、棚にはアニメのグッズが多く飾られている。
パソコンはしばらく使用した形跡がなく、先生が消えたのはここ1〜2週間の話らしい。
「こちらにシステム権限が移動しているか、確認を。」
「これは……………ただのタブレット端末に見えるが?」
「オーパーツ、シッテムの箱。連邦生徒会長が先生に託し、先生が坂野さんに託したものです。私たちでは扱うことは愚か、電源を入れることすらもできません。」
「………………これを起動しろと?」
「使っていただく必要は、あると思います。」
「わかった……………」
普通のタブレット同様、電源を入れる。
このままでは使いづらいので、パソコンに出力して使う。
「邪魔にならないよう、離れていますね。」
「……………この機械は爆発でもするのか?」
『パスワードを入力してください。』
胸ポケットにしまっていた手紙を開き、パスワードを入力する。
『我らは望む、七つの嘆きを。我らは覚えている、ジェリコの古則を。』
「うっ、眩しい…………!」
光に包まれ、思わず目をつぶってしまう。
「くっ……………どうなっているんだ、これは。」
海岸沿いで、崩落した教室。
広い青空の元、波の音が響く。
「くぅ………くぅ………………」
青髪の少女が、机に伏して寝ていた。
「何なんだ、これは……………」
教室の扉を開けて、中に入る。
「んあっ、せ、先生!あ………………違った………………」
「知り合いじゃなくて悪かったな。お前がシッテムの箱か。」
「え、ええと……………先生の代理、ですよね。ここに入ってこれたということは、パスワードと生体認証が必要ですから。」
少女は机から立ち上がり、涎を拭くと、可愛らしくこちらを見つめた。
「初めまして!私はシッテムの箱のメインOS、アロナといいます。よろしくお願いします。代理先生。」
「……………俺の名前は代理、じゃなくて、坂野恭次郎だ。」
「そうなんですか!?先生からは、代理という名前だと…………では、これから何と呼べばいいでしょうか?」
「奴め、変な嘘まで残していきおって…………まあ、先生代理とでも、代理人とでも、坂野先生とでも好きに呼ぶがいい。ただし、先生とは呼ぶな。俺の仕事はは奴が戻って来るまでここを管理することだからだ。」
「かしこまりました。よろしくお願いします、代理人さん!」
謎に包まれたOS、アロナの起動を確認し、現実世界へ戻る。
「ふう…………戻ったか。」
「お疲れ様でした。坂野さん。」
「ここからは、代理人と呼べ。七神行政官。」
「…………かしこまりました。よろしくお願いします。代理人さん。」
こうして、先生不在を埋めるための代理人としての日々が始まった。
主人公:
設定:シャーレの先生と同じ高校出身。硬派で真面目だったり、趣味が少ないなど、性格は先生と真逆。先生のことを実力的に認めてはいるが、人間性的に嫌い。本人は毛嫌いしているが、結局先生に懐かれてしまったりなどしている辺り、根は優しい。高校を卒業した後、海外に渡り、軍人学校で先生をしていた。10年ほど先生とは連絡をとっていなかったおかげで健康体だったが、先生からキヴォトスの連絡(自慢)が何故か大量に送られてきたため、血圧が上がり気味。体術を教えていた経験もあり、本人の戦闘力は高い。思考は合理的だが、やや軍人思想に傾く時がある。女遊びをしたことは殆ど無い。が、別に女性に弱いわけでは無い。が、そっちの知性は乏しく、鈍感。