こんなクロスオーバーが読んでみたいヒロアカ話 作:謎多き殺人鬼
この日、緑谷出久は自分に与えられた運命に絶望し、恨んだ。
いつもの様に折寺中に通い、いつもの様に横暴な幼馴染みに虐めを受け、いつもの様に帰っていたら憧れのヒーローに偶然助けられた。
出久は咄嗟に自分はヒーローになれるのかと聞いたら。
「夢を見るのも悪くは無い。だが現実も見なくては……ヒーローはいつだって命懸けなんだよ」
それは……プロヒーローとして正しい言葉だった……だが、今の出久には重すぎる言葉だった。
目の前が真っ暗になり、何も考えられなくなった出久は"寄り道もせず"に帰路に着いて落ち込む中、一日が過ぎた時……
「緑谷出久君!君を殺人の容疑で逮捕するッス!」
朝になってから体格の良い、髭を生やして耳に何故か鉛筆を挟んだ刑事が警察官とヒーローを連れてやって来て母である緑谷引子の引き留めようとするが押さえられ、泣き叫びながら出久はそのまま逮捕された。
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逮捕されてから数日、色々な刑事の取り調べを受け、出久は必死に無実を主張したが刑事達は血の付いた凶器とそしてその凶器から指紋が出たと言い、全く信じてくれなかった。
留置場で溜まる疲労の中、母である引子は何度も面会に来て出久は無実だと信じ、励まし続けた。
出久はそれを糧に何度も何度も無実を主張したが遂に起訴される事となり、裁判が行われる事になった。
誰も信じてくれない
出久は完全に疲れ切り、やっていない殺人を裁判で認めてしまおうかと考えていた時、留置場に引子から弁護の依頼を受けてやって来た弁護士が現れた。
妙に後ろ向きにトンガリした髪型で青いスーツの弁護士、成歩堂龍一とそしてその助手としている同い年に近い、妙な和服と髪型をした少女、綾里真宵が面会に訪れると出久の話を聞いた。
出久は信じてくれないだろうと諦めの最中、弁護士に事の成り行きを全て話すと話を聞き終え、何度かの質問の後、弁護士は最後に。
「出久君は本当に無実なんだね?」
と聞くと出久は頷く。
それが出久の残酷な運命を大きく変える事になるとは思わずに。
裁判の日、あの弁護士と担当検事、裁判長が揃い、裁判が始まった。
中年の検事、亜内武文が自信満々に出久の犯行方法を立証していき、隙も何も無く、裁判長に納得され、傍聴席の人々も出久に厳しい視線を向けてきた。
もう終わりだ
出久は涙を流しそうになった時、法廷に声が響いた。
「異議あり!」
出久は顔を上げるとその声の持ち主は成歩堂で検事側の立証の矛盾を尽く指摘し、出久の疑いを少しずつ晴らしていった。
それが何度か繰り返されている内に出久の犯行を見たと言う証人が現れると成歩堂は証人の証言の矛盾を突き、そして真犯人として告発した。
証人が何度も抵抗する中で成歩堂は諦めず食らい付いていく。
そして長い時間の中、遂に……
「我々は危うく、無実の少年の未来を奪い去ってしまう所でした……いつの時代も冤罪とは恐ろしいものです。判決を言い渡します」
無 罪
裁判長からのその言葉を聞いた出久は泣き叫ぶと同時に紙吹雪と傍聴席からの歓声が響いた。
出久は無罪を勝ち取り、安堵の涙を流しながら自分を信じて弁護をしてくれた成歩堂に感謝した。
そして……出久の胸の内に一つの夢が灯った。
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出久の裁判から数年後、舞台は再び法廷。
大人となった緑谷出久はヒーローのコスチューム……ではなく、緑のスーツを着込み、ネクタイを絞めるとフラワーホールに"弁護士バッジ"がちゃんと付けられているかを確認すると玄関まで行く。
「じゃあ、行ってくるね」
「待って、出久!」
「どうしたの?」
「……行ってらっしゃい」
「うん……行ってきます!」
緑谷出久、成歩堂なんでも事務所に所属する弁護士。
ヒーローの夢は諦めてしまったが、成歩堂の依頼人を信じ、必ず救けると言うその姿に感銘を受け、弁護士となり、自分の様に誰にも信じて貰えなかった人々を救けると言う新たな夢を持つ様になった。
先輩弁護士の王泥喜法介に比べればまだまだ経験は乏しい弁護士ではあるが、それでも弁護士として依頼人を助け出した実績を持っている。
そんな出久が今日、弁護するのは……
「お待たせ、かっちゃん」
「ちッ……来たのかよ」
現在、活躍するルーキーヒーロー、大爆殺神ダイナマイトこと爆豪勝己だ。
容疑は殺人、個性による爆殺だとされている。
勝己の性格ならあり得る話だとされ、更に難しい裁判になるだろうと言う事から弁護士が見つからずにいた。
そんな中、ニュースを聞いて駆けつけた出久が過去に受けた仕打ちなど関係なく弁護すると言い、何度かの押し問答の末にようやく勝己が折れる形になった。
「そんな事は言わないでよ。……僕が君の無実を必ず立証してみせる。かっちゃんは間違っても殺人なんてしないって信じてるから」
「……何で俺なんかを信じんだよ」
「何でって?」
「俺がやったって思うだろうが……爆破の個性が使えんのは俺だけだった……他に爆破の個性持ちなんていなかったのにどうして俺が無罪だなんて言えんだよ……!」
「さっきも言った通り、君は殺人なんてしないって信じてるから。それに爆破と言ってもね、個性以外にだって出来るんだ。……必ず、見つけるよ。君を罪に陥れようとする矛盾を」
「……勝手にしろよ」
勝己がそう言い、出久は頷くと二人は法廷へと足を運んだ。