冰剣の呪術師が世界を統べる〜世界最強の呪術師である少年は、呪術高等専門学校に入学する〜 作:ミスターアリウム
特級呪霊である漏瑚との戦いの中、五条は自身の生徒を2人引き連れてきた。
「ごめんごめん! 彼は見学の虎杖悠仁くんです! そしてこちらは今から僕の代わりに実戦をしてくれるレイ=ホワイトくんです! 」
(そいつはっ……宿儺の器⁉︎ それに隣にいるのはなんだ?)
「……ゴジョウ教諭、これは一体どういうことですか」
「なに、軽いリハビリさ。あの呪霊を払うんだ。という訳で、君は構わず戦ってよ」
漏瑚の前に現れたのは、宿儺の器である少年、そしてその前にいる黒髪短髪の少年、身長は180cmほどであり、全体的には細く見えて呪霊からはたいして強そうには映らなかった。先程まで戦っていた相手にそんな少年と戦えと言われた頭に火山を生やした呪霊、漏瑚が業腹だと言わんばかりに手に纏った炎をレイに向けて飛ばした。勿論、普通に受ければ即死だ。
「舐めるなよ! 小童が!」
「レイ!」
「……大丈夫だ、ユウジ。この程度でどうにかなりはしない」
ユウジの声、レイに向かってきたのは特級呪霊から放たれた火球だったが、余裕を持ってそう呟くとその呪術を視界に捉えることなく、剣を後ろに向かって薙ぐ。そんなものは通用しないと、手にしていたブロードソードで切り裂いて対処した。
「なぁ……!?」
その声は、その呪術を放った呪霊のものだろう。
感覚の研ぎ澄まされたレイにはすでにある一定の領域の呪術の流れ……具体的に言えば、呪術の根幹である
「もうやめておくんだ」
「そのような言葉っ! 言うわけなかろうがあああああああああああああああああああああああああッ!!!」
その刹那、火球が飛んでくる。
「な……はぁ……消え、た……だと!!?」
剣を握っていない、レイが左手をスッと横にズラすとその呪術は搔き消える。先ほどの現象と同様に、この世界からは呪術が雲散霧消する。
「呪術の無効化……! ⁉︎ バカなっ⁉︎ そんな術式があるというのか⁉︎」
「厳密に言えば、無効化ではない」
「ならば……分解なのかッ!!!?」
「いいや分解でもない。言っただろう、世界の広さを教えると。君の見ている世界は全てではない。そして俺もまた世界の広さを教えると言ったが、俺自身もまだその広さの前にただ圧倒されている者にすぎない。互いにまだ、途上の身の上だ」
「なんなのだッ……貴様ッ!! 」
その目には信じられないものを見たという恐れがあった。まるで、同じ地球上のモノとは思えない……それこそ化け物でも見ているような双眸だ。それを見て、今更何も思うことはなかった。
レイ自身、自分が化け物であるということは、とうに自覚しているのだから。
特級呪霊である漏瑚がレイが行った事をまったく理解できず、ただこの場で始末しなくてはならないと本能が警鐘した。これから使われるのは呪術の極致、すなわち領域展開と呼ばれる術式を付与して呪力で外部に構築した結界だ。
「領域展開、
レイ達は山の中の池の上にいたはずが、周囲は瞬時にマグマが吹き出す溶岩の世界へと侵食された。
「な、なんだよ!? これ!?」
当然何も知らないユウジはそれに驚く。先程までと全く別の世界。今まで何度か呪霊と戦ってきたがこんな常識はずれの相手はいなかった。しかもそれが呪術によるものだと理解できなかった。
「これぞ、現代呪術における最終奥義、領域展開だね」
「領域展開!? これが呪術だっていうのかよ!」
「そう。術式を付与した呪力で空間を構築する一種の結界術さ。これはすんごい疲れるんだけど、それだけに戦闘におけるアドバンテージもめちゃくちゃでかいんだよね! 有利な地形によるバフの効果。そして、なにより、領域内で発動した呪術は絶対当たる」
「絶対!?」
「絶~~~~対ッ!」
領域展開をされた場合、圧倒的にされた側が不利だ。しかしこちら側に対抗策が無いわけではない。
一つは領域からの脱出。二つ目は、領域の展開。
この場において現実的なのは二つ目だ。しかし流石のレイも力を解放していない今の姿ではそれが出来ずにいた。
「レイ、解放するんだ。今の君にならそれが出来るハズだ」
解放するしか、無いのか……。
『冰剣の呪術師』
その真価を、本領を発揮しなければならない時が来てしまった。経験からわかる。これは正真正銘の本気でないと、自分は負けるのだと。この場には五条悟というかつて最強といわれた特級呪術師がいるが、もしも仲間が危険になるようなことがあれば、友人たちは蹂躙される。すでにこの場は戦場と化した、それはこの場の雰囲気だけでよく理解できてしまう。そして呪術師であれば何度もこのような危険に遭遇するだろう。
──師匠。申し訳ありません。ここは、使うしかない場面です。引くわけにはいきません。いつか友人を守るために俺は今……あの全盛期に少しばかり、戻るしかないようです。
「──
約3年ぶりに、冰剣の呪術師がこの世界に出現する──。
吹き荒れる
「レイ……その姿は……? それに、その髪……?」
ユウジは呆然とそう呟く。指摘の通り、髪はどこまでも白く変質し……そして、少しだけ青みがかった色になる。
──この姿になるのも、3年ぶりなのか。
と、少しだけ懐かしく思うレイ。あの過酷な戦場を想起して、決して気分はいいものではなかったが、学友たちを守るためならばレイは意を決してこの姿と向き合う覚悟だった。
「なんだこやつの周りに見えるものは……」
「
ゴジョウ教諭の言う通り、俺の周囲にはすでに青白い
俺がその歩みを進めるたび、パキパキパキと地面が凍りついていく。先ほどの紅蓮の世界がまるで嘘のように、周囲はまさに氷の世界と化していた。
「ば、バカな、ここは儂の領域だぞ⁉︎ なぜ凍りつく⁉︎」
ここにいるのは、正真正銘の特級術師の一人であり、現最強の呪術師……冰剣の魔術師だ。