この世旅する少女は灰の霧を纏い、眠り続ける明日を乞う。――神が普遍の世界で灰色は何を見る――   作:ルヌヘレル

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旧八話の最後と閑話をドッキングしたらいい感じの文字数になったのでこちらにも。



 筆休め閑話。 アイラへの周りが見せる反応。読む必要は無いです。読んで害も無いです。ただ書く意味のなかった所を掘り下げただけです。

 

 

「この嬢ちゃん昨日から居るが、なんか見ちまうよな」

 

 前髪を後ろに撫でつけている男が槍を手入れしながら言う。

 

「嗚呼。髪が全体的に灰色故ミャルナントはミャルナントでも神に連なる御人かもしれぬな」

 

 刀を腰に下げたまま侍と言った風貌の男がアイラを見降ろして言った。

 

「そっかーその可能性もあるのかー。でも神様が気まぐれで似たような配色にすることはあるってわっちは聞くけどー」

 

 全身が星空に描かれた女機人がのんびり喋る。

 

「まぁ、そうなのだがな。それでもここまで意識を取られるような存在質量はなかなか聞かない。なにかしら事情があるのだろう」

 

 その侍の言葉に皆がうーんと悩み考えを放棄した。今考えても仕方のないことだろうと。

 

 

「それにしてもあの新報聞いたか? 大二柱が数百年ぶりに神罰執行したってな」

 

「なんとそれは知らない話だ。儂はスミェーラトを十分に扱えていなくてな」

 

「でもそれ誤報って話もあるよー? なんでも久しぶりに外に出たから間違えて神罰に似た何かを出したってー。おじいちゃんはこの世界に来た時からおじいちゃんだから、仕方ないねー」

 

 女機人がケラケラ笑って侍を弄る。それに対して槍の男は静かに立ち上がりスミェーラト――電子、魔術で起動される多角的情報体――を起動して侍に見せた。

 

「それ出どころが怪しい奴じゃね。似た何かってなんだよ。あと爺は早く慣れてくれ。連絡に困る」

 

「ぬぬぬ……まぁ神の考えることはよくわからぬからな。大方感情が荒ぶった結果放出してしまったのだろう」

 

 あーでもないこうでもないと話していると、遠くから泣き声が聞こた。それは小さな子供の鳴き声で、だんだんと此方に近づいてくるようだ。

 

「ううぅ……灰色さん。世界の為に頑張っていたのに無残に殺されてしまうなんて……うわーん!」

 

 ムエナだった。どうやら講習で聞いた神話で泣いてしまったようだ。女機人に慰められている。

 

「あー。居るよな、ああいう奴。根が優しいまま連れてこられたから講習であまりの話に泣いちゃうの」

 

「おやー。それは自己紹介かのう? おぬしもここに来た時鼻水だらだらだったではないか」

 

 その言葉に大げさに傷を負った素振りを見せる槍男。すかさずやり返す。

 

「い、いやあれは違うぞ。冬だったから寒かったんだぞ。爺こそスミェーラト買ったとき操作できなくて泣いてなかったか?」

 

「ぬぐ。それは言わない約束であろう……ほい、おぬしこの御人が寝ている間にいろいろ済ませちゃいなさい」

 

 話を逸らすためムエナに優しく声を掛ける侍。ムエナは落ち着いてきていたので普通に話を聞く。

 

「ふえ? アイラさんが寝ている間にですか? ……確かに手が掛かる子供みたいな人ですからね。そうしましょう」

 

 急いで至人証明板を貰って帰ってきてアイラの頭を撫でるムエナ。その視線は慈愛に満ちていた。

 

「たぶん、この人は寂しいんだと思います。寝ているときに何かボソボソと助けを求めていましたから。親なのか神様なのかわかりませんが、きっと置いて行かれてしまったので仕方なく旅に出たのでしょう。詳しいことは知りませんが」

 

(きっと神様が私を呼んだのは私を逃がすため。そして私に経験を積ませるためでしょう。それに――)

 

「おかぁさ……むにゃ」

 

 アイラの寝言でムエナは笑う。

 

「ふふふ。私も本当だったら子供が居たのかな」

 

 その発言に凍り付く面々。

 

「え、小嬢ちゃん何歳なの?」

 

「二十七歳くらいですよ。正確な歳は知りませんが、私自身が食事をしてこなかったのでちんちくりんです」

 

「うわー……美魔女っていうか、美魔法少女ってかんじー? 私には関係ないねー! あはは!」

 

「うむ。そんな感じよな。儂の居た時代世界では割とこんなもんであった」

 

 槍男が侍を見て動きを止めれば、三者三様の様子を見せたのでつい笑ってしまうムエナ。みんなにアイラを任せ、彼女はソレアに話を聞きに行くことにした。

 

「ソレアさん厨房って早く借りれますか?」

 

「ああ、予定の場所は予備の場所らしいからいつでも良いって言ってたわ。

 それにしてもアイラちゃんを本当に子供扱いしてるわね」

 

「ふふふ。子供欲しかったんですけどね、小さいときの栄養失調やら境遇やらで願い叶わずだったんです。なのでアイラさんの旅に付いていくつもりです。行く所ないですし」

 

 ソレアはやれやれ、と言ったように首を振ってから口を開く。どうやら思うところがあるようだ。

 

「そっか。まぁ彼女戦闘力はあるみたいだし、来た時期も似てるから一人で行こうとするならこっちで勧めたとおもうけど。ほっとけない感じだし助かるわ」

 

 それからミャルナントが死ぬと外野がうるさい、とか神は気にしてないのになんで人間が気にするのか、と少しだけ愚痴を言われたが笑顔で聞き流す。

 

「じゃあアイラさんが起きたら教えてください。私は料理をしてきます」

 

 

 アイラが昼寝していると、一人の男がアイラを見つける。男の外見は茨の肩パッドに、司祭服で髪はツーブロック。顔は温和そうだがどう見ても肥満体型だった。

 

 彼は朝の討伐を終え遅めの昼ごはんを食べに来ていて、後に起こる宴会で大食い大会を始めた張本人だ。

 

「うーん。初めて見る顔だね。おお、主よ。この子にたらふくご飯を食べさすには……え? 手を出すな? というか反応が帰ってくるのは(わたくし)、予想外で嬉しく思います。

 なるほど、一緒に楽しく食べさせてあげれば主も満足ですか。かしこましました。恐らくこの感覚に引き寄せられて人が集まるでしょうから宴会を開きましょう」

 

 この男、一人で神と会話していたのでブツブツと喋る殊更怪しいヤツになっていたのに気がついていない。

 しばらく男は机を運び、椅子を運び宴会の準備をしていた。食堂はまたなんか集まりでもあるのか、と警戒をしてはいるものの既にムエナの準備時でもう諦めている。

 地獄はこれからだ。

 

 そこへ一人の男獣人が通りがかった。彼は二、三日狩った魔獣の精算に来たのでこちらもアイラを見るのは初めてだ。

 そんな彼に茨肩パッドの男は声をかける。

 

「ああ、そこのお人。今日ここでお金は個人ですが、宴会を開きます。あなたも参加しませんか? 出来れば催し物とか」

 

「ほ? お前が誰だか知らんが、まさかあの娘っ子の周りでやるんじゃないだろうな? 可愛そうなことするなよおじさん」

 

「これは神の思し召しです。無理やり起こさない範囲で、けれど眠らせすぎない程度でやって、起きたら騒げばいいとの事です」

 

「それならいいけどよ、俺ァカミサマとは連絡してねぇんだ。イッヒータンの神、つってもわからんだろうがそういう性質なんだ。俺がやって喧嘩にならんか?」

 

 茨肩パッドの男は大袈裟な動きと笑顔で、考え述べる。この世界としては他人に迷惑掛けずに行いをし、自分の信じたい神を信じていれば悪神を信じてもなんら問題は無い。そもそもこの世界において悪神とは悪神では無い場合も多分にあるのだが。

「おそらくは、大丈夫だとおもいます。我が主神も理由までは教えて頂けませんでしたが、大丈夫とのことなので。あ、ウチは善因善果悪因悪果の宗派ですので、多少は安心頂けたら」

 

「ううむ……じゃあ俺は酒屋に話を通そう。俺の主神は酒が好きだから何人か知り合いいるんだ。ただ、全員街人引っ捕まえて行くだろうから調理係の増員が必要だな。みろよ、あの調理場の面。可哀想だぞ」

 

「ああ、大丈夫です。それはこちらでやります。心強い助っ人もいらっしゃるらしいですし、そんなに多くはいらないかとおもわれます」

 

「あ、そうだ。宴会やるなら治癒士とか呼ばないとな。電技派

と魔技派両方のそれなりの人数いないと大変だけど、来るかはまちまちだしなぁ。俺の知り合いにはいないわ」

 

 そこへ星空ペイントの女機人が遠くから声を投げてきた。

 

「あたし電技派は心当たりある! そのツテで魔技派も呼べるかも!」

 

「では決まりですね。この茨にかけて、我が主神の愛を供与します。見届けたまえ」

 

 その後の出来事は前述の通りである。彼女は誘蛾灯のように、何かを引き寄せている。それは善か悪か、アイラにとっていい事となるのか今はまだ、わからない。




この閑話は出る予定の薄い世界観を語りたい為に書いたので、なろうのあとがきには分が羅列しています。こちらではノイズ低減と規約が怖いので書きません。すみません。

その代わり読んだらちょっと先の見通しが付きます。多分。

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